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知らない世界にとばされた。  作者: 茶碗蒸し
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コネクテ・エル・エスパシオ

 それから、俺とユアは幸運にもそれ以降、化け物とは会わずにユアの言う「人がいっぱいいる場所」に着いた。

 そこは街だった。

「着いたっ」

「おい、ユア。この街、見たことあるか?」

「いえ、無いわね?」

「俺は……ある」

 その言葉を聞いて、ユアは驚く。

 しかし、どうして見たことがあるんだ。俺は。

「え? じゃあ、この世界はあなたの方の世界って事?」

「いや、わからない。ゲームで見たのかも」

「は? なにそれ」

「俺の世界には『森を抜けたら街』なんて事は無いんだ」

「ふーん。まぁ、言ってみましょう?」

「ああ」

 俺とユアは街に入った。

「にしても、中々発展してるわねぇ」

 お、おい、どういう事だ?

 街は家が並び、色々な店がある。

 そこに異質な四つの柱。天を衝くかのようにまっすぐに伸びている。

「この建造物、この世界の科学力もすげえかもな」

 あの四つの柱、見覚えがある気がする。

「行きましょう? 蓮斗」

「ああ」

 街を適当に見て回るが、またおかしい点を見つける。

 店が宿屋、剣屋、防具屋、杖屋など、どこぞのRPGとでも言うかのような種類だ。

 そして、四つの柱の丁度真ん中には大きい家が建っている。

「いや、待て。杖屋? ユア、ちょっと入ろうぜ」

「え? いいわよ」

 その店に入るが、やはり。

「この杖って、魔法が使えるあの?」

「ええ、すごい品揃えね。まぁ、私にはこいつがいるからいいんだけど」

 こいつ、というのはユアの持っている杖の事だろう。

「それより、ユア。魔法があるって事はこの世界はお前の方のか?」

「あっ、ええ。そう……かもしれないわ」

 だとしたら、あの四つの柱は低い科学力でも魔法で作れる。

 ただ、どうして俺に見覚えがある?

「じゃあ、出よう」

「うん」

 俺らは杖屋を出る。

「とりあえず、宿屋に行こうぜ? 疲れたよ」

「そうね。あなたも噛みつかれたし」

「ああ」

 少し、あの狼を思い出した。

「っていうか。なんで剣で突き刺したのに、はなしちゃうのよ。あのままにしとけば噛みつかれなかったのに」

「いや、腹を貫いて死なないとは思わなくて」

 反射的に答える。

「え、そういえば、それも不自然よね」

 そう、俺は確かに狼の腹を貫いたのだが、死にはしなかった。

 更に言うなら、狼から出た血は、狼がお金になった時に、消えた。

「ま、とりあえず宿屋だ」

 俺とユアは宿屋に辿り着き、入る。

「こんにちは。利用したいんだけど?」

 とりあえず、店の人に話しかける。

「やぁ、一部屋、100ケインだよ」

 ケイン、というのはこの世界の通貨だろうか?

「ケイン? ああ、これでいくらだ?」

 金貨3枚を見せる。狼を殺した時に出た物だ。

「うむ、150ケインだな」

 という事は金貨一つ50ケイン。一部屋100ケインだから……。

「一部屋しか……。どうする?」

 とりあえず、ユアに聞く。

「どうするって、でも……」

「わかった。じゃあ、お前が使え。俺は…………」

 俺はどうしよう。

「もう、いいわよ。なんとなく使えるでしょ? 二人でも」

「あ、ああ」

 慌てながらも答える。

「じゃ、じゃあ、一部屋で」

 ぎこちなく言う俺に、

「はーい」

 店の奴は素っ気なく答えた。


「じゃ、じゃあ、そのへんね? 私は、このへん」

 ユアは適当に部屋を半分、指差して使う範囲を区切る。

 俺の使える範囲にはベットがあった。

「いや、このベットはお前が使えよ。今日は怪我を治してもらった借りがあるし」

「そう? じゃあ、そうね」

 ベットを見つめて、ユアは固まる。

 俺がどうぞ、と言うと、

「…………わーい」

 と子供みたいに飛び込んだ。

「あはは」

 俺はソファに座る。

 リンゴ君、腹を刺されても死なない狼、魔法、RPGみたいな街。そして、それを見たことがある俺。

 ゲームみたいだ。

 この世界はもしかしたら、俺の世界でも、ユアの世界でも無いんじゃないか?

 例えば、ユアの世界から俺の世界に繋いだ事が世界にとってのバグで、この世界が構築された、とか。

 いや、それは無いか。それなら、俺が何故、この世界に見覚えがあるのかが、説明できない。

 俺はミューテイトを直方体型にし、操作する。

 剣、盾、鞭、自転車、槍、空白、空白、設定変更。

 という順番に並んでいる。

 設定変更? なんだこれは。

 俺はとりあえず設定変更を押す。

 すると、画面は黒くなり、白い文字で、形状設定とプログラム設定がある。

 とりあえず、形状設定を押すと、あと二つ設定できます。と書かれた画面が出てくるので、また押す。

 すると、ミューテイトに記憶させたい物体に触れさせて下さい。

 と出てくる。

「ユア」

「な、何?」

 いきなり話しかけたからか、慌てている。

「杖を貸してくれないか?」

「何するの?」

「ちょっと見たいんだ。いいだろ?」

「うん」

 そして、ミューテイトを触れさせる。

 するとミューテイトが杖を包み込む。

「あっ、ちょと、何してんのよ」

「大丈夫だ。お前の杖には何も起こらない」

 ミューテイトが直方体型に戻る。杖は何一つ変わってない。

「何をしたのよ」


「つまり、それを杖の形にしたかったって訳?」

 説明をした。

「は、はい」

「次やったら、許さないから」

「今回は許してくれるのか!?」

「ええ、その代わり、私にもミューテイト貸してよ。そんぐらい仲良くなったでしょ?」

「え、あ、ああ」

 俺はミューテイトを手渡した。

「どうやって使うの?」

「それはだなぁ」


「さて、続き続き」

 ユアにミューテイトの説明をし、遊ばせ終わった後。

 俺は、ミューテイトを前と同じ操作をして、形状設定とプログラム設定の二択にまでもっていく。

 ここでプログラム設定を押すと、音声設定という文字がでてくる。

「音声設定?」

 とりあえず、押す。

 すると、ON/OFFとあって、下にONにした場合、設定した名前を叫ぶと、その形に変化します。と書かれている。

「どういう原理だよ」

 とりあえず、ONを押し、

「剣」

 と言ってみると、剣の形に変化した。

「おぉ、すげえな」

 俺が感嘆の声をあげるなか、

「えぇ? なにそれ!」

 というユアの声を聞いた。

 はぁ、またか。

「使いたいか?」

「うんっ」


 音声機能をフルに遊んでユアが落ちついたので、俺はまたミューテイトをいじりだした。

「ねえ、蓮斗。あなたっていつもそんな感じなの?」

 そんな感じ?

「ああ、いつもあまり出かけないな」

「私も、魔法の研究ばかりであまり、家を出なかったけど、やっぱり、外に出た方がいいと思うのよ」

「そうだな。この世界の情報も収集しないといけないし」

 俺の人生で可愛い子と街を歩くなんてイベントは微塵も起こらなかったから、このチャンスを逃す訳にもいかないしな。

「そうよね。じゃあ、でかけよう」

「ついでに飯も買うか」

「そうだね」

 宿に100ケインなら50ケインで食事分は足りるだろう。

 俺は頭の中で食費を計算し、ドアを開けた。


 夜食と、ついでに朝食も25ケインで足りた。しかし、

「これ、食べたい」

 ユアはケーキの前で立ち止まり、言った。

 ケーキ、25ケイン。

「おい、待て。夜食、朝食で25ケインだぞ? しかし、これはケーキ一つだけで……」

「ケチだなぁ、別にいいじゃんか」

 怒っています、とでも言いたげに、しかし本当に怒っている訳では無いような顔をしている。

「はぁ、わかった。じゃあ、明日の化け物狩り、お前も手伝えよ?」

「ん、当たり前じゃん。買っていいの?」

「ああ、元々、この金もお前のおかげで手に入ったようなもんだ」

「やったぁ」


 にしても、一切れ、1ピースで25ケインも、とはな。

 俺は宿に戻ると、やっぱ買わない方が良かったかな? と考えていた。

「うーん。美味しいっ」

 ユアの満面の笑み。

 それが見られただけで、25ケイン分の価値があるな。

「ね、ねえ。蓮斗」

 おずおずとユアは話しだす。

「なんだ?」

「イチゴは、私が食べてもいいかな?」

「そんなに美味しかったのか」

 俺は呆れ気味に言う。

「う、うん」

「じゃあ、全部やるよ」

「ホントっ」

「その代わり、明日は俺も食べるから、その分、頑張って化け物狩りしてもらうぞ」

「うん」

「じゃあ、俺はそろそろ寝るわ」

「うん」

 ということで、俺は床で寝た、のではなく、寝ようとした。


 ユアの部屋に、一人の女がいた。

「ユア、今、辛い思いをしていると思うけど、すぐに連れ返してあげるからね」

 女はそう言うと、ユアの家族で作り上げた空間を繋ぐ魔法を唱える。ユアの机の上にある紙で分かったのだ。

「コネクテ・エル・エスパシオ!」


 蓮斗とユアの部屋。

 ユアは迷っていた。

(床で寝てる蓮斗を無視して私はベットで寝るって……なんか居心地悪いわね)

 …………。

(起きて、ないわよね?)

 ユアは布団からシーツをはがして、蓮斗にかける。

(何か足りないわね)

 ユアは枕を蓮斗の頭を持ち上げて、下にいれる。

(よしっ)

 ユアはベットに戻り、シーツをかけ、寝ようとした。が、

(眠れないわね)


 別に、わざわざ布団や枕をくれる必要も無かったのに。

 よけい、眠れなくなるじゃんか。


次は新キャラが登場します。

ついに、登場人物が三人という現状からのオサラバ。

物語も(当たり前ですが)進み、蓮斗も色々な事に気付いたり。

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