第10話 不可解
おはようございます( ´ ▽ ` )
今日もまた更新しました。
なんだか寒い日が続いているので朝起きるのが辛いですね。
また読んで頂けたら嬉しいです!!
鶴のひと声ならぬカイ所長のひと声。
休憩室にいた研究員たちはそれぞれの持ち場へと向かう。
「所長、確か本日は見学会がありますよね?
よろしければ僕がヤヨイさんの代わりに午後からの見学会講師、お引き受け致します。
今日も講義内容は昨日と同じだったかと思いますが、一応ヤヨイさんのPC内のデータを参考にしてもよろしいでしょうか?」
「すまない。アズマくん、よろしく頼む。
この緊急事態だ、管理センターに申請してヤヨイくんのPCをアズマくんでもログインできるようにしておくよ」
「助かります」
アズマは所長の許可が降りるなり足速に事務所へと向かった。
管理センターとは、その名の通りキーラボで使用しているPCの情報を管理している機関だ。
各々がPCを持ち、またそれにIDとパスワードを使ってログインをしているので仕事には必要不可欠な機関と言ってもいいだろう。
個人のPCにはもちろんプライバシーがあるので、やむを得ない場合を除き他人のIDでログインしてそのPC内に入っている情報を閲覧することはできない。
ただ、今日のような事態が起こったり突然キーラボを去ることになった研究員により仕事に支障をきたす場合は所長の許可を得て閲覧することができるようになっているのだ。
今日のような場合も管理センターにどのPCを使って誰がどのIDでログインしてどの情報を閲覧するかを申請しなければなならない。
管理センターはその申請通りの閲覧がされているかを逐一監視する。
それ以外にも日常的に不正アクセスがされていないか全てのPCを24時間365日監視している、と言った複雑なシステムがここには存在するのだ。
あまりの複雑さにカイ所長もよく面倒くさいと不満を漏らしている程である。
まぁ、そのシステムのおかげでキーラボの情報が守られていることは確かなのだが。
ちなみにこれは全てAIが管理、監視をしている。
少しでも不正アクセスとみなされれば使われたPCから不正アクセスしたものを割り出して管理センターから研究所に確認の連絡が来る仕組みである。
つまり管理センターがある以上ヤヨイのパスワードをアズマが知ることもないだろうし、見学会講師に使うものとは関係のない情報も閲覧することができないというわけだ。
「ヤヨイくんのフォローはこれでなんとかなるだろう。ユキトくんも自分の仕事に戻ってくれ。
こういう時こそ冷静になった方がいい」
「すいません。感情的になり過ぎました。
何か分かったら報告よろしくお願いします」
彼は他の研究員が去った後もその場から動かなかった。こんなに熱く感情的になるユキトをマオは初めて見たのではないかと思う。
無理もない。古株同士のヤヨイさんとずっと一緒に働いてきたのだ。やはりユキトにも仲間意識というものは少なからずあるのだろう。
ユキトはマオの方をチラリと見て、休憩室を立ち去った。
マオ以外誰もいなくなったのを確認してカイ所長は落ち着いた声色で話し出す。
「マオくん、申し訳なかった。
君もこんな事になってさぞ辛かっただろう。
本当は私もユキトくんもアズマくんも、他の皆も君を疑ってなんていない。
マオくんが悪いわけではないと頭では分かっているはずだ。そこは理解してあげてほしい。
でも誰のせいでもないからこそ誰かを責めずにはいられなかったのだろうな」
「そうですね……。
実際にこの中で最後にヤヨイさんと会ったのは私だと思いますから。だから私もせいでもあるんです。
もし私があの時、ヤヨイさんを家まで送っていればまた違う結果になっていたのかもしれません」
「いいや。結果は誰にも分からないし、別の可能性だって大いにあり得る。
確かに最後に会ったのはマオくんだったかもしれない。
でもそれがマオくんを責める理由には一切
ならないだろ?
私もヤヨイくんの事をもっと注意深く見ていてあげるべきだった。
本当に申し訳ないと思っている」
カイ所長の慰めとも後悔とも取れる言葉にマオの表情が曇る。
「カイ所長はヤヨイさんがただの無断欠勤ではないと考えているんですか?」
「………そうだな。
彼女が家に居なかったことも気になる。
それに今朝見た部屋の状態にも不可解な点があった」
「不可解な点?」
「部屋の電気がついたままで、飲みかけのコーヒーがカップに入ってテーブルに置いてあったんだ。
まるで文字通りヤヨイくんだけが部屋から消えてしまったかのように。
マオくんは昨日、何時からヤヨイくんと会っていたんだい?」
「朝の9時に駅前で待ち合わせしてました。
昨日、ヤヨイさんは30分くらい遅れてきたので9時30分には合流できていたと思います」
確かそうだ、ヤヨイさんは私にとっくに渡していたはずの招待券を探してて遅れたと言っていた。
微笑ましいうっかり具合がマオの印象に残っていたのできちんと覚えている。
「なるほど。ヤヨイくんの家から駅までは歩いて15分ぐらいだろうか……。
それなら9時過ぎには家を出ていたはずだ。
しかも昨日のその時間帯は天気も悪くはなかったし空は明るかった。
日当たりも悪くない部屋だ。
そんな中、電気をつける必要があっただろうか?」
「確かに。朝早くなら電気をつけることもあるかもしれないけど、9時過ぎならいつもカーテン開けるだけで明るくなりますもんね」
「もしかするとヤヨイくんはマオくんと別れたあとに自宅に帰っていたのではないだろうか?
夕方に帰宅した後、夜になってから電気をつけた部屋でコーヒーを飲んでいたのかもしれない。
そうだとするとヤヨイくんは昨日の夜から部屋にいないと言うことになる」
カイ所長はおそらく私のせいではないと暗に言ってくれているのだ。
私の真っ青な顔色を見て気を遣って特別に話してくれたのかもしれない。
だが、マオはひとつの可能性に気づいてしまった。
「でも、ちょっと待ってください。
前の日に電気を消し忘れて眠ってしまい昨日の朝、電気を消さずに家を出て駅前に来て私と会う。
そして私と別れた後すぐに行方不明になっているという状況も考えられないでしょうか?」
せっかくの気遣いを無駄にしてしまうとは分かっているものの、気になった事は突き止められずにはいられない。
悪い癖だ。
「ははっ。やはりそこが気になってしまったか。
さすがはマオくんだ。
君や皆に余計な心配をかけるといけないからこれ以上話すつもりはなかったんだが……」
「お願いします。話してください!
ヤヨイさんは私の大切な先輩です。
何もしなくてもそのうち戻ってくるだろうなんて他人事のように思えません」
読んでいただきありがとうございました( ´ ▽ ` )
また明日も更新したいと思います!
では、二度寝してきます笑笑




