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傾世の暗殺者異世界に物申す  作者: 伊賀良太郎
第1章〜魔王暗殺〜
8/107

08 逆鱗

遅れてすいません!

今回書くのが凄い難しくて

※人が死にます

苦手な人はご遠慮ください


――――???? 視点――――――――


雄大で歴史あると言えば聞こえはいいが小汚ない王宮を眺めつつ報告するためにメッセージを使う。


『現着した。報告を聞こう』


詳しくは知らない。事前にメッセージの登録に会ったきりの男の声。


この男も使い走りに近い立場なのだろうがあまり詮索する気はない。


覗き屋に仕事はないし、知らない事が命を救う事もある。


「はい。勇者三人の性格については夢を通して得た情報を今送った限りですが、恐らくその内の一人シジマユウトについては気づかれつつあると思われます。」


『何だと?お前ら夢魔がか!?』


驚いた声。恐らく前情報を調べていたのだろう。

周到な話だ。確かに相棒のドリームキャッチが気づかれるなんて相当だ。


俺も少なからず驚いている。あいつの話では本来あり得ないはずの向こう側から攻撃を受けたそうだ。


これはかなり異常だ。あいつは領域型。対処するには夢に引きずり込まれる前しかない。しかし、裏を返せば領域内では神に等しい。その支配下で攻撃を受けたのだ。例えるならこの世界にいながら神に逆らうようなあり得ない事だ。


幸い攻撃が微弱だったため封じ込めて記憶を消したが少し不味かったかも知れない。


だが所詮は夢魔は一つの戦い方に過ぎない。忍び込んでステータスを見てみたが一般人に毛がはえた程度だ。


俺の直接戦闘でも十分始末できるし、暗殺なら尚更そうだ。


「はい、故に予定を早めイテナに睡眠誘導から侵食を行います」


何日かかけて情報収集をしようかと思っていたが不確定情報が出てきたために計画の前倒しだ。情報が不確定の場所に長い時間とどまるのは危険が高い。


『了解した。ではそれの報告が終わり次第契約終了とする』


声が終わって魔力の繋がりが切れる。


「報告終わった?」


瞬間聞こえてきた声に眉をしかめる。のんびりとした性格と口調はいつもの事だが場所柄と状況を少しは考えて欲しい。


今から王宮の上空に侵入する。

こいつの射程範囲は200メートル。どうしても王宮に侵入しないわけにはいかないのだ。どうせ侵入するのなら上空の方が見つかりにくいだろうという判断だ。


それだというのにこいつの態度はなんだ。まるでピクニックに行くような気楽な態度。


「おい、これから王宮いくんだぞ」


「そうだけど?」


えっ、知らなかったの?とでも言うような腑抜けた顔がさらに怒りを煽る。


「お前、死んでも知らんぞ」


この仕事は僅かなミスがすぐさま死を招く。

理不尽なくらいルールに厳格にやらなければ命はない。

小心者が生き、強者や勇者が死ぬ世界だ。


俺が言った後キョトンとしたような顔をしながら……。


「だってリュートが守ってくれるんでしょ?

それなら誰が来ようと問題ないよ」


確かに俺たちはそういうパーティーだ。


夢魔の一点特化型のレミそしてその警護の俺。


ドリームキャッチャーというスキルは弱い。確かに確実に睡眠状態するというのは凄いスキルだ。戦闘時を考えればそれがよく分かるだろう。


ただし、それを遥かに上回るデメリットが存在する。


それがスキルの使用中は完全に無防備になるということ。


さらにどんなにスキルを強くしようが眠らせるだけである。敵を殺す事はできない。


レミならドリームキャッチャーの能力で相手の記憶を覗き見たり、それを保存したり、夢に介入したり、夢遊病として多少操ったりはできるだろうが基本は夢だ。


夢の中で殺しても起きた後の気分が悪くなる程度の効果しかない。


夢魔のスキルは勝つためのスキルではない。確実に相討ちするためのスキルなのだ。


そして俺も同じく支援型だ。


穏身や迷彩や気配察知は60を越えS級すら凌駕するだろうしマスサイレント等の支援魔法も使える。


その代わり戦闘能力は頭打ちだ。


スキルなしの近接戦闘ならB級冒険者にすら劣るレベルでしかない。


市街地で準備の時間がたっぷりあるならA級冒険者にも勝てるかも知れないがどうだろう?ちょっと自信がない。


つまり俺たちは一人一人ならB級が二人もいれば勝ち目がない。だけど二人でなら恐らくS級だって仕留められる。


「俺がいても死ぬことはあるさ」


むしろレミの能力がかかってない状態で来られたらほぼアウトだ。


レミの一定範囲以内なら敵のみに眠気でパフォーマンスを下げるものが有るがそんなもの焼け石に水だしそもそもレミの近くで戦ってるだけで最早負けに近い。


「あり得ないよ。私リュートより強い人知らないもの」


俺はいっぱい知ってるな。


「俺は命懸けで守るが、それが確実かは分からない。どうしようもない事だってある。そんなことが起こらないよう気をつけてくれ」


俺たちは二人で完璧だ。だがいつでも二人でいられる訳じゃない。敵がその時を狙って来るかも知れないしな。



「やめて!!」



……大きな声だった。いつもののんびりとした口調とは全く違う。恐らく知らずに聞いたら別人だと思っただろう。それほどまでに鋭く尖った声だった。



「だけどもし俺が居なくなったら」


「やめて!やめて!やめて!!」


いやいやをするように耳を塞ぎながらうずくまって首を振るレミはとても裏社会の人間には見えなかった……。そのあどけなさの残る顔もあいまって、なにも知らなければ泣きじゃくる少女のように見えただろう。



「どうして!?どうしてそんなこと言うの!?

わたしがきらいになったの!?リュートはサイキョーなんだよ!?強いんだよ!?

だれにもまけないし、ずっとずっとわたしのとなりにいるの!!それがリュートなの!!」



いつかは俺がレミに届かなくなる。

既にガタは来てる。攻撃力が無いせいで折角状態異常にしても仕留めるまで時間がかかる。


隠蔽のお陰で先伸ばしになっちゃいるが、俺じゃレミを守れない。いつかレミは俺に合わせなきゃならなくなる。そしていつか、袂を別つことになる……。


でも……。


「分かった。善処はする」


そのいつかはもう少し先でいて欲しかった……。



――――イテナ 視点――――――――



ん?眠気が……。


分身だから睡眠は出来ないはずだが……。


ああ、そういや昨日からチョロチョロ来てたな。


特に気にしてなかったがこの眠気はそいつらのせいか?


いいだろう。俺に喧嘩売るとはいい度胸だ。あぶり出すために誘いにのってやろう。まぁどういう形にせよのってくるだろうからな。


俺の部屋は確かこっちだったな……。


廊下を右に曲がり豪華な部屋に入り自然を装いながら床に入る。


そしてぐっすり寝る。


基本的に確実に寝たと判断しなければ次の行動に移さないだろう。石橋を叩き壊すくらいの慎重さがなければ裏社会はやっていけない。


大体からして寝込みを襲われても余裕で対処できる。これは自信とか余裕とかそんなあまっちょろいものではない。厳然たる事実だ。



さて、どんな罠かな?


少しの期待と共に俺は眠りについた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


テラスに続く窓が開いている……。

さらに室内のすばらしい調度品が自らの主人を貴族だと訴えかけてくる。


ここは王宮ではない。

バルスス伯爵家別邸。しかも11年前そのものだ。

……懐かしい。


確か俺は依頼で何かを盗んでこようとしたんだったかな。


その当時確かバルスス邸が一番防衛意識が高く侵入不可能とまで言われていた。


だからこそ依頼を受けたんだったな。


いやはや、今考えると恥ずかしい限りだ。



そしてここが……。



「そちらにいらっしゃるのはどちら様でしょうか?……」



リン=バルススとの出会いの場所だ。



……だが、本当に不快だな。

人の記憶をほじくりかえしやがって……。



「本体ならナイトワールドで全部塗り潰してやりたいが…。

分身だからな、魔力の塊である俺の体を犠牲にすれば放てない事もないが……リンを塗り潰す訳にもいかんか……」



ったく、忌々しい。



「勝手に人の惚れた女の似姿使ってんじゃねぇよ!《コントロールスナッチ》!」


魔力で世界に侵入していきこの世界の支配者の魔力構成に同化させていく。


そしてその同化させた魔力で支配の実権を握っていきこの世界に対応する魔力が俺の魔力構成になるように世界自体を改変させていく。


反則に近いが効果的な方法だ。


俺の魔力に対応して世界をつくる方に集中できなかったのか、世界は崩れていく。


崩れるというよりは塗った色が剥げ落ちていくというのが近いだろうか。


白色が所々見えるくらいだったのが、その白が急速に広がっていき、全てをのみ込んでいく……。


豪華な家具も窓も空も床も全部。



そして……リンも。



いくら記憶による偽者だろうがリンはリンだ。


いなくなっていくリンをだまって見ているだけなのは、やはりつらい。


リンの最後の一欠片に手を伸ばすがあえなく徒労に終わる。


あの時も……。


自らの無力を再確認させられた俺はさっさとここを出ることにする。




―――もう少しだ、リン。




俺が居なくなったせいで誰もいないただ白いだけの世界にはその独白を聞く者はいなくなってしまった……。



――――リュート 視点――――――――



来た。



いつもとは違う、やたらと汗をかいたレミを看病してる時に俺は思った。



これは死ぬ。



何がかは分からない。だがその危険度を気配の大きさが教えてくれるが、そんなもの鳥肌と今だ逃げろ!と大警鐘をならす内臓レーダーで十分だ。


恐らくタイミング的にイテナとか言う奴だろう。



うそだ……こんなプレッシャー、ばけもんじゃないか!



頭は理解出来ても心が拒否する。



なんでだ!人間がここまで強くなれるはずがない!うそだ!

おかしい!こんなの…こんなの嫌だ!


もし、イテナだとしたら、ここにいたら二人とも殺される!


本来なら隠蔽も済ませてあるためここに隠れているのが最善だろうが、こんな奴に俺の隠蔽が通じる訳がない!



逃げられないレミは後で殺されるだろうと判断して飛び下りる。


100メートルくらいあるが後ろから確実な死が迫って来てるのに、死ぬかもしれないに怯えるなんてことがあるわけがない。



躊躇0で飛び下り、フライで減速をさせつつ落下する。


下から足場を見上げれば迷彩でしっかり見えなくなっている。


隠蔽もかけてあるため看破と審眼を両方高レベルでとってなきゃ見破れない物だ。


それでもあの怪物を知った後では、あんなもの紙も同然だ。



死ぬなよレミ!



無茶な願いと知りながら願うことは止められそうにない。


ドガァァン!


ぐあぁ!


石畳を破壊し、叩きつけられる。


痛さで涙が出るが無理矢理黙らせて状態を確認する。


ギリギリ腕の骨が折れるだけですんだが、恐らく頭に当たってれば死は免れなかっただろう。


「とりあえず距離取らないと……」


距離はとればとるだけレミが生きる時間が少しでも長くなる。


「誰からかな?」


……!


その瞬間喉が砂漠と化した。喉を潤そうと出もしない唾を必死で飲み込もうとするが、喉を軽く鳴らすだけに終わる……。



速すぎる!



追い付かれるのは分かっていた。


だがすぐ後ろにいる死がこんなに速いとは聞いてない!


後ろを振り向こうと回したその首を死は逃さずとらえ、枯れ枝でも持つかのように簡単に持ち上げる。


足が地面に付くかどうかというスレスレの所で首を絞められる。


「ぐっ……!」


死は今注意を完全に向けている。


チャンスだ!


首を絞められて力が抜けた振りをして空にある足場を解除する。


「時間をやる。今から俺にしたことを後悔しろ」


俺は斜めに飛んでレミはそのまま落ちたため遥か後方に落ちていく。


当然フライと防御上昇のバフで損傷を最小限に押さえる。それでも骨ぐらい折れているだろうが、死にはしないはずだ。


そして落ちた場所を隠蔽と認識阻害で隠す。


そしてもし生き残った場合にメッセージの魔法で伝言を残す。


頼む、これでどうか見つからないでくれ……!


「たっぷりと後悔したか?」


ああ、お前を敵に回すんじゃなかったよ。


「じゃあその後悔を土産にリンに謝りに行け!」


バキリ!



俺の意識は俺の世界の終わる音とともに闇にのまれていった……。



――――イテナ 視点――――――――



チッ、手に血が付いた。

もう一人の女の方も……いや、この男が死をかえりみず生かしたんだ。殺すのも不粋か……。


さて、この男の死体はスラム街にでも置いておくか。


王都の外に置いてもいいが、そうすると王都の近くで死ぬのはおかしいだろうし、遠くまで行くのも面倒だ。


女が目覚めるのは後数時間後だろう。冷えないと良いが。



今日の星は綺麗だな。手が届きそうだ。



死は尾を引きながらスラム街へ歩いて行った。




ニュースです

29才男性 無職の自称作家が殺人罪で逮捕されました


男は当時31才のリュートさんを故意に殺害した疑いが強いとの事です


警察によると男はリア充に腹が立った自分の作品で殺すのは犯罪ではないと思った


等と意味不明な供述をしているとのことです



被害者の友人に話を聞いて来ました



レミさん



うそよ!なんでリュートが死ななきゃならないの!?

ねぇ、なんで!?

メッセージもなによ!

約束守れなくてごめん

速く俺の代わりをみつけてくれ

って

そんなの要らないわよ!!リュートを返して!!

こんなことなら早く大好きって言っちゃえば良かった

ねぇ、返してよ!

リュートを返してよ!!




彼女の叫びに胸が痛みますね

本当になんで殺人っていうのはなくならないんでしょうかね?藤川さん


本当に犯人は許せません私たち人間を何だと思ってるんでしょうか


さて、続いてはお天気です

西野さんお願いします

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