47メルト外伝紅の墓標28天使の誘惑悪魔の偽証2
オメガの前に居たヨキは怒り故か手に握った刀がガタガタと揺れていた。
嘗ての部下が敵を排除する為の剣を自らに向け憤りを見せる。
そんな姿にオメガは怒りを加速させた。
我が国を滅ぼした魔王に、魔王に負けた自分に。
「(目の前が……非道を招いたフォルダへの……あの時負けた自らへの怒りで……歪む……ッ!!
ダメだ冷静になれ、今ここで怒りに囚われた所で益することはない……。呑み込んで自らの糧にしなければ……。早く力を取り戻しフォルダを殺す。私が怒り狂うのはその時だけで良い……ッ!!)」
オメガは爆発しそうな怒りをなんとか収めヨキへ向き直る。
今のヨキは自らの失敗の過去その物だ。
目を背けることは出来ない。
「……大事ないか?……」
何か言おうとして……言葉に詰まり、惑い、ようやく絞り出した一言。
無難な言葉であった。
何の捻りもない心配する言葉。
その小さな探るような呟きは束の間の静寂を裂くには十分だった。
ヨキは少し震えたかと思うとその顔を般若へと変えた。
「貴様ァァアアア!!負けた貴様が何か言えた義理かァァアアア!!≪擬態解除≫!!」
一言下ヨキは悪魔へと姿を変えながら突っ込んで来た。
空中で体が一回り大きくなり、紫色の顔が犬に似た化け物になる。
オメガは振るわれた拳や刀を避けながら説得しようとして……諦める。
話は通じそうにないし、通じたとて何を話したら良いか分からなかったからだ。
オメガの中に激情が舞う。
フォルダとはなんたる外道の極み!!
私はこの部下を殴らなければならないのか!
護るために努力して来た筈の物に牙を向けさせられる。
その事実たるや凄まじい威力を持ち、身を引き裂かれるような疼痛がオメガの胸に走る。
しかし、ここで死ぬ訳にも行かない。
殺す必要はない、動きさえ止められれば良い。
そう思ったオメガは一端距離を取り、悪魔と化した。
「≪擬態解除≫……」
現れたのは狼のように口周辺が突き出た紫色の化け物。
全身がパンプアップしヨキと同じく体長は二メートル程、筋肉の塊と呼べる程全身に筋肉がみっしりと付き、表皮はまるで岩の様にザラザラゴツゴツとしている。
それは先程までの高貴さは欠片もないただの化け物。
それはまるでオメガの怒り狂った内心が表面化したようであった。
オメガはその姿が気に食わなかったようで、小さく舌打ちした。
「チッ、最終階梯に至るまでは回復していないか……ならばこのまま強化するしかあるまい……≪纏禍≫!」
魔力として漂うオメガの力、それが黒い魔力となって全身を余さず包む。
更にそれでは飽きたらずオーラのように身体中から吹き上がる。
やはり本家使用者なだけあってメルトのように拳程度の範囲しか包めないような未熟者とは格が違う。
この黒い魔力は外部にある濃厚な純度の高いエネルギーで、それを使うことで攻撃時は相手の破壊に使われるエネルギーが格段に上昇しより高い破壊力を持ち、防御に転用すれば攻撃自体は防げないものの、爆発反応装甲と同じ効果がある。
「随分と弱体化した物だな……≪魔剣召喚≫!」
そのスキルを発動した途端にオメガの手には長い刀身に赤い紋様の刻まれた魔法剣が握られていた。
加工が難しいと言われる刀身も長く、意匠も凝られており、まさに皇帝が持つに相応しい剣だ。
因みに剣は他の者に打って貰ったが魔法を付与したのはオメガ自身だ。
「≪操炎≫!チッ、ここまでか」
刀身で炎が燃え上がり火花がパチパチと溢れる。
柄元近くまで燃えているが熱くないのか特に身動ぎすることは無い。
オメガはまた舌打ちをする。
今オメガが手にしてる力は全盛期には遠く及ばない。
早く部下を救出したい焦燥感と得た筈の力を失ったことで生まれた特大の無力感に身を焼かれたのだ。
全盛期の力ですら3日間戦ったとは言えフォルダには届かなかった。
早急に全盛期を越える力を手に入れなければならない。
「それが貴様の力かオメガ。フンッ!!陛下には遠く及ばない」
見下すような口調でヨキから紡がれた言葉。
しかし、オメガはその言葉に微かな違和感を覚えた。
まるで、自分の本心からでは無いように感じたのだ。
そして言葉に宿った絶大なる「フォルダ」への敬意。
そして感情を抑え人形のような顔付き。
そこから導き出した答えにオメガは唇の震えを抑え、声が震えていないことを確認しながら自らの恐ろしい考えを口に出した。
「まさか…………まさか、洗脳されたのか?」
洗脳魔法。
通称廃人量産魔法。
記憶の一部を改竄し都合の良いことを吹き込み対象を己の手駒と化す魔法。
効果は強力だが、当然欠点も多い。
繊細な作業を必要とされる為、熟練者でも60%と成功率が低い。
特に洗脳を相手が拒否すれば抵抗され難易度が極端に跳ね上がり、実質0%となる。
更に脳の記憶を弄るため少し間違えば頭の飛んだ廃人が出来上がるだけだ。
そんな危険な物を受ける訳がない。
オメガのそんな希望が微かに残った言葉は当の本人によって絶望に叩き落とされる。
「ええ、それが魔王軍入隊の条件だったので」
「バカな……ッ!!」
元敵である者を洗脳して手元におくだけでは飽きたらず、その者を戦力として扱き使い自らは高見の見物でふんぞり返る。
なんたる外道であろうか。
オメガの頭はその一言が激情と共に渦巻いた。
魔王の悪辣なる趣味嗜好に恐怖し、憤怒し、侮蔑する。
「なので私は貴方には憎しみしか残って居りません。だから死ね。陛下の御為に」
ヨキの悪魔と化した顔には作られた憎しみが浮かんでいた。
「≪玲瓏たる氷の調べ≫」
パキィィン!!
大質量の氷の塊がヨキより押し寄せる。
まるで氷河のようにゴリゴリと凄い音でオメガを押し潰さんと切迫する。
フォルダへの怒りに囚われていた為、咄嗟に反応できなかったオメガは我に返り氷を避けることを選択する。
「≪バーニングスラッシュ≫!!」
氷の一ヶ所を炎の斬撃で切り崩し、溶かしながら避ける。
氷塊を崩していき、最後氷塊より離脱する瞬間。
「≪神剣千列≫」
そこには天を覆い尽くす千の氷刃。
鋭利に尖るその刃が逃れようのないオメガに狙い澄ましていた。
「≪神速烈弾≫!!」
その言葉を合図にオメガへと猪突猛進する刃。
「クッ!≪ヘルフレイム≫!!」
ヘルフレイム。
そのスキル技はは本来指定した範囲を地獄の業火で焼き付くすというもの。
しかし、幾ら氷の刃が燃やせるとして通常通り使用しては一部分のみを切り開くことしか出来ない。
その為オメガは自らを中心としてヘルフレイムの範囲を指定した。
要は自分ごと燃やしたのだ。
当然自らにもダメージは来るがそれは承知の上。
魔法防御の付与された防具で護る。
長年の酷使で多少傷んでいるが腐っても小国ながら国の粋を結集してオメガの為に作られた品。
しっかりと役目を果たしダメージを最小限に抑える。
シュゥウウ……。
しかし、無傷とは行かずオメガの体から煙が上がる。
「随分と無茶をしますね」
「負けられぬ。私のこの身には14万の民の幸せが掛かっている。無茶ぐらいで済むのなら安い物だ」
「貴様は既に一人だ。王を語るな」
悪魔の国は既に崩壊し跡形もない。
そんな国の皇帝を名乗るなど恥知らずもいいところだ。
「その14万の民の中にはヨキ、お前も入っている。今助ける」
「……≪氷域≫」
何も語らずヨキは淡々と自らに有利な戦闘域を作り始める。
「貴方はもう、誰も助けることは出来ない。残念です。≪神誓の氷結≫」
パキィィン!!
オメガの周りを氷のオブジェクトで凍らせる。
しかしヨキはそこで止まることなく更に次を準備する。
「≪氷棺≫!≪玲瓏たる氷の調べ≫!≪氷壁≫!!≪氷郭≫」
更に巨大な氷でオメガを氷漬けにしていく。
そこそこ広い部屋が完全に氷に沈み無事なのはヨキの周りだけだ。
魔王の城に冷風が吹き荒れる。
「――――ォオ!!」
地の底から叫ぶような咆哮。
それを聞いたヨキは軽く溜め息を吐く。
「ああ、駄目でしたか。此で終われば……」
良かったのに……という言葉はオメガの咆哮によってかき消された。
「――――――――――――ォオ!!」
バキバキという音と共に氷にヒビが入る。
ジュワァァ……。
部屋の中に奇妙な音が響く。
奇妙な音の発生源は部屋の中心部。
丁度オメガが居る辺りだ。
「ォォォォォオオオオオ!!≪バーニングフルバズーカ≫!!」
熱線が舞う。
オメガの咆哮と共に熱線が放たれ天井を破壊し天まで届く。
立ち上る熱線に氷が一気に蒸発する。
熱線により眩い光に包まれた部屋の中オメガが炎に包まれつつ此方へ向かって来る。
「≪炎神≫のスキル……」
ヨキはゴクリと唾を飲み込む。
既に辺りの気温は上昇し、ヨキの口の中は渇いて来た。
恐らくこの唾がヨキの口に残った最後の水分だろう。
オメガはオーラのように炎を身に纏いゆったりと王の風格を持ってヨキに近付いて来る。
「≪神剣千列≫!≪神速烈弾≫!!」
千の氷の刃がオメガを狙い飛んで行く。
「やはり……」
しかしオメガには届かない。
氷の刃が向かった端から蒸発していく……。
氷が溶けたことで発生した蒸気がまるでオメガから噴き出す煙のように見えた。
「無駄だ。少し眠れ」
チュイン。
オメガは後少しだった距離を強引に詰め拳でヨキの鳩尾を突く。
ドス!!
「グハァ……」
ヨキはそのまま崩れ落ちるように倒れた。
オメガは倒れたヨキを抱き起こすと声を掛けた。
「息はあるか?」
「ええ、何とか。立てそうにはありませんが」
ヨキは鳩尾を抑えながら苦しそうに答えた。
「そうか……」
ホッとしたような顔、どうやら本気で心配していたようだ。
「貴方の勝ちです……今なら此処で止められると思ったのですが……貴方が死ねばそこで悲劇が終わる筈でした……殺してください」
ヨキは力の抜けた笑みで自らの死を願う。
「嘘が下手だな……」
それに対するオメガの返答は少し意外なものだった。
ヨキは素早く頭を回転させ嘘が何処までバレたか、全てを覚られないように答えた。
「何が嘘だと?」
下手だと言われたヨキは顔を引きつらせ答えた。
「洗脳は受けたかも知れない。だが私に悪感情等持っていないだろう……」
ヨキはその答えに心底ホッとした。
まだ全てはバレていないらしい。
「それ、バレてましたか……」
ヨキは苦笑いを返す。
「当たり前だ。初めに会った時にオメガ様と言ってそれを誤魔化しただろう?それで騙される方がどうかしている」
「ははは……私に悪感情を持てば殺してくれるかと思い……」
ヨキがそう言えばオメガは心外だという苦い顔をした。
「バカにするな。私は民は決して見捨てない。必ずな」
ヨキはその言葉に目頭を抑えると震える声で言った。
「それは無理です。何処かで諦めねばなりません。私のように手遅れの者も居るのですから」
ヨキは微笑んだ。
それは死を受け入れた冷たい笑みだった。
「そんなことは無いクールスタイン。人生手遅れなどと言う物は在りはしないのだから。何度だってやり直せる」
クールスタイン。
その名前を言った瞬間ヨキはピクリと眉を動かした。
「私の名を……只の馬周りの士に過ぎぬ私を知っておいでなのですか?」
その言葉を聞いたオメガはやはり先程と同じような心外だという顔をすると言った。
「バカにするな。ヨキ=クールスタイン。私の近衛兵だ。魔人国内で誕生し、他三名と共に我が国の住民となった。青が好きだったか」
それはヨキの近衛をしていた時の情報だった。
ただの一つも誤りがない。
「そんなことまで……」
「睡眠も生殖も食事も必要としない民が皆心豊かな国。そんな国の皇帝を100年以上やって来たのだ。先導者として他にすることなどあろう筈もない」
そんなことはない筈なのだがその全てをこなすオメガにそねようなことを言われれば不思議とそんな気がしてくる。
「全く……オメガ様には敵いません」
ピピピピピ……。
辺りに不穏な電子音が響く。
ヨキとしてはもう少し話して居たかったのだが終焉を告げる鐘の音は待ってくれそうもなかった。
「ああ、時間切れですか……オメガ様、ここでお別れです。危ないですので離れて下さい」
ヨキは笑顔になるとそんなことを言った。
それは死を覚悟した透き通った笑みだった……。
「何故離れねばならん……」
単純な疑問だった。
そしてオメガは直ぐにその問いを発したことを後悔することになる。
「私が負けて戻ることはありません。勝つか死ぬかのどちらかです」
オメガはその言葉に強烈な嫌な予感がした。
その先は早く聞かなくてはならない。
しかし聞いてはならない。
そんな相反する二律背反がオメガを苦しめ、そんな彼を見かねたヨキが続けた。
「私の胸には死にそうになった時炸裂する爆弾が埋め込まれています。死なば諸共と言うわけですね」
「バッ!バカな……ッ!!」
ヨキの最悪な宣告にオメガはたじろく。
その言葉は胸に爆弾を持っていない筈のオメガに似たような効果をおよぼしたのだ。
そんなオメガを少し嬉しそうに眺めながらヨキは寂しそうに言った。
「私に演技の才能が無かったことが残念でなりません。オメガ様が私を殺してくれればこの様なさまを見せなくて済んだのですが……」
お下がり下さいと重ねて言い、下がったことで空いたスペースに結界にによるドームを作る。
死刑台でトルダに張った物と同じ物だ。
「ね?言ったでしょう?どんなに頑張った所で救えない物は幾らでも有るのですよ」
その言葉を最後に声が聞こえない程分厚い結界のドームが二人を阻んだ。
その厚さはトルダに張った時に比べて数倍の厚さだ。
幾らオメガだとて好きには出来ない。
ピピピピピピピピピピピ!!
胸から響いて来る信号音が次第に大きくなりヨキに生きる手段を見つけさせようと脳がヨキに走馬灯を見せる。
〜〜〜〜魔人国魔王城〜〜〜〜〜〜〜〜
私は陛下の素晴らしさこの国の素晴らしさを全身で感じ幸せの絶頂に居た。 確かに洗脳魔法によって作られた感情だったが、そんなことは当時の私に取って大したことではなかった。
私が浮かれて廊下を歩くなか隣から声が掛けられた。
「オイ貴様。目障りだ。静かに歩け」
そうしてその時、陛下と出会ったのだった……。
「こ、これは陛下!!申し訳ありません!!」
即座に私が最敬礼で謝意を表する。
この当時初対面であったが、肖像画などで事前に知っていたので素早く対処できた。
もし知らなければ失礼な態度を取っていたかも知れないとその時の私は背中に冷や汗をかいていた。
「貴様は……見たことない顔だが……」
陛下は探りを入れて居るのか言葉尻を濁すようにしてカマを掛けてきた。
恐らくスパイか何かだと勘繰ったのだろう。
それで余計なことを喋らせようとして不安を与えカマを掛けてきた。
とんでもない思考の早さに行動力。
ある一部の人が陛下を神と崇めるのも少し分かる。
「以前より入隊しました。ヨキと申します」
その言葉を聞いた瞬間ピクリと眉を動かした。
その名に聞き覚えでもあったのだろうか。
それも当然だ。
テセトなどの例外も居るとは言え魔王軍では魔人以外の種族は基本排斥している。
そこに悪魔族だ。
名前くらい知っていてもおかしくはない。
「此方へ来い」
突然の陛下の命令に従い近くに寄る。
今の私に取ってこの命令は至上命令だ。
全てにおいて完璧に遂行しなければならない。
陛下は膝まづいた私の頭に片手を置き短く一言。
「ハッ!」
その言葉を合図に今まで靄が掛かっていた思考が急速に晴れていく。
どうやら陛下が……いや、フォルダが洗脳魔法を解いたようだ。
私はその途端、憎しみを込めた目をフォルダへと向ける。
「何故この様なことを?こうなった以上、私は裏切りますよ?」
当然だ。
今助けられたとしても今までの仕打ちを忘れることなど決してない。
むしろオメガ様を痛め付けた恨みは加速して増え続けるだろう。
しかし私の言葉を聞いたフォルダはフンッ、と鼻で笑った。
「思い上がるな屑が!貴様ごときが裏切ろうと魔王軍は小揺るぎもせん。貴様の飼い主に契約違反だ何だと責められるのも業腹だしな」
その時からだ。
私が陛下を恨めなくなったのは。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その一切容赦が無い口調とは裏腹の慈悲に溢れた行動。
最早陛下が天の邪鬼にしか見えなくなったのだ。
そんな陛下と過ごす内に陛下の為に死のうと何度も思った。
胸についた爆弾が誇らしくて仕方が無かった時でさえあった。
しかし、私はそれと引き換えに憎しみの対象を失った。
最初は良かった。
自らを平和から戦乱へと落とし込んだ陛下を恨んでさえいれば良かったのだから。
だが私が陛下を憎めなくなってからは大変だった。
元々私の心は誰かを恨んで心を保っていたような物だ。
それが心の支えを失ったらどうなるか。
結果は火を見るより明らか。
私の心の中には訳の分からないおりや淀みが溜まって濁って行き煮えたぎったまま蓋が開かない。
苦しい、憎い。
だが何が憎いのかは分からない。
唾を吐いた筈の神でさえ救いを求め、諦める日々。
こんな私を陛下は親衛隊に入れ、ひいては隊長にさえしてくれた。
四天王と同じ権威を持つ地位だ。
決して裏切るかも知れない余所者に与える地位ではない。
こんな私をオメガ様は救うと言ってくれた。
貴方を裏切り、憎しみさえ与えた男を。
決して救われて良い筈が無いのに。
こんな私をテセトは認めてくれた。
言い方は気に入った物じゃ無かったが認めてくれたのは確かだ。
誰か一人でも憎めたらどんなに良かったか。
誰か一人でも恨めればどんなに救われたことか……。
ピピピピピピピピピピピ!!
ああ、本当にもう時間が無い。
「結局私は……オメガ様も……陛下も……人間でさえも……誰一人憎めなかった……」
ズドォォン!!
その無慈悲な音と共にヨキの意識は闇に呑まれて行った……。
「ヨキィィィィイイイイイ!!!!」
一瞬倍くらいまで膨れ上がった結界は破れることなく元の大きさに戻った。
最後の主人の望み通りオメガを守ったのだ。
そのまま魔力供給源を失った結界は役目を終えたようにゆっくりと消えていった。
オメガは微かな希望と共に必至で中を覗く。
そこに残っていたのは爆発による黒煙、何かが焼ける匂い、ヨキの使っていた刀、そして肉片のみだった……。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
オメガは絶叫した。
後少しだった。
後少しだったのに……届かなかった……。
オメガを包む絶望は振り切れ……そして一気にフォルダへの怒りに、憎しみに変換される。
この時にヨキがオメガに向けた空虚な憎しみは実を伴うオメガのフォルダへの憎しみへと変わり連鎖していく。
「許さん……ッ!!貴様の全てを否定してくれるッ!!フォルダ!!」
ズドォォン!!
オメガの絶望の叫びが憎しみの叫びへと変わった時、魔人国より飛来していた終焉を告げる鐘の音が到着する。
そう、魔王フォルダその人であった……。
分けようかと思いましたが大した分量じゃなかったので一緒にしました。すみませんm(__)m
戦闘シーン辺りからドラゴンボール見ながらやったせいで雑ですね。
チュインドス!!とかそのままでした。
すみませんでしたm(__)m




