トゥルットゥルゥー
トゥルットゥルゥー、トゥルットゥルゥー……
絶望に打ちひしがれる一郎たちの耳に、妙な音が飛び込んできた。部屋の真ん中にある機械がいっぱい並んだデスクの真ん中で、赤いライトが点滅している。よく見るとマイクがある。
「通信だ!」
一郎は走った、考える間もなく光っているボタンを押す。
<ピー。あ、ありゃ? ありゃりゃりゃりゃ?>
スピーカーから響くのは、予想外に若い声。
<あ、あれ? まじ? つながった? つながったの? え、なに? あっち、まだ生きてんの?>
言ってはいけないセリフがダダ洩れだぞ、ド阿呆。まあ一応答えてみる。
「こちらジンゴロウ……じゃない、イブーシギン。い・き・て・ま・す・よお!」
最後はちょっと厭味ったらしく。
<え? あ、あの。そちら、どちら様で?>
間違い電話かよ……。
「少年Aです。大人はみんな死にました。たぶん」
<え? 何? どゆこと? あれ? あれ? あれれれ?>
「?」が多い。こんな落ち着きのない大人は初めてだ。
「あのですね。かいつまんで話しますと、俺ら修学旅行でこっちに来てましてね。そしたら突然ステーションの一部が吹っ飛びまして。そこに集まっていた全職員がたぶん……」
<あちゃー!>
あの、物凄く深刻な話してんだけど……分かってる?。