〜勘違いクリエイターを駆逐せよ〜
赤いバイクが走ってくる。
競技場の中心を唸り声を上げて走ってくる。
駆けるバイクに呼応するように、地面から巨大なビル群が次々に突き出してくる。無数の光も乱れたように空に放たれ、熱狂的なエネルギーがヒリヒリと僕を襲った。
バイクがタイヤを激しく擦らせ煙をあげ、急ブレーキをかける。ライダーがヘルメットを取り、こちらを振り向く。
「アーユーレディ?」
色彩を全身に着こなしたその女性が得意気に世界を挑発すると、二人のダンサーが突如現れ、会場に生み出された熱狂を纏いながらステップを踏む。某有名漫画のネオトーキョーの世界を踊り狂っている。
テクノロジーと極限まで鍛えられあげた表現力が融合していく様が、目の前で繰り広げられている。
SNS上では様々な言語で「ヤバい!」だの「最高!」だので、賑わっている。世界は今、日本に虜になっている。
そうだ……僕はこれが見たかったんだ。
僕はどうしても許せなかった。
勘違いした自称クリエイターが才ある表現者たちを追い払い、
得られたはずの最高のエンタメ体験を潰されたことを。
そう、これは復讐の物語。
ただの一般人である僕が、
「素晴らしいもの」を腐った世の中から守るために……
僕は死に戻り、理不尽と戦う。
金田バイクを国立で走らせるために。