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第11話 カイ所長の推論

こんにちは( ´ ▽ ` )

本日もまた投稿しました。

よかったらぜひ読んでみてください。



 マオの真剣な眼差しに負けたカイ所長は唸りながら顎を撫でて考えた末、口を開いた。


 「そうか。

そこまで言うのならマオくんに伝えなければならないな。ただし、今の話もこれから話す内容もマオくん以外まだ誰も知らない。

 いずれ知られる事かもしれないが、今はまだ黙っていてくれないだろうか?」


 「分かりました」


 「感謝するよ。

実はヤヨイくんの部屋にはもうひとつ不可解な点があったんだ」


 マオはごくりと生唾を飲む。


 「部屋の中に宅配便の段ボールが置いてあった。

日付と時間は指定されていたようで中身はよくは見なかったが、おそらく何かの研究資料だ。


 指定の日時が昨日の夕方頃だった。

という事はあの宅配便の段ボールが部屋に入っている時点でヤヨイくんはお披露目会の後、家に一度帰ってきていると考えられる。


 なんの研究資料かわからんが、帰ってきてから

段ボールを受け取ったとみて間違いないだろう」


 「だとするとヤヨイさんは昨日の夜からいなくなってしまった……?


 今日もラボに来ないで何処かへ出掛ける気だったなら、電気を消して出ていかないのは不自然ですもんね」


 カイ所長はこくりと頷く。


「そこが不可解だ。

つまり電気をつけたままで部屋を1日空けるなんて普通するだろうか?」


「確かに。1日出掛けることが分かっていればしませんよね。考えられるのは行先が近場だったのか、よっぽど急いでいたのか……」


 だとするとヤヨイは出掛け先で何かあって帰れなくなってしまったという事になる。


 「とにかくあらゆる可能性を考えて行動しなければ真実へは辿り着けない。

 

 後で病院にも運ばれたりしていないか連絡を取ってみるが……」


 カイ所長はちらりとマオを見て話を続ける。


 「こんな話を聞いてしまうとマオくんは心配だろう。なに、根拠のない事を言うようだがヤヨイくんはきっと大丈夫だ。


明日もまた来なかったら警察に連絡しようと考えている。


 もしかすると今日、ラボに来るかもしれないからな。今日一日は様子を見たい。

 後は私たちが考えても仕方のない事だ」


 「そう、ですよね……」


 確かに現状、警察でもないマオやカイ所長がああだこうだと動けるわけがない。

 しかし、マオにはカイ所長が何かを誤魔化しているようにも思えた。



 カイ所長は根拠のない事を言うのが比較的嫌いな人だ。

ようするにたぶん大丈夫とか、きっと出来るというような曖昧な表現を滅多にしない。


 こういう理由があるから大丈夫、こういう可能性があるから出来ると信じているといった言い回しを好む性格だ。


 そんなカイ所長がなぜ大丈夫だと言い切れるのか。

 ただ単にこれ以上私を心配させない為なのだろうか?


 そもそもヤヨイさんの無断欠勤に対して過剰に責任を感じすぎだ。


 それともまだ私に話していない何かを知っているからこそ大丈夫だと確信があるのだろうか?


 そんなマオの疑いの目を感じ取ったからなのか、カイ所長はマオに背を向けて電話のある方へと歩き出した。


 「マオくんも引き止めて悪かった。

さぁ、仕事に戻ってくれ」

 

 いけない。きっと朝から動揺する事柄ばかり起こったせいで必要以上に疑り深くなっているのだ。

 

 とにかく明日までヤヨイさんを待ってよう。

 今の自分にはそれしかできないのだから。


 マオはそう自分に言い聞かせて応える。


 「分かりました。

気を遣ってくださってありがとうございます」


 マオはペコリと頭を下げて事務所の自分のデスクへと戻っていく。


 「そろそろ潮時かもしれないな……」


 カイ所長はマオが去った後の1人残された部屋でそう呟いていた。





 事務所のデスクに戻ったマオはぼんやりと考える。


カイ所長は私に責任を感じさせないようああ言ってくれたのかもしれない。


 一瞬でもカイ所長を疑ってしまったのを申し訳なく思う。


 たが状況を聞けば聞くほど不可解な点が浮き彫りとなって不安が募っていくばかりだ。


 ヤヨイは一体、どこに消えたというのだろうか?


 「た、大変だっ!!」


 ふいに隣のデスクで慌てた声が聞こえた。


 「どうしたんですか?」

 マオは慌てた声を出した研究員に尋ねる。


 「PCにログインした途端、データが全て消えてしまった!」


 「そんなことあるわけ……っ!!

あれ……? 消えちゃった!?」


 「こっちもだ!!」


 PCを置いているデスクが次第に騒がしくなっていく。


 なんと、これでは仕事どころではない!!


 ラボ全てのPC内にある大事な研究データや資料が消えたとなると一大事である。


 「おい、どうなっている!?

そっちもダメだったか?」


 ユキトが事務所の中をズカズカと歩き、目つきの悪い顔で状況を確認している。


 「この()()はダメでした」


 「全滅、か……。クソ!!

今日は嫌な日だな。あいつも消えるわデータも消えるわ……とことんツイてねぇ!!!」


 ユキトの不機嫌さは朝にも増して大変なことになっていた。

 周りの研究員たちも腫れ物を扱うかのようにユキトと目を合わせようとはしない。


 ヤヨイを除き今いる研究員の中でユキトとそれなりに親しくしているのはマオである。


 他の研究員たちは皆、ユキトの扱いに困っていた。


 今はいつもユキトをなだめているヤヨイはいない。


 それならばユキトの暴走を止める役目は自分しかいないのだと悟り、マオはユキトをなだめるべく近づいていく。


 「ユキトさん!

皆さん怖がってますから一度外に出て落ち着きましょう?」


 ユキトのそばで耳打ちをするとユキトは無言で不機嫌な顔のまま外へ出た。


 「ちょっと、ユキトさん!

待ってください」


 マオは慌てて出て行ったユキトを追いかけ、部屋を出た。


 残された研究員たちは一瞬時が止まったように沈黙した後、それぞれが顔を見合わせる。


 やがて本人たちが完全に部屋を離れた事を確認してから時は動き出した。


 「いやぁ。今日のユキトさん、いつにも増してピリピリしてましたね」


 「いつも一緒にいるマオさんやヤヨイさんがかわいそうだよねー」


 「ユキトくんの暴れ馬具合にはなんとかして欲しいものだよな」


 「本当ですよ、ヤヨイさんだってまだ消えたと決まったわけでもないし……。

 単なる無断欠勤かもしれない状態であんなに騒がなくたって……」


 「静かに!

本人に聞こえたら面倒臭いことになるぞ。

 それだけ大切なんだろう、ヤヨイさんが」

 

 と言った内容の会話が静かに囁かれていたのだが、話題の当事者である2人は知る由もなかった。

 

 

皆さん、いつも読んでいただきありがとうございます( ´ ▽ ` )

昨日はパイレーツオブカリビアン、全シリーズ見終わりました!

バルボッサが素敵すぎて……まだ余韻に浸っています。


あんな名作みたいなのを書けるように頑張りたいと思いますので、また明日もよろしくお願いします!


ではまた明日♪

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