こわれたロボットと王女さま~童話編~
※長編とは内容が異なります
僕は高性能のロボットだ。
あちこち壊れているけど、なんだってできる。
今日、森のはずれでかわいい王女さまを拾ったんだ。
もちろん、僕はロボットだから、王女さまのケガを治して家に持って帰ったんだ。
きっと、白馬に乗った王子さまがやって来て、キスをして連れて帰ってくれるからね。
ベットですやすやと寝ている王女さまを見ながら、僕は床に寝転がった。
僕は眠る前には必ずメモリーの中から本を一冊読むことにしてるんだ。
もちろん、今夜読むのはあの本だよ。
僕の頭の中にある本の中でも、けっこうお気に入りなんだ。
でもね、次の日、僕は王女さまに叩き起こされたんだ。
困ったね。
だって、まだ王子さまが来ていないのに勝手に起きられてもね。
王女さまはお付きの人や護衛の騎士を探して来てって言うんだ。
困ったね。
だって、みんな死んじゃってたからね。
僕はロボットだから何とも思わなかったけど、王女さまは人間だからね。
断ったね。
でもね、王女さまは朝ご飯を食べた後、森の中にふらふらと出ていったんだ。
もちろん、僕は王女さまの後をついていったよ。
僕のメモリーに入っている本に、王女さまの護衛をするロボットの話もあるからね。
王女さまは森の中を歩き回って、とうとう僕が王女さまを拾った場所にたどり着いたんだ。
でもね、この森には恐い魔物がいっぱい住んでいるから、着ていたものや武器が転がってるだけだったね。
王女さまは泣き叫んでいたけど、僕はロボットだからね。
王女さまを担ぎ上げて、また家に持って帰ったんだ。
僕は高性能で何でもできるけど、心を持っていないからね。
王女さまの話によると、宰相さんがクーデターを起こして王族はみんな殺されてしまったらしいんだ。
なるほどね。
それで、王女さまに目覚めのキスをする王子さまが来なかったんだね。
せっかく物語のクライマックスをこの目で見られると思ってたのにね。
王女さまはこの森を抜けた先にある隣の国に行きたいらしいんだ。
僕は聞いたね。
隣の国に王子さまがいるかどうかね。
王子さまが三人もいるって聞いて、僕はすぐに王女さまを担いで飛びたったんだ。
もちろん、飛べるよ。
あちこち壊れているけど、僕は高性能のロボットだからね。
隣の国の王子さまはみんなかっこよかったよ。
いつも読んでる物語の中に入り込んだみたいだったね。
僕は王子さまやお城をしっかりとメモリーに焼き付けたね。
もちろん、今夜本を読むときに新しい挿絵として使うためにね。
それから何百冊と本を読んだかな。
また、森のはずれでかわいい王女さまを拾ったんだ。
隣の国の王子さまと一緒に国を取り返そうとして、負けて逃げてきたらしいんだ。
その後すぐに、宰相さんの軍隊がいっぱいやってきたね。
もちろん、魔法で全部追い払ったよ。
僕の読んでいる本の中でも宰相さんはたいてい悪役だからね。
僕はロボットだから、悪い人には容赦しないよ。
王子さまが捕まってるって聞いて、王女さまを担いですぐ飛びたったね。
だって、王子さまと王女さまは末長く仲良く暮らすものだからね。
宰相さんを捕まえて、王子さまを助けて、ようやく王子さまと王女さまのキスを見られたんだ。
僕はふたりの姿をメモリーにしっかりと焼き付けたね。
もちろん、今夜読む本の挿絵と差し替えるためにね。




