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双子、邪神に召喚される

そして、今。私たちは生まれて初めて「茫然と立ち尽くす」という状態を身をもって体験していた。

大学の講座も全部終わり、二人暮らしの安アパートに帰宅途中だった。

いきなり足元にファンタジックな紫に輝く魔方陣が浮き出てきて、中に閉じ込められた。

あれよあれよと言う間に、魔方陣の外の光景がパズルピースを落とすように暗く欠け落ちていき、欠け落ちが止んで魔方陣も消えたときに、七人の男女が目の前で大はしゃぎしていた。

かごめかごめをするように私たちを取り囲んで。

どういう状況だよ、これ。


『やったのです、成功です』

『あら、思ってたよりも可愛い子が来たわねぇ』

『当然だろう、僕らが厳選して候補の中から一番いい子を選んだんだから』


ちらりと隣を見ると、美央はポカンと口を開けたまま固まっていた。

実にマヌケな顔をしている。

私もたぶん同じ顔をしてるんだろうな。


ドス黒い黒と赤をマーブリングした水面のように、ゆらゆらと揺らめく空間がどこまでも広がり、毛の長い高級そうなカーペットが敷かれている。

カーペットの上には、大きめのクッションや分厚い本がばらばらと置かれていた。

大はしゃぎしているのは、皆テレビでも見たことがないくらいの超弩級の美男美女。町を歩けば十人中十五人は振り返るであろう。

そして全員、装飾過多な、いかにも十四歳ころ発症する病気にご感染されているような服を着ていた。

カーペットに思い思いに好きな姿勢で座っていた。

というか一人はだらんと寝転がっている。


『あれ?おーい?固まっちゃってる』

『いきなり知らない場所に飛ばされたら誰でもそうなるさ』


周りでなおもワイワイと喋り続けている。

ようやくショックから回復した美央が私の服の袖を軽く引っ張った。


「「えーっと……どちら様でしょうか?」」

手の込んだドッキリか、はたまた私たちの頭がおかしくなったのか、確認をするつもりだった。

すると、全員が一斉ににたぁっと真っ黒な笑みを浮かべた。

うわっ、怖い!気の弱い人なら一発で泣き出しそうなほど怖い!


『『『『『『『邪神界へようこそ!白宮真央さん、美央さん!あなたたちには魔王になってもらいます!』』』』』』』


…………ねぇ、誰でもいいからこの状況を分かりやすく説明してくれない?







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