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傾世の暗殺者異世界に物申す  作者: 伊賀良太郎
第1章〜魔王暗殺〜
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67軟体生物〜この世界は俺に厳しすぎる〜3

よし、間に合った。

――――正也視点――――――――


不意討ちスキーが喋った……。

折角音楽家に準えた俺のハイセンスな名前を却下するとは良い度胸してる……じゃなかった、魔物って喋るの?

いや、喋るって言うより脳内に直接語り掛ける感じか。

どういう理屈かは分かんないけど個々で話し掛けてるのかそれとも一斉送信なのか分かりづらい。

話せることは確かだが、喋った内容からしてどうやら意志疎通位は取れるらしい。

なら万事OK。

一斉送信だろうが個々回線だろうがどっちも一緒だ。


「おうコラナメクジ、名前拒否るとかふざけとんのか、アァ?不意討ちスキーの何が不安だ。最ッ高にイカした名前だろが」


取り敢えず喧嘩売ったこと後悔させたろやないかい!

と、チンピラみたいな口調でオラつく。

え?順応が早い?

何を今更……。

異世界に召喚されること以上の驚きがある?

それに比べりゃ口もないアメーバモドキが喋る位可愛いもんだ。

それだけで即順応するに余りあるが、俺は優人の親友だぜ?

大事なことだからもう一度言うけど俺は優人の親友だぜ?

この位の驚きじゃ俺の人生のビックリランキング13位タイくらいだね。

軽い軽い。

異世界召喚でも2位くらいだ。

読み飛ばした人用に要約すると魔物が喋る位全然大したことじゃないってこと。

むしろそれくらいで驚いてちゃ主人公の親友ポジは務まらん。

ギャルゲじゃハーレム目指してもにこやかに接するくらいの図太さは必須技能だしな。


「イカしたっていうかイカれたっていうか……」


隣で咲良が何かほざいてる気がするが努めて無視する。


「てか不意討ちスキーとか本気でダサい……」


……努めて無視する。


『かわいくないものはかわいくないの』


「てめぇら喧嘩売ってんのか!?雌雄同体の癖に文句付けんな!」


二人?掛かりは流石に我慢仕切れませんでした。

これは仕方ない。

調子づくのは為にならないと思っただけ、挑発に負けた訳じゃない。

ほんとだよ?

よし、理論武装完了。


「うわっ、さいってー。聞いた?アイツアンタのこと性差別しようとしてるわよ?」


咲良が不意討ちスキーを撫でながら俺を睨む。

性差別ってなんだお前……。

性差別て。

まず日本じゃ雌雄同体は人間として扱われちゃいねぇよ……。

てか雌雄同体って性別と認められるのか?


『むー、しゆーどーたいじゃない、女の子!』


「ほら!女の子だって自己申告してるわよ!」


「騙されるな!ナメクジとかカタツムリとかウミウシとかそういうタイプは大体そうなんだよ。繁殖力が強くて自家受精も出来るからな」


全く、何て狡猾な。

無害な幼女を装ってあざとくオネェ疑惑を解消しようとは。

孔明の罠でござる。

俺が幼女っぽい声にみんなが騙されないように主張していると横から優人が呆れた顔して横槍を入れてきた。


「いや、話がずれてるよ。今はそのスライムが雌雄同体かどうかじゃなくて喋ったことを話あってたんだろう?」


おお、そうだった。

咲良が名前がダサいとかイミフなこと言うからすっかりそっちに話が漂流してしまった。

てか何気に咲良も順応はえぇよな。

やっぱ優人と一緒に居るからかな。


「わりぃわりぃ、で何で?あんま興味ないけど一応聞いとく」


どうせ魔法的なサムシングだろ?

聞いてもどうせ訳わからんだろうし、聞いて分かったとしても何が変わる訳でもない。

どうせどうしようと変わらんのだ。

聞こうが聞くまいが慣れなきゃならんのは一緒。

聞いて納得行かずともスライムが喋ったのは事実だ、否定することは出来ない。

日が昇る訳がないと太陽を見ながら言えないのと一緒だ。

ならその理屈を理解するよりその状況に順応する方が早いし賢い。

俺はそう思ってるから興味なさげに優人に聞くと優人はまた先程と同じ呆れた顔をした。


「はぁ、どう思います?ガルシアさん」


優人ガルシアさん好きだな。

さっきから質問がある度にこの人に聞いてる。

まぁ、口調が荒いのはともかく顔は頭良さそうだしな。

頭いい奴同士シンパシーでも感じているんだろうか。


「そうだなぁ、それも確か魔物使いの力じゃなかったか?知能の高い魔物と会話できるようになるとは聞いた覚えがあるんだが……。スライムがそんな会話できる程の知能があるなんて聞いた覚えが無ぇぞ。もしその位知能があったらもう少し魔物使いの総数自体も増えてるだろうしな」


ガルシアさんは分からないとばかりに小首を傾げた。

どうやら魔物とは基本知能が高い物でもないらしい。

命令を理解出来る者も少ないため、調教するにも時間が掛かるのだとか。

あー、それで魔物使いが少ないのか。

確かにそれじゃ調教が大変そうだし、そんな頭の悪い奴が起こした犯罪も自分のせいにされちゃ堪らんだろうしな。

それを避ける為にはその間街の外で暮らすしかない。

そりゃ不人気職なのも頷けるわ。

てか俺あのまんまだと外が拠点になってたとこだったのか……。

危なっ。

喋ってくれてサンキュ、スライムB。

例と言っては何だが不意討ちスキーの名前は止めてやろう。

代わりにデストロイ大統領とかどうだ?

かっこよかろう。

とか思ってたらスライムBに顔を思いっきり横に振られた。

そんなに嫌か……。

てか何故分かった。


「そのスライムは特殊個体ではないか?他のスライムよりも強かったようだし」


そんなやり取りをしていると横からバレインさんが会話に入ってくる。

ホホゥ……、特殊個体とな?

中々に俺の興味を誘う単語だ。


「あ?んだコラてめぇ。人が喋ってる時に横入りしてくんじゃねぇ。殺すぞ!」


ガルシアさん邪魔。

今バレインが特殊個体の説明してくれるから、そこで座って待ってて。


「随分器の小さいことだな。それでは生きていても恥を振り撒いているだけのつまらん人生だろう。そんな人生を送る位ならいっそここで優しさを持って貴様の人生を終わらせてくれる」


あ〜あ……、乗っちゃったよ。


「あ?良い度胸だな。そのクソ度胸はてめぇの命を縮めるぜ?この世は上手く出来ててな、出る杭は討たれるって相場は決まってんだよ」


また始まった……。

もう飽きたよ。

超飽きた。

これ以上ないって位飽きたね。

城から出てきてからこっち何回目のやり取りよこれ。

むしろやってる方が飽きない?このやり取り。

最初は縮み上がったけど3、4回目辺りからスムーズにメルトさんに頼れるようになった。

最近はもう数えることすら面倒臭くなって来た12回目である。

もう何か面倒臭くなったのでさっ、とメルトさんに伝えて仲裁してもらう。

犬猿の仲も過ぎるっての全く……。

一旦仲直りした、というよりメルトさんへの忠誠で不満を叩き潰した二人に先程の特殊個体について聞く。


「特殊個体とは文字通りその種の変異体のことだな。亜種とも呼ばれている。特殊個体は親の種とはどこかが異なっている。色であったり知能であったり体であったり力も異なることがある。大抵弱い者だがかなり強い者も少なくない。要は変わっていれば特殊個体だ」


へー、つまりアルビノとか奇形とかサバァンとかダウンとかの遺伝子的なアレか。

てっきりゲームとか漫画に出てくる新キャラ出るまでの繋ぎのデータ使い回しの奴かと思った。

そっか、お前も大変なんだな。

憐れみの目でスライムBを見ると心外だという顔で睨み返された。

どうやら強い方だと主張したいらしい。

いや、まぁ顔の違いとかあんま分からんから恐らくだが。


「あ、そうだ!良いの思い付いた!要はスライムBは普通とは違うってことだろ?だったらアブノーマルってどうよ!アブノーマルのノーマルスライムって面白くね?」


やべ超良いアイデア。

何気に雌雄同体だってことにも掛かってるしな。

うん、アブノーマルしかないよもう。

そんなことを思っているとスライムBと咲良から冷たい視線が注がれた。


「さいってー……」


『ぜったいやだー』


あんだよ……。

二人して否定しやがって。

大体な、最低とか人に言って良い言葉じゃないからな?

俺のガラスハートがバキバキだぞこの野郎。

は?ガラスハートですぅ。

俺くらい傷付きやすい人他に知りませんからぁ。

心臓に毛が生えてるとかマジで意味わかんねぇ。


「この他の人に意思を伝えるのってどうやってるんですか?」


「ああ、それはな?……」


ほらそこ、頭の良い二人。

特に優人。

今俺苦境だから助けなさい。

親友甲斐のない奴だなお前は。

優人はガルシアから説明を受けると「へぇ……」と呟いた。

そしてその次の瞬間俺の脳内にメッセージが響いた。

そのメッセージが鳴り響いた途端、膨大な情報が脳に飛び込んできた。

≪勇者優人と思考がリンクしました≫

≪リンク率100%≫


なるほど人固有の魔力構成を判断してそれを見付ける訳か空間を越える訳じゃなく個人同士の点と点の繋がり何て情報量つまりこれは構造的に俺が何かしてる訳じゃなく魔力を捧げて多次元的存在仮称神システムを通した幻想的現象地球で出来なかったのは仮称神システムがないから脳が焼き切れこれは他の魔法にも言えることで仮称神システムの有無で魔法の発動の有無が決まる訳かクソ神の力にすがる形になるのは不愉快だが二人を守る為に使える物は何でも使う助けて最後にあのクソ神さえ死んでいれば問題ない正也には早く強くなって貰わないと困る正直この状況下で二人を守るのは無理クソ神魔王イテナと仮想敵が多過ぎる追い詰めて追い詰めて追い詰めて追い詰めて早く強くなって貰わないと……。


「かっ……はっ!!」


今しないといけないのは力を貯めることそれも出来るだけ早くイテナが俺達に目立つことを要求するならその通りに振る舞ってやろう死ぬだが何時までも尻尾を振ってると思うなよ奴より強くなるまで待つつもりはないこのままだとマジで奴の目的は分かってる交渉材料さえ手に入れれば直ぐにでも取り入る取り入れられればかなりのカードになるだろうだからそのイテナに取り入る為の交渉材料を手に入れること「早くどうにかして!正也が死んじゃう!」その為に必要なのは金だイテナが魔王を倒しさえすれば手に入るがそれ以外の収入源を手に入れなけば。


≪勇者優人との思考のリンクが切れました≫


「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」


荒い息で呼吸し、かいた脂汗を拭う。

ツツーと鼻に違和感を覚えてついでに拭うと手に赤い色が着いてきた。

あ、鼻血だ。

あー、マジで死ぬかと思った……。

酸素が全然足んねぇ。

脳まで全然酸素が届いてない気がする。

急に何ださっきの。

頭使い過ぎて頭イカれたかと思った。

後全能感とか凄かったな、薬でもやったのかと思ったぞ。

優人と思考がリンクしたってメッセージで聞いたけど優人はもしかしてずっとこんな感じで過ごしてる訳?

あのリアル一コマで考え過ぎだろ、を?


「大丈夫か正也!」


優人が俺の方に駆け寄って来る。


「おう、大丈夫……」


心配させまいと、てか本気で自分で大丈夫だと思ってたのだが、そう答えて手を挙げようとした途端にフラッと来た。

どうやら体は思っていた以上に負担を感じていたらしい。 そのままバタンキューしかけて駆け寄って来た優人に受け止められる。 そうして自然と空を見る格好になり気付く。

うわっ、空が紫なんだけど。

これマジで死期が近ぇんじゃねぇの?

大体俺みたいな一般人がてめぇみたいなダーク系ドチート主人公と同程度の思考が出来ると思うなよ!

脳が焼き切れるわ!

それを全然考慮せずにフツーに何の抵抗もなく俺で試すとかイカれてんのか。

いや、最初からイカれてたな。


「大丈夫か?俺が分かるか?」


優人が俺を抱えながら肩を叩き聞いてくる。

要はAEDとかの図にある要救助者の図だ。

めちゃくちゃ納得行かない。


「まぁ、何とか」


俺に鬼畜な優人さんだろ?

分かるよ。

何かする時最初に言ってくれる?

同じ死にかけるでも最初に言われてるのと言われてないのじゃ全然違うから……。

死にかけるのは慣れたからまぁ良いんだけどね?

嫌な慣れだなぁ〜。


「で、スライムの名前どうすんの?」

受け止めたまま優人が聞いてくる。

今それ聞く?

クソめんどくせぇな……。

今(恐らく)てめぇのせいで脳死ぬほど使って死にそうなんだよ。

もうどうでも良い……。


「もうBで良いだろ。Mrs.Bで」


『もうそれでいいよー……』


(自分で認めたくはないが)今まで散々酷い例を言ってきたお陰でドアインザフェイス的な心理効果でも働いたんだろう。

割りと安直な提案だったにも関わらずすんなりと受け入れられた。

んじゃ俺が割りを食っただけで今までの話し合いは結局何だったんだよって話だが俺はそこまで考えが及ばず直ぐに意識が呑まれて行く。

脳を酷使した影響だろう。

もの凄く眠い。

そうして俺はそのまま泥のような眠りに落ちて行く……。

あ、そう言えばスライムでも別に不都合無くね?と思いながら……。

これからバンバンテンプレを消費して行きましょう!

最初に会った魔物が特殊個体。

凄いテンプレですね!

正也主人公っぽい!(白目)

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