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傾世の暗殺者異世界に物申す  作者: 伊賀良太郎
第1章〜魔王暗殺〜
27/107

27メルト外伝紅の墓標8

遅れてすみませんm(__)m


「≪ボルケーノスマッシュ≫!」


ガルシアから幾つもの火の付いた火山弾がダルクへと殺到する。


「何度言やぁ分かんだ!ムダなんだよ!」


ボカァン!ボカン!


確かな質量を持った筈のそれはダルクには届かない。

爆煙の向こうから表れたダルクは無傷。


「何だこりゃあ?蝋燭か?」


一つ火山弾を手にしていたダルクはその台詞と共に握り潰す。

ボカァン!


形状としては岩と言うよりも炮烙火矢に近い弾は魔法通り爆発するもダルクに対してダメージを与えた様子はない。


「(さっきは当たりさえしなかったのに今度はダメージは入って無いものの攻撃自体は当たった……。一体どうなってやがる……)」


ガルシアとしてはファイヤーボールとボルケーノスマッシュ、相手の能力を測るために同系統の魔法を確認を兼ね放った積もりであった。


しかし結果は違っていた。

全くの真逆と言っていい。

片やファイヤーボールは掻き消され、ボルケーノスマッシュは肉体能力の壁を突破こそ出来なかったものの当てる事は充分に可能だった。


「(試してみるか……)≪ディグ≫!≪ウィング≫!」


ダルクの足下に作った落とし穴はダルクの足が触れてる所のみ残し20センチ程凹み、ダルクに放った風速30メートルを越える大風は効いた様子は無い。


「(やっぱり魔力を基にする魔法は効かない。吸収……いや、魔力の流れは感じられない。分解か)」


ファイヤーボールは魔力を燃料に燃えていたから発動せずボルケーノスマッシュは既に衝撃による爆発という機構が存在していたため、ガルシアはそう看破する。


目の前にある理不尽に対し冷静に分析し答えを出す。

普段から頭脳派を自称するだけあって即座に対応している様は流石である。


「ムダ!!ムダ!!ムダァ!!魔法使いじゃ俺を倒すことは不可能だ!

俺を倒したきゃ剣士や闘士でも連れてきな!お前じゃ勝てねぇよ!!」


マシンガンのように言葉を紡ぐダルク。

もしかすればその癖は短い余命の間に何か少しでも遺そうという気持ちのあらわれなのかも知れない。

彼は人体実験を受けており、余命は3年と短い。


しかしガルシアは剣士を連れてこいという言葉に眉をピクリと動かす。

原動力は怒りだ。

腐っても貴族、それも侯爵家の跡継ぎという生粋の貴族であるガルシアは感情を抑え込み表情に出さない訓練を受けており、それを得意としていた。

そんなガルシアでも表情に出るのが抑えきれなかった。


それほどの怒り。


「誰が剣士バレインに勝てねぇって?

誰が剣士バレインに劣るって?

冗談じゃねぇ……。

つまらねぇギャグぶっこいてるヒマがあったらとっとと掛かってこい!

ぶち殺すぞ!!」


バレインとガルシアの仲は悪い。

元々反りがあわない上に過去の事件によりその溝は深い。


そして互いに高いライバル意識を抱いている。

本来なら真っ先に潰し合ってる程に互いを邪魔に思っている存在だが、それでも同じパーティを組み背中を合わせていられるのは単にメルトのおせいだ。

すぐに殺し合う程に仲の悪い彼らだがメルトによって強引に同じ方向に向かされている。


だが、それでガルシアの不快感が消える訳ではない。

バレインへの黒めの感情が燻っている所へ先程の言葉である。

気分が良い訳がなかった。


「ハッ!テメェみたいな魔術士ごときがこのダルク様に勝てるか!?

ムリだ!!何せ魔法を当てる事すら出来ねぇんだからなッ!」


魔法に対し完全耐性を得ていると言って良いダルクにとって魔術士等敵ではない。

ただの路傍の石に等しい。


ガルシアはバレインより劣ると言われた不快感に魔法そのものを侮辱するような発言。

最早ダルクの全てが気に入らなくなっていた。


「先ずは攻撃を当てさせてもらう。≪グラビティ0≫!」


周りに落ちている家の一メートル近い破片を持ち上げる。

本来なら非力なガルシアなら持ち上げる事はおろか数ミリ浮かす事さえ不可能だろう。


土魔法上級技グラビティ。

指定した物体に掛かる重力を自在に操作する事が出来る。

土魔法を専門に修めている者でも使える者は少ない。

使える者でも0、5Gから1、5Gまでしか操作する事が出来ないが元から魔法の天才であるガルシアは違う。

0〜2G。

全魔法を使えるパーフェクトウィザードでありながらこれである。

魔術師ギルドから嫌われて除籍処分になるのも頷ける。


「≪グラビティ2≫!」


ガルシアがダルク手の平を向け叫ぶ。


しかしそんな所で止まるようなガルシアではない。

彼の支配の及ぶ重力範囲は人より酷い。

普通の重力が及ぶ方向が空から地球に向かう言わば上から下、Y軸までの物だとしたらガルシアのそれはZ軸。

つまりは横だ。

指定した物体を指定した方向へ重力を掛ける。

つまり敵のいる方向へ自由落下の2倍速で突っ込んで行くのだ。


ヒュルルルル!


家の瓦礫がダルクに向かって風を唸らせて凄いスピードで飛んで行く。


しかしそれを見てもダルクは全く動じず右手を大きく振りかぶり……。


「だから言ってんだろ?無駄だって……」


ゴカン!!


呟きと共にその大きく握った右拳を飛んで来る瓦礫に叩き付ける。

大きな音が轟き瓦礫が幾つかの破片に割れてダルクの後方へと飛んで行く。


「いってぇな……」


右手を軽く二度振ると痛みに堪えかねたように舌で舐める。

血特有の鉄の味を味わいつつ顔をしかめる。


「ちょっと擦りむいちまったじゃねぇかクソが……」


拳に付いていた傷らしい傷は指に付いた少々の擦り傷や切り傷のみだ。


「嘘だろ……オイ」


瓦礫が直撃してちょっと擦りむいただけ、だと?

ガルシアは目の前の光景がまるで信じられなかった。

魔人と相対した事のあるどの魔人も少なくともダルク程の身体能力を有してはいなかった。


「嘘じゃねぇよ。俺をそこら辺の一般的な魔人といっしょくたにするんじゃねぇ。

俺達は上級魔人。これ位の事は訳はねぇ」


魔法を撃っても無効化される。

物理的に圧殺しようとしても身体能力の壁の前に為す術もない。


ダルクは全ての魔法使いにとって天敵に位置する存在だった……。


一時呆然とするガルシアの隙をダルクは見逃さない。

消えるようなスピードでガルシアに迫る。


「しまッ!≪ガード≫!」


ガルシアは咄嗟に防御魔法を発動し身を守るが、ダルクはそれを一才気にせず球形のバリアごとぶん殴る。


ゴバン!ゴバン!ゴバン!


まるで初対面時のリプレイの様に吹き飛ばされて幾つもの家屋を貫通していくガルシア。


「チッ!遊び時間が余っちまうじゃねぇか!」


ダルクはガルシアの余りの手応えの無さに憤り、思考の中身は既にガルシアを殺した後の暇潰しに移っている。

日はまだ高く約束の時間は遠い。


露天の物でも何か食うか、そう思いガルシアに止めをさそうと貫通した家の穴を辿ってガルシアを目指す。


ミシミシ……。


ダルクは最初穴のせいで不安定になった家屋が悲鳴を上げているのだと思った。

しかしそれは間違いだと直ぐに気付かされる事になる。


「……≪グラビティ2≫!」


ダルクが通路に出たのを見計らったようでガルシアが魔法を発動させる。


ガギギギ!


家が地面に少し掠りながらダルクの方に通常の2倍速で落ちてくる。

しかも、両側から。


避ける暇は無かった。

状況変化による一瞬の動揺を突かれ、その貴重な一瞬を消費してダルクの眼前に迫る。


ガシャァアン!!!!


ダルクは両側からハウスプレスを食らって押し潰される。

木片が辺りに飛び散り辺りに散乱する。


「ハッ!ざまぁねぇな……」


ガルシアが吹き飛ばされた格好のまま油断したダルクを嘲笑う。


普通、いくら魔人だとて両側から自由落下してきた家に潰されたら一溜まりもないだろう。


そう、普通なら。


『オイオイ!誰を相手してるか忘れてんのかぁ?

まさかこれで終わりってんじゃねぇだろうな!!』


ビキキキキッ……!


瓦礫の中から聞こえてくる声は正しくダルクの声だ。


ドゴン!!

ガシャァアン!!


轟音と共に残骸が吹き飛ばされ辺りに散乱し、開けたガルシアの視界にこれを為した男の姿が映る。


「無駄だっつっただろうが!!ハッ、ハッハァ!!」


無傷とは行かず体の所々怪我をしているが、どれも致命傷には程遠い。

むしろダルクを興奮させる程度の効果しかない。


ゴウゥ!


先程よりも速い動きにガルシアはガードする暇さえもない。


ドゴッ!


「うごあぁぁあ!」


明らかに不味い入り方をしたボディーブロウがガルシアを高く打ち据える。


花火のように高く上がったガルシアは遥か下に見える地面に対して備える為に軋みを上げる体の痛みを無視してバリアを張る。


「ぐっ、ガッ、≪ガード≫!」


しかし、ガルシアのガードが役立ったのは地面衝突に対してだけでは無かった。

それは、ダルクの第2波に対してである。


その常人離れした跳躍力でガルシアの上昇に追い付くと両手をハンマーの様に組み大きく振りかぶる。


ガシン!


ガードの明らかに聞こえては不味い音が辺りに響き、ガルシアは一気に下へと叩き付けられる。


ドゴン!!


辺りにポツポツと会った筈の石畳はあっさりと砕け散り、地盤が砕け小さめのクレーター出来ており、その上にガルシアの球と多少砕けてずれた岩盤が乗っている。


そして……第3波。


ガルシアを叩き付けた反動をも利用して更に高く上がったダルクは自由落下の勢いを使い、空気抵抗を少なくするためにガルシアに頭から突っ込んで来る。


右拳をガルシアに向け破壊力が一点になるように調整。

まるでダルクは一本の矢の様にガルシアに向かって落ちてくる。


ヒュルルルル!!


ガツン!


グワン……!


ダルクの拳がガルシアのガードに当たると、球形だった筈のバリアが大きく歪む。


「(なッ!!ガードまで分解して……!!)」


ガルシアを守る為の障壁が崩壊し全エネルギーがガルシアのお腹に突き刺さる。


「ぐわぁぁあ!!」


ダルクは折れて脱臼してしまった右腕をガルシアから引き戻し、止めをさそうと左手を振り上げようとした所でメッセージにより上官からの命令を受ける。

――撤退と。


「チッ!命拾いしたな!」


去り際のダルクの言葉にガルシアは返答する事が出来なかった。


気絶していたのだ。


おかしい。

本当におかしい。

コレ終わらなきゃ王城での話が終わんないから平行して進めときゃ本編が終わるまでに終わるだろと軽く考えてたのに……最初外伝四話位の積もりだったのに……。

全ッ然終わらねぇ!

なんだコレ!!

やべぇまだやりたいこと半分も消化しきれてないぞ!!

メルトに主人公乗っ取られる〜!

ただでさえ主人公の登場回少ないのに!!

うん、早く戻らないとブクマが増えないしどうしよう!

ホントマジでどうしよう!!

最初から改変して登場回数増やそうかな……。

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