俺の家族3
互い互いに振り分けた後、ロリウス兄様とアーシャ兄様と一緒にもぐもぐお菓子やクッキーを食べてる中。
やはり予想どおり匂いを嗅ぎつけたようで扉を開けるなり、開口一番!
「ここにファルアナのケーキがあるだろう、何処だ!」
ギラギラと迸る狂犬の飢えた獣の如く言う父に、俺達はそうそうに一緒の場所を指差した。
ちょっと距離を空けたテーブルには父用に分けてセッティングし、お茶用スペースを用意しておいたのだ。
父は無言のまま座るとケーキをフォークで切り分け口に入れてしまえば、狂犬は飼い犬の如く幸せそうな表情へと変化していく。
うむ、父の横に子犬が尻尾を振って、餌を食べてる姿に見えてしまい....あー俺疲れてんのかな。
「母上はこんな父に惚れたのだろうな...きっと。」
「同感。普段とのギャップだろうな〜。」
ロリウス兄様とアーシャ兄様が呆れと微笑ましさを馴染ませ物言いで2人して言うもんだから....納得しつつも笑いそうになる。
確かに普段は仕事での顔はキリッとしてて、他の者には隔てなく真面目で尊敬されてんだぜ。
ザ・仕事の出来る男が、妻にはめっぽう弱くて溺愛している。
2人でいる時など甘い世界を作るもんだから、俺達は良く逃げていることが多い。
だってよ! 側になんかいてみろ、絶対に空気に溶かされるし。惚気話しなど聞いてたら砂吐くね...絶対!!
うんうんと納得してるなかで、父さんがお菓子を食べ終わる頃合いにアーシャ兄様が話しあるって言ってたよねと言うのをかわきりに、父さんは思い出したようで俺達に応接間にて話す予定だったことを教えてくれた。
どうにもここ最近モンスターが活発化していること、もしかするとモンスタービートが発生する可能性がある事。
近々対策することを話し合うらしい。
だからアーシャ兄様の騎士団で偵察隊を組むんだって。
「なるほど、視察ですか。俺の知り合いに凄腕の冒険者がいますから加わせて良いです?」
「ああー構わん。アーシャの知り合いならば上手くいくだろう、時間稼ぎに間引きを頼む。」
「了解です。そのうち先発隊を組み報告します。」
「頼んだ。ロリウス、コロク...二人も用心し、出来るだけ危険な場所には行かないように、特にコロク!」
「う...うん、気をつけます!」
返事したのにじとーって疑われたーー。
「コロクだからね、少しでも身張っておくよ。」
「アーシャ兄様なら大丈夫だね、見張りうまいしー。」
「えーーアーシャ兄様酷え。」
「コロクーー!!」
「う!! すんません。気をつけます本当に!」
3人して睨まんでも良くない。
そのあとは一応なりの対策とか話してたんだけど、途中からは領地でのことに対しての意見会っぽくなりアーシャ兄様と父さんの討論が白熱し、最近の食料問題、国からの王子視察体験などだ。
話しを俺は楽しく聞いてたんだけど、ふとロリウス兄様を見るとつまらなそうにしている様子でいた。
俺は色々と気になるとこと多くて楽しいのにな、それしても王子視察体験って...。
確か第一王子が俺と同じ歳か、一個ぐらい上だったっけ。
どんなやつかは知らんけど...気にはなってんだよなあー。
父さんが王都に言ったときなんて話し合いの場では困ってる感じだし、王子我儘なのか? と疑問が湧く。
実際あってみないとわからないもんな。
噂じゃなくて自身の目で確かめて判断しておくか。
まあそうそう悪い奴じゃなけりゃ大丈夫だろ...うん。
最後の一つのクッキーをパクッと食べて、ふと不意に思い出す。なーーんか忘れているような...と。
うーん? と考えるも思い出せないのは、しょうがないと諦めロリウス兄様と談笑しておいた。
話題なんて領地経営のことになるけど、今回はロリウス兄様が好きな交易の話しでもっと思ったんだけど。
何故かロリウス兄様がニコニコと俺をみる。
「...なに? 俺を見てニヤニヤと。」
「ん? いやさあ〜コロクってば最近よーく屋敷抜けだして剣の訓練してるでしょ〜そんなに鍛えなくてもいいと思うんだよねえ〜。
いつも帰ってくるたびに強くなっちゃうと〜跡継ぎにコロちゃんにさせられるぞ〜。」
「コロちゃん言うなあ!......うっ、でも...強くならないと、ここだと命のやりとりあるし。それに...家族も...守りたいし...ゴニョゴニョ。」
辺境にある場所はモンスターのダンジョンだってある。
ほかにも国々との境だから門番みたいな役割が父さんの領地なのだ。
長兄:アーシャは嫡子としての仕事を父から学びつつも手伝ったり、普段は騎士として仕事をもしている。
主に剣術が得意で大剣を持つ手腕が凄く、カッコイイのだ。
次兄:ロリウスは学問や領地を専門とし、経営学で商人としての才覚をあらわしている。
長女はいるが......今は留学にて学校に通っている。
まあ紹介するなら美人で少し怖い。
母:ファルアナはさっきも紹介したように生菓子が得意で淑女の鏡のように美女だ。
父:ギルバートは結構有名な感じで国から色々勲章や名声など伝説が残る人だと母から良く聞いている。
ほぼ、惚気話だけど。
そんな優秀な家系図だけど領地的には危険な場所であることは知っている。
昔5歳の頃にモンスタービートが発生し、被害が多くて色々と大変だったんだ。
俺なんて....あの頃は何もできなくて才能なしだったせいもあって怯えていた。
今だってみんなに強いと言われるけど、全部努力から来ている。
血豆何個潰したっけ。
まあ俺のことはおいておいて。
家族を守りたいと思うから次にモンスタービートが発生したら助けたいと心から誓っている。
本人達には言ってやらんけど......照れるしな。
少々は恥ずかしくてゴニョゴニョと呟いてるとロリウス兄様が俺の頭をワシャワシャと撫でくり回される。
何すんじゃあ! と文句を言ってみるもニコニコと微笑むロリウス兄様に怪訝な表情を向けてしまう。
ぐぬー絶対に弟が可愛いーギューってしたいとか思ってやがるに違いないのだ!
案の定抱きつこうとしてきたので華麗にかわしてやったわ!
「何してんだ......お前ら?」
「弟の思いに感動して抱きつこうしたら避けられた
〜〜酷くない〜。」
「.......意味わらねえー。コロク、こいつの言っている意味...どう言うことか説明してくんねえ?」
「うーむ、アーシャ兄様が俺に抱きつかないと約束できるなら言う。」
「ふむ。状況と内容しだいじゃ.....抱きつかれるよう内容ってわけだな...なるほど。」
顎に手をあてて呟くように、ほほう〜って感じで考える素振りを見せてやがるし。
かまってもらえなかったロリウス兄様が俺が言ったこと暴露するもんだからアーシャ兄様はジリジリ寄ってくる。
よし、ここは父さんのところに逃げって思ったのに。
聞き耳をたてとったのか、父さんは嬉しそうにガバッと抱きついて撫でくり回されるはめになったのであった。
数秒間の親子兄弟のじゃれあいの後、アーシャ兄様とロリウス兄様はそれぞれに仕事が残っているらしからと戻り。
父さんも仕事の残りがあるからと扉のノブに手をかけたとき、不意に思い出したように俺の方を向くなり。
「もうそろそろ、王子殿下が来る頃だろうから頼んだぞコロク。」
ニッと微笑みを向けられ、ふとよぎるは一週間前にあの時も同じ笑みを向けられたことを思い出す。
「.........う、うん。オボエテタラネエー。」
あははと乾いた笑みを浮かべると。
再度ちゃんと覚えてろよと言わんばかりに「わかってるよな。」って表情で圧をかけられ素直に頷いておいた。
誰もいなくなった応接間のソファーに座ったまま真上に手をかざしつつ。
...転生してここまで成長して思うのは、本当に自分は幸せもんだと感じてしまう。
こんな前世持ちを気味悪がらんと可愛がってくれるんだからよ。
だからこそ、くれた愛情は愛情と恩で返すのが俺の流儀。
絶対いまの家族を幸せにしてやるんだ!
さーてと、まずは......だ!
明日ぐらいから畑にでも行こっかな。
もうーそろそろ収穫の時期だし、手伝いに行こっと。
背伸びしてソファーから飛び降りたあと、外を見て思う。
女神デルメロス......あんたには感謝してるんだぜ。
こんな平和でいられる場所に転生させてくれてよ。
みてみろよ、スゲ〜平凡で楽しくスローライフ満喫する日常を過ごすとことをな!