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傾世の暗殺者異世界に物申す  作者: 伊賀良太郎
第1章〜魔王暗殺〜
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24 メルト外伝 紅の墓標5

遅れてすみませんm(__)m

「貴方に戦う理由は在るのですか?」


そう唐突に聞いてきたヨキにメルトは一瞬戸惑う。

それは別にヨキの言った内容に戸惑った訳ではなく、相手の意図が分からなかったからだ。


ヨキはメルトが黙った事を良い事に更に饒舌に語り出す。

どうやらそれはメルトに語っているというより他の誰か……彼の記憶の中に語っているようだった。


「ない筈だ。そうでしょう?君は冒険者だ?ギルドには討伐依頼さえ出されていない。戦うのは無駄な事ではありませんか?」


今私達が争う理由がない。

そう諭すように言うヨキにメルトは反発する。


「そいつを助けるって約束したんでな」


顎で示したのは黒い幕で覆われた少女の家族だ。


「ああ、コレはもう助かる術は無い。諦めろ」


無表情に真実を告げるヨキ。

アレを飲んだ者は助かったとしても魔族になる。それはメルトが考える助かるの意味にはならないだろう。

ヨキが何でもないことのようにそう吐き捨てる事に対してメルトは怒りを抑えることが出来ない。


「お前ら!!人を何だと思ってやがるッ……!」


怒気をあからさまに示すメルトにヨキは疑念を隠せない。


「作戦を成功させる上の必要最小限な犠牲です。君達は自らの種族を奴隷として自らの下に置き、それを使い潰すのでしょう?それに比べれば余程誉められた行為だとは思いませんか?」


他人と比べて自分のしている事は大した事ではない。

そう自らを正当化するようなヨキの言い方にメルトが噛みつく。


「ハッ、いくら他人と比べようがお前の罪は消えてなくなったりはしねぇんだよ!」


俺は悪くないと訴える人に関しては良く効く筈の言葉のはずだった。

しかしその言葉にヨキは顔をしかめ、メルトを蔑視する。


「……その冗談は不快ですよ。状況をわきまえて下さい」


ヨキは変な物を食べたとでも言わんばかりに苦い顔で本気で嫌がっている。

しかしその言葉をメルトは看過する事は出来なかった。


「冗談!?冗談だと!!お前……人の命を何だと思ってるんだ!!」


メルトは目の前の惨状を指差し憤怒の表情でヨキに食って掛かる。

倒れている者は皆苦悶の表情を浮かべながら絶えている。


「……必要だから殺したと言ったな……。……必要だからという身勝手な理由で……殺されたコイツらの気持ちが分かるのか!?」


分かる筈が無い!、そう続けようとしたメルトに信じられない言葉が飛び込んでくる。


「倫理的な問題とするならば先程の議論に戻りますが……ですが良いです。答えましょう。

ええ、分かりますよ。 少なくとも貴方より、恐らくここに倒れている誰よりも」


その内容を考えれば壮絶な告白であったがヨキの顔は変わらず平常時のままである。


「なッ!どういう意味だ……」


驚きの表情でヨキに詰め寄るメルトにヨキは知らん顔だ。


「答えたくありません。それよりも議題を戻しましょう。何故貴方は戦うのですか?」


既に人の為という偽善者的な答えでは納得出来ない、と告げ、ヨキはメルトの思いを読み取ろうと更に質問を重ねる。

メルトは少し迷った素振りを見せながらも素直に答える事を選択する。


「確かに人の為ってのも嘘じゃねぇが、正確じゃあねぇな。ほんとの事を言やぁただの私怨だ。何で俺達の村をムチャクチャにしたのか聞きたかったのさ」


ヨキは村と聞いて思い当たったのか納得しかけ、その無知蒙昧な表現の仕方に眉をひそめる。


「フム……貴方はメイナム村の出身でしたか……。しかし、その言い方は適切では無いでしょう。それではそちら側にだけ非がなかったようではありませんか」


その言葉に激怒したのはメルトだ。

人の命のみならず同村の人達まで侮られたと思ったからだ。


「許さねェ……!テメェらが村の皆を大量に殺してったんだろうがッ!」


メルトは目を細めるだけであの壮絶な日の光景が思い起こせる。

皆の無惨な死が、俺達のせいで済まされては皆が浮かばれない。

そう考え反論したのだが、その反論はヨキには届かない。


「人聞きの悪い。大量ではありません。12人です。その内の数人は戦いに巻き込まれて貴方が殺したような物だと聞いていますよ」


ヨキは彼の直属の上司であるロレックからの情報の為、主観的にはともかく具体的な数は正しいだろうと判断する。

正確さを愛する彼の事だ、聞き取りすらさせて数を検証しているだろう。


「たかが12人だと……そう簡単に割り切れる物か!」


あくまで少数を重んじ大局を見据えない彼の身勝手な主張に苛々していたヨキはこの言葉でついに怒りが頂点に到達する。


「黙れ。その件ではらわた煮えくり返ってるのは私の方だ。

わざわざ蒸し返すな。不快感まで甦って来るだろうが。

オメガさえ引き渡せば危害は加えないと門前で交渉すらした筈だ。それに矢を射掛けたのは貴様らなんだろう?自ら起こした戦いで出した被害を相手のせいにするな。

何が12人が割り切れないだ。弱ってるオメガを捕まえる為に探知専用非武装部隊が26人死んだ。

その報われない将兵の魂はどこへ行く!

後に控えてた殲滅部隊で村ごと消したかったさ。だが心優しい陛下の命令のお陰で貴様らを滅ぼすのを我慢してやったんだ。

陛下に感謝しろ」


誰に対しても丁寧なヨキにしては珍しく感情を露にした剣のような言葉だった。

それほどの怒りが彼を貫いたという証左だろう。

天を衝く程の怒りはチリチリとヨキの周りを質量を持ったオーラのように纏わり付き、彼の怒りの程を表している。

空気すら焼き尽くす程の怒りはメルトに一瞬気温が上昇したかのような錯覚を起こさせる。

だがそれに負けるようなメルトではない。


「ハッ、魔王に感謝するなんて、そんな親友テセトに顔向け出来ねぇこと誰がするか。

あの世に行った時笑われちゃあ堪らねぇ。

何故戦うのかって聞いたよな?教えてやるよ。

死んじまったテセトの夢を叶えるのにお前らが邪魔だ。

だから潰す。それだけだ」


メルトは思い出す。あまりにも優しい願いを抱き、そして襲撃に死んでいった少年の名を。


〜〜〜〜あの日の夢〜〜〜〜〜〜〜〜


夏の爽やかな風そよぐ草原で五人の男女が集まっている。


門が見える程度の外であり、魔物等の危険は村内とほぼ同意義の安全と言って良い場所である。


彼らの年の頃は5、6歳といった頃だろうか。

それぞれメルト、ハッシュ、リタ、バナー、テセトである。

良く一緒に遊ぶ悪ガキ達であり、この草が気持ちいい原は彼らの秘密基地である。


そしてその日の彼らはどうしてそうなったのかは定かではないが、彼らの希望の象徴である将来の展望を話し合っていた。


「俺は強ぇ冒険者になる!そんでもって、もっともっと強くなってやる!」


メルトの要領を得ない夢であるが、その夢の基盤となっているのはメイナム村に来る冒険者が死にやすく態度がでかい事に起因しているのだろう。

期待だけさせておいてあっさり死んでいった冒険者を心の底で蔑んでいたのだ。

弱くズルい冒険者ではなく強く誇り高い冒険者になりたいという事なんだろう。


「ププッ」


それを聞いて少年テセトはかわいらしく2つの握りこぶしを口元にあて、全身で笑っている事をアピールする。


「何笑ってんだテメェ!」


5、6歳の少年だとは信じ難いほどに口が悪いメルト。

恐らく……というか確実に父親の影響だろう。

彼の父親は子供に悪影響を与える典型的な反省してほしい父親である。


「だってメルト君いっつもおんなじこと言ってるんだもん!」


勝ち気な、くりっとした目を向けて可愛らしく笑うテセトにメルトは口汚く反論する。


「ああ?んなもんみんな同じだろうが!なぁ?テメェらはどうするんだ?」


皆同じだろうが何だろうが一番言ってるのはメルトなのだが、子供理論で正論は粉砕される。


「おれはお父さんの店をつぎたいな」


ハッシュの父は料理屋を営んでいる。

と言っても村の小さな食堂であり経営は厳しい。

母が貯めていた金を切り崩してなんとかもっているような店だ。

つぎたいと言っても店が無くなってしまう可能性すらある。


「わたしはぁ……ヒミツ……かな?」


メルトをチラッと見て俯き頬を紅く染めるリタの夢はお嫁さんだ。

女の子とはませるのが早いものである。


「バナーは何なんだよ?」


メルトはリタの夢については特に興味ないようで隣が指定席のリタに叩かれている。

それでも気にしない所を見ると聞いた事がないバナーの夢に余程興味があるようだ。


「僕は……みーんなを守りたい……守って……仲良しにして……くるしい人をなくしてにっこりさせたい……かな。きずついてほしくない人ばっかりなんだ……」


彼の家庭環境も相まってこんな答えが出たのだろう。

この歳にしては珍しい素晴らしい答えではあるがメルトはお気に召さなかったらしい。


「フーン、へんなの」で済まして興味を失い今だ言っていないテセトに興味が移る。


「じゃあテセトはどうなんだ?」


「ボクも……バナーと同じかな?強くなって……みんな笑えるイヤなことがなんにも起きない所をみつけたい!」


バナーと同じように聞こえて性質が異なる事を言いながら、子供の感性で同じ事だと言い放つ。


そしてテセトが14歳になる時には魔王軍の襲撃によって、メイナム村にテセトの墓が造られていた……。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「そのテセト君ですが、今現在……どうしました?」


ヨキはしゃべってる途中で何かしらの方法で連絡を受けたらしく左手を耳に当て、ボソボソと喋る。


「はい……何ですか?……そうですか。では、フェーズ1が終了し次第そちらに移動するのでそちらは撤退をお願いします。……ええ、ロレックから貰った兵を無駄にする訳にはいきませんからね」


メルトが報告を聞いているヨキに飛び掛からなかったのは相手の戦闘体勢が整うまで待っていた訳ではない。

既に戦闘体勢が整えられていたからだ。

メルトが油断しているように見せて攻撃を誘っている事を看破したからに他ならない。


「さて、どこまで話しましたかね?」


ヨキは報告をしている間にどこまで話したか忘れてしまったのか、メルトにその事を聞いた。

しかしメルトの返答は素っ気ない。


「ハッ、話なんぞ鼻ッから聞いてねぇよ!」


話自体に意味がないと嘯くメルトにヨキは思わず苦笑する。


「これは酷い。私が何かしましたか?」


笑いながら言った言葉は字面で見るよりも柔らかな印象を受ける。

しかしメルトの返答はまたも素っ気ない。


「テセトを殺した奴の同類の話ってだけで聞く耳を持たねぇよ!」


メルトは一帯の大量の死体をチラッと見ると吐き捨てる。


「それは残念。貴方がピエロである事から解放して差し上げようかと思っただけなのですが。それに同類というならそのテセト君と同類だと思いますよ?」


笑いながら告げるヨキにメルトは込み上げる吐き気を呑み込むと目の前の相手を睨む。


「良く知りもしねぇ癖に……知った風な口をきくな!!……亡き友の夢を叶える為……テメェらをぶっ潰す!!」


メルトはその言葉と共に右手を変質させ悪魔の手とする。

陽が没した直後のような紫色であり、所々ひび割れた巨大な手である。

その手を見たヨキは目を細める。


「その右手は……成る程貴方が殺した訳ですね。良いでしょう。古巣オメガと共に因果を断ち切って部下の手向けと致しましょう」


ヨキの胸の前辺りに質量を持った影のような物が集まり渦を巻く。


その渦に手を突っ込んだかと思うとその影が徐々に棒のように形作り始め、終いにはヨキの手には一本の剣が握られていた。


銘を「氷吏」といい、彼の愛剣である。


シャリシャリ。


剣を抜いた瞬間辺りの空気が凍り付き、剣に付いた霜を振って落とす。


少し長めのただのロングソードであるが、細部を見れば量産品でない事は明らかだ。

しっかりとした拵えをしており全てが彼の為に造られており、彼の腕の一部のような働きが出来るようになっている。


「シッ!」


食い縛った歯の隙間から吐き出される喝と共に剣の周りを凍て付かせつつ疾風の勢いでメルトに迫ってくる。


一撃で決めるかのようにメルトの首を左から狙うような剣筋だ。


ガキン!


メルトが悪魔の右手で防いだとは思えない金属音が辺りに響いた後、違和感を覚え一瞬魔力でブーストを掛けた腕力でヨキを放り投げてすぐさま右手の確認をする。


そこには掌を横断して赤い筋が通っていた。


「切られた……」


メルトは一度も掠り傷さえ付かなかったはずの変化後の体を見下ろす。


感触がおかしかったのは刃が切り裂いたからであり、手で防ぐのはあまり何度も使える防御法ではないという事だ。


「≪豪魔の破爪≫」


メルトは右手の分厚い爪を伸ばし、コレで剣劇を止める事にする。

片手では無理があるため両方の手を変化させる。


「これで良し」


そう呟いたメルトにヨキはフン、と鼻を鳴らす。


「その爪ごと首を切り落として差し上げましょう。墓前に並べるにはその方が都合が良い」


「ハッ、出来もしねぇ事を抜かすより先に死んで詫びとけ!」


ガキン!


ギリギリ……。


二人の死闘を黒い幕が死刑台から何の感情もなく見下ろしていた……。

全ッ然進まねぇ

ナンダコレ

おかしいなぁ初戦はワイワイお祭り的にやる予定だったのに会話だけで終わってしまった

どうしてこうなった


今回のメルトスゲェムカつく

自己中過ぎる!!

殺したい誘惑が……


今回出てきたバナーはサイドストーリーで書く予定ですので良かったらそちらもどうぞ

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