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傾世の暗殺者異世界に物申す  作者: 伊賀良太郎
第1章〜魔王暗殺〜
94/107

94悪と主神

最近短くてすみませんm(__)m

――――イテナ視点――――――――


「こんな展開早すぎるのよバカ!」


そうがなる声に振り向いてみればそこに居たのは少女だ。普段なら何の驚異も感じないガキ。

だが今は違う。


「オイ、どうやってこの部屋に入った?」


この空間は俺の魔法が張り巡らせてある。更に直ぐ後ろに立たれて気付かない筈がない。

このガキは普通のガキじゃない。改めて良く観察してみる。

ライムグリーンの髪を2つに束ね、それぞれ両耳の上から垂らす髪型。小生意気そうな吊り目、栄養が足りてないのか欠食児童の様に全体的に肉付きがない。偉そうに口をへの字に曲げて腕を組んでいるのも癪に障る。結論的には何の変鉄もない6、7の少女だ。

だが今の俺には他の調べ方がある。


≪能力開示を発動しました≫


「別に、普通に入ってきただけよ」


≪能力開示に失敗しました≫


観察結果は収穫無し。ステータスからではスキルや能力値どころか、名前すらも伺い知ることは出来ない。勿論こんなことなど初めてだ。単純に考えて魔王より強いことは覚悟しなければならない。この少女に関して自分が可能な最大限警戒する。一瞬たりとも気を逸らさない様に注意を絞る。

その直後、グゥゥウン。という不思議な音がした後扉の前辺りの空間に丸いサークルが現れる。その向こう側の真っ白な空間から1組の男女が円を潜って現れた。


「ユーピル様。我らが護衛致します故先走るなどお止め下さい!」


そう言って、即座にその少女を守る位置に移動する。女が言ったことを信用するならこの2人はこの少女ユーピルの護衛である様だ。成る程な。これで少女の素性は大方割れたな。思い返すは半月程前、この世界へと召喚された時のことだ。

あの時使われたのは俺より精巧かつ強力な時空間魔法。少なくとも俺より強力な術者が居なければ発動し得ない。あの後ヴァインズ内をどれだけ探してもその強力な術者が見付からず疑問に思っていたのだが……。そうか、コイツらか。コイツらが俺をこの世界へと召喚した訳か。


≪能力開示を発動しました≫


――――――――――――


名前 ビル

年齢 測定不能

種族 天使

職業 従神

レベル なし

HP 999999/999999

MP 999999/999999

攻撃9999

防御9999

俊敏9999


スキル

天使戦闘術99、天使護衛術99、


称号

『天使』『破壊兵器』


――――――――――――


――――――――――――


名前 ピキ

年齢 なし

種族 天使

職業 従神

レベル なし

HP 999999/999999

MP 999999/999999

攻撃9999

防御9999

俊敏9999


スキル

天使戦闘術99、天使護衛術99


称号

『天使』『破壊兵器』


――――――――――――


何だこのデタラメな強さは。それに天使?確かに良く見れば神々しさがあるな。その姿は絵画に描かれている様に荘厳で人間味がまるで無いし、あんな血の通って無さそうな顔は見たことない。隣のガキより余程神らしい。


「フンッ、ここは魔人国の最深部。普通に入って来られる様じゃ困るんだがな」


魔王が続々と入ってくる侵入者達を睨み付けながら吐き捨てる。


「アラ、それは失礼。でも私にとっちゃ飛ぶ先が何処であろうとおんなじなのよね。だからアンタのそんなちっぽけなプライドって分からないのよね。許してくれるわよね?」


うっかりしてたわ、とばかりに口許に手をやってわざとらしく驚いた振りをするユーピルに魔王はその端正な顔を思いっきり歪め、口許をヒクヒクさせていた。相当“キて”いるらしい。


「で、その“ちっぽけ”な私の城に何の用だ」


獣の唸り声の様な怒りを押し隠した妙にちっぽけを強調した魔王の台詞にユーピルはフンッと面白く無さそうに鼻を鳴らした。外から見る分にはガキが拗ねている様にしか見えないのだから質が悪い。


「何度も言わせないで、話が早すぎるのよ。折角苦労して他の世界から呼び寄せたのは娯楽を直ぐに終わらせる為じゃない」


ユーピルは他の世界からの辺りで俺をチラッ、っと見たが、どうやら俺を呼んだということだろう。だが1つ分からない言葉がある。


「娯楽?」


娯楽とは何を指すのか。圧倒的に情報量が足りてない。相手が何を求めているのかさえ分からない。


「ええ、そう。私の最近のお気に入りは物語を眺めること。地上で何か面白そうなことが起こってる所を覗き見してやるの。何か文句あるわけ?」


自信満々にない胸をはるユーピルに俺は心の奥でねばつく様な不快感を抱いた。


「そんなことの為に俺をこの世界に呼んだ?」


イラつきを上手く隠しながら淡々とした口調で聞いた俺にユーピル少し驚いた顔をした。


「アラ、正解よ。中々やるじゃない。勇者召喚の儀だなんて笑っちゃうわ。真剣な顔して私の作った適当な呪文を如何にも凄いだろ?って感じのどや顔で読むんだもの!結局魔法を発動させるのも制御するのもこっちなのに!アレは最高に滑稽ね。ほんっと笑える。何度見ても面白いわ」


その光景を幻視しているのだろう。狂った様に笑い転げる見た目6、7歳の少女にどうしようもない程怒りを覚えた。


「そんな理由で俺は金貨400万枚失ったのか」


俺は金貨2000万枚を稼ぐことを目標としていた。内金貨1600万枚までは集めたものの、時空間魔法を改良した異空間倉庫に入っている金貨1200万枚以外の金貨400万枚は元の世界に置いて来てしまった。このガキが面白い物が見たいから、なんていう理由だけで。


「ハッ!何?アンタ、まさかまだ死んだ女の尻を追い掛け回してるわけ?キモッ。ほんっと気色悪いわぁ。そんなのサッサと忘れて他の女でも探せば良いじゃない」


ユーピルは怒りの反応でも待っていたのかチラッ、チラッと何度も此方を振り返る。そして期待通りの反応が返ってこなかったのか素人目には分からないだろう程の一瞬、残念そうな表情を見せた。

だが、残念がる必要はない。俺の怒りはあまり表に出ないだけだ。本人が目の前に居る時には特に。だから安心しろ。しっかりとぶちギレている。コイツ、許さん。確実にこの手でへし折ってやる。待っていろ……リン。


「要点だけ教えろ。お前は何がしたいんだ?」


この少女はどうにも話が脱線しがちで本筋が見えない。無駄口を叩かない様予防線を張ってから問うことにする。


「私が楽しむには2人は熟し切ってないわ。だからここで2人が潰し合うのは時期尚早。だから互いに引いて欲しいのよ」


冗談がキツいな。当然断……。


≪呪いを受けました≫


「ぐぅ!!」


体に上手く力が入らない。思わず床に膝を付いてしまう。何が起こったのか分からず、取り敢えずステータスを開いた。


「まさかその状態で、私に逆らうつもりじゃないわよね?」


――――――――――――


名前 イテナ

年齢 17(27)

種族 ヒューマン

職業 勇者・暗殺者

レベル 1

HP 1/1

MP 1/1

攻撃1

防御1

俊敏1


スキル

隠身427、索敵374、能力開示358、武走127、宵闇1、


称号

『宵闇の勇者』『3級主神の呪い』


――――――――――――


これは……。通りで体が重くなった訳だ。HPだけで言えば通常の53400分の1だな。何とも恐ろしい下がり幅だ。


「私、待つのはキライなの。返事は10秒以内に御願いね?間に合わなかったり、答えが気に食わなかったらこの防音結界破壊して人を呼ぶから」


成る程、この状態でそんなことをされれば命はない。


「答えなど決まりきってるだろう」


本当に聞く意味があるのかすら疑問だ。これ以外の答えなど幾ら探した所でない。


「一応聞くケド?」


「断る。俺の望みを叶えるのは俺だ。それ以外の何者でもない。ガキの指図なんぞ受けて堪るか」


その言葉を聞いた魔王は一等面白いことを聞いたとでも言うように大声を出して笑った。


「ハハハハハ!!その通りだ!」


「そう……」


バキッ!ユーピルが手を触れると、たちどころに防音結界は崩壊した。


「アンタ、不愉快ね」


ユーピルは体を反らす程深く息を吸い、そして叫んだ。


「曲者だぁーーーー!!!!!!!!!!!!曲者が居るぞぉーーーー!!!!!!!!!!」


その声は、その小さな体躯より出たとは思えない程大きな声であり、魔王城全体に響き渡った。


「あぁあぁー、来る来る。蟻みたいにワラワラと……」


城の中にある気配が続々とこの部屋に集まってきているのを感じ取り、半ばうんざりした気分でその蟻の行列さながらの光景から目を離す。


「フンッ、行くわよビル、ピキ」


とユーピルはまるで何処かの魔王の様に鼻を鳴らすと天使が作ったサークルに興味なさげに移動する。


「帰るのか?」


魔王が聞くとユーピルはあっさりと頷いた。


「ええ」


俺もその帰り際のその背中に忘れ形見の怒りをぶつけてやる。


「そうだな、その方が良い。ちっぽけなガキは家に帰って恐怖で震えながら過ごすのがお似合いだ」


ユーピルはこちらを振り返ると不愉快そうに顔を歪めた。


「ビル、ピキ。さっきの命令は取り消し。あの男を殺しておいて」


「畏まりましたユーピル様……」


ユーピルはその言葉を残してサークル内に消えて行き、こうして俺の絶望的戦力差の暗殺は始まった……。


超展開過ぎてワロタ。

後付けサクサク過ぎるだろ作者。

後で苦労しても知らんぞ。

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