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帝国の栄華  作者: ロンメル
転生
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多目的教室には机の代わりに小さな部屋みたいな物が沢山あった。

「静かにしろ。」

先生が注意する。

「お前達と、観戦者の俺達は何年向こうにいようが帰還時間は試験終了時になっているから時間は気にするな。思う存分やれ。では昨日頼まれたものを渡すぞー。出席番号順に取りに来い。取ったら自分の番号の部屋に入れ。因みに全国で人は日本語が話せるから心配するなよ。」

無事にもらって小部屋に入る。勿論俺の自前の資料も持っている。

「チャイムと同時に転送するぞ。」

キーンコーンカーンコ・・とここで意識が途切れた。

「閣下、大丈夫ですか。」

会議中だったようだ。

「あぁ、平気だ。」

落ち着いて答える。

「さて、昨年の米国での株価暴落から世界財政が悪化の一途を辿っています。」

カレンダーは1930年の元旦だった。

「先のワシントン軍縮条約に引き続きロンドンで海軍の軍縮会議が開かれるようです。前交渉に派遣する人物を決めませんと。」

「そうだな、わし自ら言ってくるか。」

俺は乗り気だった。なぜならある程度他国の出方が見たいからだ。

「一緒に石井菊次郎と佐藤尚武も補助として連れていく。」

財政は苦しいので軍縮をしつつもそれなりの戦力が欲しい。ここでの俺の立場は国家総統である。史実にはこのような役職は存在しないが元首となるための口実である。

「総統、わかりました。その方針で行きましょう。」

会議の後宇垣一成陸相を呼び出した。

「我軍は今後ソ連を仮想敵国に置いて軍の大幅な再編成をする。かつて君がやったみたいに軍縮だが近代化を推し進めたい。総統命令で出すから君は心配しなくていいのだが陸相なので相談しようと思ってね。まず、大規模機甲戦力の確保だ。前年に採用された八九式中戦車では役不足だ。よって我々が密かに設計したこの戦車を作って頂きたい。」

渡したのはⅢ号戦車j型である。

「なるほど・・・。」

「それだけではない、動きの鈍い砲兵を自走化すると同時に砲も一新したい。故にこれらの砲の開発も検討してくれ。」

俺が持ってきた大量の砲の設計図を渡す。

「そして歩兵も機械化したい。この図面のジープやハーフトラック、オートバイも実用化して歩兵装備としたい他機関銃や自動小銃、短機関銃も開発したい。」

「はぁはぁ・・・。」

宇垣陸相の頭はパンク寸前だろう。

「そして航空隊は戦術爆撃機、戦闘機、戦略偵察機、戦略爆撃機等に区分する他空挺部隊も設立したい。他に海軍省や外務省と協力して諜報機関や暗号専門機関の設置も行ってくれ。そして重々承知とは思うが我が国は資源に乏しいので海軍と装備を揃えて極力兵器の値段を下げたいのである。分かってくれ。」

「なるほど・・・。」

「と、言うことである。検討しておいてくれ。」

「分かりました総統閣下。」

敬礼して宇垣が部屋を出ていく。続いては財部海軍大臣だ。

「海軍もこれを機に改革すべきだと思う。主に新型空母の建造、新しい造船所の設置、潜水艦戦術の見直しと新しい海軍機の開発である。重々承知とは思うが我が国は資源に乏しい、陸軍と共通の装備を揃えて極力兵器の値段を下げたい。どうか協力してくれ。」

大量の設計図を財部の前に置く。

「はい。分かりました。検討します。」

「各種メーカーとも話し合ってくれ。後陸軍省や外務省と協力して諜報機関や暗号専門機関を設立してくれ。」

「はい、分かりました。」

各社の石油部門を統一して新しい石油会社、新日本石油を設立、そこに大慶油田と遼河油田の地図を渡し総統命令で開発を命じた。他にムサン鉱山の更なる整備を命じた。更に各工業メーカーに朝鮮半島北部の開発も命じた。転生一週間であらかたの指示は終えた。

「総統、ロンドンへ行きましょう。」

会議より一週間早くロンドンについた。ここからはかなりのハードスケジュールになる。まずついた翌日に英国首相の宮本と会談するのである。場所はウィストミンター宮殿だった。

「よう、宮本、久しぶりだな。」

「そうだな竹内。」

握手する。

「今回の会談の目的は二つある。今度行われる軍縮会議の事前協議と更なる我が国との友好のためだ。まず単刀直入に言うとマレーシアを我が国に譲渡して頂きたい。勿論その先にある貴国のシンガポール要塞に攻撃を加える気はない。この間のワシントン軍縮ではアメリカが一番有利になった。しかし、太平洋では我々の帝国海軍と五分、大西洋では現在の貴国の大西洋艦隊の他に太平洋艦隊の一部を割けば有利になるはずだ。アメリカは日英同盟を破棄に追い込んだ我等共通の敵であろう。それに社会の成績がいい俺と組んでおいた方がいいと思うけどな。その為には軍縮条約が決まった翌日に第二次日英同盟の締結を発表する。マレー半島の割譲はその時発表する。」

「別にいいぞ。」

宮本はアホなのかもしれない。俺の狙いは錫、鉄、ゴムの資源だ。

「更に現在軍備を押さえつけられているドイツも巻き込んで日独英三国対共産共同宣言を出して、その後日独英三国対共産同盟を締結し、世界を脅す。」

「なるほどな。」

その日の会談は俺の優位で終わった。翌日はアムステルダムでオランダを統治している稲葉と会談した。

「お前ら今すぐインドネシアを独立させろ!」

怒鳴りつけた。いじめられっ子にはそのような脅し方で思い切り要求を突き付ける方が効果的だ。

「ぼ、ぼくは、インドネシアを手放したくない。」

どもりながら稲葉が反論する。

「そうか、ならば覚悟しておけよ。」

と怒鳴って部屋を出た。非公式な会談だったが五分で終わった。その足でベルリンに向かいベルリンで一泊した。その後岡と会談した。

「岡、イギリスが再軍備を認めるそうだ。ただしそれには条件がある。」

「なんだ?」

「日独英三国対共産共同宣言を此度のロンドン海軍軍縮会議が終わったあとに出し、そのまま日独英三国対共産同盟に発展させる。とりあえず目の上のたんこぶであるソ連を全力で潰すのだ。ついでに言うと我々は恐慌からの脱出を支援して三カ国で恐慌を乗り切ろうと思っている。」

「いいよ。乗ろう。」

その後は再び一泊し、ロンドンに戻った。その後は石井や佐藤で工作を進めて俺は待機していた。

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