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傾世の暗殺者異世界に物申す  作者: 伊賀良太郎
第1章〜魔王暗殺〜
17/107

17 夢魔の主3

この話は遅めのプロローグの裏の話ですね

四件のブックマークありがとうございました!

嬉しかったです!

ちょっと遅れてすみません!m(__)m

――――優人 視点――――――――


立食会の後叙任式やら剣の帯剣式やら城内案内やらをやらされて、日もどっぷりと沈んだ頃ようやく自由時間を許され(部屋の中限定)部屋で休む事になった。


この高級そうな家具のわりに武骨な天井の部屋が居心地良くて仕方ない。


まぁ、ここから一歩出れば戦場だ。


当たり前の話ではあるが。


ああ、盗聴器や監視カメラ、それに類する魔法は感じられなかった。


ステータス初めて出した時に『魔力』とやらを感じる事が出来たからな。


止めることは出来ないが感知くらいは出来る。


やけにフカフカのベッドに寝転びこれまでの事、これからの事を考える。


帯剣式の後、あのなんとかっつう貴族にイテナの情報は数日中に夢魔に探らせ、俺たちの情報は今日中に探る、その際嘘を吐かれても困る為にこちらも夢魔に探らせる、と耳打ちされた。


夢魔は魔法で夢に入り込み情報を集めるため寝ていて欲しいと約束させられた。


想定内だ。


諜報が魔法で一括解決される事のみ想定外であったものの、元々自らを実験体として情報戦の戦力が度の程度か測る予定だったのだ。


諜報手段が魔法へと変わった所でやる事は変わらない。


むしろ魔法へと接触出来るのは喜ばしい事だ。


早く『魔法』という事象に対しての対抗手段を見付けなくてはならない。


それは魔法でも魔法外手段でもなんでもいい。


危険性を減らす事が出来れば手段は問わない。


その為には情報が不可欠である。


知覚さえ出来ればどうとでもする自信はある。


問題なのは知覚出来ずに(、、、、、、)攻撃される事のみだ。


どういう事か俺が男に撃たれた事を例にしよう。


まず言い訳に聞こえるがもし、男が拳銃を取り出してから撃つまでにもう2秒かそこらあれば迎撃に事足りた。


そもそも拳銃っていうのは当たらない武器だ。


射線に入ることさえしなければまず当たらない。


それさえ知ってれば男を制圧するなり人を盾にして対処するなりやりようはいくらでもある。


まぁ、特殊隊員でもないんだし、人の肉壁が一番現実的か。


実際はそれに近い方法を取っただろう。


しかし男が拳銃を抜いて射撃をするまで1秒もなかった。


しかもあまり詳しくないが拳銃の口径は30口径くらい。


反動が大きく精密射撃にはちょっと向かない。


しかも初弾の時は少なくとも50メートルは離れていた。


走りつつ拳銃を抜き、動く物体を撃ち抜く。


どこぞの無口でポーカーフェイスな暗殺者ですら不可能な所業だ。


神の加護(、、、、)が無ければだが。


おそらくそこら辺も操作されてたんだろうな。


このようにいくら優れてようが知覚出来なければやられてしまう。


こんな事にならないように情報を集めないとな。


イテナという男にもこれが応用出来ないか?


……一考する価値はあるな。


戦場は五つ。


陸海空の戦闘が出来なくても情報と交渉で勝てればいい。


まぁ、陸海空でもいつまでも負けてやるつもりは無いが。


そうじゃなきゃ二人を守る事が出来ない。


……そろそろ眠くなったので眠るとしようか。


いまだ学生服のままベッドで動かない。


一度寝転んだので貰った服に着替えるのが億劫になってしまったのだ。


結局着替えは朝一番にすることにして諦める。


暗殺者に襲われた場合も対応しやすいだろう。


もし俺が殺されたとしても諦めがつく。


俺が死んだらそれまでだ。


正也と咲良が死ぬのは困るがそれ以外は別にどうだっていい。


興味もない。


あの時から……二人は俺の全てなのだ。


それに比べれば俺を含めた全ては塵に同じ。


単なる情報の羅列だ。


1だろう(生きてよう)が0だろう(死んでよう)が知った事ではない。


二人を生かすためなら世界の全てを引き換えにしようが構わない。


正也なら俺が殺されるような相手でもどうにかするだろうから殺される心配は要らない。


ただ咲良が狙われた場合は一瞬で詰むな。


はぁ、……どうしたもんか……。


そんな事を思いながら優人は夢に堕ちて行った。


その夢は遠い遠い昔に思える昨日の夢の前に見た優人の『夢』そのものだった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



大都会。


場所は分からない。


東京でもいいし、ロンドンでもいいし、ニューヨークでもいい。


そこはそんなに重要じゃない。


重要なのはそこが豪華ホテル、あるいはタワーマンションの一室だって事。


夜景を見下ろせる病的なまでに潔癖で生活感のまるでない部屋。


広告の写真にそのまま使えるような綺麗さだ。


誰もがテレビの中で見たことがある、遠いようで限り無く近い場所にある部屋。


普通そこに連結されているイメージは金持ちのオッサンがバスローブ着てワイン片手に夜景を見下ろしているという光景だ。


そこに俺は居る。


否、俺たちは居るといった方が適切だ。


俺、咲良、正也の三人だ。


全員が面影を残しながら大人になっている。


勿論、バスローブは着ていないしワインも持っていない。


なぜなら彼らはそこに住んでいるからだ。


こんな一泊するのにも数万円は取られるような所に住んでいる事に気になるのは一点。


お金は何処から出ているのか。


無論、優人の『夢』だからという答えもある。


しかし、彼にとって見ればこういう場所は遠い所ではないのだ。


企業役員の父を持つ優人にとってこういう部屋はねだれば泊まれる程度の近い場所に過ぎない。


当然、何泊もというわけには行かないし、父親にお願いするなど優人にとって死んでも嫌な事ではあるが。


だから優人の夢の資金源は捻り出せるものだ。


彼にとっての『夢』とは三人でいつまでもずっと仲良く暮らす事。


もっとも純粋でもっとも歪んだものだ。


中でも質が悪いのは『夢』を本気で叶えようとしており、そして夢を叶えられる力を持っている事だ。


もし、どうしようも無くなっても優人なら株やFXで簡単に儲ける事が出来るだろう。


この夢は実現可能な『夢』なのだ


酷く恐ろしい事だが。


そしてこの夢は夢魔が脳の情報を探っている間邪魔されないように見せている奥底にある願望そのものだ。


本来なら人はその幸せに留まり続け、盗られていく情報に見向きもしない。


大多数の人間は幸せを享受し、何事も無く心地好い気分で目覚める。


少数は情報を取られまいと必死の抵抗をする。


勿論、その抵抗は全く無駄な物になるし、それはどんな強者でも同じだ。


相手が望む物を創ってあげている(、、、、、)所から分かるように夢の支配権は夢を見ている本人ではなく夢魔にある。


この夢では夢魔が神なのだ。


夢に入り込まれた時点で勝機はない。


だが、優人が選んだ一手はそのどちらでもない。




全方向から魔力を感じるな。


なるほど此処はさながら怪物の腹ん中って訳か。


既に食われてるなんて冗談にもならないな。




盗られていく情報には全く目もくれない。


海馬を弄られようと覚えている意味や事柄を覗かれようが一顧だにしない。


新しく手に入る情報に釘付けなのだ。


確かにこの程度の情報は盗られた所で優人にとって価値のない物だというのはある。


だがそれ以上に得られる魔法の情報が重大で、優人が出ていく情報は必要経費であると判断したのである。


ちょうど騎士が王に跪くような格好になり、床に手を当てる。




この魔力……やっぱり俺の魔力と違うな。




ステータスを見た時に感じた自分自身の魔力とは所々似ているものの、どこかが根本的に違う。


感覚的にしか分からないが違うという事だけは分かる。




と、するとこの感覚を辿って行けば大本に辿り着ける筈だ。


さぁて、ベイビーちゃん。


一番感じる所はどこか教えてちょうだい。


俺の魔力で部屋を小さく刺激していき魔力の流れを読む。


例えるなら大工がハンマーで検査をして行くような感じだ。


現状、俺の魔力は少ないので無駄遣いする事は出来ない。


まだ魔力が切れた事が無いのでどうなるか分からないのだ。


ここでいきなり切れて死ぬとか嫌すぎる。


一見脱出不可能な部屋でもどこかに綻びがある筈だ。


……。


……捉えた。


トイレの扉の横だな。


ここが一番他と比べて魔力の造りが甘い。


魔力が尽きる前に見付けられて助かった。


後少しで切れる所だったからな。


この魔力量の少なさはどうにかならんもんか。


さて……どうするか。


魔力は無駄遣いしたくないし……。


幾つか方法は有るが……。


ここは力技が一番手っ取り早いな。


バキン!


バスに付いている合金の取っ手を梃子の原理でぶっ壊し、即席のヤンキーパイプを作る。


ドコ!

ドコ!

ドコ!


野球のフルスイングのような振り方でしっかり一番遠心力の掛かる部分で壁に当てる。


何十発か当てると壁がボロボロと崩れて来た。


仮定通りだな。


本来なら壁が崩れる前に取っ手の方が曲がるなり、折れるなりして壊れる筈だ。


だが結果はその逆。


取っ手は壊れず壁の方が崩れた。


やっぱり魔力による作り込みによって強度が違うみたいだな。


俺はその仮定が正しいかどうか調べるために脱出ついでに一番魔力の作り込みが甘い部分を凶器になりそうな物で一番作り込んだ物で強度実験も兼ねてぶっ壊したのだ。


フムフム。


まぁ、満足だ。


さっさと脱出させて貰おう。


向こうまで貫通した穴をヤンキーパイプで広げ、ようやく人一人が通れるくらいの穴を作り、そこから脱出する。


まるで脱獄犯だな。


別にここに居ても良いんだが外の方が情報が多そうだ。


外に出ると真っ白な世界が広がっており、左右それぞれに砦のような物があった。


片方の砦は既に扉が開け放たれており、何か黒い物に集られている。


もう片方は綺麗なままであり傷一つ無い。


なるほど陣取りゲームみたいなもんか。


黒いサムシングに集られている砦を見て思う。


なるほどあれが俺ので絶賛攻められ中って所か。


で、あっちの無傷の砦が敵さんのって訳ね。


そんでもって現在落城して情報をとられ放題って訳か。


まぁ、興味ないから良いや。


俺が現在興味あるのは敵の砦。


俺の情報が夢魔だかによって奪われようが知った事ではない。


むしろある程度は渡さなければイテナの情報が入って来ない可能性があるのだ。


どちらかと言えばそっちの方が問題だ。


力を持っている者の情報が0じゃそっちの方が後々困る事になる。


夢魔が同じ次元の勝負に落としてくれた事に関しては感謝しか無いな。


落城している自らの砦には目もくれず無傷の砦に向かって優人は迷わず真っ直ぐ進む。


着いて直ぐ門に向かって即席ヤンキーパイプを振りかぶる。


ぶち壊すつもりだったのだ。


バキン!


しかし期待空しくそんな頼りない音を出して一回でパイプがぶち折れる。


痛ッ!


折れた衝撃で手の皮が破れずきずきする。


夢の世界でも痛覚って在るんだな、と見当外れの事を考えながら砦を見る。


流石は砦と言うべきなんだろうか。


傷一つ無い。


ここまで来ると流石にショックだ。


やり方を変えよう。


これじゃ俺が傷付くだけだ。


つまりこの城壁は魔力そのままなんだから、魔法か何か使って吹き飛ばせ無いかな。


門に手を添え魔力を感じる。


そしてステータスを見た時に使ったように門の魔力ごと力を差し出す。


そしてイメージするのは爆発だ。


巨大な爆発。


そして体から力が抜けたような奇妙な倦怠感を感じた後、冷や汗を流す。


これは不味い!


思いっきり後ろに跳躍した瞬間だった。



ガガガガァァアン!!



巨大な爆発音と共に門が(、、)爆発し、その爆風で一気に飛ばされた。


ゴロゴロゴロゴロ。


地面と空が何度も入れ替わり、ようやく止まった後は元々がほぼ真っ白なので今仰向けなのかうつ伏せなのか分からなくなった。


なんとか重力の方向から見当を付けて起き上がって見ると手足の欠損が無いことを確認した。


見た所五体満足である事が判明したのでとりあえず幸運に感謝しておく。


続いて砦を見てみればなんと爆発した門の他は多少煤で汚れているもののほぼ無傷であった。


腹の立つくらい頑丈である。


コイツらも海馬を見る事が出来たのだから記憶も弄る事も出来るのだろう。


どうせ記憶を無くす事になるのだからもうちょっと派手にしておくべきだったかな。


まぁ、どっちみち事実はエピソード記憶の方じゃなくて意味記憶の方に含まれるからエピソードを消そうが意味ないんだが。


本日二度目の記憶喪失を前にして経験者の余裕かさして気にしていない様子の優人であった。

優人さん

三人でずっと仲良く暮らす事が夢だとか

いい風に言ってますけどそれって二人をニート化して飼いたいって事っすよね

完全に異常者っすよ!

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