000 プロローグ1
初めまして、さかなと申します。
今回の作品は2回OVL大賞応募作として書き始めた作品であります。
現在進行形で『天才少女と凡人な俺。』という作品を連載しているのですが、その作品は2回OVL大賞応募作の条件に全く一致しない内容だったので新しく書き始めました。
連載小説を書きながら応募用作品を書く辛さを感じながらも日々頑張って書いている次第で御座います。
ではでは、挨拶はこのくらいにして『サー・マジョ』をお楽しみ下さい。
それはとある異世界で巻き起こった物語である。
現実世界とは異なった場所。空気の清らかさも水の透明感も、空の蒼さも太陽の光も。全てが現実世界とは異なっている。
その世界には人間という種族は存在せず、四つの種族で構成された世界。そして今、この世界のエルフ領は殺伐とした場所へと変わってしまっていた。
「アンタのような人間が私と同じ魔女だなんて信じられないわ」
フリルの付いた黒と青のドレスのような服を身にまとっている女の子が相対する女性を睨みながら言った。
そんな女性もフリルの付いた白とピンクのドレスのような服を着ている。
だが女の子とは正反対にその体はボロボロで、服も少しばかり破れていた。
そしてその女性は立ち上がり土で汚れてしまった自身の顔を腕で拭った。
「ふざけんなよクソガキが」
女の子よりも更に鋭い眼光で睨む女性。その殺気までも纏っているような瞳を前に女の子は笑う。
「あははははは。何がクソガキよ。そんなクソガキにボロクソやられてるのはいったい誰!? あんたみたいな力もなにもない女が、魔女としてこの世界に召喚された事自体がおかしいのよっ!! ねぇ、さっさと死んで?」
女の子からは笑顔が消え、冷たい表情で無情な言葉を言う。
そしてその言葉を言い終わった女の子の手の平には青白い光が生まれる。
「我が心を映し出し 絶対零度の雨を降らせたまえ」
何かの呪文を詠唱し始める女の子。そしてその詠唱と共に青白い光を纏っているその手を天高く翳す。
すると女の子の頭上には大きな魔方陣が展開された。そして
「フリーズレイン」
冷たい声音で言い放つ女の子。それは全ての存在を消し去ってしまいたいと感じるような低い声音だった。
そしてその瞬間、女の子の頭上に展開された魔方陣からは無数の氷柱のように鋭利に尖った氷の塊が地上へと降り注がれた……。