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傾世の暗殺者異世界に物申す  作者: 伊賀良太郎
第1章〜魔王暗殺〜
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異世界転移

「うおらぁー待てぇー。」

「目標確認、確実に仕留めろ。」

「「「うおー!」」」


俺は今困っている。

だがそれは追っかけてくる4万3千の兵達にではないし、ましてや俺の首に懸けられてる白金貨400枚という破格の懸賞金に対してでもない。


何故なら兵達は彼らの王のローライスの首を獲れば退かざるを得ないだろうし、なんなら全滅させることもできる。

賞金稼ぎに対してもそうだ。

心配する要素がない。


困っているのは今後について。

主に金についてだ。

蓄えがある場所についてはローライスが手を回してるだろうし、自分を殺して懸賞金を得ようにも他の暗殺者等に骨格でバレるだろう。

いくつかに分けて置いてあり、いくらかの金銭があるがこれでは多少いや大いに心許ない。

ま、この状態でもひび暮らせないわけではないのだが、変装と移住のひびになるだろう。


他国に逃げようにも(俺のお蔭で)大陸一つが国であり、船で渡りたい所だが……。


うん、船売ってくれるわけないよな。


目撃証言にまで(信憑性があればだが)情報料がかかってるのだ。

昔馴染みはいるが信用できない。


泳げない訳ではない。いやむしろ、1ヶ月位なら余裕で泳げる。なんなら歩けるし。


そう自分だけでならかなりの確率で生きられるのだが……。

この武器達は置いていくことになるだろうな……。 容量増大と重量軽減の魔法もあって、歩く武器庫と化していた俺だが潮風による錆びまで防ぐ術はない。 時間停止魔法も使えないことはないが15メートル以内限定ということになるし、魔力量からみてざっと1週間ぐらいしかもたない。


「くそっ、こんな事になるならさっさと殺しておけば良かった。」


ガルシュの時代は良かった。古きよき時代って奴だ。 暗部の長だった俺は裁量どころか、内政に口を出せるくらい権力を握っていた。

まさかローライスが俺を追い出す程にバカだったとは。「権力の中央化、暗部解体、清き政治を。」等とふざけたことを抜かしていると思っていたが。世界を放棄するとは、馬鹿のする事はよくわからん。

俺がいなければ戦力ダウン以外のなにものでもないが、追っ手を海の向こうまで出される前に殺しておくか……。

言い訳は出来た。これで思う存分憂さ晴らしが出来る……。


カチッ、ブゥゥゥン


反転しようと足に力を込めた瞬間、俺を中心に魔方陣が形成されていく。淡いピンク色に輝くそれは設置型のそれではなく。もっと高次元のものだ。

それを見ると同時に本能が耳は要らぬとばかりに警笛を吹き荒らす。


クッこりゃ転移系だな現状俺しか使えない筈だが……。

使えるようになったとしたら弟子達だが……。

弟子達の体たらくを思い浮かべ顔をしかめる。あれらが空間魔法をつかえたらすでに俺は神になっていると思うな。

キャスリングだろうから、サークルの外に出れば……。

空間移動しつつサークルの外へ出……。


バチッ


弾かれた!?ということは俺完全指定か。くそっ、俺にも使えんぞこんなの。

このままだと魔力封じの小屋へ一直線だな。仕方ない報復は後回し……


そこで俺の意識は暗闇に沈んだ……。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


拘束無し魔法使用可能。屋内戦闘に支障無し。

兵士22近衛近接タイプ内魔法使用可能数8脅威無し。

貴族以上の財を持つもの3内1戦闘能力有り脅威無し。

職業判定不能服みたこと無し一般人内1戦闘能力有り脅威無し。


大切なのは状況把握だ。 情報収集のために気配を消す。幸い早くに消すことが出来たため俺を探す者は居なかった。


《隠身を発動しました》 《余剰経験値を発見しました》

《レベルが427になりました》


なんだ?何か聞こえたぞ?視線は俺には向いていないが……。


「勇者様方突然お呼びして申し訳ありません。責めなら後でいくらでも聞きます。ですからどうか我等の願いを聞くだけでも…お願いします。」

喋ったのは貴族?の男だ。この台詞は練習したのだろう抑揚に僅かにズレがあった。

この俺を騙すには程遠いが一般人には効果的だったようで、二人は茫然自失としていたままだったが、一人は持っていた怒りを鎮めた様だ。

いや、違うな。別の事に気を取られたみたいだ。

「それって魔王退治……とか?」

一般人達は余り見ないタイプの服を着ている。仕立ては上等だがあつらえが質素だ。宝飾の類いが欠片も見られない。変人貴族かただのバカくらいしか思い付かないな……。

容姿としても貴族のようだ。要するに筋肉がなく少し太っている。胴回りは顔の3倍くらいありそうだ。 ただ髪と瞳の色が貴族にしてはおかしい一般人全員が黒目黒髪だ。貴族の髪ではない。たしか…スーベェの辺りにそんな民族がいたような気がするな。


「どうしてそれを!?はい、……正しくその通りです。」

今度は本気で驚いたのか、あたふたしながら答えている。最後は何か納得したようだったが、なにに納得したかはわからない。

っていうか……魔王って何よ、二人で共通認識で話すんじゃない。俺にもわかるように話せ。…暴虐な王とかそんな感じか?貴族の横にふんぞりかえってる奴がいるがそいつが王じゃないのか?それとも他の王ってことか?


「現在我等8の種族が生存競争をしておりますが、それは種族同士ではなく魔族と魔物に対してでありましたので、魔族とは精々にらみ合い程度の戦争を繰返しておりましたが……。」

魔王のお蔭で崩れたのか?だがそんなの最初からやれただろうに……?


「そこに魔王が?」

「はい…魔王が現れたお蔭で勢力バランスは崩れ裏切り者すら出る始末で……。」

ああ、新興の類いか…。8種族ってどういうことだ?人間以外は動物しかいないが……。

「そんなのこのまま倒せって言われても無理だぞ?」

「異世界出身の方はなにかそれぞれ特殊な能力をお持ちとのことですが……。」

ギクリ。俺に言ってんじゃないだろうな……。心当たりが有りすぎるぞ。

ん?ちょっとまて異世界ってどういうことだ?

え?え?何みんなわかってんの?なんで?誰もツッコまないの?

「異世界ってどういうことですか?」

よく言った!俺は君を誇りに思う。

身体は小さい女の子って感じだが、きっと巨大な精神力を持っているに違いない。

「申し訳ありません。誠に勝手ながら古代魔法により、こちらの世界に転移させて頂きました。」

なるほど次元移動魔法ね…。

それ移動先の次元指定出来ないよね?無差別?無差別なの?

チッ最初から探っておけば良かったな。

《索敵を発動しました》 《余剰経験値を発見しました》

《レベル374になりました》

ほんとだ。かなり生物として疑わしい奴等がいるな…。

最初は視線での現状確認だったのが失敗したな。

この部屋デカいから助け呼ばれても余裕で全滅させて逃げられるくらいの時間はありそうだったから油断した。

「それって、帰れ…」

「止めろ答えが知りたいのか?」

「……悪い。」

「特殊能力って心当たりないんだけど。」

「それでしたらステータスで確認出来ると思いますが……。」

「ステータスって………どこまでもゲームだな……。」

ステータス?ゲーム?

「魔力集中するような感じで中心を見つめるとわかると思いますが…。」

なるほどこうか…。

《能力開示を発動しました》

《審眼を発見しました》 《能力開示に統合しました》

《レベル358になりました》


――――――――――――

名前 イテナ

年齢 18(27)

種族 ヒューマン

職業 暗殺者・勇者

レベル 1

HP 53400/53400

MP 56100/56100

攻撃 1064

防御 480

俊敏 6018


スキル

隠身427 索敵374 能力開示358 常闇1


称号

宵闇の勇者


―――――――――――― 年齢については()が本来の年齢で最初のが現在の年齢という解釈で良さそうだ。

常闇?さっきまでのに出てなかったな?

説明が書いてあったため見てみると暗闇時HPMP回復率上昇とのことだ。これが特殊な能力なのだろう。スキルとは何なのか気になったので誰か聞いてくれないか横を向いたのだが、まだ三人共見れていないのかうんうん唸っていた。

「魔力集中ってどうやんだよっ!もっとちゃんと教えろよっ。」

「すみません。えっと身体の中のエネルギーを纏めて練り上げる感じで……。」

どうやらまだかかりそうなので取りあえず俺と同じ境遇らしい三人のステータスを見ておく。


――――――――――――

名前 シジマ・ユウト

年齢 17

種族 ヒューマン

職業 学生・勇者

レベル 1

HP 28/28

MP 17/17

攻撃 1

防御 2

俊敏 1


スキル

身代わり1(味方の代わりにダメージを受けるレベルによる制限有り)


称号

守護の勇者


――――――――――――――――――――――――

名前 ムラヤマ・マサヤ年齢 17

種族 ヒューマン

職業 学生・勇者

レベル 1

HP 21/21

MP 22/22

攻撃 2

防御 1

俊敏 1


スキル

覚悟1(HPが10%以下の時攻撃力上昇)


称号

斬滅の勇者


――――――――――――――――――――――――

名前 アオシマ・サクラ年齢 17

種族 ヒューマン

職業 学生・勇者

レベル 1

HP 17/17

MP 29/29

攻撃 1

防御 1

俊敏 1


スキル

魔力集中1(MP回復率上昇)

称号

慈愛の勇者


――――――――――――

同じ境遇だと思っていたのはこっちの勝手な思い込みだったようだ。ここまで違うと隠さざるを得ないな。

《隠蔽を発動しました》 《余剰経験値を発見しました》

《レベルが283になりました》

《情報偽装を発動しました》

《余剰経験値を発見しました》

《レベルが326になりました》

取りあえず新しいステータスはこいつらに合わせておく事にした。

30分程した後ようやく全員がステータスを見ることが出来たため。質問会が再開された。

「このスキルと言うのは…。」

「はい、そうですね……その人の技能を見える形にしたものです。そうする事で半自動で技能が使えます。」

何!?それは本当か!凄いぞ!それならほぼノーモーションでスキルを出せるということではないか!?

ふふふ妄想が止まらんぞまったく。これは革新だ。 スキルの隠身の欄に集中して…

《隠身を解除しました》 「「「「!!!!?」」」」

本当だ!これなら練習すれば戦闘に用いれなくもないぞ!もう離さないぞス…。

「あっ、あんた何もんだ!?」

…………。


その後1時間にも渡り周囲を騒がしたが、『影が薄すぎて見えなかった。』という事で収束した。……納得いかねぇ。


「以上が魔王の討伐における事の顛末です…。情けない話しですが、お願いする事しか出来ません。お願いします!勇者様!我等をお救い下さい!」

今喋ったのは王?の娘だ。年の差が大きく第二、第三王女じゃないかと推測できる。能力開示を使えば良かったのだが、もう判ってしまったため必要ないだろう。王?がそこで慌てているが、王の娘が平民に頭を下げるとは、とかなんとか言いたいのだろう。

「ねぇ、助けてあげようよ。ね?」

不味い。賛成派に皆が傾きつつある。善意じゃ腹は膨れないというのに。嘘が無いことは知っているが確約している訳じゃない。そうゆう世知辛い事も詰めていかなければならないのだ。

「報酬は?」

「は?」

「報酬はと言ったのだ。」

不味いと思ったのか貴族が慌てて会話に滑り込む。 「報酬としてはそうですね。前金としてそれぞれ白金貨十枚ずつ、成功報酬として白金貨それぞれに千枚でどうでしょうか?」

聞いてみるとどうやら金の価値は同じであるようだ。

「5千」

「……はい、わかりました。」

殺気を叩き付けながら言ったら了承してくれた。

「つまりそれは魔王の暗殺依頼であると言うことだな?」

「は…はぁまぁそう捉えられても構いませんが……。」

「ではその暗殺依頼。この俺イテナが引き受けた。」

「それはお一人で?」

「ああ」

「は?」


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