大罪の邪神ズ、自己紹介
オールで邪神さんたちの自己紹介回です。
『私たちは邪神。神界を放逐されたときに名前は剥奪されたので通称で自己紹介させていただくです。私は「悪食」。食べるのが大好きなのです』
蒼髪をショートカットにした20代くらいの女性だ。
しきりに小瓶からカラフルな飴を取り出しては口の中に放り込んで、がりがりと噛み砕いて嚥下している。
きょときょとと、よく動く眼も相まって、リスのような印象を受けた。
『………僕は「怠惰」。………ねぇ、この自己紹介って必要?だるいんだけど…』
ふあぁと大あくびしたのは気だるそうに寝転がった青年だ。
常夜の空のようにどこまでも真っ黒な癖のない髪。
パッと見、高校生に見えるがやたらと大人びて見える。
長い睫毛が影を落としていた。
『私は「憤怒」。言っとくけど怒ってばっかりじゃないのよ!なのに皆私をいつも怒ってばっかりみたいに言うんだから、もう!』
そういいながらもう、きゃいきゃいと怒鳴っているのは、揺らめく地獄の炎を固体化したような紅の髪を持つ幼女。
吊り上がってはいるがぱっちりとした大きな眼は、小学校低学年くらいしかない幼い外見を、より押し下げて見せる。
ぽかぽかと感情的に隣の女性を叩いていた。
『いたたた………あまり強く殴らないでよぅ、憤怒ちゃん……ア、私は「嫉妬」よ。よろしくねぇ?』
痛い痛いと言いながらもさして痛くなさそうに憤怒をあしらっていたのは、毒々しい紫の髪の女性。
女の子なら多分誰もが羨む巨乳。絶対にGはあるよね………
『僕は「傲慢」だ』
素っ気なくそれだけを言ってそっぽをむいてしまったのは中学生ぐらいの少年だ。
気高き孤高の狼の毛皮に似た鈍い銀髪。
あどけなさの残る声と顔に反し、やたらと偉そうにふんぞり返っている。
『俺は「色欲」。よろしくぅ♪』
へらへら軽薄に笑ってみせたのは金髪ロン毛の男性。
年齢は私たちと同じくらい、たぶん大学生。
ピアス等のアクセサリーをジャラジャラ付けていて、チャラさを前面に押し出している。
大学でナンパしてくる命知らずの馬鹿どもによく似ていた。
『俺は「強欲」、一応リーダーらしきことをやっているよ。「憤怒」の兄でもある』
ガタイがいい、30代程度の男性だ。軽く190センチは超すだろう。
めらめらと燃えるように逆立った深紅の髪は、確かに「憤怒」とよく似ていた。
胡座をかいた膝の上に、ごっつい宝石が埋め込まれた図鑑サイズの大きな本を広げている。
作者も予想外の長い長いプロローグになってしまい申し訳ありません。そろそろいい加減に双子をダンジョンに送り込みます。あと1、2話くらいかな?どうぞお付き合いください。