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傾世の暗殺者異世界に物申す  作者: 伊賀良太郎
第1章〜魔王暗殺〜
79/107

79吼えるが良い。吼えた所で届きはしない

すみませんm(__)m

すみませんm(__)m

すみませんm(__)m

最近忙しいんです。

――――正也視点――――――――


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」


初っぱなで悪いけど、滅茶苦茶ピンチだ。

いや、だってモブ強いねん。しゃあないねん。

エセな関西弁使って悪いけど、元々勝ち目がゼロなんだよ。こっち能力半分でタイマン勝負すら危ういのに2対1とか何の鬼畜ゲーだよ。

軽く現状説明しとこう。俺が優人の悪口にぶちギレした後の話だ。

うん、ボッコボコのリンチだった。

あの当たっても1しか食らわないナイフのお陰で死にはしてない。

滅茶苦茶痛いけどね。多分拷問用って言う位だから幻痛とか痛みを倍増させるみたいな効果もあるんだろう。大声で泣き叫ぶ位に痛い。1つ1つの刺し傷はどうってことないんだけど痛みが引かないどころかずっと新鮮な痛みが続く。それが幾つも幾つも新たに足されてく訳だからくっそ痛い。


「死ねや!」


ザクッ!


「ァァァアアァァァアアア!!!!!!!!!!!!」


俺は叫んで今刺された肩を抑えると痛みにのたうち回る。

今刺されたので12回目、後9回刺されれば俺は死ぬ。

正直死より先に痛みで心折れそう。あ、イカン。患部を動かしたせいで熱持って来やがった。嘘だろ、まだ痛くなんのか……。

これ俺が21しか体力が無かったから良かったもののもし何百と有ったら廃人コース確定だぞ。

能力半分が体力と魔力にまで及ばなくて良かったぁ。及んでたら俺もう死んでるわ。命軽ッ!


「さっきまでの威勢はどうしたよオラ!」


あ、蹴るのは止めて!

モブ山が足を上げたので慌てて横に転がって回避する。

ぐふぅ。さっき刺された所に力入れたせいで痛みがまた強くなった。お前の蹴り食らったら死ぬわ!今HP9とか関係無しに即死するわ!是非そのナイフで手加減して下さい。


≪痛覚遮断を入手しました≫


お馴染みの天の声と共に新しいスキルが増えたのか、痛みが少し和らいだ。多分スキルレベルは1だからそこまででも無いが。

お、立てる。


「イテテテテ……」


新しく刺された肩を抑えながら立ち上がると、モブ二人は苛立たし気に俺を見た。


「何立ってんだよ気持ち悪ぃ。もう相当痛い筈だぞ。鼻垂れジョージなら気を失ってるぞ。そのまま死んどけ」


モブ山は俺が立つのが気持ち悪いらしい。そりゃ俺もこのスキルがなけりゃ痛くて立てなかった。それに立った方がお前の顔面殴れそうだしな。


「そりゃ死ぬまで足掻くさ。だって死にたくねぇじゃん?」


投了すりゃそこで負け確。負けを認めなきゃいくら詰みでもやり様はある。盤面引っくり返すとかな。


「じゃあ死ねよ!!」


そう言ってモブ山が繰り出したのは拳。俺からすりゃ間違いなく必殺パンチだ。


「ッッ!」


コイツさっきっから思ってたけど彼我の力関係分かってねぇな!?パンチ位で俺が死ぬ訳ねぇと思ってやがる!じゃなきゃわざわざギルドのペナルティを受けに行く筈ねぇしな。

不味い!!速い!!

今の半分の能力じゃ当たって即死……。


ブオン!


俺の予見と裏腹に俺の体は“普通”に動き、モブ山の拳は空を切った。

!?避けれた!何で?

一瞬混乱するも何はさておきチャンスだということを思い出す。

今モブ山は力の籠ってないテレフォンパンチをしたお陰でガードなしのがら空きだ。そこを避けた動きのまま顔に……。


パァン!


「イッタ!」


モブ山の左頬に渾身の右ストレートをぶち込んだ所で“俺が”痛みに呻く。

固ぇな畜生!皮膚の下に鋼鉄でも仕込んでんのかよ!

相手のステータスを見てもダメージは1たりとも減って無い。俺のチンケな攻撃力じゃあモブ山の防御の壁は抜けなかった様だ。

ダメージが入って無いんじゃ殴った内に入らないな。このままおめおめやられたんじゃ優人に顔向け出来ねぇ。

せめて1ダメージ。それで優人に暴言吐いたことの報いにする。本当ならぶっ殺してやりたいんだが、どうも力不足だ。それでどうにか勘弁して貰いたい。


「なっ!」


モブ山にダメージ自体は無かったものの、自分が遥か格下の俺に殴られたことに驚いたようだ。ざまぁみろ。なんならもっぺん殴ってアム○ごっこでもしてやろうかぁ!?


「殺す!」「おい待て!」


モブ山が顔に先程まで無かった殺気を浮かべモブ川がそれに気付いたのか止めようと肩を掴む。


「離せ!」


それをモブ山は手で振り払うとナイフを握り締め、俺に向かって飛び掛かって来た。

そして俺にマウントホジションを取ってナイフを振り上げる。


ザクッ!


「雑魚がぁ!!」


ザクッ!


「俺にぃ!!」


ザクッ!


「何をぉ!!」


ザクッ!


「しやがったぁ!!」


ザクッ!


死へのカウントダウンの恐怖が俺を襲う。もう、痛みすら恐怖が凌駕して感じない。死から目を背けようと横を見れば大量の血がダラリと石畳の上を水溜まりのように広がっていく。

うわぁ……。これ俺の血か?

全身から冷や汗が吹き出て生き残る為に必死で生きる道を探す。

そして分かる。

俺は死ぬ。

優人を罵った奴を殴ることなくあっさりと。

もう生き残る道はないと俺の意思が告げ、死にたくないと体が暴れまわる。

当然、マウントが揺らぐことなくガッチリと固められている。

今までも死ぬかも知れないと思ったことはあった。この世界に来てからは特にそうだ。むしろ常に一歩道を踏み外せば死がそこにあった。

だが、そのどれよりも今は濃い死の気配が隣にある。

これ以外は全て余裕があった。生き残る可能性がどれだけ薄かろうと有った。今は、死しかない。

こんな時、もし俺が主人公(優人)だったらこんなモブ二人なんか軽く殺せるスキルが芽生えるだろう。それがどれだけご都合主義と言われようが主人公補正という物だ。

だが、俺はこの二人と同じモブ。死ぬことで場を盛り上げる役割すら与えられずひっそりとこんな路地で死に絶える。

嫌だッ!!

死にたくない!!

優人の行く末を見るまでは!死ねない!!

そう決めたんだ!!


だが、俺のそんな思いとは裏腹に振り下ろされるナイフ。その黒い刀身は死に限り無く似ていて……。


「正也!!」


俺の名を呼ぶ声と同時に目の前を俺の剣と良く似た一本の剣が横切る。

モブ山はそれを避けようとマウントホジションから離れ、一歩遅かったのかそのナイフが俺にかする。

残りは3。

やっぱすげぇな……優人。


モブ山が退いて、開けた視界に映ったのは、見るまでもなくもう一人の黒髪の青年だった。


「大丈夫か!?」


ギリギリの所で仲間のピンチを救う、か。

主人公は間違いなくお前だよ。

この場面はメタ的に考えりゃちょっかい出してきた先輩冒険者を倒してめでたしめでたし、ってテンプレな展開かな?もう優人に任せとけば万事上手く行くだろう。

どれだけ力の差があろうがご都合主義って奴で飛び越えて必ず勝ってくれるだろう。


優人は俺の血だらけの姿を見ると、殺気が周囲に撒き散らされ、その憤怒に彩ろられた端整な顔を見れば殺意が漲っているのが分かる。


「お前らッッ!!」


人の声とも思えない、まるで獣の唸り声のような地の底から噴き出す声が何処からか聞こえる。全く関係ない俺でさえビビるような声だ。


「ツッ、優人……」


俺が痛みに耐えながら優人の名を呼ぶと、優人はそれまでの鬼の様な形相を浮かべて居たのが嘘の様に心配気な表情に取って代わる。


「正也!!大丈夫か!?」


意識が有ったことに驚いたのか。優人は振り返ると俺の傷を見て抱き起こしても良いものか悩み右往左往している。結果抱き起こすことにした様で慎重に傷に触れないように俺を起こした。


「優人……」


ここで言うべきことは何だろうか。いや、聞くまでもなく答えは知っている。それは「後は任せた」の一言だ。次点で謝罪だろうか。「悪い、優人……。お前の悪口言った奴をぶん殴ってやろうと思ったんだけど……。弱くて……。ごめんな?」と、こんな所だろう。

もう既に、主人公の見せ場の場面に入っている。モブである俺の出ていって良い領分じゃない。

それは運命という奴で、俺という凡人には手に余る物でも優人という天才には持つことが出来る。出来てしまう。とうの昔に分かって、仕方がないと諦めたこの当然の違いが、今ささくれ立って心に刺さる。俺は逆立ちしてもこのモブには敵わない。だから出来る奴に任せた方が良い。

その方が当然で、それは正しい。


「優人……。そこ邪魔だ」


だが俺が選んだのはそのどちらでもない、ただの拒否だ。

そっちの方が正しいのは分かってる。今間違ってるのは分かってる。

だが、これは……。俺の意地の問題だ。

かつて優人に砕かれ残ったプライドの一欠片が、俺にその正しさを否定させる。その悪魔の囁きの様な提案を受ければ、俺が俺で無くなる気がする。


俺は優人から離れて立ち上がる。恐怖による鎮痛剤が切れたせいか一瞬ごとに痛みがジクジクと増して行く。痛くて痛くて気絶しそうだ。全身が焼かれてるような熱と、痺れる様な各患部の痛み、骨が軋むような不快感。まるでこの世の全てが俺を押し止めようとしてるかの様だった。

一歩踏み出す毎に広がる血の池に、心配した優人が俺の肩を掴む。


「退け」


肩に痛みを覚えつつ手で振り払う。思った以上に加減が出来ず、優人を強く押し返してしまった。


「力が増してる?何で……」


優人は小さく何事か呟くと、それきり俺の邪魔することはなかった。その代わり、何時でも俺の助けに入れるように戦闘体勢は維持したままだ。


「死ぬ間際って全能感でも覚えるのかな?今なら何でも出来そうだ」


肩が動くか具合を確かめながらポツリと言う。それを耳聡く聞き付けたモブ山がナイフを握り締めた。


「じゃあやってみろよ雑魚がぁ!!」


モブ山はナイフを振りかざし、そのまま振り下ろす。怒りに支配されているせいか、動きは単調で読みやすい。


ブオン!

ギシリ。


ナイフが空を切る音と、体が軋む音が同時にする。良かった。見えない速度じゃない。体の痛みを無視すれば避けられる。

多分火事場の馬鹿力と言う奴だ。体力全快の時でも避けることは出来なかっただろうから。


「シネ、シネ、シネ、死ね!!」


死ねの一言と共に繰り出される無数のナイフ。何とかかすらせずに済んでいるけれど、体の軋む音が段々大きくなっている気がする。ずっとこのままナイフを避け続ける訳には行かないだろう。

いずれ当たる。それまでに何とかしないといけない。

良し、決めた。

俺はさっき刺されてどくどくと血が流れる傷口を弄る。


「ウゥッ!!」


電流が走ったかのようなとんでもない激痛が走り、俺の動きが一瞬止まる。

そこを逃す様な敵じゃない。直ぐ様その隙につけ込んで俺の左胸に深くナイフが差し込まれた。


「グウゥ!!」


痛みに耐えながら先程傷口を弄った手を敵に向かって振る。手を洗った後、水滴を飛ばす様に。

そこには当然傷口に付着していた俺の血液が。

敵は自分の顔に向けて飛んで来た水滴に、咄嗟に本能として顔を守る様に腕で庇おうとする。

そしてナイフは俺の胸に置き去りにされたままだ。顔を守る際に敵の動かした腕がナイフの柄に当たった様で深くぐりっ、と肋骨に添って少し胸が切り開かれる。


「ァァァアアァァァアア!!」


滅茶苦茶痛いが、むしろ好都合だ。そのまま柄を掴んでナイフの回りの肉と血は無視してそのまま強引に抜き放つ。


ゴリゴリゴリゴリ。


骨を削ぐような音と共に今までとは比べ物にならない様な激痛が走る。

それを努めて無視しながら抜いたナイフを敵に向かって振り抜く。

狙うは顔。

ぶん殴るとは違うけど、それでも幾分気は晴れるだろう。


「ァァァアアァァァアアア!!」


そのまま突き入れようとして、それは顔には届かなかった。

それは手。

顔を庇おうと動かした腕にナイフは突き入れられたのだ。


ダメージはたったの1。

題して肉を切らせて肉を断つ作戦だ。正直この作戦のネックはモブ山がナイフを手放すか、って所にあった。レベル1の俺の攻撃じゃモブ山にダメージ入んないし、攻撃可能な手段が皆無だった訳だ。そこに降って湧いたのが(実際はモブ山が持ってた訳だけど)あの拷問用ナイフである。

あのナイフはどんなに傷が深くても、どんなに持ち主の攻撃が高くても、どんなに相手の防御が低くても1ダメージしか入らない。事実俺がそうだった。その話をモブ山から聞いた時思ったんだ。

じゃあ逆はどうなんだろう、って。

どんなに相手の防御が高くても、どんなに傷が浅くても、どんなに持ち主の攻撃が低くても1ダメージは入るのか。

可能性は低いと思った。システムの隙を縫うような、それこそバグや屁理屈に近い考えだ。

だけど俺の攻撃じゃダメージは入らないと知った時、俺が奴にダメージを与えられる可能性はそれだけだった。

だって可能性は低いということはゼロでは無いということだから。そこに賭ける価値はある。

そして俺はその賭けに勝った。モブ山にはちゃんと1ダメージが入ってる。ざまぁみろバーカ!優人の悪口言った報いだ。


「はー、スッキリした。と思ったら何か急に痛みが……」


アドレナリンが切れたのか体のあちこち、特に深く刺された左胸が痛む。禿げるんじゃないかってレベルで。


「んのやろォ〜!!」


俺がすっかり終わった様な顔で居るのが気に入らなかったのか、モブ山が殺気を撒き散らす。あわや第二ラウンドか、という所でモブ川がモブ山を羽交い締めにする。


「離せ!」

「いや、今は抑えろ!アイツはHPが2だ!ちょっと小突いたら死んじまうし隣にはあの変な道具使いがいる!」

「知るか!んな卑怯者もあの小僧も纏めて殺してやる!」


モブ川はそのまま暴れまわるモブ山を引き摺りながらこの場から離れようとする。だがそうは問屋が卸す物か。

慌てて追撃しようとする俺を今度は優人が羽交い締めにする。


「離せ!」

「はい、どうどう」

「あんにゃろまた優人悪口言いやがった!今度は口縫い合わせて喋れなくしてやる!」

「その為に……」


俺の思いが通じたのか羽交い締めから解放された俺は二人を追おうと歩き出す。本当は走りたいんだが、この痛みじゃあこの速度が精一杯だ。


「はぁ……、≪身代わり≫発動」


後ろで優人が何事か呟いたのが聞こえたが、今はそれどころの話じゃない。さっさとあの二人に追い付いて鉄拳制裁を……。


ガコン!


頭に強烈な衝撃が走り、堪らず前のめりに卒倒する。感触と後ろの剣を掲げた格好の優人の姿から察するに剣でぶん殴られた様だ。


「この程度も避けられない様な奴がどうするって言うんだよ。寝ろ」


遠退く意識の中確認できたのはそんな優人の言と俺の残りHPが1だったということ。死にそうな奴に笑顔で追撃とか……。やっぱ優人ドSだわ……。

そんなことを思いながら俺の意識は闇にのまれて行った……。

最近後輩に

先輩って中二病でしょ

と言われ


作中の台詞を

「名を呼ばれたるは剣鬼、踊り出でたるは鬼の舞、御代は手前ぇの命だ。化けて出るんじゃねぇぞ?」

「ウロボロスって知ってるか?互いの尻尾を噛み合う2匹の龍だ。閉ざされた円環クローズドサークルとも呼ばれこの世の全てを表す。俺が双龍(俺達)だ。相棒が破壊し、俺が創造する。そうして世界は完結するんだ。魅せてやるよ。創造能力の極致って奴をな!」


などと考えてるのであながち否定できない。


設定ノートは持ってない!(オイ)

だからセーフ⊂(・∀・)⊃


黒に限り無く近くてもグレーはグレー。

推定無罪の考えを適応して白だ。

良いね?

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