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傾世の暗殺者異世界に物申す  作者: 伊賀良太郎
第1章〜魔王暗殺〜
93/107

93悪vs魔王

すみません、ステータスに手間食って短いです

――――イテナ視点――――――――


この城は4つの棟と1つの本丸から成り立って居るようだ。4つの棟は各々1面が城壁になっており、物見の棟も1つずつ所有している。その中央に絢爛と言える城が1つすっぽりと収まっているというのだからその大きさも分かろうと言うものだ。

棟から1つずつ渡り廊下が伸びており、どれかの棟からでなければ入れない様になっているのは関所の様な役割も兼ねているからだろう。

事実城下町の者に棟1つが四天王一人の持ち物だと強引に口を割らせた。四天王はその名に相応しく魔王軍で魔王を除いた五指に入る実力者なのだとか。種族内実力主義を取るという魔王軍らしい。

まぁ、そんな面倒臭そうなのは無視するがな。

当然だ。俺は魔王を暗殺に来ているのだ。わざわざそんな奴等に此方から遊んでやる必要性など皆無だ。俺の依頼には何の関係もない。


俺は今城壁を飛び降り、棟の屋根に静かに降り立った所だ。正面の跳ね橋から来れば棟の中を必ず通らなければならないが、上から侵入した俺には阻む物などない。直で魔王城に行かせて貰おう。

俺は棟の屋根をギリギリまで下がり、助走の距離を作り出す。そうして勢いを付けると一気に駆け出した。

一陣の風の如く棟の上を駆け抜け、バッと空中に飛び出した。ビュオオオ、と強い風がイテナに吹き付け、バタバタとイテナの仕事着をはためかせる。物凄いスピードで近付く中央棟の石壁。互いの距離が近付く中で素早く着地地点を見定めると、衝撃を覚悟してピタッと張り付く。ゴン、という割りと大きな音が響いたが、近くに窓が無かった為に気付かれることはない。

そのまま数センチあるかないかの石と石の隙間に指を掛け、全体重を支えながらコソコソと移動する。ある程度移動し、窓の横に陣取る。窓、と言っても曇ったガラスであり、特に見付かる心配はないかと思われるが念の為だ。音が出ないように4つに区切られた右下の窓枠近く音が出ないよう慎重に錐で小さな穴を開ける。そこから針金を通してクレセント錠を外して侵入する。すると内側からまたクレセント錠を掛け、事実を隠蔽した。

別に力尽くでぶち壊しても良かったのだが、侵入がバレて四天王とやらが集まってきても面倒だ。隠蔽するに越したことはない。

中に入ると外の武骨さとは掛け離れた豪奢な造りをしている。とは言ってもそこそこでしかないが。とても大陸最大の版図を持つ王の城とは思えない程質素だ。豪華さで言えば俺が訪れたヴァインズ王国の王城とどっこいどっこいだろう。国力の差は歴然だろうに見栄を張るつもりはないということか。実力主義の魔王らしいすっぱりとした考え方だ。

敷かれたふかふかの消音には持ってこいな絨毯を踏み締めながらそんな益体もないことを考えると、遠くに2人見張りの居る大きな扉の部屋を見付ける。成る程、ここは最上階近くに位置している。あれは恐らく魔王の居る“当たり”の部屋だろう。

実に運が良い。

自らのツキに感心しながらその部屋を目指す。当然ステルス(スキル名隠身)は発動しているので近寄ろうが2人の見張りは気付きもしない。


「「ぐうっ!」」


2人同時に当て身を食らわせると肩を抱きながら一緒に扉を開く。外に転がっているのを誰かが見付けでもしたら大惨事だろうしな。


「漸く来たか……」


俺が扉を開けた途端、そんな偉そうな声が聞こえてきた。見れば、俺の標的……。つまり魔王フォルダが仁王立ちで俺のことを睨み付けていた……。


「ん?こんな夜遅くだ。てっきりとっくに寝ている物とばかり思っていたのだがな」


俺自身は見えていないのだろうが、扉を開けたことは分かるのだろう。俺はそんなことを言いながら肩に担いだ2人の見張りを部屋内に転がし、結界魔法を使い、この部屋全体を防音にする。流石に魔王の部屋にまで監視網を張っては居ないだろうと思ってやったのだが、どうやら正解だった様だ。


「フンッ、貴様の様な小狡いネズミの考えなど手に取る様に分かる」


尊大に言い放つフォルダ。見破られた、いわば敗者として礼儀正しく尋ねてみる。


「どうやってだ?後学の為に教えてくれると助かるんだが」


聞いてから気付いた。この質問に答えることは自らの手札を晒すということになる。答えることは無いだろう。


「“予感”がした。貴様が来るというな」


案外あっさり教えてくれたな。少々拍子抜けだ。その心は絶対的な自信からか、それともブラフか……。まぁ良い。そんなもの“見れば”分かる。


≪能力開示を発動しました≫


――――――――――――


名前 フォルダ

年齢 238

種族 魔人

職業 魔王

レベル 348

HP 135484/125484

MP 98272/98272

攻撃 8016

防御 4079

俊敏 6739


スキル

植物育成1、飢餓2、悪食2、氷耐性32、剛力262、魔闘打218、痛覚遮断160、光耐性22、土耐性2、水耐性4、風耐性28、炎耐性42、雷耐性2、炎魔法102、土魔法24、魔力変換62、忠誠48、ドミネーター180、危険予知140、毒耐性12、身代わり142、……etc


称号

『忠実』『戦士』『闘士』『守護者』『憤怒』『支配の魔王』『慈愛』『仁君』『虚飾』


――――――――――――


成る程、確かにスキルの欄に危険予知があるな。これで予知した訳か。今後はこの様な直感系スキルにも気を配って潜入しなければならないのか……。頭が痛いな。

俺のステータスは召喚された時からそれ程変わって居ない。別にわざわざ映す必要もないだろう。

そのステータスから単純に考えても2倍以上の地力の開きがあるな。逆にスキルのレベルや技量的には俺の方が上だろう。短期決戦や手管に落とし込むのが吉だな。


「予感か……。成る程、参考にしよう」


話ながら戦闘の準備を始める。潜入用に外気温と完全に一致させていた体温を常温にまで上げ、何時でも最高のパフォーマンスを引き出せる様に身体のエンジンを掛ける。辺りの空気が少々ピリつき始めた。

フォルダはそんな空気を気にする事なく不遜な態度で堂々と言い放った。


「参考にする必要はない。どうせ貴様は私によって命を終えるのだから。たった今、此処でな」


殺気……。いや、ただの圧力か。それだけで体がビリビリ来るぞ。これが魔王の圧か……。其処らの魔物なら消し飛ばせそうだ。


「ホゥ、それは恐いな。だが、殺すつもりならどうして人を呼ばなかった?事前に知っていたんだろう?呼ぶチャンスなら幾らでも有った筈だ。現に今俺が結界を張る前にも大声で叫べただろう」


ワザワザ王が前線で戦う必要などない。単に部下に倒させれば良い。全体にとって悪でしかない。見たところ頭はそこまで悪くなさそうだ。そんな最低限のことは理解出来るだろう。


「キサマ、王たるこの私に無様に無能共に助けを求めろとでも言うつもりか?ふざけるな。貴様如き雑魚、殺すのに私1人居ればそれで事足りる」


本気で心外だ、とばかりに鼻で荒く1つ息を吐いた。その態度には少々笑ってしまう。


「フフッ、面白い。下手な酒場のバカ話よりも笑わせてくれるじゃないか。だが、ジョークにしては少し空虚に響きすぎているな。もう少し現実的なジョークの方が好ましいぞ」


クックッと口を抑えて静かな笑い声をあげれば、フォルダはその眉根のシワを更に深め、腹の底から出したような爆発寸前の声を上げる。


「ジョークだと?笑わすな。私は冗談が嫌いだ。貴様相手に楽しく談笑してやる義理もない」


成る程、本人はどうやってもシラを切るつもりか。これは質が悪い。どの道死ぬのだから早く素直になれば良いものを。


「その冗談は笑えないな。笑えない。実に不愉快だ。まさか本気で言っている訳でもあるまい?」


多少イラつきながらフォルダに向かってそう聞けば、彼は何を当たり前のことを聞くんだとばかりに首を傾げた。


「本気に決まっているだろう。逆にどう聞いたら冗談に聞こえるんだ。頭がおかしいのか?」


そのある意味純粋な顔に、俺は思わず溜め息を吐いた。


「はぁ……。お前は俺と似たタイプだと思って居たのだがな……」


どうやら思い違いだったらしい。俺はここまで無様な冗談は付かない。


「キサマと似ているなど此方から願い下げだ」


本気で嫌そうな苦虫を噛み潰した様な顔でそう吐き捨てるフォルダ。イテナは彼のその言葉にのみ漸く真の感情を認めることが出来た。

とんだウソつき魔王だな。そう思い、俺もまたフォルダと似た様な顔になった。


「そうか、ならその言葉が本当かどうか実際に試してみると良い。どうせそれが不可能だということが直ぐに分かる」


チャキリと小刀の口火を切り、此れから始まる戦闘に備える。本当は暗殺者たる俺にとって戦闘など不得手なことなのだが、こうなってしまっては仕方がない。ここまで来て避けるのは不可能だろう。


「ほざけ。別に私に挑んでも良いが、何も知らんお前には悪いが“勇者”という名前には虫酸が走る。私の前でその名前を名乗るからには一切手加減など出来んから命は早々に諦める様にな」


「フッ、面白い」


フォルダも彼の武器である拳を固め、両者臨戦態勢が整った。2人が同時に飛び掛かるまで後数瞬。


「ちょっとちょっとちょっとちょっと!何勝手に盛り上がってるの!?こんな展開早すぎるのよバカ!」


そんな緊迫した空気の中、のんきな闖入者が現れたのだった……。


魔人の種族表記をダークヒューマンから魔人に直しました。

いや、深夜テンションだったんです。

設定的に魔人って肌が浅黒いから丁度良いかなって

今猛烈に後悔してます。クソだせぇ。

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