俺の家族1
頭を抱えて父をみると、やはり怒っているようで目が据わっていらっしゃる。
じとーーと睨んでいるから絶対に説教されるんだろうなあーと身構え、文句を言わずにいるのだが。
どういうわけか思いっきり呆れたような溜息を吐かれた。
「怒らんのですかい、父さん?」
恐る恐る怒らないわけを聞こうとしたら、今度は拳骨ではなく頭に大きくて逞しい手が乗せられてワシャワシャと無言ので撫でくり回される。
さすがに頭に置かれて父の動向を探る意味で油断した俺が悪いんだけど。
何してんだよ! せっかく頭のセットしたのにぐちゃぐちゃになるだろうが!
「やめれい、父さん!!」
「ガハハハーー怒らんと誰が言ったー!! これでも我慢してやっちょるんだ、本来ならもっと乱暴にしてると思うんだがな。」
「う! た、確かにーーーって、目が回るんですがーいい加減!!」
ぐりぐりワシャワシャ、グリングリンと父さんの手で操り人形の如く振り回されて、さすがの文句を言ったら。
俺の状況を確認したようで手を離してくれた。
まだまだ、ぐるぐるする頭を落ち着かせた後、父さんを見るとジーーと何故か見てくる。
「なんだよ、俺なんか見てさあ。」
「いやなーこんなチビっこい身体で良きもまあーあんなもん討伐してきたなあーって思ってな。」
「チビで悪いか! まだまだ成長段階だからな!」
「まあー私の息子だからやれるのかもな、うんうん。」
「おい、コラ! 俺を無視すんな!!」
ぐぬーと父さんの無視攻撃に拗ねる俺に対し、父さんはブツブツと納得しんだが。
不意に俺を見るなり急に真面目な表情をされ、説教モードの父さんが出現した。
ゲッ、説教モードだ。
....さっきの間に逃げとけばよかったかもしれん。
と後悔して後の祭り、父さんからの説教が3時間続き解放されたのち、後で応接室まで来いと言い残し去っていきホッと安心した。その矢先アンナから追撃如くの言及と心配と愚痴イコール、文句という名の説教が小一時間おこなわれたのであった。チーン、ガク!!
さて卵の抜け殻にあってからしばらく経ったあと、魂が復活してから部屋を出た時だった。
急にガバッて俺の脇を掴みもよあげられる衝撃!
なんじゃあーって驚いたが、持ちあげてきた人物を見れば一番上の兄貴のアーシャがいた。
紫髪をオールバックのして、後ろ髪は僅かに長く首辺りで赤いリボンで結んでいる。
服は仕事用なのか騎士服を着ててカッコイイ!
「アーシャ兄様、急に抱き上げないでくださいよ、びっくりするから。」
「ははは、すまんすまん。ちょっとばかり疲れて帰ってきたら、庭にあんなもんがあって...ついついお前のことが心配になってな。まったく...ここ最近はモンスターは活発している時期って言ってもよ。庭にあんなもんを置いておくなよな、一瞬何かあったのかと心配になるじゃんか、なあーー?」
「ギク! ソウダネー。」
兄貴の目線が俺を見てた気がして逸らすと、ハアーと父さんと同じ溜息を吐かれた。
「まあいいけど、ほどほどにしておけよ。さて、可愛い弟をこのまま拐って行こうか。」
「え? 何故!?」
「...庭師の強いさん怒ってたかたなあ〜一緒に謝ってやろうかと。どうせ親父に呼ばれてんだろ、ついでに...な。」
パチンとウインクされた提案に、あ! モンスターあのまま出しっぱなしだった。そりゃあ庭師の爺ちゃんカンカンだよな〜〜。父さんの説教とアンナは説教で時間食ったもんなーーって思い出した。
アーシャ兄様の提案はすこぶる助かる。
「ありがとうアーシャ兄様、助かります。」
ぺこりと頭を下げてお礼を言うと、アーシャ兄様はうんうんと頷き次には庭の方向へと向かっていった。