どんと、うぉ-りー
ガガン、ガン、ガガガガガーーー!
「だいじょうぶかあああああ! 答えろ、タケヒコーーー!」
<どんと、うぉ-りー>
”どうしてなんだ――”
ヒュウウウウウウウウウ!
「お、おま、おま、みぎだ、みぎいいいい!」
ガーーーーン!
「ひぃぃぃぃ! お前、そろそろ宇宙船が持たないぞー! 気をつけろっ、お前がやられたら、地球が終わるんだぞ!」
”どうして、お前なんだよ。行かないでくれ、でも行ってくれ、すまない、助けてくれ、無力な俺たちを――”
<ズガガガガガガガガガガガガーーーーーー!>
無線からすさまじい音がした。
「おい! 大丈夫か! タカヒロ、タカヒロ―!」
<ど……どんと、うぉ-りー。で……出たよぉ、定位置にぃ>
「お前……怪我してるのか?」
<いやあ……ぬぅあんかデカいのが当たってぇ、あちこちぶっつけて、頭がくぅらくらするんだなぁ。宇宙船もだいぶ壊れたみたいでぇ、変な場所に流されないうちにぃ、ボクここで逆噴射するわぁ>
小惑星の前で逆噴射……それは突っ込むと言う事だ。
「タカヒロ……タカヒロぅ……うっ、うっ……タカヒロぅぅぅ」
<ぬぁんだよぉ、泣くなよぉ、すぐに当たってバーンだよぉ。でぇっかい花火になるかぬぁ~? 花火なんて行った事なかったよぬぁ~ボクたちぃ。彼女連れの連中に会いたくなくってすわぁあ、絶対に行かなかったもんぬぁあ……やあっと一緒に、見られるぬぇ~、いっちゃん>
「タ、タカヒロぅ。何でそんなに落ち着いてられんだよ。何でお前から行くなんて……」
<すおんなのぉ、決まってるじゃん……いっちゃんにぃ、死んでほしくないからさぁ>
「え?」
<君はボクのぉ、たぁった一人のぉ、友達だからぁ~>
「タ、タカヒローーーーーーーー!」
<長生き……しろ……ガッ、ガガガガガガガガガガガガーーーーーー!>
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すさまじい閃光だった。宇宙空間に咲く無音の花火、その中で親友が焼かれ、消えてゆく。
社会の役に立っていたわけでもない、上級市民ではないし、他人よりちょっと多めに食料を消費したけれど、悪い事はしなかった。そんなあいつが、全人類を助けるために目の前で消えてゆく。自分は家に帰れなくてもいいなんて言ってたくせに、俺を家に返すために――。
俺だって、俺だってお前がたった一人の親友なんだよ。俺にお前なしで生きていけって言うのかよ、お前がいなくなったら、俺がアダニョンで一番もてない男になっちまうじゃねーか。そんなの嫌だよ、頼むから……頼むから帰ってきてくれよお!。
「タカヒロオオオオオオオオオーーーーーーー!」