69これがげーむ脳って奴か……1
よし、今度は間に合った……。
――――正也視点――――――――
宿屋を出た後俺達はギルド会館に向かった。
途中で俺達勇者組とハッシュさんとイグマさん以外が怒られたくないから、とそれぞれに離脱していった。
怒られる役を押し付けられた二人の反応は慣れたことだと苦笑するイグマさんとひたすらにどんよりしているハッシュさんとに別れた。
華麗に押し付けられていくハッシュさんの図は常用されているのか名人芸の気配さえする。
こうしていじめは発生していくんだろうな、とひしひしと感じた。
石畳の道路をしばらく歩くと他の建物より数倍大きい建物が見えてきた。
会館は商業施設の周りに建てられているようで周りは武器屋や質屋等が多い。
緑を基調とした教会のように権威さえ感じさせる建物だ。
どうやらこれがギルド会館本部だという。
この街に来たのは2年程前だという話なのによくもまぁこれだけ大きい建物を建てられたものだ。
木製の扉を開けて中に入ってみると中は外とは違って案外俗物的な感じがした。
というのも広いロビーのようなエントランスに幾つか机が設けてあり、そこで十数人の男達が一杯引っ掛けているからだ。
中には完全に出来上がっている者も、酔い潰れている者もいた。
外見で取り繕っているが中身はこれが冒険者の現実ということなのだろう。
今から登録する俺達としては少々幻滅せざるを得ない光景だ。
ゲームとかでよく見るプレイヤー的な奴とはまた違うのな。
「じゃあ俺らは怒られ……もとい報告に行くからその間にあそこのお姉さん達に言って冒険者登録しといてくれ。ギュンターさんが聞きたいことがあるかも知れないから終わってても待っててくれ」
そう言ってハッシュさんは受付のブースが幾つか並ぶ方を指すと自らその一つのにブースに行き、2、3語話すと二人してそのお姉さんに付いてどっかに行ってしまった。
恐らく言った通りギルド長への報告に行ったのだろう。
俺達もお姉さんが居るブースに行く。
ブースと言っても元の世界のハローワークみたいに割りとしっかりしたものだ。
一応全て木で出来てはいるが、作りはしっかりしている。
書類などが山積しているのが見えるので普段から割りとしっかり使われているのだろう。
仕切りは無いので俺達四人はそのブースの一つに向かう。
皆の歩調より心持ち速めに歩き、主導権を握った俺は一番可愛い受付嬢の所へ向かう。
後ろからの咲良の視線が冷たい気がする。
いや、しょうがないじゃないか。
男子高校生だもの。
色々あるさ。
むしろ可愛い女の人とお近づきになりたいって思うのは最早本能ですよ!?
やっぱ受付嬢さんってどこかもえるよね、コスチューム的に。 大体ああゆう受付嬢さんのコスは野郎共を寄せ付けるように出来てるんだから野郎の俺が引き寄せられるのは当然、俺悪くない。
証明終了。
俺のノーベル賞なみの正当化を自画自賛しながらしかしこのまま行くと咲良の中の俺の株が急降下するので仕方なくお姉さんとお近づきになるのは諦め、渋くダンディーな感じで下心ゼロでお姉さんに話し掛けた。
「お姉さん可愛いね、冒険者登録したいんだけど。それと、もし良かったら今後とも仲良くしてくれない?」
咲良からの視線が更に冷たくなって絶対零度を下回った。
何故だ!?
ユーモアとリップサービスで多少の贔屓してもらおうと思ったダケですよ!
ほんとデスヨ!
「ふふっ、此方こそ。冒険者登録ですね。皆さんですか?」
受付嬢のお姉さんは軽く笑いながら俺のことを流して仕事に入った。
いや、別にガッカリシテナイデスヨ?
ただの掴み的な関係を友好的に進める潤滑油ですから。
あわよくばとか全然思ってませんし。
あ、お姉さん可愛いかったんですね今気付きましたぁー。
まぁ、などという冗談は置いといて。
実際受付嬢は可愛い人や綺麗な人が多い。 今対応してくれているお姉さんもボブカットの清楚系のお姉さんだし、他のブースの人も綺麗な人が多いのは“そういう”ことだろう。
ギルド長とやら、お主も悪よのう。
脳内で俺が悪代官役を熱演している間にも物事はサクサク進んで行く。
「えっと、色々説明等も有るのですが先ずは此方の書類に必要事項をお書き下さい」
そう言って出されたのは質の悪い植物紙である。
そりゃパピルスよりはマシだが元の世界の物には遠く及ばない。
てか案外お役所仕事なんだな。
ゲームとかだとこういうのってザ・魔法、みたいな感じでササッと終わるんだけどな。
んで?何々……?
!
うん、読めねぇ。
ガッツリ読めねぇ、何だコレ。
俺の眼下に有るのは紙に書かれたミミズがのたくったような字だ。
日本語の漢字、片仮名、平仮名とは似ても似つかない。
この受付のお姉さんが致命的に字が下手でないとするなら日本語ではないのだろう。
抜かった……。
なまじっか日本語が通じるもんだから油断した。
そうなのだ、よく考えればここは異世界だ。
最初に日本語が通じるのが可笑しかったのだ。
まさか通じるのが話だけとは……。
言葉は理解させてやるから読み書きは自分で頑張れと?
俺の英語の点舐めてんのかこの野郎。
まぁ、でも話は通じる訳だし方法は有る。
そう代筆だ。
日本でも昔読み書きが出来ない人が一定数居た為に役所等で行われていた。
ファンタジー的な奴でも良く見られる物だ。
金は多少掛かるかも知れないが背に腹は変えられない。
「あの、すみません。代筆を……」
「書けました」「書けたぞ」
!!!!!!
俺はお姉さんに代筆して貰おうと声を掛けようとした所、隣から信じられない声が聞こえてきた。
更に声だけでなくイテナさんと優人の手からは書類が差し出されている。
「う゛ぞっ!!」
慌てて隣の優人の書類を引ったくると穴が開く程見る。
確かに書類には空欄の部分に質問だろう文と似たミミズがのたくったような字が書かれている。
ただのハッタリの可能性もあるが、優人はそんなことする必要もないしそんなことする奴でもない。
多分本当だろう。
「何で!?」
俺が勢い込んで優人に聞くと優人は不思議そうな顔で聞き返した。
「王城に図書館があっただろう?」
確かに最初の案内でも見た。
ただそこは立ち入り禁止扱いで警備の人も居た筈だ。
「有りましたけど!?」
「扉が少し開いてて通りすぎつつ中を見たら全く知らない言語で書かれていたのが見えたからさ。夜中正也とメルトさん担いだ後とかにこっそり入って調べた。大陸語って言うんだってさ。訛りは所々有ったけど1言語で統一されてたから案外楽だったよ?」
さらっと言ってらっしゃいますけどそれ犯罪ですよねぇ!?
不法侵入ですよね!?
後それ普通調べたとか言わないから!
解読って言う奴だからそれ!
王城には総じて10日程しか居なかった筈だ。
たったそれだけの期間で言語習得とか半端じゃねぇ。
二の句が継げない俺は優人の隣のイテナさんを見る。
「俺は街に出掛ける用事が有ったからその時に気付いただけだ。商人の通帳を幾つか失敬すれば後はどうとでもなる。ああ、心配するな、後で気付かない内に戻しておいた」
普通どうにもならねぇよボケが!
クソッ!このドチート主人公共めが!
何だこの違いは!俺との才能格差何とかしろ!
パッチ当てろパッチ。
「悪いけど代わりに書いてくれる?俺読めないから」
書けるならとりあえず書ける経緯は置いておいて書いてもらおう。
別に優人が覚えてるなら俺が覚えることもないからな。
優人に俺と咲良の分の書類を渡す。
優人によるとこの書類に書いてあるのは名前と年齢得意な戦法(役割)と家族の居場所だそうだ。
家族の居場所については俺達は書けなかった。
気になるのはこれ遺族に対する礼金を支払う為だろうか、それとも連帯保証人にするためだろうか。
この一文にそこはかとない闇を感じた俺はつついても良いこと無かろうとスルーした。
受付のお姉さんに全員分の書類を渡すとお姉さんはニコリと微笑んだ。
「えーと、はい、大丈夫です。後登録には一人大銅貨3枚掛かるんですが大丈夫ですか?」
お姉さんに言われて俺達はそれぞれ懐から銅貨を取り出す。
王様からの先行投資が大きいな。
まだ大分残っている。
「はい、では冒険者について説明したいと思います。忘れた場合はもう一度聞いて貰えば教えますし質問は纏めて聞きますので止めずに聞いて下さい」
受付のお姉さんはそう言うとニコッと笑う。
「もう一度聞く場合は出来れば他の人に聞いて下さると嬉しいです。二度手間となると面倒ですから」
冗談だろう。
目が笑ってないけど冗談としておこう。
何か確かめるの恐いから。
いやぁ、冗談が上手いなぁ〜。
「了解です」
「では、始めます。私達冒険者ギルドは最初は軍によらない安上がりな兵力。言わば都合の良い傭兵として扱われて居ました。しかしギュンター様がギルド長に就任してからは各国のギルドを纏め上げ巨大組織化。更に外部の『最大兵力』『傭兵』『盗賊』『屑』をS級に招きその強大な軍事力を背景に国と距離を置き、今のギルドの方針となりました。その際5年前の第二次侵攻で多大なる損害を受けましたがS級招聘はそれを上回る物であり、更に『夕碧』を手ずから育て上げその軍事力は不変の物となりました。それ以来ギルド支部長の合議制で決まるギルド長に満場一致で6期連続当選されています」
……うん。
怒濤の勢いである。
折角深堀りしなかった地雷がオートで出てくるとか設定理不尽過ぎない?
お姉さんが清楚系だと思っていた純真だったあの頃の俺を返してくれ……。
「それ、本筋と関係あります……?」
おずおずと俺は質問すると受付のお姉さんは直ぐに答えた。
「いえ、ただの趣味です」
すました顔で公私混同しきるその胆力は素直に凄いと思ったし、僅かに紅潮した頬が確かな熱量を伝えてきて怖い。
取りあえずギルド長が人気なのは確かなようだ。
「さて、そんなギュンター様がギルド長を務めるギルドではそれぞれの資質によって下からG級からF、E、D、C、B、A、A+、S、SS級の10段階に分けられています。SS級は名誉職の趣が強いので気にしないで貰えると助かります。A+級もS級に上がる前に審査の間だけの腰掛けに急遽作られた階級ですので現在誰もその階級に居ません。実質上8段階だと思って下さい。昇進はギルドがその資格があるかどうかを試験で見ますので昇進試験を受けてください。昇進試験を一度失敗した場合は数ヶ月間昇進試験を受けることは出来ません。受けられるクエストについてもその階級で別れています。クエストの受け方についてはボードに貼られている依頼書を持って後に渡すギルド証明カードをこのブースに居る誰かに見せてください。階級が伴って居れば受けられます。当然階級においての制限も有ります。例えばG級については街内で完結するお手伝い程度の依頼しか受けられません。F級では魔物と戦闘を行うような依頼は受けられません。後依頼についてはあらかじめ依頼の内20%を紹介料として引いてありますのでご了承下さい。失敗した場合についてはケースバイケースですが罰金を要求することがありますので気を付けて下さいね?逆にギルド側の不手際で依頼が達成出来なかった時は紹介料が返金される場合があります
のでギルドに申し出て下さい。ギルド員同士の私闘に関しては大抵ギルドは関知しませんが死ぬようなことは避けて下さい。ギルドとしても戦力の低下は避けたいですから。説明は以上になります。何か質問は有りますか?」
「えっと、今俺達が入ったらその、G級?からになるわけですか?」
「G級については最初にある程度の戦闘能力さえ見せて貰えば免除でF級からのスタートになります」
「その戦闘能力って曖昧になりません?」
隣で優人がそう質問する。
言われてみれば確かにとも思う。
例えば何か重い物を持つことが試験だとしても腕力がない人でも魔物とは戦えるかも知れないし、単純に教官と戦闘でも罠に優れているかも知れない。
「それについては問題有りません。此方に魔力判定の珠がありますので触れてください。ある程度の戦闘能力があると判断されれば光ります。どうぞ」
そう言って受付のお姉さんはブースの下から占い師が良く使うような水晶玉を取り出す。
作りは金属の台座等があり、意外としっかりしているが胡散臭いことこの上ない。
差し出された水晶玉に俺達が手を伸ばすのを躊躇っているとイテナさんが横からそれに手を伸ばした。
そしてイテナさんの手が水晶玉に触れた瞬間……。
パァン!
水晶玉は跡形もなく吹き飛んだのだった……。
魔力判定で割れる珠。
一度やってみたかったテンプレです。
最近寒くて堪りません。家のエアコン新しい筈なのに幾ら付けても5、6度にしかなりません。
ストーブの導入を検討しています。
やっぱ物事火力ですよね?
料理はガスコンロでぐわーっと。
ゴミはボイラーでぐわっーと。
え?ダイオキシン?
何ですかそれ。
知りません分かりません。
永遠の17歳なんで難しい言葉はちょっと良く分からないですはい。




