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傾世の暗殺者異世界に物申す  作者: 伊賀良太郎
第1章〜魔王暗殺〜
64/107

64旅立ち

恐らく忘れているだろう日本人3人の紹介。

一人目

静寂優人

年齢17

攻撃1

防御2

俊敏1


ゲームプレイヤー。

GALとのゲームと高校生活を両立させていたが、いきなり異世界に召喚される。

自称神から撃たれて死んだ為に生き長らえさせようという説明を受けるが、確実に正也か咲良のどちらかを召喚させる為に行った事だと看破。

会話の記憶を消されるも、ボールペンの移動により正也を問い詰め神は敵だという確信を得る。

正也曰くダークゲーム世界のドチート主人公。


村山正也

年齢17

攻撃2

防御1

俊敏1


自分を主人公親友ポジと自称する元主人公。

優人との能力格差に牙を抜かれ、あっさり優人の従者ポジに収まった。

優人が異世界へ召喚される時に即座に優人に付いていくと断言する程の人情家。

初っぱなからデバフ系の称号を与えられ、今度神に会ったら殴ると心に決めている。

優人曰く怠け者の天才。


青島咲良

年齢17

攻撃1

防御1

俊敏1


海外に拐われたり事件に巻き込まれたりと極々普通の女子高生。

ちょっと不幸なのが珠に傷。

趣味はBLをかじる程度。

正也曰く漫画みたいな不幸少女。

ってか触れただけで花瓶割るとか有り得ねーっ。普通の不幸のレベルを遥かに越えてるわ!

もう一度念押ししますが普通の女子高生です。

――――イテナ 視点――――――――


勇者と名の付く我々四人が広間に到着すると、もう既に広間には夕碧の騎士団が勢揃いしており、更に大将のサリナまでそこに居た。


「うおっ、全員揃ってるの初めて見るかも」


横の正也がそう声を上げているが、確か初めて来た時にボロボロになって担ぎ込まれているのを見たのは全員だった筈だ。

それにサリナという大将を数に含めるのなら同じ大将として会ったバナーとか言う青年も含めるべきだろう。

だが、そのバナーについてはメルトという青年の前では禁句扱いになっている。

というのも先日ハッシュという青年がメルトに教えると絶対面倒臭い展開になるからと根回しに来た。

どうにもそのバナーから脅されたらしい。

以上のことから珍しく全員が揃っているという主張は正しい。

現に最初に担ぎ込まれてからは個々に修練を覗きに来る以外は殆んど接触はなかった。

そしてその珍しい事象が起きたということは更なる変化の助長だろう。

俺の予想が正しかったのか、ガルシアという青年がこう切り出した。


「いきなりで悪いんだがお前らはギルド本部へ連れていく為に隣町のドレストまで一緒に来てもらう」


そのいきなりな一言に優人青年は眉をしかめた。


「一切聞いていないのですが?そういう事前の準備が必要な案件は先に伝えておくべきでしょう。現に俺達は何の準備も出来て居ないのですが?」


優人のその言葉は言葉だけは異様に丁寧だったが、その実一切敬意を伴っていない。

聞きようによっては喧嘩を売ってるとも取れる内容だった。

それに気分を悪くしたのかガルシアは優人に向かって凄む。


「あ?準備はてめぇらに聞いても分からねぇだろうからこっちで王に頼んで用意してある。大体貴族じゃねぇんだから2、3日位地面の上に寝っ転がったって死にゃしねぇよ」


立ち振舞いから明らかにガルシアは貴族だと分かるんだがここでそう言ってもややこしくなるだけだから黙っておくか。


言い方や説得力はどうあれガルシアのもっともな正論は優人の抗議を火消しするどころか火に油を注いだだけだった。


「そうでは有りません。ここに拠点を築く為に行った行為が無駄になったのです。その一言があればその無駄な行動をすることは無かった訳ですから謝罪はあって然るべき事案だと思いますが?」


優人がその言い方をしたことでイテナは漸く優人の言いたいことが何か分かった。

というよりそれが何か思い出した。


あぁ、そう言えばメイドを2、3人抱き込んで味方にしていたな。

拠点を移動すればそれが無駄になる訳か。

二度手間とはご苦労なことだ。

しかし、街を移動か……。

分身(俺)としての役割はここで何か依頼の変更が有れば聞くか本体との顔繋ぎ役なんだが……。

俺は此処に残るか?

いや、メリットはないか。

正直ここに居てもやることがないな。

それよりかは修正した計画に乗って他の勇者と共に行動して陰が潜みやすい光を集める方が利口か。

俺は行くとしよう。


「まぁまぁまぁまぁ落ち着いて。別に移動するだけだし」


正也が優人をそう宥めると優人は驚く程あっさり矛を引いた。


「まぁ、正也がそう言うなら……」


向こう側もこれでは喧嘩になると悟ったようで、ハッシュがガルシアを押し退けて友好的に説明しだした。


「いやー、本当にごめん。本来これは最初から決まってたんだけど盗賊とかの関係で色々ゴチャゴチャしててさ、さっきギルドの方から催促の使者が来たんだよね」


「行かないとダメですか?ここ快適なのに」


咲良という少女がそう聞く。

恐らく地面に寝っ転がるという表現に不安を覚えたのだろう。


「うん、まぁそうだな。馬を人質に取られてるし……」


馬を人質とはこれまた面妖な言葉である。

聞けば必ず連れてくるようにとのことで、馬をギルド長に担保として取られているらしい。

何とも信用がないことである。


「そういうことなら仕方ねぇよ、行こうぜ?」


気を遣った正也がそう言って誘うとハッシュはホッとした顔をする。

笑顔になったハッシュが正也の肩を組んで叩くと驚いた正也が慌ててハッシュの胸の辺りを見る。

そこには黒いレザー服の上に龍の刺繍があった。

その緻密な姿には高度な技術が窺われる。


「おっ、これか?イカスだろ?中々見る目あるな!最っ高にカッケェ模様だ。やっぱ男はこうでないとな!」


「はぁ……」


正也は仕立てがどうとか男がどうとか散々に自慢するハッシュから脱出すると咲良にボソッと聞いた。


「あれ、チンピラに扮装したおねぇさんにしか見えないって教えない方が良いんだよな……?」


「多分……」


どうやら性別を勘違いしていたようである。

失礼極まりない。


こうしてサリナからも王族の許可印を貰い、正式に勇者達四人と夕碧の騎士団はドレスト行きが決定した。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「いやー、にしても冒険者かぁ……。随分とゲームや小説っぽくなって来たじゃん?」


広間でのやり取りを済ませ廊下に四人で歩いていた所、上機嫌に正也が話を振ると優人は面白くなさそうな顔をした。


「正也がそうしたいなら反対しないけど、冒険者なんて戦力目当てに方々へ駆り出される理由を作るだけだろ?それなら商売でもやった方が幾らか利口じゃないか?」


冒険者になるべきじゃないと暗主張する優人に正也は苦笑いした。


「それが主人公の言い草かよ……。空気読めよ、そういうのは自分からやるもんだぜ?それに只の制度だろ?何か言われたらどっか逃げようぜ。それに商人になってもギルドとかあって既得権益とか色々面倒臭いこと有りそうじゃん」


ラノベとかでもそういうの有ったし、と続ける正也。


「武力を扱う組織に属するのが駄目なんだよ。金で雇われる奴ら位なら返り討ちにする自信があるけど武力を商売にする組織だと面子とか何かで金で動かない奴も動くだろう?そっちの方が厄介だ」


優人が考えるのはS級達のことだ。

パーティで冒険者ギルドそのものを上回る武力を持ち、更に私兵を束ねている所もある。

シスクスにそのことを聞いた時、更に突っ込んで聞いてみれば好き勝手やっている連中を何とかギルド長が組織に引きずり込んだと聞かされた。

裏を返せばそのギルド長の反感を買えばそのS級を差し向けられても不思議ではない。

その証拠にメルト達夕碧の騎士団もS級であり、S級唯一ギルド長の子飼である。


「レベルが1の癖に随分な自信だなぁ。ハハッ、なら冒険者になって困った時はその調子で頼むよ主人公」


正也は軽い調子で答えるとまるで取り合わない。

優人の言い分は相手がS級でさえなければ返り討ちに出来るというもの。

現実感がまるで無かったのだ。


「はぁ、分かったよ。やれるだけやるさ」


諦めた優人は溜め息を吐いた。


「んじゃ、俺は寝ます!また明日」


「アタシも」


二人はそう言い残してそれぞれの部屋に戻って行った。

まだかなり日は高いのだが他にすることも無いのだろう。

最近二人は頭が痛くなるまで寝まくりの生活を送っている。

優人はその時間味方を作る無駄行為に勤しんでいたのだが。

二人が居なくなったのを確かめた後、優人は前から視線を動かさずイテナに聞いた。


「で、聞くのが最後になりましたけど。どうなんですか?」


イテナもそれに合わせ一切視線を移動させずに答えた。


「どう、とは?」


何とも言えぬ緊張感が辺りに漂う。

先程のアットホームな空気とは違い、何時でも飛び掛からんばかりに体を強張らせた優人が放つ微弱な殺気。

一気に殺伐とした雰囲気となった。


「ですから先程の決定です」


あまりにも真剣味を帯びた優人の口調にイテナは思わずフッと軽く笑った。


「それは既に決まったことだろう。今更変えられると?」


別に特に異論は無かったが、真剣な態度を取る優人に小さな意地悪を敢行する。


「鋭意努力をしますが?」


逆らうべきでない相手をしっかりと心得ている。

格好から方法まで幼さは残るが何とか及第点だろう。


「今から暗殺ギルドに入るべきだと思うが?」


小さな宰相に無茶を言うと優人はピクリと眉を動かす。


「それが本意ならば善処しましょう」


暗に嘘を吐くなと伝える優人にイテナは笑みを深める。


「フム、まぁ、冗談だ。特に異論は無い」


手を上げて降参のポーズをすると本意を伝える。

優人は形容し難い顔をするとその顔を隠すように頭を下げた。

優人は低頭しながらまるで従者のように許可を求めた。


「では、使用人を繋げておく作業が残っているので失礼します」


優人はそのままカツカツと自分の部屋に戻る。

その歩幅と速度から怒りがイテナの方まで伝わって来た。

それを訳すなら「何時までも従っていると思うなよ」だろうか。

隠し通す気がない反意にイテナは思わず噴き出した。


「ハハッ、未だ未だ感情のコントロールが甘いな。だが使えそうな駒ではある。核心に触れるまでは尻尾を振ってくれるだろう」

一人呟くと遠ざかる優人を見てイテナは人が悪そうな笑みを浮かべるのだった……。


最近文字数少ないですすみませんm(__)m

いや、手抜きしてる訳じゃなくてですね、ただちょっと3人称から1人称に戻り難くて。

ほんとなんです刑事さん。


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