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第115話 play games with you.

こんばんは^ ^


また投稿させていただきました。

ぜひ暇な時に読んでいただけたら嬉しいです♪


よろしくお願いします!!


 地下ではEフロアの研究員たちが忙しそうに動き回っている。その中でマオたちは1階を目指して歩き続けていた。


 先頭は先程から足を片方引きずって進むユキト。その後に続くのは少女を抱えたマオ。


 これだけでもだいぶ目立つ組み合わせだろう。


 だがマオの横には髪もグシャグシャで顔色もあまり良いとは言えないヤヨイがいる。


 離れて後ろを歩いているアズマですら、背中を丸め辛そうな表情を浮かべていた。


 満身創痍とは、まさにこの事だ。


 こんな集団が処理場の方向から歩いて来たらやはりどうやっても目立ってしまう。

 

 それでもフロアを右往左往する研究員は皆、マオたちのことなど構っている余裕が無いらしい。


 「ねぇ、話聞いてた? サンプルは全部Aルームへ運ぶ予定でしょ。しっかりしてよね」


 女性の研究員がマオとのすれ違いざま、Bルームの方向へ向かおうとする研究員に声をかけた。


 ジュラルミンケースを持った研究員ふたりは歩みを止めて互いに顔を見合わせる。


 「なんだよ、あいつ。ナバタメ副長がいよいよ動き出したからって、Bルームにいる俺たちにまで急に偉そうな態度取るかよ、フツー……」


 「まぁ、それまでBルーム仕切ってたのがあのミズノ部長じゃあ……ねぇ。俺たち舐められてるんじゃないですか」


 「まったくありがた迷惑な人だよ、あの人は。どうせ遅かれ早かれ全員死ぬんだ。黙ってナバタメ副長や喜美所長に従っておけば早死しないで済むのものを。何でわざわざ危険を冒してまで計画に反対するのかね?」


 「ですよね。正直、俺たちまで目をつけられて処理場行きになるんじゃないかってヒヤヒヤしてましたよ」

 

 「何でもウワサじゃ、計画を止めるためにサカキさん嵌めて処理場行きにしたとかって……。サカキさんを幹部に推薦しておきながらそりゃないだろって話だ」


 「いやいや、あの人にそこまでする度胸なんてないでしょ。いつも裏で隠れてコソコソやってるのがミズノ部長ですよ?」


 「ははっ、やっぱ何考えてんのか分かんねーわ。計画を止める為なら他人の命もお構いなしか。やってることは喜美所長たちとまるっきり変わらない」

 

 「で、そのミズノ部長は今どこにいるんでしょう。この半端なく忙しい時に」


 「喜美所長から呼び出しがかかったらしい。まさか次に処理されるのはあの人だったりしてな!」


 「えぇー、それはそれで困ります。もしかしてあの人なら今の状況を変えてくれるんじゃないかって、少しは期待してたのに」


 「そう考えるのも仕方がない。この環境を誰かが間違ってると言ってくれるなら、自分からわざわざ動かなくてもいい。みんなそう思ってる。自分が一番可愛いんだ」


 「でも俺たちだって被験者ですよ。過度なストレスは人間性とモラルを低下させるってこと、身をもって証明してるじゃないですか」


 「そうだな。これなら上でクローンボット作ってる方がまだマシだった」


 嫌な会話を耳にしてしまった。

 あのふたりが話しているのはイオリの事だ。


 マオは胸の奥がギュと締め付けられるような思いに駆られる。


 ふたりの研究員は揃って向きを変え、マオたちには目もくれずその前を通り過ぎた。

 

 「なんだかみんなワタシたちのこと、気にする余裕なんて無いみたい。何でこんなに忙しそうなのかしら?」

 

 ヤヨイは研究員らの後ろ姿をぼーっと見つめ、指に髪を巻き付けながら呟く。


 いつもはきちんと手入れの行き届いた、サラサラの長い金糸のような髪の毛なのに。


 しばらく見ない間にヤヨイの髪はモシャモシャの黄色い毛玉のようになってしまっていた。数日間とはいえあんなところに閉じ込められ、ヤヨイもかなりストレスが溜まっている様子である。


 「警視庁から死刑囚の脳が届いたみたいだな。警備ロボットも一緒らしいが……見当たらない」


 ヤヨイをちらりと見た後、警戒するようにユキトが周りを確認する。


 「ユキトさん、事情に詳しいですね」


 マオがそう言えば、今度は苦虫を噛み潰したような顔をして彼は答えた。


 「クリオネだ。外の警備員は俺を輸送の下見に来た警視庁の人間だと信じたらしい。胸糞悪いが、アイツのお陰ですんなりユーゼンに入ることができたってわけだ」


 それを聞き、思い出したようにヤヨイが微笑を浮かべる。


 「ねぇ、ユキトって学生の頃は意外とヤンチャしてたでしょ」


 「はぁ!? 何でそうなる?」


 素っ頓狂な声を出すユキトを見て、さらにヤヨイの笑みが深まった。


 「だって手加減されてたとはいえ、クリオネとやり合えるくらいには喧嘩できてたじゃない」


 「違う、あれは大学で知り合った悪友にちょっと教えてもらっただけだ。人を喧嘩師みたいに言うな!」


 「え、違うの? 普段から口も悪いし、禁煙なのにラボの休憩室でいっつもタバコばかり吸ってるからてっきり……」


 「あのなぁ。お前こそどうなんだ。クリオネと……その……、パートナーだか……って」


 ヤヨイから目を逸らしてもごもごと訊ねるユキト。

 ヤヨイはそんなユキトに首を傾げながら答える。


 「パートナーって何? クリオネには依頼を頼んだことがあっただけよ。喜美所長が料亭でナルヤ大臣と会ってたの。その会話をバッチリ録音してもらったんだから!」


 「は、ナルヤ大臣だと!? この国のトップじゃないか!」


 「そう。データが入ってるUSBはワタシの机の引き出しに隠してあるから、ラボに戻ったら一度確認してみましょう」


 自信たっぷりにヤヨイが言う。


 身も心も結ばれた超濃厚なパートナー。

 あれはやはりクリオネのデマカセだったようだ。


 だがホッとしたのも束の間、ユキトとマオは揃って何とも言い難い表情を浮かべる。


 「ヤヨイさんごめんなさい。そのUSB、クリオネに渡してしまいました」


 「嘘でしょ……渡しちゃったって」


 驚いて固まったままのヤヨイにユキトが弁解した。


 「クリオネが切り札になるかもしれないUSBだから持ってこいと言ったんだ。内容まで教えてくれなかったが……渡したらまずかったのか?」


 ヤヨイが困ったような声を出す。

 

 「……分からない。クリオネがあのUSBを上手く使ってくれたら良いんだけど。ワタシ、『目的が達成されればこの件に関して得た情報は好きにしていい』って言っちゃったから。彼が都合良く解釈して『ワタシをここから逃したから目的は達成された』なんて言い出したら……」


 「情報が好きに使われてしまうな」


 ユキトがため息をつく。


 好きに使われるということは、喜美との取引次第ではその情報が()()()()()()()なるかもしれない。

 

 もし喜美についた方が面白いと感じれば計画の阻止なんて辞めて、クリオネは今度こそ本気で自分たちのことを裏切るだろう。


 「そのUSB、コピーか何かしてなかったんですか?」


 マオは慌ててヤヨイに訊ねたが、ヤヨイは首を横に振った。


 「コピーはもうワタシの手元にはないの。カイ所長に渡そうと上着のポケットに入れていたチップは、ここへ来る時に生天目が踏み潰してしまったみたいだし……」


 「じゃあ、音声データはもうあのUSBしか残っていないんですね」


 マオがそう言うと、ヤヨイはこくりと頷く。


 「そんな大事なデータを、会話の証拠を、アイツが全て掻っ攫っていったのか! こんなことになるなんていったい誰が想像する!? とんでもない奴を協力者にしちまった」


 舌打ちをして頭を掻くユキト。

 そこへタイミングを見計らったかのようにユキトの電話が鳴った。


 携帯の画面を見た彼は、顔を顰めスピーカーにして応答ボタンを押す。


 『あはっ。聞こえてるかな、みんな。ユキトくんが舐めた真似してくれたからオレ、ちょームカついちゃってさ。だから気が変わった。無事にここから出られると思うなよ?』


 「ふざけるな! そんなことより早く俺たちから奪ったUSBを返せっ!」


 ユキトが電話越しに怒鳴りつけていたはクリオネだった。


 『USB? あぁ、あれのことか。最初に言ったよね。いくら君たちでも簡単には情報を与えられないって。情報をうまく使ってくれる人じゃないとオレも危ないからね。君たちにとってあの情報は大きすぎる。それに与えたところで、脱出に失敗したら無駄になるし』


 「どういう意味だ」


 『そのままの意味だよ。ねぇ、何か聞こえてこない?』


 クリオネはそう言って口をつぐんだ。


 マオたちが耳を澄ますと、微かに聞こえてくるサイレンの音。


 音が……近づいてきている?


 マオは周りを見渡す。表情から察するに全員が聞こえているはずだ。


 全員、最悪なことが起こったとでも言いたげな顔をしているのだから。

 

 「この音って……まさか…………!」


 「クソがっ! 警備ロボットまでハッキングしやがったのか!!」


 『あっはははははは! さっき君たちを追跡対象に設定したら、みんな喜んでそっちに向かっていったよ。そろそろお目にかかれるんじゃないかな。ユーゼン屈指の新技術、どんな不審者でも必ず捕まえるなんて謳われる警備ロボットにさ♪』


 サイレンの音は既に少しずつだが、はっきりと聞こえてくるようになっていた。


 無言で固まったままのマオたちを嘲笑するかのようにクリオネが告げる。


 『これで無事に逃げ切れたら君たちの勝ちだ。期待してるよ。じゃあ、頑張って死ぬ気で逃げてね?』


 電話はそこで途切れた。


 サイレンに混ざりツーツーといった通話終了の合図が耳元で虚しく響く。



 「走れっ!! なるべく顔を隠して、走るんだ!」



 ユキトの怒号で我に返った一同は、一目散に駆け出したのだった。



いつも読んでいただきありがとうございます( ´ ▽ ` )


物語の中盤まではガイド、チュートリアル的な役回りをしてくれたクリオネがついに本性を見せた!

さぁ、いよいよ敵対か……!?


みたいな感じに持っていくのがちょっと楽しいですwwww


私も彼に当てられて遊びすぎないように気をつけなければっ!!


(油断してるとこの人に全部持っていかれそうで怖いわー笑)


また続きを書いてきますのでぜひ暇な時に読んでいただけたら嬉しいです♪



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