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前座後、つかの間の平穏

邪神たちからのチュートリアルが終わって4日がたって、私たちもこの生活に慣れつつあった。

今、私はダンジョンの改造をしている。

美央はここにいない。隣のトレーニングルームで鍛練(レベリング)に励んでいる。


「ここは魔物を置くべきか、それともトラップを置くべきか……まあいいや、どっちも置いちゃえ」


使用魔力の確認画面でyesを選択して、増設した階層の通路にバランスよく魔物とトラップをちりばめる。

飛び道具持ちの少し苦労しそうな個体も混ぜてみた。


トラップを設置する際、なるだけ即死する強力な罠は置かないようにした。

魔物たちにもせいぜい瀕死で止めるように努力してほしいと指示してある。

なぜかって?簡単だ。私たちはリアルスプラッタが嫌いだからだ。

マンガでもゲームでも、平面ならいくらグロテスクでも大丈夫なんだが。

いざ目の前に死体がばーんと置かれたときに、吐かない自信が無い。うぇぇってなりそう。

平和な日本で普通に暮らしていれば死体なんて滅多に見ないから。

まずは魔物の死体で慣れていかないとね。


しかし致死性の罠が少なくても、うっかり事故で死んでしまう冒険者もいつか出ると思う。

人間ってけっこう脆いからしょうがない。

むこうも危険だってことをを承知でやってくるはずなんだし。

けど、だ。もし仮にいい顧客冒険者(オモチャおよびカモ)ができて、そいつが瀕死の重傷を負ったときは即治療だ。

その前に傷口に塩と酢をたっぷり塗りこむけどね。



ひと段落したので傍らのサイドテーブルの上に置いておいたシュークリームを頬張る。

カスタードの濃厚な甘みが口一杯に広がり、思わず頬を緩めた。

シュー生地のカスが、黒地にラインストーンを散らしたルームウェアに落ちていたので床に払い落とす。


快適だ。超快適だ。

日本で暮らしていたころよりもずっといい生活を送れている。

最初は石しかなかったここで楽しく過ごせているのは、《ダンジョン改造》のお陰だ。

地球にあったものは全部出せるんじゃないかと思っている。

いかにもファンタジーな魔法の施設や家具も置ける。

大きいものだと、魔力を注いで品物を取り出す倉庫系の施設、乳白色の大理石で出来た風呂、寝心地最高なふわふわベット。

細かいものは倉庫系施設から出している。

その中でも「食糧庫」と「クローゼット」がお気に入りだ。

食糧庫は好きな食材をグラム単位で取り出せ、クローゼットは身に着ける系の物をイチからオーダーして作ることができる。

色々作りすぎてスペースが足りなくなったので、部屋をどんどん増やしている。

そのうち迷うんじゃないか心配だ。


「真央、そろそろ交代して!」

磨りガラスの自動ドアがスライドして、顔を火照らせた美央が入ってきた。


「何やった?」

汗で濡れたトレーニングウェアを洗濯機に放り込んでいる美央に訊ねる。

木偶(デク)相手に組手15回と殴り蹴り3セット」

「木偶まだ持ちそう?」

「煙出てたから多分無理」

木偶というのは、私たちが鍛練(レベリング)に使っている魔法道具の名称だ。

模擬戦闘の相手になってくれて便利なのだが、使いすぎると爆散してしまう。一回だけやらかしてしまったのだが、身体中に破片が刺さって滅茶苦茶痛かった。


「いってきまーす」

「いってらっしゃーい」

ドアが閉まる直前に、美央が湯船に飛び込んで派手な水飛沫があがる音が聞こえた。












スキル《双魔王》効果:経験値共有



後からじっくり読み返してみると分かりにくい所があったので、冒頭を一部書き換えました。


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