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知らない世界にとばされた。  作者: 茶碗蒸し
9/21

休日・ケルテル

 俺達は1500ケインという膨大な金を持って、夜に宿屋に着いた。

 洞窟では化け物に会わなかったが、森では当然会った。

 ただ、ユアは凄い勢いで街に向かい、俺とマアはそれについて行くのに精一杯だったので、結果としては会った化け物は全て無視した形になる。

「3部屋使わせてもらいます」

 俺は店員に言いながら300ケインを出す。

「ありがとうございます」

 店員は受け取る。

「ではいつもの部屋をお使い下さい」

 店員が言うので、俺、ユア、マアは階段を上り、2階に行く。

「残りはいくら?」

 ユアが言う。

「1200ケインだな」

「じゃあ、私が使わせてもらうわね」

「全部か!?」

「ええ」

 何に使うんだ。こいつ。

「蓮斗さん。ユアにも何か考えがあるんですよ」

「そうかなぁ?」

 俺はポケットから1200ケイン出すと、ユアは俺の手からそれを奪い取る。

「じゃあね」

 ユアは軽く別れを告げると、階段を下りていった。

「どんな考えがあると思う?」

「すごい考えです」

「そうか」

 俺は部屋に入った。

 大丈夫かな……。


 俺は服を洗濯機に入れる。

 そして『洗濯開始』のスイッチを押す。

 すると洗濯機はギュルギュルという音をたてて、すぐに音が無くなる。

「早いよなぁ、相変わらず」

 俺は洗濯機から服を出すと、完璧に乾いていた。

「もう乾いてるし」

 俺の家の洗濯機もこうだったらなぁ。

 まぁ、同じ服を着るっていうのは抵抗があるけど。

 俺は浴室に行き、『風呂』というボタンを押す。

 こちらもまたギュルギュルという音をたてて風呂はもう沸いた。

 俺は風呂に入った。


 俺が風呂から出て、服を着た所でノックが聞こえた。

「はい?」

 ドアを開けると、ユアがいた。

「私の部屋に来なさい」

「お、おう」

 俺はユアと部屋に入る。

 部屋にはマアがいて、あと大きなビニール袋があった。

「な、何それ?」

「ああ、これ?」

 ユアは近付いてビニール袋の中を見せる。中には、

「野菜?」

「そう、正解!」

 やっぱりか、だが、

「な、なんで? 料理でも作るの? 多くない?」

 明らかに多い。10人前でも作るのだろうか?

「違うわよ。杖に食べさせるの」

「は? え?」

 ついにおかしくなっちゃったか? 元々電波ちゃんっぽかったけど。

「言わなかったっけ? 精神力を使って魔法を使うじゃない? それを物で代用できるって」

「あー、そうだった。なるほどな」

 そういえば、会ったばかりの時、そんなこと言ってたような。

「はい、そういうことです」

 マアは袋から野菜を出して並べながら言った。

「ほいっ」

 ユアは野菜に触れさせて吸い込んでいく。

 トン、トンと杖を触れさせる度に野菜は消えていく。

「なんというか異常な感じ」

 俺の呟きは意にも介さずに続ける。

 吸い込んでいく度に水晶が赤くなっていく。

「赤くなってない?」

「ああ、これはどれだけ代用できるかを表しているのよ。真っ赤になるまで吸い込めるわ」

 そして、20個ほどあった野菜が10個になった所で杖が真っ赤になる。

「いや、余っちゃってるけど」

「さ、蓮斗も」

「へ?」

 俺も、何をするんだろうか。

「私の杖をコピーしたんだから、できるわよ。実際、魔法は発動できる訳だし」

「そうかなぁ?」

「杖を物に触れさせて、吸い込めって思えばいいのよ」

 随分な無茶を言う。

「杖」

 とりあえず、ミューテイトを杖の形にする。

 そして、杖を野菜に触れさせる。

 イメージだ。さっきのような野菜が杖に取り込まれる感じ。

 俺は目を閉じてイメージする。そして、目を開けると野菜はなかった。

「うわぁ、出来た」

「よし」

 俺はそのまま野菜を吸い込みまくるが、上の方にある水晶型の白い球体が黒くなって行く。

「なんか、黒くなってるんだけど」

「あなたの杖は黒に変わるのね。濃くなるまでやれば、多分、重くなる魔法も結構な回数使えると思うわよ」

「な、なるほど」

 俺は言われた通りに野菜全てを杖に取り込む。

「明日は遊びませんか?」

 マアが突然、提案した。

「え?」

 なんというか、意外だった。

「ほら、二日連続で洞窟に行くより、1日遊んでから行った方がいいじゃないですか」

「うん、そうだな」

 その意見には賛同できる。

「じゃあ、行きましょうか!」

 とユアも賛同すると、

「はい!」

 とマアも言った。

「ところで、金は残ってるのか?」

「ええ、1200ケインほど」

 ふう、良かった。

「じゃあ、大丈夫ですね」


 俺は待ち合わせ場所である、よくケーキを食べに行く店の前に来ていた。

「ここが待ち合わせ場所なのか。絶対、最後はここに戻ってくるだろ」

 俺は思いながらも待つ。

 すると、マアが走って寄って来る。

「すみませ~ん、お、お待たせしましたか?」

 息を整えて無いのにマアは言う。

「いや、全然待ってないよ。あとはユアだね」

「は、はい」

 まだ息が整わないようだ。

「大丈夫か?」

「は、はい。あ、りがとう」

 頑張ってお礼を言おうとしてくる。

「もう、いいから。大丈夫」

「はい」

 わざわざ走って来なくても良かったのになぁ。

 まだ30分も前だ。俺は1時間前からいたけど、それは礼儀としてだしなぁ。

「走ってこなくても良かったんだぜ?」

「はい、ただ居たので。走っちゃいました」

「ははっ、性格が良いんだな」

「へっ、いや、そんなこと無いです」

「俺は良いって思うよ」

「あ、そうですか」

 マアは顔を見せずにそう言った。

 ユアが前に見える。

「お待たせー」

 歩きながら大きく手を振って言う。

「おう! 待ってたぜ」

「ごめんごめん、でも待ち合わせ時間まだでしょ? いつから居たのよ」

「さっきだな。じゃあ、行こうぜ」

 すると、ユアはマアの事を見て言った。

「ええ、セレス? 大丈夫? 顔、真っ赤だけど。風邪?」

「あ、いえ。大丈夫です。はい」

 動揺しすぎだろ。

「そう? 無理しないでね」

「はい、じゃあ、行きましょう!」

「うん!」

 ユアは返事をするとよくケーキを食べる店に入ろうとする。

「って、おい。そこ入るのか?」

「ええ、その為にここを待ち合わせ場所にしたんじゃない」

「マジかよ。生粋のケーキ好きだな……」

「そう?」

 俺達は店に入って椅子に座る。

「ケーキ3個、ください」

 ユアが注文する。

「かしこまりました」

 店員は綺麗にお辞儀すると、下がった。

「この街も、色々遊ぶ場所があるわよねぇ」

「そうなのか?」

 俺には武器屋とかがあるイメージしか無い。

「ええ、ケルテルとかが出来る場所もあったわよ?」

「ケルテル?」

 なんじゃそりゃ?

「魔法でトゲの付いた風船を操って闘うゲームですよ」

 マアが説明してくれる。

「へえ」

「じゃあ、このあと遊んでみる?」

「おう、でも、俺風船を操る魔法なんて使えないぞ?」

「大丈夫です。精神力さえあれば自動で発動するようになってるんですよ」

「そうなのか」

 すると、店員がケーキを持って近付いてくる。

「ケーキでございます」

 店員は俺らの前にケーキを置いた。

「ありがとう」

 ユアが言う。

「いえ、では失礼します」

 そして店員は次の仕事に移る。

 うん、美味しそうなケーキだ。

「じゃあ、食べましょう?」

「ああ、いただきます」

「いただきまーす」

「いただきます」

 ケーキを食べる。

 うん、相変わらず美味いな。

「おいし~」

「本当、これ美味しいですよ!」

 マアは喜びながら言う。

「うん、一度セレスにも食べさせてみたかったのよー」

 そうなのか。

「うん、ありがとう」

「え? ええ」


 俺達はケーキを食べ終わると店を出て、ケルテルが出来るという店に来た。

 でも、ケルテルって俺、知らないんだよなぁ。

 この世界は俺の願望がベースになってるけど、少しはユアの願望も入ってんのかな?

「さ、やるわよー」

 ケルテルは本来、4人でやるものらしく、3人では半端だ。

「じゃあ、マアとユアでやれよ」

「何言ってんのよ。2対1で妥当だっての」

 ユアが強気に言う。

「へえ、言うなぁ。マア、倒そうぜ!」

「え? はい、頑張ります!」

「フッフッフ、来なさい。貴方達がどれだけ小さいか思い知らせてやるわ」

 なんかラスボスみたいな雰囲気出してるけど。

 10ケイン入れると、机に開いている穴から風船がでてくる。

「蓮斗さん。その杖を握って下さい」

 机には棒が付いている。これの事だろうか? 

 俺はその棒を握る。

「前に倒すと、前に前進します」

 俺は棒を前に倒す。すると風船は前に動いた。

「あまいわぁ!」

 俺の風船はクルクルと回りながら前に動くが、ユアの風船は一直線に俺の風船に向かってくる。

「危ない!」

 マアが叫ぶが、もう止まらない。

 俺の風船とユアの風船がぶつかった時、俺の風船だけが割れた。

「何?」

「このゲームを分かってないようねぇ、蓮斗。風船にはトゲが一つしか付いてない。つまり、上手く操作してそれをトゲ以外の部分に当てなきゃいけないのよ!」

「なにぃ!?」

 驚愕。それを先に言ってくれれば。

「大丈夫です。このゲームは1人2個風船を使えます。すぐに出てきますよ」

 マアが言う。

「ああ」

「心を静めてイメージすれば風船は回転せずに飛んでいきます」

「ああ」

 マアの風船はユアの風船とぶつかる。トゲとトゲがぶつかり、風船と風船がぶつかる。

「やるわね、セレス!」

「負けられません!」

「へえ、今日はいつになくやる気じゃない」

「今日は、今日だけでも!」

 またぶつかり、二人とも割れない。

 そして、俺の2つ目の風船がでてくる。

 俺は激しい闘いを繰り広げているユアの背を取り、襲いかかる。

「くらえええ」

「クッ、しまった!」

 パァンという音。

 ユアの風船が割れた。

「やるわね、蓮斗。あまく見てたかも」

「へっ、俺は負けず嫌いなんでな」

 そしてユアの風船がでてくる。

「それは、私もよ!」

 ユアの風船は綺麗な弧を描いて接近してくる。

「クッ」

 俺はトゲをぶつけに行くが、かわされる。

 そして無防備になった俺に襲いかかる。

 だが、その角度ではトゲが当たる事は無い。

「あっ」

 マアが何かに気付いたように言う。

 ユアの風船は俺の風船に当たり、俺は動かされるが、割れる事は無い。

 フッ、避けきった。

 パァン。

 なんだ? 風船が割れる音?

 俺が見るとマアの風船が俺の風船のトゲに当たって割れていた。

「私に囚われすぎよ、蓮斗」

「バカな。悪い、マア」

「いえ、大丈夫です。これもユアの作戦ですので」

「ああ」

 全員、残り1個。

 ユアの風船が近付いてくる。

 俺はユアの風船をかわす。

 そしてマアがユアに攻撃しようとする。

 ユアがかわす、そしてその先には俺の風船。

「まんまと引っ掛かったわね、セレス。これで蓮斗は終わりよ」

 すると、マアはトゲをユアの方に向けた。

 そうか、なるほど。

「へえ、代わりに貴方が負けるつもり?」

 違う。

 俺はトゲじゃない部分でマアに当てる。

「なっ」

 そのままマアの風船はユアに当たった。

「えぇえええ」

 ユアが言う。

「よっしゃー」

「やったぁ!」

 俺とマアがハイタッチする。

「あ、その」

 マアはやり終わってから恥ずかしがってるようだ。

「私が……負けた!?」


 宿屋に向かう道。

「そんなに落ち込むなよ」

 ユアは負けてものすごく落ち込んでいた。

「ええ、でも、今日のセレスは強かったわ。なんか今日は勝つみたいな事言ってたし」

「え? あれは、その」

「ああ、ありがとな! マア」

 マアの顔が赤くなる。

「ふぁ、はい!」

 大丈夫かな?

「じゃあ、明日は洞窟ね。頑張りましょう!」

「はい」

「おう!」

 そして俺らは宿屋に向かった。

一休み、というやつですね。

この小説には多いかもです。

ただ、多分次回は結構進むので、その前にこういうのを挟んでおくと後に良いのです。

では次回!(も読んでくれると嬉しいです)

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