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傾世の暗殺者異世界に物申す  作者: 伊賀良太郎
第1章〜魔王暗殺〜
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12 メルト外伝 紅の墓標2

マジで遅れてすみません!!m(__)m

本来なら人物紹介をあげようかと思っていたのですが、ネタバレが多分に含まれている事がわかり、このような事態になりました。

誠にすみませんm(__)m


イグマは今、下品男(イグマ命名)と別れた後、街中を歩いている。


別れた……というより死別であるが。


所々剥げた石畳であるが音はコツリ、コツリとしっかりイグマの足に追従していく。


嘘じゃねぇって!あのウェイトレスぜってぇ俺に気があるって!

あー!てめぇ!そいつは俺んのだ!勝手に食うんじゃねぇ!

マジか!サンキュー先輩!これでロンにバカにされずにすむ!


ブラブラと歩いているとそんな声にこの街が満たされているのが分かる。


既に日は沈んで久しいのだがこの辺りの男共にはどうでもいいようだ。


これも闇夜に浮かぶ泡沫のような魔力ランプのお陰だろう。


酒で火を吹いて日銭を稼ごうとする奴。

暗いのを良いことにスリを働こうとする奴。

娼館に赴く奴。


端から見ればイグマは目的も無く歩き回っているように見えるだろう。


確かに宿屋や飯屋、武器屋等を行ったり来たりしているのは猫のそれのようである。


しかしそれは正確ではない。


イグマは目的を達成させるために目的も無く歩き回っているのだ。


何故そんな事をするのかと言えばイグマの目的であるメルトとの合流。


そのメルトは平穏とは無縁の男だからだ。


街に居れば必ずと言っていいほどトラブルを起こしている。


世間話にならない事はない。


なぁ!見たかよ!あそこの飯屋のすげぇ食う奴!食うのなんのって軽く10人分は食っててさ!机に皿がこんなに!


ほら来た。


「ごめん、悪いんだけどさぁ、その場所教えてくれる?」


二人で話して居たところに割り込むと少し怪訝な顔をされたがすぐにかなり興奮気味に返答される。


「ああ!そこの角を曲がった所のレッズって店だよ!行ってみな!」


その男の指示にしたがい歩いていく。


そのレッズという店名が見えるようになると店の中の喧騒具合が分かるようになった。


それほどまでに盛り上っているようだ。


店の前の木で出来た胴の辺りしかないドアの前に立てば中が見えるようになるはずだが人の波と化していて男の背中しか見ることが出来ない。


「ちょっとごめんね」


そう言いながら波をかき分けて前に出ればその騒ぎの核が姿を表す。


ガッガッガッ!


ガツガツ、バリバリ、ムシャムシャ、ごくん!


一人の男が木のスプーンで皿を削り取る程口にかき込めばその口の中の食べ物には一切斟酌せずに次の皿へ手を伸ばす。


全ての動作が流れるようであり、一種の完成された動きだ。


しかも全ての工程が無言でしかもしかめっ面で行われており、完全に口に物を詰めるだけの機械と化している。


食っているのは二十歳になるかならないかの少年。


赤茶けた髪にブラウンの瞳。健康的に焼けた肌に力仕事をする者特有の盛り上がった筋肉。


メルトである。


そしてその機械によって産み出された皿(産業廃棄物)は少し触れば崩れる程積み重なっており、更に言えばその機械はまだ積み上げるつもりらしい。


七人がけの丸テーブルのはずだが全てをメルト一人の皿で埋め尽くされている。


他の四人は諦めたのか我関せずを貫いている。


「おいおい、これだけ食っといてまだ食うつもりかよメルト!」


その声に反応したのかメルトはこちらを向いて口に詰めた物のマシンガンを始める。


「おばえだっべばばってんばぼ?ばびょぶばいぶぶにはぶばべぶばんばよ」


取り合えず汚い。


「食うか喋るかどっちかにしろよ……」


モリモリ、ごくん!


「わりぃ、けど俺だって好きで食ってるわけじゃないんだぜ?食った端からオメガに魔力変換させられっから腹へってしゃあねぇんだよ」


いくら食っても腹が減るというのは確かに苦痛であろう。


しかし、それとこのマシンガンは関係ないだろ、と抗議したいイグマであったが同情出来るのも確かだ。


ぐっと飲み込み。


「じゃあさっさと宿屋行こうぜ朝んなっちまう」


「……ここにあるだけ食ったらな」


どうやらまだ四人前を食らうつもりらしい。


今回の食費の恐ろしさに身震いした頃、新たなトラブルが近付いて来た。


「オイオイオイ!さっきから俺たちの食いもん横取りしやがって!弁償しやがれ!てめぇ!」


チンピラ風の金髪の男が近付いて来た。


見ると俺たち以外の客は皆一つのパーティのようだ。


パーティと言ってもそこらの五、六のような小さい物ではなく五十人規模の小隊だ。


ここもかなりでかい飯屋だがそれでも見物客と合わせて少々手狭である。


冒険者でメルトを知らないってのは珍しいから傭兵かな?と当たりをつけイグマは聞いてみる。


「君たちは?」


「ああ?知らねぇのかよアックスブレード、傭兵だ!」


(聞いた事はあるな。確か……戦争屋の傭兵団の名前で稼ぎが無い時は冒険者だったはずだ)


本来なら交流がない組織同士である。冒険者だったからこそ覚えていたと言って良いだろう。


まぁ、流石に『傭兵王』ぐらいになるとその限りではないだろうが。


そんな事を思いつつ返事をする。


「えっと……ウチのメルトが何か?」


その返答が気にくわなかったのか金髪男は怒気を増しながら答える。


「何かだと!?この野郎!俺たちの注文した奴も片っ端から食いやがって!コッチはどれだけ待ったと思ってる!」


(うん、完璧にこっちが悪いじゃないか。というかメルト、人の物まで食ったのか!?)


「メルト、謝れ!」


肩を掴んで無理矢理振り向かせる。


そしてメルトは振り返る。


……口を食い物でパンパンに膨らましたまま。


「ばびばばっまっんば?」


(マシンガントーク止めろ。汚いだろ)


この行動がこの金髪男の怒りを更に増大させたらしい。


「ふざけンなァぁぁあああ!!」


メルトの肩を掴んで前のテーブルごと床に叩き付ける。


ステータスによって上方修正された力はテーブルを叩き割り木片となったテーブルが散乱する。


ガシャン、ガシャン、ガシャン、ガシャン!!


皿という皿が割れ、まだメルトの口に入らなかった肉やらサラダやら魚やらが床にぶちまけられる。


惨状である。


(ゴメン、メルト……フォロー出来ない。俺があいつの立場だったら確実にぶん殴ってる)


「おっ、何だ何だケンカか!?」


にわかに見物客が騒がしくなり俺たちパーティも色めき立つ。


「てめぇ、俺にケンカ売っといてただで済むなんて思ってねぇだろうな」


ガシャリ、ガシャリと皿の山からユラリとメルトが立ち上がる。


(いや、俺としてはどっちかって言うとメルトの方がケンカ売ってたと思うなぁ)


どちらが始めたかはともかく、ケンカが始まった事は確かだ。


イグマとしてはこちらが悪い以上出来るだけ傷付けたくは無かったのだが、そんな事を気にかけるような仲間たちではない。


「野郎共!!やっちまうぞ!」


「「「うおおおお!!」」」


こちらに来る五十人の荒くれ共に立ち向かうのは二人。


一人はケンカを売られた?メルト。


そしてもう一人。


短く刈り込まれた紺の髪に赤い目。陶器のような白くきめの細かい肌。真一文字に結んだ口が堅そうな印象を受ける。


バレインだ。


「いや俺一人でいいって、このぐらい」


メルトはそう言うが、バレインは全く取り合おうとしない。


「ふん、信用できない。日頃をかんがみて言え」


イグマとしては心の中で、という注釈は付くが大いに賛成した。


つい最近もナルジアで大怪我したばかりである。


「俺はお前以外の者を主とする気はない。お前が死んだら俺が困るだろう」


しかめっ面で言うバレインに対してメルトは何か言いたそうだったが、流石に向こうはそこまで待ってくれない。


「死ねやァぁああ!」


駆け引きもクソもなく三人が武器を振り上げ威嚇しながら突撃してくる。


技術の欠片もない一撃だ。


確かに威圧しながらというのは所詮は個々の殴り合いである戦場では役に立ったのかも知れない……。


だが、そんなものは冒険者には通用しない。


「≪肉体変化≫!≪豪魔の巨腕≫!うおら!」


ゴカン!


懐に入り込み、横なぎの一撃。


そのまま下に垂らせば床に付くほど巨大化した右腕で三人をいっぺんに壁に叩き付け、ノックアウトする。


良く勘違いされるのだが、軍人や騎士団団員か冒険者で言えば冒険者の方が強い。


これはある意味当然とすら言える。


何故なら、他の雑務や政治的に待機せざるを得ない軍や騎士団と違い、冒険者は一分の隙もなく高い経験値を得られるモンスターと戦う事が出来るからだ。


「むっ、紫の巨腕!まさかテメェは……悪魔か!こっ、この化けもンが!くたばれ!」


現在のメルトの右腕はボディービルダーのようにパンプアップし、赤紫色で所々ひび割れている。


一度闘った者は分かるが紛れもなく悪魔の腕である。


勘の働く者なら悪魔の擬態であることを確信すると共に恐怖するだろう。


擬態の精度によって擬似的に悪魔の強さを測るのだ。


人間そっくりであるメルトはさぞ上級の悪魔に見えた事だろう。


擬態ではないし、飼っているのは皇帝なのだが……。


完全に腰が引けている男達はそれでも戦う事を止めなかった。


流石は傭兵と言った所だろうか。


「全員でかかれ!」


「「「うおおおお!」」」


ダダダダダダ!


足音だけでも五十人の大所帯ともなれば騒音に成り果てる。


「おい、俺を忘れてんじゃ無いだろうな」


全員がメルトに襲い掛かろうとする前にバレインが立ち塞がる。


「どけェエ!」


一人が叫ぶが、それを気に止めるようなバレインではない。


「ここは通行止めだ」


バレインが静かに言い放つ。


次の瞬間からの光景は見世物にしてもいいくらい壮絶な光景だった。


人が空を飛んだのだ。


ガツン!


という音共に一人が吹き飛ばされる。


ガツン!ゴツン!ゴカン!


凄まじい勢いで男達が天井にテーブルに壁に叩き付けられる。


動かずに向かって来る敵を吹っ飛ばす様は、さながら人の発射台のようである。


「剣腹で叩いた。死んじゃいないはずだ」


「イヤイヤイヤイヤ!あれ見ろよ!」


全力で突っ込むハッシュが示すのは壁に突き刺さった男である。


体が有り得ない方向にネジ曲がっており、骨折どころか生死すらも怪しい。


剣も合わせて80キロ近い男を吹っ飛ばしてめり込ませたのだ。

当然の帰結だろう。


「リタがいるから大丈夫だ」


そう言って指し示すのはリタ。


茶が少し混ざった黒髪に青がかった茶色の目。

顔立ちは整っているが、きつい美人と言うよりはおっとりした美少女という感じだ。


「出たよ人任せ!」


最初からあてにするのは違うだろうと抗議するハッシュをよそにバレインとメルトによる人体の破壊は続いていく……。


「何なんだよ!お前ら!」


叫ぶ金髪男にメルトは答える。


「何って……冒険者だが?」


気付けばもう金髪男以外は全員倒れている。


イグマとしては意外と持ったなと考えるばかりである。


メルトにとってすれば五十人など物の数ではないのだ。


「ふざけンな!この化けもンがァ!」

向かって来る金髪男の顔に一撃。


あっさりと沈んだ金髪男を見下ろし、メルトは呟く。


「うしっ!終わり!」


見れば店員は皆後片付けに精を出している。


こうでなくては喧嘩に命を賭けるような輩の相手は務まらないのだ。


勝者としてはメルト達のはずなのだが、いたる所から人が生えているという惨状を前に喜ぶ事は出来ない。


なにせ弁償は全部メルト達が持つ事になる。


「よし、漁るか!」


ウェーブのかかった金髪に綺麗な青目のガルシアがそう言えば言葉通り倒れている男達の懐を探り出す。


「オイ!そりゃ酷いだろ!」


しかもアンタ貴族だろ!?と続けるハッシュに対しガルシアは冷淡に返す。


「元貴族だ、継ぐつもりはない。

治療費だ治療費。強者が弱者から搾取するのは当然のことだろう?こいつらにはその真理を教えるだけだ」


その敗者に一切の配慮をしない姿勢に勝ったはずなのに、弱肉強食という言葉を痛感させられたハッシュであった……。


因みに漁った金は弁償で使い切り、更に銀貨が必要だった。


リタのお陰で死者こそ居なかったものの、有り金失った男達。


どこかに貯金している事を願う事しか出来ないハッシュは無力であった。

この作品の主人公

正→イテナ

誤→メルト


オマケ

メルトの人物紹介

メルト

半かませ半主人公。

村の元自警団団長。

オメガに入られた事により運命に呼ばれる。

現在22歳。

後はシークレット(書く気はない)


好きなもの

ハムチャの素揚げ、ボリュームと言う言葉、

嫌いなもの

高いのに少ない料理、酸っぱいもの、


考察

もし勇者が召喚されなかったら魔王を倒してたのはこの人だと思う。

で、倒した後にオメガ暴走!?

いつもの力を失った状態で勝てるのか!?

みたいな

まぁ、イテナのせいでなくなったけど

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