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残されちゃった者たち

 部屋のドアを薄ーく開けて田中山の帰りを待つ一郎。追いかけりゃいいのにそうしないのは、”君子危うきに近寄らず”という先人のありがたい教えを忠実に守る良い子だからである。けしてビビリなわけではない。


 田中山が帰って来た、一郎はドアを開けた。


「ああ、また偶然だな。帰ったのか、どうだった?」


「吹っ飛んでた、見事に吹っ飛んでた。緊急ハッチが閉まったからこっちは大丈夫らしいが、第三エアロックから向うが綺麗に無くなってる」


「マジか!」


 さっき放送で「職員は第三エアロックに全員集まれ」って言ってたよな? じゃ何か? みんな吹っ飛んだって事? 大人が。


 実は今回の旅、教師は一人もいないのである。噂では学校がタカヒロの体重が三人分ある事を忘れて予約を入れたため、ダイゴロウ……じゃないイブーシギン行のシャトルにちょうど教師だけ乗れなかったという話だ。そういうわけで乗った後は全部こっちの職員に丸投げだから、その職員がいなくなったとしたら……。


「大人は全滅かもしれない……」


 田中山が言う。さすがのクラス委員も不安を隠せない。


「ど、どうすんだよ、どうすんだよ」


 巣を潰されたアリ並みに右往左往する一郎を見て、田中山が半ば呆れながら言った。


「まずコントロールルームに行こう、誰かが残ってるかもしれない。それでもし本当に誰もいなかったら、みんなに話して対策を練ろう。お前も来てくれ」


「え、俺も?」


「システムがどっか壊れてるらしい、向こうはドアロックが外れないんだ。いちいちぶち破らないといけない。俺だけじゃ無理だ」


「わ、わかった(マジやだ)」


「あ、それとデブ……タカヒロも来てくれ!」


 田中山が部屋の中に向かって言った。一郎が振り返るとデ……タカヒロは、いくつ目か分からなくなった大福を実に幸せそうに齧っていた。

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