表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傾世の暗殺者異世界に物申す  作者: 伊賀良太郎
第1章〜魔王暗殺〜
65/107

65軟体生物〜この世界は俺に厳し過ぎる〜

ま、まだクリスマスだよね。

クソ時間掛かった……。

――――正也 視点――――――――


その日は朝から気持ちいい位に晴れていた。

高い高い空に添え物のように小さな雲が太陽を隠す。

まさに旅日和。

俺達は久し振りのアウトドアにはしゃぎ、その日本では有り得ない広大な大地を楽しんでいた……。


最初の30分は……。


「あー、ちかれた〜。未だ着かねぇの?行っても行っても草ばっかだし。飽きた……。休みてぇ、ってかスナック食いてぇ。あぁ、懐かしきパーム油よ……。今いずこに……」


飽きた……。

ものっそい飽きた。

これ以上無い位にパーペキに飽きた。

A・KI・TA!

少し考えれば分かった話だ。

何故引き受けちゃったのか自分でも過去の自分が分からない。

バリバリの帰宅部だった貧弱高校生の俺に2、3日歩き続けろなんざ拷問に等しい。

道だって舗装されてる訳じゃない土丸出しのガタガタ道で余計な体力を消費する。

アスファルトの偉大さが分かるって話だ。

景観が変わればちったぁ気も紛れて良かったかも知れないが、流石異世界クオリティだ。

行けども行けども草ばかりです。

最初こそ見た時は地平線まで草で埋め尽くされる大草原の絶景にはしゃいだが、一旦見慣れてしまえば一切景色が変わらないだけの単なる拷問である。

ランニングマシンの方がまだマシだろう。

一応左手には林が見えるが、行く方向が林から逸れて居る為、もうそろそろ視界から消える。

そうなれば一面緑色の絨毯と化すだろう。

物凄く嫌だ。

だがここまではまだ許せる。

ものっそい嫌だがここまでは臍と苦虫一緒に噛んで100億歩譲って我慢出来る。

しかし、だ。

何故にイテナ(ラスボス)と一緒に歩かなきゃならんのだ。

胃が持たんわ馬鹿者!

こんな力持ってる異常者と四六時中一緒に居られるか!

今すぐ城に返してぇ!

俺まだ死にたく無いんですぅ!


「うるせぇな、黙って歩けねぇのか」


愚痴しか飛び出ない俺の口に恐れを為したのかメルトさんが怒鳴る。

な〜にを偉そうに馬を人質取られた分際で!

てめぇらのせいで歩いてんだ!

菓子折りの一つや二つ持ってこんかい!


「させーん」


とはチラッと思ったが、流石に此処で場を荒らす程頭がイカれた訳じゃないので素直に謝っとく。

あー、立場が弱いって不便。


それと今歩いて4時間弱。

一つ思ったんだけど……。


「魔物が居るって聞いた気がすんだけど気のせい?魔物どころか動物すら見かけないんだけど。アレか?現在アップデート中?」


見渡す限り大草原。

オモクソ平和である。

魔王によって人類は滅亡の危機に瀕しているだとかかんとか言うもんだからいかにもおどろおどろしい魔物が跳梁跋扈してるような滅亡寸前の世界をイメージしてたんだがイメージと違いすぎる。

これならまだ魔王より画鋲の方が危険そうである。

「あっぷ……?冒険者ギルド本部の近くなんだから間引きが進んでて当然だろ。ここら辺は一番安全な道だよ」


それは素晴らしいけど……。

それってどうなの?

つまりそれって強い人が沢山居て間引きしてるから魔物が居ない訳だけど、逆に需要過多で供給が少ないってことだよな?

それでやってけるの?

本部は間引きしてもしたりないような危険な所に居るような物じゃないの?

派遣業の目玉を遊ばせといて良い訳?

そのような趣旨のことを伝えるとメルトは微妙な顔をした。

どうやらメルトさんには質問が高度過ぎて分からなかったようだ……。

それを見かねたガルシアさんが助け船を出した。


「ギルド長は2年前の魔人侵攻を機にドレストに本拠地を移したんだ。魔人国との最前線にな。一応供給の方は林の中の魔物を狩るだけで足りてるよ。そこだけ見りゃあ赤字だが他の国から防衛費とか言ってガッツリ支援金分取ってるからな。A級とかを遊ばせておく猶予はある」


ギルド長えげつねぇ……。

まぁ、確かに報酬のピンはねじゃあ限界があるもんな。


「ん?噂をすれば魔物だな。ノーマルスライムか……。訓練には丁度良いだろ狩ってみろ」


ガルシアさんが指差した方向を見ると3体のスライムが道を渡っている所だった。

赤色の丸いボールのような姿だ。

動く度に体が水風船の様に波打つ。

ポヨンポヨンと時々跳ねる姿は可愛らしさすら覚える。


えっ?アレを攻撃すんの?

大丈夫?動物愛護団体から何か文句言われたりしない?

てか3体ってことは一人お留守番だぜ?

そんな事を思っていると無言で歩いていたイテナさんが喋った。


「3体か。じゃあ俺は遠慮しよう。見ていた方が面白そうだ」


見てた方が面白いって何だよ。

俺が道化だって言いてぇのかアァ?(被害妄想)

そうですか、そう仰るなら良いですよ、やりますよ。

モブの戦い見て後悔すんなよ?

俺は心の中で独り愚痴りながらスライムに≪審眼≫を発動させる。

実は(ヒマだったので)城に籠りながら密かに練習していたのだ。

その甲斐あってスキルレベルが2になっていた。

スライムABCのステータスを見て平均したのがこれだ。



――――――――――――

種族 ノーマルスライム

レベル 2

HP 22/22

MP 0/0


スキル

???


――――――――――――


だった。

スキルの欄が見えないのは俺の≪審眼≫のスキルレベルが足りないからだろう。

因みに今の俺のステータスがこれだ。


――――――――――――


名前 ムラヤマ・マサヤ

年齢 17

種族 ヒューマン

職業 学生・勇者

レベル 1

HP 21/21

MP 22/22

攻撃2

防御1

俊敏1


スキル

覚悟1(HP10%以下時攻撃10%上昇)審眼2剣術6


称号

斬滅の勇者(剣技に補正)、怠け者の天才(体力満タン時全能力50%ダウン。戻り方はレベルによる)


――――――――――――

最早ふざけてるのかと言いたいレベルだ。

デバフが強力過ぎる……ッ。

何で俺だけ初見縛りプレイをせにゃならんのだ!

アブノーマル過ぎるだろ。

モブの扱いが酷すぎる、終いにゃ泣くぞ神さん。

盛大に泣きたい気分だったが泣こうにも助けてくれそうな奴が居なさそうなのでただ魔物に殴られるだけなので涙は仕舞っとく。

俺と優人と咲良の3人でスライムの道を断つように立ちはだかる。

先ず最初に俺がしなきゃならないのは観察だ。

縛りプレイをする関係上ちょっとしたことが死に繋がる可能性がある。

優人がその気持ちを汲んでくれたのだろう。


「ハッ!」


一気に駆け出すとスライムA(仮称)を切り付け、先制攻撃を加える。

端から見るとボールを木刀でたたっ切るスイカ割りの図だが、本人はいたって真剣だ。

いや、ダジャレじゃなくて。

審眼で確認するとスライムAの体力は22から16に変わっていた。

優人の攻撃は1だったから俺の攻撃力と同じとして、成る程4回攻撃すれば死ぬ訳ね。


「優人、悪いんだけど一回攻撃受けてくれる?痛みとかもどんなのか知りたいし」


優人は防御が2だった訳だしまさか一撃で死ぬ訳じゃないだろう。


「分かった。しっかし随分必死になったね?前とはえらい違いだ」


そう言って優人は笑った。

爽やかなジェノサイドブラック(ドS的)な笑みだ。

それを見ると無性に怒りが沸いてくる。

散々追い詰めやがって……ッ!!足引っ張るのは神さんだけで十分なんだよ!


「うるへー!こちとら命の灯火が大嵐おおしけの真ん前まで来てんだよ!形振り構ってるヒマないの!さっさと行ってこいバッキャロー!」


優人は頷くと構えを解いて魔物に無防備な姿を見せた。

すると優人はスライムAのヘイトを稼いでいたのだろう。

スライムはボールのような体を震わせると口を開いた。


ブシュャア!


その口から緑色の液体が勢いよく噴出する。


「うわっ!」


声を上げたのは俺だ。

単純にびっくりしたのと、色が気持ち悪かったので思わず声が漏れたのだが、優人はびっくりした様子も見せず機械のように腕で顔の周りをガードした。

次の瞬間優人にその緑色の液体がかかった。


ジュワワワワァ……。


そんな音がしたかと思うと支給された革の服が煙を上げた。

いや、服だけでなく肌からもだ。

一瞬最悪な想像が頭をよぎって慌てて優人の状態を確認するが、幸い優人の肌が爛れているようなこともなく、ただ火傷したかのように赤くなっただけのようだ。

服もパッと見特に損傷はない。

ホッと一息吐いて優人に声を掛ける。


「大丈夫か?」


「凄い痛い。ヒリヒリする。でも耐えられない程じゃない」


命に別状がないことを確認するとどれだけHPが減ったのか審眼を使って確認してみる。


――――――――――――


名前 シジマ・ユウト

年齢 17

種族 ヒューマン

職業 学生・勇者

レベル 1

HP 22/28

MP 18/18

攻撃 1

防御 2

俊敏 1


スキル

身代わり1(味方の代わりにダメージを受ける。レベルによる制限あり)ゾーン4(全能力5%上昇。時間制限あり)魔力操作1(魔力を操作しやすくなる)剣術32(剣使用時の技術補正や攻撃力上昇。レベルによる制限あり)審眼2



称号

守護の勇者(防御力5%上昇)無慈悲なる者(無抵抗の相手のみ攻撃力5%上昇)天才(全能力5%上昇。思考速度上昇)


――――――――――――


うん、何時見ても反則だよね。

主人公の主人公たる所以を思いしらされるよ。

でもこれだけは言わせてくれ。

俺ばっかりいじめるのは良くないと思います!

いーけないんだー、いけないんだ。せーんせいに言ってやろ〜。

……マジで泣いて良いですか……?

モブの待遇改善を要求する!


……まぁ、それは一旦置いといて……。

優人が受けたダメージが6か……。

ってことは優人が防御2だから防御1の俺は2倍で12ダメージ。

残りHPは9……って待てよ怠け者の天才スロースターターで能力値が更に半分になってるから更に2倍で24。

残りは−3……って余裕で死んでるじゃねぇか!!ふざけんな!!

なんたるクソゲーだ……。

のっけからノーダメージ前提ってどゆこと!?

最初の雑魚敵だよね!?

実は魔王とかいうオチじゃないよね!?

なんて世界だ……。

俺これからこんなんでやっていけんの……?

この世界ちょっとモブに厳しすぎね……?


水曜日まで後二日しかない……。

遅れたりしても許して下さい……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ