表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
知らない世界にとばされた。  作者: 茶碗蒸し
4/21

望んだ世界

 俺の世界は素晴らしかった。

 化け物が森を徘徊し、よく見ればリンゴの化け物まで。

 街には四つの柱があって、それはシンボルだった。

 俺は、そんな世界に生きていた、強く生きていた。

 俺の現実はつまらなかった。

 本当に火や水や土や風はでやしないけど、想像の中ではちゃんとでていた。

 あの世界に行けば、いくらでも使えるのに。

 勿論、そんな世界は俺の頭の中だけで、現実には無い。

 だけど、やっぱり能力が欲しかった。なんでもいい。

 でも現実は、どれだけ能力が欲しいと思っても、冷たく、冷徹に能力など無いとつきはなした。

 だから、俺はあるふうに見せた。

 でも、それは滑稽で、周りから見れば異質だった。

 俺の周りには、誰もいなくなった。

 それから俺は、そんな世界を夢見る事が無くなった。


「ん?」

 朝、俺は目を覚ます。

 そうだ。

 俺は昔、この世界を夢見ていたんだ。

 四つの柱の立つ街に狼の住む森。魔法が栄えていて、住民はどんな物でも同じ値で買い取ってくれる。

 待ち望んでいた世界だったんだ。

「ぐああああああああ」

 俺は昔の恥ずかしい思い出に門絶した。

「うぅ」

 やばっ、ユアを起こしたかな?

 俺はユアの顔を見るが起きてない。

 よし、大丈夫。

 で、この世界は俺の願望で構築されているのか?

 でも、なんで?

 それに、俺は可愛い彼女が欲しいとは思っていても、それが魔法使いなどとは思っていなかった。

 つまり、ユアは俺の願望で構築されてない。

 一瞬、怖い想像をしてしまったが、良かった。ユアはちゃんと生きてる――俺の願望で出来てない――別世界の人間だ、と思う。

 という事は、ここから出られないのは俺の所為という事だろうか?

 なら、俺がこの世界を否定すれば……。

「う、うぅん。あ、おはよう。蓮斗」

 ユアが起きた。

「ああ、おはよう」

 もう少し、あとでもいいか。


 俺とユアはサンドイッチの朝食を食べて、森へ向かっていた。

「ねえ、その話。本当なの?」

 俺の話を聞いて、ユアはそう言った。

「ああ、この世界は俺の夢みていた世界にそっくりだ。おそらく、俺の願望がなんらかの影響で形となったんだ」

「なんらかの影響、となると私の世界を繋げる魔法?」

「かもしれない。ちゃんと完成してなかったか、あるいは完成していても、こういう影響が及ぼされるのかも……」

 これも、確証の無い話だが。

「ありえる話だわ」

 だが、どれだけ話しあっても答えはでない。

「まぁ、とりあえず、森で金を稼ごう」

「ええ、目標、一人200ケインね。怪我したら呼んでよ?」

「おう!」


 深い緑で色づく森。木は全て大きく、この森は何年前からあるのだろう? と連想させる。

 そう思えるのも、余裕ができたからだろうか?

 俺の目の前には化け物。

「またリンゴ君かよ、これで5体目」

 リンゴ君を見つけると、おもわずそう言ってしまった。

つるぎッ」

 声でミューテイトを剣に変え、リンゴ君に近付く。

 ブンッという風を切る音の後、ザシュンという音。

 見事に剣がリンゴ君にヒットし、お金に変化した。

「お、銅貨。何円なんだろう?」

 銅貨を拾い上げる。

「リンゴ君は倒したらリンゴか銅貨になるんだな」

 なんとなく、俺が右の方を向くと、狼がいた。

「やった、大物。リンゴ君ばかりだったからな」

 狼はこちらが接近しない限り、接近してこない。

 あれ、そういえば。

「杖」

 剣が杖に変わる。

 ただし、ユアとは違い、ほぼ白で黒が少しある色だが。

「魔法って俺も使えんのかな?」

 杖を狼に向け、

「確か火がでる魔法は……フエゴ!」

 何も起きない。

「やっぱりミューテイトの杖だとダメなのかな? まぁ、いいや。剣、二重使用ダブル、盾」

 杖は盾に、盾からは剣がでてくる。因みに、この二つも白が基調となっており、少し黒がある。

 俺は剣を引きぬいて狼に近付いた。

「おぉーりゃっ」

 襲いかかってくる狼に当てる。

 腹の下の辺りに当たるが、深くは刺さっていない。

「おりゃーっ」

 盾を狼の頭に押し当てて、剣をもう一度狼に刺す。垂直に刺したからか、貫けた。

「剣、二重使用ダブル、剣」

 盾が剣に変化し、それで一直線に狼を斬る。

 ズバンッという音をたてて狼は三つの金貨に姿を変えた。

「解除」

 二つの剣をくっつけて唱えると、直方体になる。

 更にそれを手首に触れさせ。

「終了」

 と唱えると、リストバンド型になった。

 俺は金貨を拾って、ユアを探す。

 金貨三枚で150ケインだから、銅貨は三枚あるし、200ケインくらいあるだろう。


 俺はユアを見つけたので、近付く。

 ユアも俺に気付き、話しかけてくる。

「蓮斗、終わった?」

「200ケインかは分からないが、金貨三枚と銅貨三枚だな」

「私も金貨三枚に銅貨四枚ね。なんか、狼は珍しいっぽい」

「ああ」

「じゃあ、帰りましょう。ブスカル」

 ユアは「人の位置が分かる魔法」ブスカルを唱える。

「え?」

 軽く驚く。

「どうした?」

「街とは別に、この森に人がいる」

「俺達以外に?」

「ええ」

 街から人はあまり森に出ないと思うが……。

「行ってみるか」

「そうね」


「え、どこ、ここ?」

 女は森にいた。

「と、とりあえずブスカル! あ、あっちに人が二人いる」

 気軽に魔法を唱えると、女は『あっち』に向かった。

 その女の目の前に狼。

「きゃー」

 できる最大の速度で逃げた。

「ふう、逃げきれた」

 目の前にリンゴの化け物。

「きゃー」

 できる最大の速度で逃げた。

「あれ? どっちに向かってたんだっけ?」


 俺とユアはきゃーという悲鳴を聞いた。

「やばいかもな。急ごう!」

「ええ」

 急いで森を駆け抜けると女がいた。

「セレス?」

 ユアが叫ぶ。

「ユア!」

 女はユアに飛びつく。

「生きてたんですね、良かったぁ~」

「い、生きてるわよ。ていうか、なんであんたがここに?」

 ユアは狼狽しながらも、聞く。

「ユアが心配で、ユアの部屋に行ってみたら机の上に空間移動魔法の仕方が書かれていて」

「はぁ、それ見て来たのね?」

「うん」

 何を言っているのか分からない。

「あの~、ユアさん? どうなってんの?」

「ああ、こいつはマアっていうの」

 俺がおいてけぼりになったのを察したのかユアは説明してくれる。

「どうも、マア・セレス・ケリドスです」

「どうも、京極蓮斗です」

 何故、自己紹介がはじまった?

「それで、私が心配になって勝手に部屋に入って、私が作った、あのあなたの世界に行った魔法を使ったんだって、したらここに」

「俺らの世界には行かなかったのか?」

「?」

 マアはよく分からないという顔をしている。

「ああ、セレス、あなた、魔法唱えてすぐにこの世界に来たの?」

「え、うん、気付いたらここに」

「ふぅん」

 ユアは興味深げな顔をしていた。

「とりあえず、街に戻ろうぜ?」

「うん、そうね」

「街なんてあるんですか?」

 マアは聞いてくる。

「ああ、すぐそこにな」

「そぐそこ? 私、ここまで来るのにすごい苦労したんですよ~」

「へえ」

 もし、この世界に来た時、独りだったら辛かったろうな。ユアに感謝しなきゃ。

「リンゴみたいなのに襲われたり」

「ああ、私達も襲われたわ」

「狼に会ったり」

「「狼!?」」

 マアの何気ない言葉に俺とユアは驚く。

 狼と言えば150ケインだ。

「どこで、見たの?」

「え……えっとぉ」


 俺とユアとマアは街に戻っていた。

「まさか、あんなに探し続けるなんて……」

 マアは疲れたように呟く。

「150ケインだぞ!?」

「ケーキ6個分よ?」

 俺とユアがマアの言葉に驚いて言うと、マアは困ったような顔をする。

「ケインってなんですかぁ~」

「お金の数え方よ。この世界の」

「へえ」

「さ、とりあえず、宿屋に行きましょ?」

「そうだな」


 そして、宿屋。

「さ、この銅貨はいくら?」

 ユアは宿屋の店員に聞いた。

「ああ、銅貨は10ケイン。銀貨は20ケイン。金貨は50ケインです」

「てことは今の所持金は……」

 ユアが呟くので、

「金貨9枚に銅貨7枚です。さて、いくらでしょう?」

 問題をだしてみる。

「え、えーと。450ケインが70ケインで……520?」

「正解っ」

「よしっ!」

 そんな俺らを見て、

「仲良いですねっ」

 とマアが言った。

「だっ、誰がよ!」

 慌ててユアが言う。

「ユアと蓮斗さんですよぅ」

「わかっ、いや、仲良くないわよっ」

 ユアの声は最後の方が小さくなっていた。

「ひどいな」

「あっ、ごめん」

「いや、いいんだが」

「「……」」

 沈黙は辛い。

「っ、とりあえず、3部屋使わせて下さい」

「はい、300ケインとなります」

「はい」

 所持金、残り220ケイン。

「じゃあ、とりあえず部屋に行くか」

「うん」


 俺は部屋に入る。

 ベットに転がりこむ。

「ふう」

 コンコンというノックの音が聞こえる。

「はーい」

 ドアを開けるとユアがいた。

「あのさ、昨日。約束したじゃない?」

「ああ、ケーキを一緒に食べようっていう」

「そう、今から行かない? セレスも一緒に」

「お、おう」

 セレスも一緒にという言葉でやっぱりな、と思う。


「ん~、美味しいですねっ」

 マアが言う。

 俺達、3人はケーキを食べていた。

「やっぱり、美味しい!」

「うまいな」

 普通のショートケーキでここまで美味しいとは。

「でしょー?」

「ああ」

 なんか、ユアってケーキ食ってる時だけ性格違うよな。

「ねえ、セレス。あっちでは私の事、どうなってるの?」

「多分、ユアの事は気付かれて無いと思う」

「そっか。でも、セレスが消えたら気付くから私達の世界もなんかしてくれるよね?」

「うん」

 ど、どういう会話?

 まったく掴めない。

「それにしても、美味しいわね。ねえ? 蓮斗」

「え、ああ。そうだな。なぁ、やっぱり前の世界に戻どりたいだろ?」

「え、まあ、ね」


 どうやったら、戻れる?

 やっぱり、ユアも戻りたいって言ってたし、俺がこの世界に居たくないって思えば……。

「俺はこの世界から戻りたーい」

 言ってみたが、何も起きない。

「もしかしたら、俺がこの世界に居たくないって思うのは関係ないのかも……」

 じゃあ、どうやったら戻れるんだ?

 ああ、この世界を作ったのは魔法以外、考えられないから、その魔法を壊してしまえば戻れるかも。


 ノックをする。

「何?」

 ユアだ。

「あ、えっと聞きたい事があるんだけど」

「とりあえず、入る?」

「え? ああ」

 部屋に入るが居心地がなんというか……。

「で、どうしたの?」

 ユアはパジャマだった。

「あっ、いや」

 少し、動揺した。

「ん?」

「あのさ、考えたんだけど、この世界からも戻るには俺の願望を世界にした魔法自体を壊してしまえばいいんじゃないか?」

「なる……ほど。でも、どういう魔法かも分からないし」

「やっぱり、分からないと壊せないか?」

「そうね。難しいわ。解析する事もできるけれど……」

 魔法ってそういうもんか。

「じゃあ、明日からは解析をしてくれ。金は俺が稼ぐ」

「なんかそれ、夫婦の会話みたいよね」

「あ、そうだな」

 顔を赤くしながらも答える。

「じゃ、頼むわ。解析は任せて!」

「ああ、マアと一緒にやってくれ」

「うん!」

「じゃあな」

「じゃあねっ」

「……その、おやすみ」

「おやすみっ」

 俺はユアの部屋のドアを閉じた。

新キャラ、キーマンでは無いですね。

でも、まあまあ重要です。

さて、この世界もまだ秘密を溜めこんだままですね。

次はユアの秘密について迫る、と思われます。

では、次回!(も見てくれると嬉しいです)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ