第105話 私の存在意義
こんばんは^ ^
年末年始休暇で夜更かし中です♪
また暇な時に読んでいただけたら嬉しいです!
よろしくお願いします。
「あなた、性格が歪んでるってよく言われるでしょう」
イオリのピシャリと言い放った言葉にクリオネは苦笑する。
「手酷いなぁ。でも、人のこと心配してる場合? 喜美所長は君からプロテクトの解除方法が聞けたら、間違いなく君を切ると思うよ」
「……そうね」
ため息をつくイオリ。
クリオネはイオリに近づき、屋上から満月を見上げる。
「ねぇ、ひとつ教えてよ。君が面接したわけじゃないから駒井梨沙の顔なんて、写真でしか見てないはずだ。なのにどうしてそれがマオちゃんだって分かったの?」
「面接の前後で駒井梨沙の顔写真が変わっていたのは気づいてた。でもあの子だと分かったのは……真っ直ぐな目と、真剣な顔つきがやっぱり真央に似ていたから」
「目ぇ……? それだけ見てそんなに分かるもん?」
「分かるわ。ずっと側で見てきた顔だったもの。あの子はきっとまたユーゼンに戻ってくる。なんとなくだけれど、そんな気がした」
イオリがかつての柔らかい表情で微笑む。
「へぇ。君にも野生のカンがあるのか。そりゃ、やられたな」
クリオネはその答えを聞き、フッと笑って屋上の柵に背中を預けた。
「あなたはマオたちを助けにいかないの? 本当に喜美所長側につくつもり?」
「オレは知らない。王子様じゃないし」
「え……?」
「昔からお姫様を助けるのは王子様たちの役割だ。ね、そうでしょう?」
クリオネの掴みどころのない言葉に、イオリは翻弄されるのであった。
――――――どのくらい時間が経ったのだろう。
「うぅ……」
小さなうめき声をあげてマオは目を覚ました。
固く冷たい床、湿った嫌な空気、カビの臭い。そして寝過ぎた時、起きてすぐに表れるような頭の痛くて重い感覚。
最悪な目覚めだ。
起き上がって辺りを確認すると、自分が鉄格子の中に閉じ込められていることが分かる。おそらくここが処理場なのだろう。牢屋に閉じ込められた囚人が経験していそうなこの気分。
やはり最悪だ。
しかしまだ『解体』はされていない。
状況はとてつもなく悪いが、自分が今まで無事でいたことにマオは少しだけ安堵した。
「マオちゃん……マオちゃん!!」
不意に静かで鋭くも、優しさのある声に名前を呼ばれる。
「誰……?」
声のした先は向かい側の鉄格子、5メートルか6メートルくらい先だろうか。
薄暗くてよく見えない。
でもはっきりと分かる。自分のよく知っている人物がすぐそこにいるのだ!
「ヤヨイさんっ……!?」
まさかここで再会することになるとは。
ヤヨイもまだ無事でいたようだ。
マオは思わず大きな声でその名前を呼んだ。
「無事、みたいね。ずっと起きないから心配してたの。ごめんね。ワタシがマオちゃんを巻き込んだせいでこんなことに……」
マオは首を激しく横に振る。
「私、巻き込まれただなんて思ってません。ヤヨイさんを助けたかった。だからここまで来たんです。結局……私も捕まっちゃいましたけど」
もしかするとまだ自分は眠っていて、夢でも見ているのだろうか。こんな場所にいてもヤヨイと再会できたことが嬉しい。
久々に自然と笑顔になるマオ。
「ユキトは? 一緒じゃなかったの?」
「ユキトさんはヤヨイさんの部屋にあった資料を調べに行きました。でもその資料はもう、アズマさんに持ち去られていて……アズマさんは……」
クリオネに殺された。
どうしよう、その先の言葉が出てこない。
呼吸が荒くなる。
「大丈夫……?」
ヤヨイが心配そうに声をかけてくる。
彼女は状況を知りたがっているのだ。
早く、何か返事をしなくては……。
もし自分が失敗作なんかじゃなく、『真央』だったら……『真央』なら……ちゃんと説明ができたはずだっ!
様子のおかしいマオを見て、ヤヨイは落ち着かせようとしたのだろう。優しくいつも通りに語りかけた。
「ねぇマオちゃん。クローンボットお披露目会の日に話したこと、覚えてる?」
「え……?」
「笑ったり、怒ったり、落ち込んだりしたっていい。思い通りに行かなくて、泣いてもいい。ワタシは『そのままのマオちゃん』が好き。『優れた人』になろうと頑張るマオちゃんより、『そのまま』でいてくれるマオちゃんの方がずっと好きなの!」
「ヤヨイさん……」
例えここから生きて出られなかったとしても、その言葉さえあれば少しだけ救われる気がする。
どうしてこの人は……。
自分が一番欲しかった言葉をいとも簡単に与えてくれるのだろう。
「私……わたしはっ……!」
マオの覚悟が揺らぐ。
せっかく『マオ』を押し殺し、喜美に立ち向かおうと決めたはずなのに。
そんなことを言われたら……甘えてしまう。
アズマやイオリは自分の中にいる『真央』を求めた。でもヤヨイは自分が『マオ』として生きることを……『マオ』として生きてもいいんだよと認めてくれているようだった。
忘れていた。今、一番欲しかったものは最初からもう与えられていたのだ。
「辛かったよね。それなのに真実を知ろうとしてくれて、ありがとう」
あれ……?
ヤヨイの言葉を聞いた途端、マオの瞳がぼやけてくる。
始めのひと雫が冷たい床に落ちれば、後はもう止まらない。止めようとしても、それは次第に声となって溢れ出した。
処理場にマオの泣きじゃくる声が響く。
これは何という感情なのか。
自分はなぜこんなにも泣いているのか。
どれだけ凄い『天才』やAIの脳を持っていても、やっぱり自分には分からない。
薄暗い地下室の、鉄格子の中でマオはひらすらに号哭した。
いつも読んで頂きありがとうございます^ ^
皆様に支えられてようやく105話目の投稿を終えることができましたっ!!
今年はこれが最後になるかもしれないので、年末のご挨拶を……。
今年は皆様に応援いただき、こんなに長い話に付き合っていただいて本当に感謝の一年でした!!
来年も完結目指して投稿していきたいと思います!!
そしてまた読んでいただけたらすごく嬉しいです笑
皆様、良いお年をお迎えください♪
(年末年始の特番でロバートの秋山歌謡祭やってほしいなぁ笑
あれめっちゃ爆笑しましたwwww)
今夜はトゥトゥトゥサークル見て寝ることにします笑
おやすみなさい!!




