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 メッセージのやり取りは頻繁にしていたけれど、年が明けるまで彼に合う事が出来なかった。思った以上に、大掃除やゴミ出しなんかが大変だった事も有るけれど、恒例になっているお節料理の準備が大変だったからなのだ。


 お節の大半は買ってくるのだけど、栗きんとんとお煮しめだけは自家製にこだわっている。主に母がこだわっているのだけれど、甘さ控えめに作る栗きんとんは大好物なので、数年前から出来る限り手伝っていた。

 栗自体は甘露煮を買って来て、きんとんはサツマイモをクチナシと煮てフープロで崩し、裏ごしして甘露煮の汁を混ぜながら火にかけて、シットリ艶やかに仕上げる。これがまた、一昨年まではけっこうな肉体労働だったりしたけど、フードプロセッサーを用いるようになってからは楽になった。

 今年は例年以上に頑張って、多めに作っていた。なぜなら初詣の時に宗方君にお裾分けする予定でいて、美味しかったと言ってもらえる様、いつも以上に手間をかけたりもしている。


 そんなこんなで付き合い始めて最初のクリスマスは、宗方君と一緒に祝うことは出来ない事は分っていた。それもあって、終業式の日はけっこう遅くまでファミレスで話をしていて、せっかくだからとチキン(唐揚げだけれど)も食べていたし、ケーキも食べた。

 ふと、『来年からは、どちらかの家でクリスマスが祝えると良いな』なんて思い付いて宗方君に相談してみたら、『恥ずかしいよ。それより二人で居たいなぁ』なんて言われて盛大に恥ずかしい思いもしてしまった。


 元日の午後、地元では有名な神社に初詣にやって来た。鳥居の所で待ち合わせをしていて、だいたい時間通りにみんなが集まったので歩き出す。

 宗方君と二人だけのはずは無く、遠藤さんや里香ちゃんの他に同中だった友達が二人いる。この五人で毎年お参りに来ていて、他の高校に行った友達とは久しぶりに会う事ができて嬉しかった。

 そんな中に宗方君を連れて行ったのは、『ちゃんと彼氏ができました』って髪を切った理由と合わせて報告するためで、他校に行った二人もそれぞれが彼氏を連れてきているので、彼が居ても問題は無いはずなのだ。

 何故だか、里香ちゃんだけは拗ねていたのだけれど……。


「人が多いから、はぐれない様に手を繋ごう」


 そう言って腕に抱きついたら、宗方君は慌てた様子も無く当たり前の様に歩き出してしまい、気付けばそのまま賽銭箱の所まで辿り着いてしまう。『今日は随分と素直で落ち着いているな』などとも思うけれど、初めて会う子もいるので緊張しているのかもしれない。

 名残惜しかったけれど腕を離してお参りを済ますと、そっと腰に手をまわされ引き寄せられてドキッとする。宗方君を見れば、ニヤッとして口の動きだけで『お・か・え・し』と伝えてくる。

 そんなバカップル的な行動が癪に障ったのかもしれない。里香ちゃんが宗方君のひざ裏にけりを入れて、一緒にひっくり返りそうになって抱き付いてしまい、随分と恥ずかしい思いをしてしまった。


「人混みの中であんな事しないでよ。危ないじゃない」


 宗方君は『お年玉を集めに』なんて言ってきたので、栗きんとんを渡して早々に別れ、他校の子達もデートらしいので解散となり、三人になった所で里香ちゃんに文句を言う。


「だって、いやらしい手つきで抱き寄せるんだもん」


「里香ちゃんは、貴女を取られて寂しいのよ、ね」


「別に里香ちゃん達を蔑ろにしているつもりは無いよ。洋服選びに付き合ってもらって助かっているし、時間が合うなら優先して一緒に遊びに行きたいもん」


 宗方君とはクラスが一緒なのもあって毎日会っているし、遠藤さんとも部活で顔を合わせるけど、里香ちゃんだけは部活に一生懸命なので会う機会が少ない。

 なので、里香ちゃんの都合が付く時は優先しているつもりでいた。それを寂しいと言われても困ってしまう。どうすれば良いのかと遠藤さんを見ると、ウインクを返して里香ちゃんに抱きつく。


「水無月さんが気にする事じゃないのよ。里香ちゃんも今の彼女の方が良いんでしょ? だったら、少しくらい寂しくても我慢しなくちゃ」


 時間もある事だしと、三人してカラオケボックスに入る。

 歌も歌ったけれど、どちらかと言えば気兼ねなくおしゃべりがしたかった訳で、どうやらあまり聞かれたくない話もありそうだった。


「水無月さん達って、どこまで進んだの?」


 里香ちゃんが歌っている最中に、『今日のお弁当の中身は?』くらいの気軽さで遠藤さんが聞いてきた。


「抱き付いたり抱きしめられたり? キスはおでこにしてもらったくらいだよ」


「もう四カ月だよね。両親への挨拶だって済んでいるのに?」


 両親への挨拶って言ったって、『お付き合いしているのは、こんな人です』程度のもので、『お嬢さんを僕にください』的なものでは無かった(はず?)。


「あのね。結婚とか婚約の挨拶じゃないんだから、そこは関係ないと思うよ」


「そうなんだ。クラスでは随分とイチャイチャしてるって噂だったから、少し心配してたんだよね。ああ見えても宗方君は強かな性格で、クラスでイチャラブする事で優越感に浸っているんじゃないかって」


 なんかとんでもない誤解が生じている様だけれど、どちらかと言えば私の方が積極的だと思っていて、心配してもらっているのが申し訳ない。

 いつの間にか隣で歌い終わった里香ちゃんも、思い詰めた様な表情でこちらを見ているので、溜め息交じりで里香ちゃんの手に手を重ねる。


「彼は優しくしてくれていて、無理強いなんてされた事なんかないよ。お姉さんに注意されているようで、気遣いも申し訳ないくらいだし。どちらかと言えば彼の方が乙女なところがあるから、むしろ私より貞操観念は有るんじゃないかな」


 だから心配することもないし大丈夫なんだよ、ってちゃんと伝えたかった。


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