信実と蓮斗÷2
それから、城では祝うに祝えないような心境の中、一先ず、平和を祝った。
心中穏やかざるものはありながらも、それを表に出すわけにもいかず、俺はすぐに寝る事にした。
終わりの予感が確信的なまでにあった。
「おはようございます。蓮斗」
「ああ」
ヨーラに声をかけられ、俺はそれに答えた。
「何処かへ行くんですか?」
俺が城門の方向へ歩いていったからだろう、ヨーラは言った。
「ああ、一時頃には帰るよ」
「分かりました。いってらっしゃい」
「ああ、行ってきます」
俺は城をあとにする。
「ヨーラ? 誰と話してたの?」
ヨーラは蓮斗が城を出たと同時に現れたユアに話しかけられる。
「ユアさん。蓮斗さんが、今出かけて行ったんですよ」
「ふーん、朝から忙しいのね」
俺は宿屋の前に着く。
「よぉ」
すると、後ろからフードの男に声をかけられる。
「まだ、一時じゃないぞ」
「細かい事は気にするなよ。俺」
フードの男はフードを外す。その顔はまさしく京極蓮斗だった。
「どういうことだ?」
「そこまで難しい話じゃないさ。お前が俺を願った。それだけなんだよ」
「俺が、お前を願う?」
俺の意味の分からない言葉に戸惑う。
「ああ、ユアの魔法は異世界と異世界を繋ぐ魔法だ、本来はな。しかし、どういう巡り合わせか、その魔法はお前の願望のままにある異世界を作りだしてしまった。それが、ここだ」
「俺の願望?」
「ああ、お前の願望さ。この世界で、お前は神を気取りたかった。願っていたのだろう? 力も、魔法も、自分を求める存在も! だから、俺が出来たのさ。お前は、誰からも愛される自分を願った。しかし、それと同時にお前の現実でお前を認めてくれる者を悲しませる事を拒んだ。だから、お前の代わりに俺が、出来たのさ。お前、帰りたいか?」
「俺は……」
ヨーラの部屋。
ユアとマアが居た。
「もうすぐ、完成しますね」
「ええ」
「これが完成したら、離れ離れになるんでしょうか?」
「かもしれないわね」
悲しさを感じさせる声だ。
「やり残したこと、あるんじゃないんですか?」
「ちょっと、用事を思い出したわ」
「はいっ!」
「帰りたいなら、お前がこの世界を拒めばいい。そうすれば、この世界の存在意義はなくなり、お前は元の世界へと戻れる」
「俺は、この世界にも大切な事が出来すぎてしまったんだ。拒む事なんて」
きっと、俺は帰ることなんでできやしない。
「だろうな。インギュース・リ・ガエス」
「なっ」
「記憶を消せば、どうだかは知らんがな」
目の前には、俺にそっくりな人間がいた。
辺りは見たことのない場所で、一体俺はどうしてしまったんだろう。
「な! 俺? どういうことだ?」
「慌てるな。お前、帰りたいか?」
「蓮斗!」
声が聞こえる。その声も、顔も、赤い髪も見覚えは無かった。
「あ、ああ」
俺は光に包まれて――――
目が覚めた。
俺が、突如失踪した事件から、一年が経つ。
あれから色々な事があったけど、未だに消えない疑問がある。
俺は自分の部屋のベットに座った。
すると、前には赤い髪の少女がいた。
「やっ、蓮斗! やっと会えたわ」
きっと、俺はこの少女と疑問を解消していくのだろうと。
「久しぶりだな。ユア」
そんな予感がしたんだ。
今まで、ありがとうございました。
本当はもっと長ーく続ける予定だったのですが、どんどんと考えている内に、彼ら彼女らにとっての本当に正しい結末は、などと訳の分からない事を考え出して、そういうのを含めると、私にもそれは分からない事だと思いました。
ここでの終わりが、おそらく一番良い終わり方ではありませんが、一番納得のいく終わり方なのです。
最後まで自分勝手かもしれませんが、今までありがとうございました。




