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ゲームは意外と役に立つ

 一郎と田中山の他に、説明書を三行以上読める知力と忍耐力がある生徒をなんとか二十人ほど見繕って、核弾頭をコンテナから出して起爆装置をつけて……。


 手順書を見たが、たぶんここまでに一時間はかかる。弾頭を宇宙船に積み込むまで早くて二時間、ここから小惑星までも二時間。チャンスは日付が変るまでだからあと五時間だ、小惑星の前に出るための時間は一時間もない。


<そうですか……タカヒロさんって方、勇敢な方ですね>


「ええ、意外ですけど、俺もそう思います」


<小惑星までのコースはこちらから指示します。それを宇宙船のコンピューターにセットしてください。近づいたらそこからはイブーシギンのレーダーとパイロットの目視で、飛んでくる石を避けてもらう事になりますよ。レーダーを見ながらパイロットに指示をする人が必要です>


「それは……俺がやります」


<いいんですか? 仲の良いお友達ですよね? その……後で、いろいろ、呵責が残りますよ>


「カシャク?」


<まあ、その……>


「いいです。俺がやるべきなんです」


<……>



「なあ……いいのか? タカヒロ」


 ゲームに夢中になっているタカヒロに一郎は言った。タカヒロは振り返りもせずに答えた。


「どぅあってよぉ、他にどうしようもぬぁいだろぉ?」


「お前、宇宙船操縦するなんて初めてだろ?」


「だぁから、これやってんだよぉ」


 タカヒロは手にジョイスティックを握っている。


「宇宙船の説明書みたんだよぉ、そぉしたら、まるっきりゲームのジョイスティックのまんまでさぁ、ボクがこれ得意なのぉ、知ってるよねぇ?」


「ああ、それでお前に勝った事なんてないからな。けどタカヒロ……」


「気にすんなよぉ、これも運命ってやつさぁ。”宇宙にはボクのサイズの服はなかった” それだけの事さぁ」


「お前、かっこいい風に言ってるけど、内容は結構かっこ悪いぞ」


 ゲームに熱中するタカヒロを部屋に置いて、一郎は皆が待つ格納庫へと急いだ。

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