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傾世の暗殺者異世界に物申す  作者: 伊賀良太郎
第1章〜魔王暗殺〜
68/107

38ギルド長降臨

遅れました!申し訳有りません!m(__)m

いや、忙しくて……。

ほんとにご免なさい!

来週は時間通り投稿します。

――――正也視点――――――――


俺がぶっ倒れてから六日後。

俺達は一つ街を飛ばしてドレストに到着した。

隣街と聞いていたのだが、どうやら直線上に街は無いものの、通行する街道の近くにもう一つ街があるようだ。

ハッシュさんとリタさんだけは別行動でそっちの街に顔を出してから王都に来たらしい。

近くに農村は無く、街道が在るだけだった。

街に三方を囲まれていれば安全だと思ったのだが何故だろうか。

道中聞いてみると幾ら街に囲まれていようと魔人国との国境と隣接している為、有事の際に邪魔だからとのこと。

だったらそんなとこに首都建てんなや、という話だが、建てた当時は一番安全な土地だったそう。

今も都市防備的に最先端の城壁をぶち建てた為に他に移るに移れないのだとか。

難儀な話だ。


ドレストに入る時には特に悶着は無かった。

いや、正確にはBが原因で危うく入り損なうとこだったのだがガルシアさんが取り出した依頼書のギルド長と王様の連名サインを見せた途端に掌返して即座に入壁許可が出た。

いやはや御老公の紋所並みの威力である。

聞いてみるとどうやらこの街ではギルド長のサインの方が王印より効力が有るらしい。

王印より価値のあるサインって一体……。

この街ではギルド長がそれだけ幅を聞かせているんだそう。

聞けば2年前の事件を機に越して来たという話なのにどうやったらそこまで根をはれるんだろう。

ちょっと謎である。

ていうか洗脳してる可能性すら出てきた。

早くもギルド長に会うのが嫌になって来たんだけど……。


街に入った俺達と夕碧は先ず第一に宿を探すことにした。

飛び入りは交渉が効かない分割高なのだそう。

まだ日は高いのに、と思ったがギルド長のお説教が長打コースになると少し厳しいとはハッシュさんの言。

その苦い顔が経験則を語っていた。

メルトさんから押し付けられていると思うと不思議と涙が出てきた。


「ちわぁーと、邪魔するぜ」


メルトさんが入ったのは『猫の日向ぼっこ』という変な名前の宿だ。

外観は日向ぼっこの名に相応しい古めかしい外観だ。

ぼろっちいとも言う。

メルトさんに続いて俺らも扉を開けると続いて入って行く。

中に入っては飯を食べるダイニングらしい。

簡素な作りの木製5人掛けの机と椅子が十ばかり並べられ、店内は中々に広々としていた。

掃除は行き届いてはいるものの、どうしようもない建物の傷みはチラホラと見受けられる。

どうにもS級が好んで泊まるような宿には見えない。


「おう、あんたらか」


俺達が入ったのに気付いたのか、机を拭いていた強面の男が手を挙げる。

どっちかって言うとチンピラよりは40越えた渋いヤの付く人って顔だ。

目の上の傷がそれを助長する。

……超恐い。

元の世界なら一目散に逃げてるね。

男は作業を中断し、中腰の姿勢が辛かったのかトントンと腰を叩くと此方の方へと近寄って来た。


「久し振りだな。最近どうだ?随分と寂れてるじゃねぇの。天下一品の料理の腕の名が泣くぜ?」


メルトは隅の方で酔い潰れた客が2、3人居るだけの宿内を見回す。

そう言われると強面の男はニッと笑った。

いや笑った……のか?

俺達を今日の晩飯にしようと思ったんじゃなきゃ笑ったんだろう、多分。


「昼時を過ぎりゃあこんなもんさ、幸い宿の方はそこそこ埋まってるよ」


今は地球の時間で言えば2時頃。

昼飯に、というには少し遅い時間だった。


「お、それならこれから暫く泊めてくれよ」


「そりゃ、良いが……。コイツらは何だ。お前んとこの新入りか?」


強面の男が眉根を寄せると俺達を顎で指す。

動作が一々恐いです……。


「ああ、心配ねぇ。コイツらは今依頼で預かってるだけだ。勇者様だとさ」


何とも雑な紹介を済ませるメルトさん。

慌てて頭を下げる俺と咲良。

優人とイテナさんは我関せずと言った具合だ。


「ヘェ……。あんまり強そうにゃあ見えねぇなぁ……」


ジロジロと無遠慮に眺める強面の男。

悪かったな!

あんまり強そうじゃなくて!

これでも気にしてんだからな!


そう、俺は未だにレベル1である。

いや、戦闘力に関しては完全にレベル1以下だ。

あれからもう一度スライムと交戦することになったのだが俺はMrs.B(俺はBは女の子じゃない騙されるなと主張したが、一人と一匹からの激しい抗議があり泣く泣く根負けした)に任せてトレーナー風に戦ったのだがどうも経験値が入ったのはMrs.Bだけのようで俺には一切経験値が入らなかった。

他の二人はこの戦闘でレベル2に上がった。

実に不公平だと思う。


「ま、良いか。ロディだ。ヨロシクな」


人の頭を握り潰せそうな位大きな手を此方に出してくる。

俺の頭をバスケ持ちしたいんじゃなければどうやらロディは握手を求めているようだ。

俺は抱いているMrs.Bをキュッと心持ち強く抱きながら恐る恐るロディの手を握る。

どうやらわざわざ俺達がここに来たのはこの顔見せのためのようだ。


「正也です」「咲良です」「優人です」「イテナだ」


4人順番に握手するとロディは満足したのか、宿の奥の方へと振り返って大声で叫んだ。


「おぉい!マーガレット!お客さんだぞぉ!」


「はーい!」


最初ロディが呼んだ時は従業員かと思ったが、出てくる所を見るとどうやら違うようだ。

宿の奥の方から出てきたのは一人の女性。

恐らくこの宿は家族経営なのだろう。

マーガレットと呼ばれた女性はスラッとした大人の女性でモデルのように背の高い綺麗な人だった。

冷たくなりがちな体型だが、顔はキツいというよりフワッとして童顔だ。

体型と顔は全く雰囲気が違うが、不思議と明るく見えるような人だった。

恐らくロディの奥さんだろう。

どうしてあんな綺麗な人がヤクザみたいな人に惚れたんだろう。

実に不思議だ。

隣に並ぶと最早犯罪臭すらする。

マーガレットは俺達の近くまで来るとニコッと微笑んだ。


「食事付きでいい?部屋分けはどうする?5人部屋は空いてるけど」


メルトはチラッと咲良とリタを見ると答えた。


「二人部屋を別につくってくれ。後はどうでも良い」


「じゃあ2人部屋と3人部屋と5人部屋ね。銀貨とあまりが出るけど銀貨だけで良いわ」


えぇっと、元の世界の基準で言うと一人千円か。


「ありがとな、じゃあこれで」


メルトさんは懐から巾着袋を取り出し中から銀貨を取り出す。

取り敢えず一日分だけ払ったメルトはパンと手を叩くと言った。


「おし、じゃあギルドに行くぞ」


こうして俺達はそれぞれの部屋に荷物を置くと全員でギルドへと向かったのだった……。


――――ギルド長ギュンター=スーティル視点――――――――


私は部屋に入ってきた彼らに盛大にうんざりしていた。

この部屋に来る者は大抵仕事を持って来る物だが、その中でも彼らは別格である。

何せ仕事どころか面倒事を持って来るのだ。

許し難いことこの上無い。

仕事ならばまだ良い。

給料が発生している以上そこに労働が付随するのは当然のことだ。

しかし彼ら夕碧が持って来るのは私のちっぽけな給料に見合うとは思えない巨大な面倒事だ。

私の手に負えないレベルの事態を引き起こしておきながらその面倒事を私に丸投げしようというその危険思想は早急に駆逐するべきである。

言うなればテメェのケツはテメェで吹きな、という奴だ。

しかも質が悪いことにそういう類いの面倒事は放って置けば放って置く程巨大化するのだ。

小さい内に対処しようとすればする程私の睡眠時間が削られるという訳だ。

くそったれめ。


「さて、何か弁明はあるかね?有るならば是非とも聞きたい所だが」


私が当然の義務とも言うべき詰問を発すると報告に来たイグマとハッシュは首を傾げた。

実に不思議なことだ。

無償の仕事を持って来る近代的思想に喧嘩を売るような輩はケツを蹴り上げられても文句は言えないだろうに。


「あの、意味がわかりかねますが」


「分からない?分からないだと?勇者召喚などとバカなことを引き起こされてこのクソ忙しい時に更に面倒事を押し付けられる側からすれば当然の要求ではないか?」


ヴァインズ……。

全く、この国は余計なことしかしない。

恐らくあのバカ王……ごほんごほん、グレン王子の為に母親の腹に頭脳を置いてきてくれた奴がやったことだろう。

今代の魔王を倒すなどと愚かにも程がある。

勇者だけ召喚して後やっといて、等と全て放置することは出来ない。

育成に金は掛かるし、最終的に魔王を倒す時は国家大同盟を結成し魔人国に対して全面攻勢に出る必要がある。

しかしその余裕は今はない。

過去最強の軍事力を持っていたパルトネ公国は滅亡し、クライシュテス等大同盟に否定的な国も多い。

こんな現状では魔王討伐など覚束ない。

だから“二代目勇者は失敗した”のだ。

まぁ、オウルフ殿さえ徴収出来れば片が付く話ではあるが、彼の御仁は引退して久しい。

現実的には不可能だろう。

彼が参戦しさえすれば力のごり押しで万事解決するのだがな。


「あのぉ、真っ先に決め付けるの止めません?俺達だって好きで災難に遭ってる訳じゃないんだけどなぁ、って思ったり……」


控え目にハッシュが進言する。


「まさか、違うとでも?」


反証があるなら提示してみろ。

お前らと遭う時は必ずトラブルを持ってきたと記憶しているが?


「いや、違わないです……はい」


ハッシュは観念したかのように体を縮めた。

私は最近コイツらを私を過労死させるために私を恨む敵対者から送り込まれた刺客じゃないかと疑っている。

私は眉間を揉みながら諦めて面倒事を聞くことにした。

どうせ今聞かないと後で余計酷くなるだろうから耳を塞ぐことは出来ない。


「で、何故勇者を連れてくるだけの簡単なお使いが何故ここまで遅れたんた?」


字にしてみればこれだけの仕事である。

安全な街道で案内をするだけの其処らの子供に頼んでも出来るような仕事。

それをどう罷り間違えばこのようなことになるのか。

もし夕碧の馬を担保に預かっていなければ消息不明になっていたかも分からないな。

さて、昨日は余り寝れなかったから今日こそは寝たいのだがな。

余り重い案件は持ち込むなよ。


「それは、行く途中で盗賊に襲われて……」


「盗賊?お前らに掛かればそんな物、物の数ではないだろう」


仕事関係に於いて零細商人の為替(紙屑)程の信用もしてない彼らだが、こと戦闘に於いては信頼している。

仮にもS級である彼らが盗賊程度に遅れを取る訳がない。

取るようなら只の害悪としてとっくに刺客を送っている。


「いや、それが負けちゃった」


「バカな!」


隣に居たイグマが苦笑するように言った瞬間私の世界が引っくり返った。

S級が負けた?

何の冗談だ。

S級なんて物は化け物の総称だ。

パーティの力だけでS級を除く冒険者ギルドの全戦力を上回る。

言うなれば手綱の無いドラゴン。

もし逆らうようなことが有ればただ滅びるのみ。

更にそれにクランまでも合わせればその力は目を覆わんばかりだ。

現状無理矢理にでも従わせる手綱が無い今、幾ら同じギルドに所属していようと仮想敵でしかない。

そもそもギルドに入れる(首輪を付ける)ことすらあれだけ苦労したのだ。

それを易々上回る存在など考えたくもない。


「……どれだけの勢力だった?」


一応S級の夕碧を使ってまで安全にしている街道での出来事だ。

大量の盗賊など考えたくもない。


「一人だよ。審眼で一応覗いて見たけど出てきたのは知らない名前だったし想像以上に弱かった。つまりは擬装さえ俺よりも上だっていうことだね。戦ったのは俺とメルトとガルシアとバレイン。勿論本気じゃ無かったけど逆を言うなら本気を出す隙さえ無かった。リタとハッシュが来るのが後少しでも遅ければ死んでたね。バレインが敵の前で気絶した所なんて初めて見たよ」


私はそれらの情報を聞けば聞くほど信じられない気持ちで一杯になった。

一人で本気ではないとはいえS級をここまで蹂躙出来る相手というのは限られている。

かつて一瞬だけ存在したSS級冒険者。

一代目勇者と呼ばれるオウルフとそのパーティ。

引退したとはいえ彼らならばそんな芸当は可能かも知れない。

だがそんな動機がない。

他に出来るとすれば魔王位しか……。

そこまで考えてはたと気付く。

仮にもクライシュテスの暗部に居た者が襲撃した者について何も調べないで居るものだろうかと。

何も分かってないとしてもその過程程度の報告はする筈。

それがないということは真実を知りつつ隠してるということか……。


「イグマ、全て話せ。隠し事は無しだ」


私がそう言うとイグマは眉毛をピクリと動かした。

可能性は低いと思っていたがカマに反応したということはそういうことだろう。

私の前で堂々と嘘を吐くイグマのその面の皮の厚さに私は思わず舌打ちしそうになる。


「いやぁ、口止めされてるからそれを教えるのはちょっと……」


そう言いながらイグマはチラッと私にだけ分かるようにハッシュを見る。

そしてそのまま口を開くことはない。

なる程、言えないからそれで察しろという訳だな?

無茶を言う。


「分かったもう良い。次は勇者を呼んできてくれ」


「えっ、もう良いんですか?てっきり夜近くまで拘束されるコースかとかと……」


ハッシュが驚いたような顔でそう宣う。

コイツの頭の中の私がどうなっているか頭を開いて見てみたいが今は推測に忙しいから見逃しておく。


「何だ?何か文句があるのか?」


「いえっ!有りません!」


口元にが喜色に緩んでいるのも見逃すとしよう。

ハッシュとイグマが私の執務室から出ていくのを見ながら私は先程得た情報を精査する。

まず口止めされているとはどういうことか。

第一に盗賊の情報を知る誰かが盗賊の報復を恐れて口止めをしている場合。

これは少し可能性はあるがハッシュをチラッと見たことの説明が付かない。

別のサインの可能性もあるが、そうであるとしてもそのイグマならその情報源が分からないように上手く報告を上げるだろう。

第二にその盗賊の情報源がハッシュ自体であり、情報の秘匿を希望している場合。

これについての可能性も薄い。

理由としてハッシュという男はそこまで腹芸が上手くないのだ。

先程の一連のやり取りに一切反応しなかったことからそれは否定できる。

勿論私が人を見る目が無かったり、ハッシュが成長している可能性はあるが、普通人の心理としてそういうバレるリスクがある話し合いには参加しないだろう。

メルトのように人に任せれば良い。

話すかもしれないと疑っていたのなら信用して情報を提供しているのは矛盾する。

よって恐らくハッシュが情報源という可能性も低い。

そして最後にその盗賊が身内にいる場合。

彼がこの場で口をつぐんだのはその盗賊に脅されたから。

そしてその盗賊に監視されており迂闊に動けない。

ハッシュを見たのはこの場で言った場合にその盗賊相手に腹芸が出来ないと思ったから。

一応筋は通っては居るが根拠はない。

だが否定する根拠もない。

よって現状一番高い可能性はこれだ。

そしてその身内の盗賊は元から居た仲間ではなく恐らく最近加わった勇者だ。

時期的にもそれが一致する。

そしてその盗賊とはもうすぐ会えるということか……。

そこまで考えて私は眉間を揉んだ。


全く、ドデカイ問題を持ってきてくれたものだ。

職務内容と私の給料が一致していないぞ全く……。

居ない可能性も有るがそうなったら他に見付ける手段はない。

居る物と思って会うこととしよう。

盗賊(裏切り者)は誰でしょう、とでも言った所か。

ふざけた話だ。


しかし私はその時忘れていた。

問題は積み重なり、追い掛けて来ることを。

現実は甘くなく、問題を解決するまで待ってはくれないことを。


パァン!

「グガッ!」

「おい!大丈夫かぁ!」




「勘弁してくれ全く……」


問題を解決する前に起きた新たな問題らしい物音に私は三度眉間を揉んだのだった……。


私は人と話すときにどもるのがコンプレックスなので店員と話すときは上手く話せるように意識して低い声を出してるんです。

前に本屋に行って漫画の新刊が無かったので店員さんに聞いてみたんです。

「あの、ダーウ○ンズゲームの11巻って有りますか?」


そしたら

「ダーウ○ンズゲームの11巻ですかぁ」

と、明らかに普段の声のトーンより1段階低い声で返されました……。

人のコンプレックス抉るなんてなんたる所業……。

お前なんかアレだ。

かき氷を掻き込んで頭キーンてなっちゃえ!

それか舌の裏に特大の口内炎出来ろ!


後少し遅いですがあけましておめでとうございますm(__)m

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