100HOPE!
この3週すいませんでしたっ!!!!!!!!!!
m(__)m
100話でキッチリ終わらそうとしたら膨れ上がっちゃって……。
本当に申し訳ありませんでしたっ!!!!!!!!!!
――――ユーピル視点――――――――
「もう何よアレ!信じらんないっ!!」
次元の移動をした神座にてイテナにガキと呼ばれた少女は怒りのままにズンズンと足を踏み鳴らして移動する。
「折角私が助けてやろうと思ったのにっ!この世界に連れて来てやったってのに……アイツ!!」
ムシャクシャしながら帰った少女は辺りの物に当たり散らす。
怒りを拳に乗せ、目に付いたテーブルに思いっきりブチ当てる。そして砕けた。
拳が……。
「つぅ〜〜〜〜っ!!イッタ!!不壊にしてたの忘れてた……」
じんじんと手に伝わる熱の様な痛みが確かな存在感を訴え、その証拠に少女は涙目になる。
「どいつもこいつも私をバカにしてぇ!!」
八つ当たりに失敗した少女はテーブルを完全に消去すると、この真っ白い空間に、3畳の畳、カーペット、ちゃぶ台に炬燵を着けた物を出現させ、その中に入り込む。
「甘いものよ!今私は甘いものを欲しているのよ!」
誰にともなく宣言すると、生クリームのたっぷり塗りたくられたケーキとフォークを出現させ、手慰みにブラウン管テレビを出現させてリモコンで付ける。
どれもこの世界メルヴィルには存在しない物だった。
少女は漸く1つ満足気な息を吐くと、ケーキを凄い勢いでかっ食らう。眉間に皺を寄せながらただひたすらに口の中にケーキを詰め込む少女の絵はあまり見たい物ではなかった。
そんな時間が暫く続くと、不意に少女はフォークを置いて再び怒り出す。
「大体っ!この私が助けてやるって言ってんだから素直に助かるのが筋ってもんでしょうがっ!それをあの男っ……!!」
主神の慈悲を拒否するとか一体何考えてるわけ!?喜んで受けるわよ普通!
あの男とはイテナであった。この真っ白い空間に来る前、イテナの言動が気に障った少女は天使2人に殺害を命じた。
そのことを思い出した少女は再びケーキを出現させて怒りを紛らわす。
「何気に美味いわね、コレ。流石プルハストのイチオシの世界なだけあるわ。それにしてもプルハストの奴、何でチキュウのニホンからばっかり召喚枠を作るのよ……。確かに管理者は居ないけど、ド田舎過ぎて誰も成り手が居ないってじゃない。魔法管理玉すらないなんて秘境よ秘境。枠の使い方も意味不明だし。何よマサヤって。あんなのタダのザコじゃん。アレに枠を3つも使う価値なんてあるの?
まぁ、私も管理者死亡地区からの選抜だから文句は言えないんだけど……」
少女ユーピルと青年プルハストがこの世界メルヴィルの管理官である創造神と破壊神の座に着いたのは今より400年も昔のこと。原因不明の事態により当時の創造神破壊神が1度に死んでしまった為、その検証目的として一番下っ端である3級主神の2人が捨て駒……。より正確に言うなら鉱山でのカナリアの様な意味合いで派遣された。
少女としてはおっかなびっくりでは有ったのだが、準備品として最新式魔法管理玉、全自動能力反映機、管理盤など本来3級主神では有り得ない程の好待遇であったので割と乗り気だった。完全にエサに釣られた形である。
さて、時は流れて340年。最新設備のお陰でメルヴィルの整理が捗りに捗り、ついには完了してしまった。
「ひーまーっ!」とは当時のユーピルの言である。確かに1度整理が完了してしまえば残りは現状維持するだけで良い。しかも微調整は管理盤がしてくれるので主神の出番はない。
だが、それで仕事が無くなった訳ではなく、自らの担当地区内に新たにメルヴィルの様な世界を構築するなど仕事はそれこそ無限にあるのだが、ユーピルがそんな殊勝なことをする様な性格であれば3級主神などに甘んじてない。とっくに2級主神に進級してる。
神界から遠いことを良いことに頑張って居ますという偽造書類を送りつつ、新しい仕事を全力で拒否していた。俗にコレを公文書偽造や、給料泥棒と言う。
そんなこんなで40年。自分の睫毛の数を数えるのも、眠り過ぎて頭が痛くなるのも飽きた頃。気紛れに下界であるメルヴィルを覗いて衝撃を受ける。
それが後に第一次侵攻と呼ばれる戦い。勇者と魔王の激突であった。
その結末に少女はこれを作り上げて見たいと思い、青年を誘う。其処からは準備に時間が掛かった。自らの株分け的な存在である下界に降ろしていた2級神を使って過去の勇者の文献を引っ張って来させ、世界に浸透させた所でヴァインズの国家図書館にバレない様勇者召喚の魔法書をそっと置いておく。
ユーピルは久し振りに働いた気分がしたが、別に盛大に遊んでいただけである。
そうして召喚されたのが8年前。志してから実に12年の歳月が掛かっていた。4人の勇者の内3枠を確保して喜ぶユーピル。イテナはその頃にはもう見付けていたものの、試運転であり危険性も考慮し、管理者死亡地区より選りすぐりの将来性を持つ精鋭を召喚させた。その後ドラマが見れるのは未だ先だろうと神界に3、4年遊びに行く。
そして帰ってきた来た私が何気無く管理盤から勇者がどうなって居たか見てみる。取り敢えず帰ってきたからテレビを付ける位の感覚で特に何を意識した物でもない。そんな管理盤に映されたのは――。
『ユーピル様の勇者3枠全て絶命しました』の文字。
「ファッ!?」
危うく食べ掛けの栗饅頭を取り落とす所だった。
「嘘っ!!どうしてこんな早く死ぬのよっ!お前らの生命力はウサギ以下かぁ!」
慌てて調べてみるとどうやら高々2、3年修行しただけで魔人国に突っ込んで行って蹂躙された模様。
当然の結果だった。実に単純に実力不足。ドラマもクソも無かった。
問題は次の召喚にイテナ(本命)を使うかどうか。ユーピルは迷ったが、結局は使うことにした。
というのも、さっさとしないとイテナが自分の目的を達成させ兼ねなかったからだ。
「べっつにあの男が何しようと知ったことじゃないんだけど……。それで、面白い物を見逃したら困るって言うかぁ……。ああっもう!」
不意にムシャクシャしたしたユーピルは炬燵を不壊であることを忘れて拳を叩き付け、本日2度目の痛みに呻く。
「うぅっ……。いったぁい……。あんのバカ。あんなに、拒絶しなくても良いのに。そんなにあの女が良いの!?」
ああっもう、何か分かんないけどほんっとイライラする。ぐちぐちぐちぐちぐちぐち死んだ女の影を追ってんじゃないわよ、鬱陶しいっ!!
折角、元の全てを失えたのに。それでも、過去を選ぶわけ?変えられない過去を?そんなの意味ないじゃん。もっと他の女に気移りすれば良いじゃん。
キモいのよ。そう言ってあの男の反応を窺ったのにその顔には怒りしか無かった。傷は10年経ってもなお、生傷のままで横たわっていた。
私がイテナを見付けたのは10年前。丁度その傷を負った日のことだった。
「流石に可哀想ね……。生き返らせて……。ダメダメ。何考えてるの。今度は私が殺されちゃうわよ」
先程殺してしまったことを思い出し、さっき通ってきた所に視線が行くが、ブンブンと頭を振って邪念を振り払う。
生き返らせることは、出来る。
だが、それはこの世の理に反する。基本、物理法則など完全無視なこの世界だが、例外はある。その1つが死者蘇生だ。
それを破れば事によっては特級主神より管理者の破壊すら有り得る。それだけの大罪だ。
まぁ、それも程度によりけりで級が上なら降格や減給。3級でも1人位なら即座に殺されることはない。極論、バレなきゃセーフである。
「それにこの一月が無駄に……」
前回の反省を生かし、今回召喚枠は1つのみであったため、それこそストーカー並みに死なない様に監視していた。
「いや、別にアレは死なない為に監視してただけで、やましい気持ちはこれっぽっちもないんだけどねっ!」
ユーピルは誰にともなく言い訳をする。やましいことをしていた訳ではないが、イテナの部屋の家具の配置は正確に言えた。繰り返すが、やましい気持ちは全くない。
弁解する様に通って来た門を見つめ、有ることに気付く。
「アレ?次元の穴は閉じた筈よね……?」
門は既に消した筈だ。それがどうしてまた出現しているのか。まさか、天使?と思うが天使は時空間系の魔法は使えない。むしろ、使えたのは……。
ガターン!!ガラガラ……。
扉が此方に向かって突撃してくる。咄嗟に何もかも消して飛び退くと、その開いた門の先に人影が見えた。
「えっ?ちょっ、何よ。誰!?」
ユーピルの言葉にその人影は怪しく笑う。
「……お前に殺された者だ」
イテナ。それは正しく、ユーピルが殺して来た筈の男の名だった……。
「嘘っ!?どうやったらあの天使から逃げてこれるのよ!」
警戒はしていた。だが、ユーピルはまた知っても居た。イテナは幾ら警戒してもし足りないことを。
「逃げ方など知らん。逃げることなどしていないからな」
「!まさか……!倒して……っ」
信じられない。まさかあの圧倒的な戦力差を覆すなんて……。
ユーピルは呆然とするが、イテナは正解をはぐらかす様に答えた。
「さぁな」
その態度にユーピルは確信する。天使達はもう既にこの世には居ないのだということを。
「ユチ!ドゥルト!ベジ!アルトゥ!イェディ!早く助けてっ!!」
ブーン。そんな低い音がして次々と次元の扉が現れ、中から天使が飛び出して来る。
「無駄だ」
パチン。
イテナが指を鳴らすと現れた天使達が次々にバランスを崩して倒れて行く。
「うそっ!一撃っ!?基本性能が圧倒的に上の筈なのにっ!」
ユーピルは驚き、目を見開く。そんなユーピルにイテナは何でもない様に答えた。
「やはりな。天使とは言っても人形か。制御系統を少し弄るだけでこのザマだ」
イテナは分身が以前夢魔の幻術を抜け出す時に使った様な技を使い、無理矢理天使の支配権を混乱させた。人間ならば特に何か害がある訳でもないが、結果は見ての通り。沈黙したまま動く気配は無かった。
「まぁ、少々混乱させただけだ。数分後には自力で回復出来るだろう。精々時間稼ぎにしかならん。好きに戻るまで待つと良い。
そんな時間があれば、だがな」
「ぐぅぅっ!」
ユーピルは獣の様な唸り声を上げた。自分の防御を疎かにしていたのがダメだった。見通しが甘かった。そんな風に思ってももう遅い。正しく後に悔いるから後悔と言う。
「ふぅ。漸くか」
イテナがボソリと呟く。そして悔しげに唸るユーピルの耳に、更に追い討ちを掛ける様な情報が飛び込んで来た。
≪3級主神の呪いが解呪されました≫
「はぁ!?」
「お前に呪われた瞬間から解呪を試みて居たが、かなり時間が掛かったな。流石は主神。その名は伊達では無いらしい。
体が軽いな」
イテナはコキリコキリと首を鳴らすと体の駆動を確かめる様に手を開いたり閉じたり、軽く跳んだりする。
それを見たユーピルはついに観念した。
「ごめんなさいっ!!お願い!!見逃してっ!もうしないからっ!」
ユーピルは戦況が不利と見て土下座をしながら無様に命乞いをする。一応創造神とは言え戦闘力はあまりない。基本的なスキルは全て扱うことは出来るが習熟しているとは言い難い。イテナ相手に上手く戦える自信は無かった。
幸い、プライドなどと言う物は持ち合わせていない。むしろ土下座に移行するのは手慣れた雰囲気すらあった。
「虫の良い話だな。俺を殺そうとしといて、自分が殺される段になったら命乞いか」
ひぃぃいい!怒ってる!誰か助けてっ!他の天使とか、破壊神とか居ないの!?誰か助けてよっ!
イテナの呆れた雰囲気を全身に受けながら何とか命を得ようと必死に媚びを売る。
「その通りだけどっ!死にたくないっ!お願いっ!何でもするから!
ほら、お茶汲みだって肩たたきだってパシリだってするし!何なら権能とか使っても良いよ!
ボンキュボンのお姉ちゃんとか創るし、極上のお酒だって創れるっ!酒池肉林ハーレムとかどうよ!?死んだ人だって生き返らせるし……!」
濁流の様に自分の有用性をアピールするユーピル。イテナの顔色を窺いながら死ぬ気で懇願していたユーピルは死んだ人を生き返らせる、と言った下りでイテナがピクリと眉を動かしたのに気付いた。
勝機っ!と意気込んだユーピルはそこに怒濤の如く付け入る。
「そうっ!生き返り!10人だって100人だって思いのままっ!ホラッ!アンタが尻追いかけ回して子居たじゃん!リン、だっけ?あの子だって私の手に掛かれば一瞬で生き返るよっ!仲睦まじく何時までも暮らすことだって出来るんだよっ!」
その後も暫く説得を続けて居ると、突然イテナが手をあげてユーピルの言葉を制した。
「黙れ。
俺の望みを叶えるのは俺だ。
それ以外の何者でもない。
俺の望みの邪魔をするな」
イテナはそれだけ言うと自らの懐から小刀を取り出し、それを振り上げた。
「たっ、助け……」
恐怖にかられて震える少女に凶刃が迫る。
「因果応報だ」
その言葉と、視界一杯の小刀。それを最後に少女の意識は刈り取られた……。
――――イテナ視点――――――――
倒れ伏すガキにしか見えない主神の姿に満足気に唸る。
死んではいない。単に気絶しただけだ。殺してしまった場合、世界に与える影響がどんなことになるか分からなかったし、ガキをいたぶって喜ぶ趣味もない。単にこうすることが必要だっただけだ。
起きて攻撃されるのも面倒なので動かない天使達にキッチリとトドメを差しておく。力も戻ったことであるし、この程度の破壊は造作もない。
しっかり再起不能になるまで壊してから、辺りの物色を始める。
これだけ大変な目に遭ったと言うのに、対価が報酬だけでは割に合わない。魔王城ではもう既に無理であるので諦めるとして、此方の世界に金銀財宝でもないものか。適当に掻っ払おうと辺りを探知しながら歩いて行った。
真っ白い空間をひたすら歩くこと10分。遥か彼方に何かの物を発見した。
「ん?アレは……」
近付いて見ると、それは棚であり、その棚に所狭しと蒼い球体が陳列されていた。球体は冒険者ギルドにある水晶に似ていたが、それよりも何処かしら神々しさを感じた。
驚くべきはそれらの数であった。棚1つにゆうに50以上の蒼い玉が詰め込まれ、その棚が遥か彼方に消えるまで延々と続いている。しかし、ここら辺の蒼い色の玉とは異なり、それらの棚に飾られているのは無色透明。または何も飾られていないかのどちらかだった。
そして無色だった玉がボゥと光ると、透明から蒼い色へと変色した。
これは何なのか疑問に思ったイテナはそれに触れ、そして視た。
『私は魔王様の意思を継ぎ、新たなる魔王となる!その名の通り私は全ての魔を導く!愚図だろうが無能だろうが全員夢の果てへと連れていく!覚悟しておけ!愚図共が!』
それは過去の映像。いや、記録と言った方が良いか。とにかくそれに類する何かだった。
先程殺した魔王が若い姿でバルコニー上から演説している。それに呼応して地が裂ける様な怒号が見ている全種族から上がっていた。
「随分と“良い”趣味をしているな。神という者は」
それからまた幾つか触ってみて一応の結論は出た。
要するにこの玉は記録であり、故人の記憶だ。それも英雄と呼ばれる様な奴の人生が全て詰まっている。どうやらそれを集めてコレクションしているらしい。
他に何もないし、コレだけでも貰っておくか。いずれ何かの役に立つかも知れん。金銀財宝でも有れば良かったんだがな。まぁ、仕方がない。
俺は亜空間を開くと、蒼い色の玉を片っ端からしまって行く。総数は分からないが、恐らく100から150の間くらいだ。案外少ないことに拍子抜けする。一応無色の玉も幾つか入れておく。魔王の様にあのガキが生きてさえいればまたあの蒼い色が出現するかも知れない。
さて、本題に戻ろう。これは単なる行き掛けの駄賃だ。落ちていた物を拾ったに過ぎない。あのガキをあそこまで追い詰めたのには理由がある。さて、目的の物は何処かな?
コツリコツリと真っ白い空間を我が物顔で闊歩する。探し求めるのは人。いや、神か。
そうして長い間探知をしながら歩いていると、感覚の端に僅かな綻びが引っ掛かった。
「そこか」
俺はその綻びの前に移動すると感慨深げに頷いた。
「まさか、本当に可能とはな。有れば儲け物といった程度の考えだったが、存外やってみる物だ。それにしても上手く隠した物だな。見付けられたのも偶然に過ぎん」
創造神とは何処まで力が有るのか。主神の文字を見た時に思ったのはそれだ。
そしてそれを確かめる為に俺は実験をしたのだ。追い詰めてやれば何を創るのか。
擬似的な死の間際、あのガキは俺を強く憎んだ筈だ。俺の死を強く望んだ筈だ。
「創造神が望むとは、“そういうこと”なんだろう?」
イテナは手を振り払う様な仕草をすると、自らの持つ空間魔法の全ての技術を持ってして厚い空間のカーテンを取り払った。
そこに有ったのは小さな揺り篭。それに揺られる一人の幼女。あのガキもガキだったが、更にガキだ。まだギリギリ乳飲み子と言っても許される位には幼い。
「どんな化け物が飛び出すかと思えば……。狐につままれた様な気分だな」
俺を殺す為に産み出され、その能力を有する存在。どんな化け物かと思えば玩具付きの赤ん坊と来た。俺などこの程度と言われた様で腹立たしくもある。
これでは足りない。もっと力が無くては俺には届かない。俺を殺す力を持ってるだけじゃ宝の持ち腐れだ。
故に、俺は聞こえないことを承知でその揺り篭へと声を掛けた。
「俺の弟子になれ。より高みへと連れてってやる」
効率的に、効果的に強くしてやる。だから羽ばたけ。より高みに。より極致に。
俺を殺す為に……。
――――ロレック視点――――――――
痛みを感じる。
陛下を失なった、心の痛みを。
陛下は、何時だって私の全てだった……。
「……クソォ!」
思わず拳を叩き付け、その衝撃が傷口を抉り耐え難い痛みが走るが、そんなこと知ったことではない。そんな小さな痛みなど、陛下を失なった哀しみに比べれば蚊が刺した程の痛みもない。
「陛下……っ。ドウシテ私より先に死んでしまわれたのですか?ドウシテ私に先に死なせてくれなかったのですか?
私は、貴方の為なら……」
不敬を恐れず言うのなら、陛下は私の親だった……。私に親の記憶は無い。親は私が1つになるかどうかの頃に戦死した。そのせいで施設に引き取られたらしい私の最初の記憶は3つか4つの時の私に謝る陛下の姿だった。
『すまなかった。君の両親は名誉の戦死だ。君の幸せを、父母を、君から奪ってしまったのは私の無能故だ』
近くの従者から意味を噛み砕いて教えて貰った時になんと奇妙なことを言うのだろうと子供ながらに思ったことを覚えている。私にとって両親という物は元から存在などしなかったのだから。
物心付いた時には既に陛下と共に居た。他の戦災で片親である幾人かと共に王城に召し抱えられた私は小姓として陛下を一番近くから眺めることになった。両親共に死んだのは私だけで、他の者には親が居た。次第にその事実が私の中に染み込むにつれ、不思議と喪失感だけがカラッポの私を満たすことが増えた。
そのカラッポを満たしてくれたのは陛下だった。陛下は常に真っ直ぐだった。全種族の融和という目的に向かって邁進し、その身を粉にせんばかりに働いていた。真っ直ぐ故に少々勘違いされ易い所もあったが、それもまた魅力だった。
陛下は力を、道標を、そして信頼を、私に与えてくれた。共に進む間、何度も何度も陛下の為に死のうと思った。陛下の為に私は居るのだと、心の底から思った。
そして今、生きる意義が、生きる価値が、私の全てが、一瞬にして奪われた。イテナという、一人の人間の手によって……。
「許さないッ!!下等種族共がァ!!私は絶対に貴様らを許すモノかァァアア!!!!!!!!!!」
私は怒りのままに目の前にあった砕けた刃の破片を握りしめる。
ズォォオオオオ!!
『殺せぇっ!!』『死ねぇっ!!』『やれぇっ!!』『助けてくれぇっ!!』『金ならやるっ!!』『どうして私だけがこんな目にぃ!!』
瞬間、破片からとてつもない力と、怨嗟の声が流れ込んで来る。そしてそれが、カラッポになった私を再び満たして行った。
「カッ……、ハッ……!」
魂喰ライノ妖刀。イテナが直々に打った刀であり、人の魂を喰らい、蓄え、自己修繕する、所謂“成長する刀”だ。一々新しい刀を打ち直すのが面倒になったイテナが対で作り上げた内の1本である。
そして砕かれ、元の刀の丁度半分の蓄えを持った破片は“新しい主”に相応しい形へと成長する。
ニュルニュルニュルニュル!!
薄く長いまるで飾りの様な大脇差。その刀身は妖しく光るまでに鋭利なのが分かる。
≪5000の生け贄を確認しました≫
≪条件3を解放により魔王への進化を開始します≫
そしてその破片に込められた魂。それが、奇跡的に噛み合った。
ミチミチミチ!!
筋肉が膨張する音がする。骨が軋む音がする。そうして、ロレックは魔王へと身体が組み換わって行った。
その激痛に顔を顰めるロレックにどこからか聞こえてきた。それは苦しみ故の幻聴だったのか、それとも称号魔王の前兆か。その声は酷く胡乱気だった。
『ほぅ、此度は早かったな。さて、魔王となりし者よ。何を望む?前任者の如く支配し、死者を出さぬ力か?それとも過去の異物の願った様な屈伏させる力か?何であろうと我が力の及ぶ範囲叶えてやろう。
望みを晒せ。さすれば与えられん』
誰だ?いや、誰だって良い。
望みだと?そんな物決まっている。
「陛下を生き返らせろ!」
『残念ながらその力は古の約定により封印されている。魔王としてより力を求めれば、或いは叶うやも知れぬ。他の望みを言え』
使えん!いや、陛下再臨の為の道筋が有ったことを喜ぶべきか。ならば!
「力をッ!下等種族共を根絶やしにする力をッ!私にっ!!」
『心得た』
そして、再びロレックに莫大な力が注ぎ込まれる。薄れ行く意識の中、必死で歯を噛み締めながら叫ぶ。
「イテナッ!私は貴様を許さないッ!必ずこの手で八つ裂きにしてやる〜〜ッ!!」
そうしてこれが、後に『災厄の魔王』と呼ばれるモノが誕生した瞬間であった……。
……っという訳で今話にて第1章が終了になります。
もう一度言います。
『第1章』が終了になります。
いや〜長かったぁ〜。
いや、まぁね。長い理由は明白なんだけどね。
そこはまぁスルーで。
第1章で外伝とか入れるもんじゃないよね。本編より長くなった時はどうしようかと思ったよ……。
次章に入るまでは暫く休みます。
再開は早くて来年の4月、遅くて再来年の4月です。
あ、プロットとか考える為とかではなく完全に私事です。
章で言うなら6章位まで大枠構想してます。
4章過ぎた辺りから蛇足ですがその蛇足が長いのがこの作品の特徴なので。
(外伝で実証済み)((T_T))
そこまでどれだけのブックマークが残ってるだろう……。
いや、むしろ外伝消せば増えるんジャマイカ……。
とまぁこんな感じで春まで冬眠します。去らばです。
あ、活動報告で人物紹介上げるかもです。
時間ややる気がなかった場合はご免なさい。
初めて活動報告マトモに使うな……。




