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帝国の栄華  作者: ロンメル
対ソ戦
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かつて独軍はスターリングラードの市街戦から敗北が始まった。日本軍も機械化されていたがイルクーツクでの市街戦の影響でしっかり市街戦訓練も行っていた。ドイツ軍の用に野戦に特化していた訳ではないのだ。しかし市街戦になれば必然的に兵力の消耗も大きくなる。ただ、クラスノヤルスクを奪還したソ連軍がジューコフ元帥率いる主力部隊の為無視するという選択肢は持てなかった。クラスノヤルスクを包囲すべく焼け野原となった郊外を機械化部隊が西進して、七月二十九日にクラスノヤルスクは日本軍によって完全に包囲された。

「総統閣下、このままでは戦局の打開は難しいと思われます。そこで今回我々特殊作戦軍はソ連の最高指導者たる村松を拉致し講和に持ち込む事を目的とした作戦を立案しました。本作戦は盟友たる独英が占領しているレニングラードより晴空で大日本特別騎兵連隊のうち一個中隊をビリーコエ湖に送り込み九三式四輪機動車でソ連軍に見せかけながらモスクワに入城、そこで連合軍に空爆をかけてもらいどさくさに紛れてクレムリンより村松を拉致し、又ビリーコエ湖より離水、レニングラードに帰投する作戦です。」

1942年8月2日の会議で作戦が立案された。総統である俺の下には四つの軍が配属していた。陸軍、海軍、そして1941年独立の空軍、最後に1937年創設の特殊作戦軍だった。特殊作戦軍はその名の通り特殊作戦に従事する部隊で常に最新の装備が与えられていた。特殊作戦軍に所属する部隊は海軍特別陸戦隊、陸軍特殊作戦隊、空軍特殊猟兵隊、大日本特別騎兵連隊、特殊工作隊等があった。この内今回の作戦に投入される予定なのは大日本特別騎兵連隊以下特騎隊である。何故なら現在の各特殊部隊の配置はフィンランドに特騎隊第一大隊、シベリアに残りの特騎隊、満州国内に陸軍特殊作戦隊、台湾に空軍特別猟兵隊、日本本土に海軍特別陸戦隊と特殊工作隊が展開していた。フィンランドの特騎隊第一大隊は古澤からの依頼でフィンランド陸軍の訓練に当たっていた。彼等には六月に試作されたばかりのAK47が配備されていた。

「分かった。本作戦を了承しよう。直ちに作戦の準備に掛かってくれ。そして米内海軍大臣に伺うが現在次の対米戦に向けての海軍増強はどうなっているのかね?」

「はっ。現在大和型戦艦三番艦信濃、そして四番艦甲斐が建造中であります。」

「そうか、航空戦力はどうなっている?」

「はい、研究の結果10度のアングルドデッキが最適との結論に達し、既に噴式艦載機を運用可能な鋼鉄製甲板を備えた空母の設計に入りました、これが設計図面です。予想排水量は三万八千t、速力は三十五ノットを計画しております。」

二一世紀の現用空母としては甲板はオーソドックスなつくりだ。ニミッツ級の様な設計の飛行甲板だが、甲板の下に対空兵装はてんこ盛りだった。

「駄目だ。艦橋を甲板の後部、即ち右舷のエレベーター二基の後ろに置く、そうしてエレベーターをこことこことここの三基に減らす。後の設計はこの通りでいい。CICは設けたんだろうな?」

ジェラルド・フォード級空母に習った艦橋配置にしたほか艦橋ではなくCICで戦闘の指揮をとる事が今後の海戦の姿と定めた。それによって艦橋の小型化も成し遂げたのだ。

「はい、空母だけでなく既存の戦艦やその他補助艦艇にも搭載する予定です。」

「なるほど、潜水艦はどうなっている?」

「はい、既に伊五〇〇級の建造が始まっており二隻が就役しました。」

「よろしい、軽空母はどうした。」

軽空母といっても高速護衛空母みたいなものを目標としていたが。

「これです。」

全くの新しい設計でカタパルト、エレベーター共に二基ずつといった普通の配置だ。設計は簡易化されている。

「まあいいだろう。駆逐艦なども増産してくれ。」

「はっ!」

「続いて阿南陸軍大臣にお伺いするが陸軍はこの戦争に対して後どれくらいで終戦できると見込んでいるのかね?」

「はっ!例の拉致作戦が成功すれば即刻、それが無ければ1944年には入ると思われます。」

「推定死者数は?」

「はい、既に五十万を超える広義の戦死者が出ています。そしてこれからソ連軍の抵抗も激化するでしょうからおそらくあと三十万は戦死すると思われます。」

八十万の死者ということは恐らく二百万近い負傷者もでるだろう。帝国陸軍にとっては大きな痛手となるのは必須だ。

「では阿南大臣、陸軍は対米戦に何年から望めるだけの軍備を持てる?」

「はい、早くて1947年でしょうか、それ以前だときついです。何より極東戦線は我国と満州国の二カ国で戦ってるようなものですから。」

「それもそうだな。河辺空軍大臣、噴式戦闘機は完成したのか?」

「はっ!既に最終調整を行っています。導入は来年になるかと。」

「よし、特殊作戦軍はいつ作戦開始できる?」

「英米軍や補給の問題、クレムリンの構造調査含めて十月には開始できるかと思います。」

「それでは遅い、来月中旬には発令したい。」

「いや、しかし。」

「こういった特殊作戦は準備に時間を要することは分かっている、だが今は一刻を争うのだ。ソ連軍は反撃作戦を開始した。頼むから急いで欲しい。」

「わかりました。全力を尽くします。」

「あぁ、この戦争の行く末は諸氏の双肩にかかっているのだよ。この作戦は烏作戦と名付ける。只今より帝国四軍は全力を持って本烏作戦を遂行する。」

「はっ!」

ソ連軍は包囲下でも士気旺盛だった。空軍の戦略航空隊は毎日の様に五百キロ爆弾、1t爆弾、ナパーム弾の雨をクラスノヤルスクにふらせた。タイフーン作戦参加航空機の大半をあの大空襲で失ったソ連軍はモスクワに更なる空軍戦力の派遣を求めたが諸般の事情で却下された。i16では届かず、新鋭のYak1は送られてこない、最悪の状況化でソ連軍は苦しんでいた。それは西でも同じだった。史実でソ連軍反撃のきっかけとなったスターリングラードは米独伊仏四カ国連合により包囲されチュイコフ指揮下のソ連第62軍は抵抗を続けていたが降伏は近いと思われていた。そんな八月十八日、大本営からヘルシンキに

「ヤヲハナテ」

という電文が打電された。これは烏作戦開始を告げる電文だった。

今後行われる戦争において登場必須な武器ってなんですかね?(1953年位までのでお願いします。)教えてくださると光栄です。

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