魔法を使える奴がいる!?
「どこだよ、ここ」
俺は、ゲートに吸い込まれて、知らない地に立っていた。
森、木がまばらにあって、整備されていないのが分かる。
せめてもの救いは歩けないほどの傾斜が無いって所か。
そんな森は女に映えていた。いや、女は周りがなんでも引き立たせるんじゃないだろうか? と思うほどの美貌だった。
赤い髪は情熱的に。持ってる杖は幻想的に。
いや、待て。
「お前、誰だ」
俺は女に言い放った。
俺が今、家にいない原因はこいつだ。
「私? 私はユア・トランスミシオン・セクレトよ」
「は? あ、えーと。ユアな。オッケー」
よく聞き取れなかったが、最初の方だけで呼んでおく。
何人だよ? でも日本語。
「で、あなたの名前は?」
「俺は京極蓮斗だ」
「は? 変な名前ね。もう一回言ってくれるかしら?」
お前の方が変な名前だろうが。
「とりあえず、蓮斗と呼べばいいから」
「れんと、蓮斗ねえ。よし、蓮斗!」
「なんだよ?」
「呼んでみただけよ」
「はぁ?」
変な奴。
「それより、なんだここは?」
「私も分からないのよ」
「おいおい、摩訶不思議な事して、俺を巻き込んだのはそっちだろう?」
「してないわよ。巻き込んだのは悪かったけど!」
なんで巻き込んだのにこんな強気なんだよ。
「わかった。こういう時はまず、落ち着いて、まずお前は今日何をしたんだ?」
「私は、まず一族に伝わる魔法を完成させて」
「待て、魔法? 何を言っているんだ」
会話が繋がらない。
「魔法は魔法よ。まさか知らないとでも言うんじゃないでしょうね?」
「何、知らないのがおかしいみたいに言ってんだよ、電波ちゃん! 持ってる杖もそういう事か!」
「で……電波? よく分からないけど、杖をバカにしないでくれる? 私の家に代々伝わる、大切な杖よ?」
「代々? お前、そこまで言うなら魔法見せてみろよ!」
「はぁ、じゃあ特別に見せてあげるわ」
ユアは杖を前に突き出し、
「フエゴ」
変な言葉を言うと、木で出来た杖の上部にある水晶から火が出た。
「えぇ? どういう原理だ?」
「へへーン。どうよ?」
「すげえ、お前」
「でしょう?」
杖上部の水晶は透き通っている。これから火を出してしまったら、これはもう魔法としか言いようが無い。
「あら? 私達ってなんの話してたっけ?」
「ああ、忘れてた。お前が今日、何をしていたか、だ」
やっと理由が分かる。
「ああ、そうね。私の一族には空間を繋げるという魔法が伝えられているの」
「空間を繋げる?」
「そう、世界を別世界に繋げる。って感じ」
「マジかよ」
だけど、あの魔法を見たらもう、信じられる。
「その魔法は中々完成させることができなくて、祖先から開発し続けて、私の代でようやく完成したの」
「ほ、ほう」
「それで、使ったら、あなたが見えて。それでここに」
よし、理解。
「あー、そう。じゃあ出る方法を探さなきゃな」
「責めないの?」
「ん? お前を責めても時間の無駄だろう? それより、その魔法で帰れないのか?」
重要なのは切り替えだ。
「え、ああ。コネクテ・エル・エスパシオ」
ユアは唱えるが、何も起こらない。
「う……ごめん」
「いや、いい。俺もさっきは巻き込んだとか言って悪かった」
「え? 言ったっけ?」
「覚えてねえのかよ。言って損したわ!」
「うそうそ、冗談よ」
「そう、じゃあ。とりあえず人のいる所まで行こうぜ」
「うん」
俺は足元のミューテイトを拾い、画面の項目からリストバンドを選択。
「早く行こうよ」
ユアは見ていなかったようなので、リストバンド型ミューテイトを装着した。
「おう。ていうか、お前、ここがどこか知んねえの?」
「それがわからないのよ」
「そっか、じゃあ適当に目指すしかないな」
これはおかしいだろ。
目の前にはリンゴ型の化け物がいる。
「か、かわいいわね」
ユアが言う。
リンゴ型の化け物はリンゴに目と口、割り箸みたいな手と足を付けた感じだ。
「でも、今は食糧が無いからな」
「え、殺すの?」
「しょうがないだろう」
「う、まあ、そうね」
「そっち向いてろ」
「なんで?」
「殺すとこ、見たくないだろう?」
「別に大丈夫」
「あ、そう」
俺はミューテイトであるリストバンドの黒い部分を押し、直方体になった所で、手を上げて浮かし、掌でキャッチする。
更に剣のボタンを押し、剣にする。
「なにそれ?」
「後で教える」
俺は剣でリンゴくん(蓮斗命名)を切り裂く。
「おい、どういうことだ?」
リンゴ君はリンゴになっていた。
「へえ、ミューテイト。原理はよく分からなかったけど、形を変えられるのね? 不思議」
俺のミューテイトの説明を聞いたユアはそう答えた。
「ああ」
「ちょっと貸してよ」
「む、ダメだ」
「えぇ、なんで?」
「これは亡き父が作ったんだ。もうこの世にはいない。だから、そう簡単に人には貸せない」
俺は即興で嘘を作り、言った。
「あ、ごめん。嫌な事、思い出させちゃったね」
「いいんだ。良い思い出もいっぱいあったから」
「うん」
こいつに貸したら、どうなるかわからないからな。
「それもそうだが、このリンゴ」
俺は右手に持っているリンゴを見る。
「そうよね。化け物がリンゴになるなんて、おかしい」
「原理は分かるか?」
「いえ、まったく」
俺はミューテイトを剣にして、リンゴを空中に放り投げ、切る。
リンゴはスパっと切れ、断面は思いっきり、リンゴ。
「うん、ただのリンゴね」
ユアも断面を見て言う。
俺はミューテイトをリストバンドに戻して、リンゴを拾い上げ、食べた。因みにリンゴの断面が地面に触れてる方を食べた。
ユアが食べる事になった時、地面に落ちたのだと衛生上よくないからな。
「ちょっと、大丈夫なの?」
「ああ、おいしい。ただのリンゴだ」
「え……どういう事?」
ユアも食べる。
「ただのリンゴね」
するとユアは杖にリンゴを触れさせる。
「食べなさい」
すると、リンゴは杖に吸い込まれた。
「えぇ?」
「ああ、言い忘れたわね。この杖は物を吸い込んで、その分、魔法を使えるのよ」
「魔法って、そういうものなのか?」
「いえ、魔法は自分の元気を使って発動するのだけれど、この杖には吸収魔法っていうのがかけられていて、自分の元気を使わなくても、物で代用できるって訳」
「エコだな」
「エコ?」
「いや、なんでもない」
どうやらユアの世界はCO2が多くないらしい。
「ただ、闇雲に歩いても街は見つからないだろうしなぁ。人の位置がわかる魔法とか無いのか?」
「あるわよ?」
「……なんで早く使わないんだよ」
「あ、ごめん」
「いい。早くやってくれ」
「ブスカル」
ユアが言うと、ある方角に指差した。
「あっちに人がいっぱいいるわ」
「じゃあ、行くか」
「ええ」
ガサッという音がした。振り返ると狼。
「ユア、下がれ」
「え? ああ」
ユアは俺の後ろに隠れる。
「でも、大丈夫なわけ?」
「わからない」
会話しながらもミューテイトを操作、項目から盾を選択した。
中々の大きさだが、軽い。
狼が襲いかかる気配は無い。
すると、盾の後ろに画面があるのに気付く。
剣(出現可能)
盾(使用中)
鞭(出現可能)
自転車(出現不可能)
とずら―っと並んでいた。
とりあえず、剣を押すと、盾から柄がでてくる。
引き抜くと剣になった。
「なるほど、同時に使える武器があるのか」
いや、しかし質量が決まっている以上、二つが限界か、あるいは強度が落ちる可能性が高いな。
狼は襲いかかってくる。
盾で受け止め、剣を腹に突き刺す。
「ふう」
剣を盾に入れる。
「終わった?」
「ああ」
すると、狼は俺の脚に噛みついてくる。
「なっ」
鋭い痛みを感じる。
食いちぎられるッ。
「フエルテ」
ユアが短く唱えると、杖の上部にある水晶は鋭くなり、それで狼を突き刺す。
「フエゴ」
その状態で水晶から火がでて狼の体内を燃やす。
狼はその痛みで俺の脚から歯を離した。
狼は絶命したらしい。
「大丈夫?」
「ああ、ありがとう」
「いいわよ」
すると、狼は血痕ごと消え、そこには金色の金属があった。
「は?」
俺が驚くが、ユアは意にも介さない。
「そんなのより、手当てしなきゃ」
「あ、ああ」
俺の脚からは血が結構でていた。
「レクペラシオン」
ユアは言うと、鋭くなくなった水晶を傷に触れさせる。
すると、傷は塞がった。
「すげえよ。ありがとう!」
正直、一瞬で傷が治るのは感動だ。
「う、うん」
俺は立ちあがって金色の金属を拾い上げる。
「これはお金?」
「え?」
「なんか、人の顔とか書いてあるし」
「へえ」
「ま、とりあえず、人に会おう」
「う、うん」
「どうした?」
「いや、大丈夫かなって」
意外と、心配性だな。
「おう、お前のおかげでな。行こうぜ」
「うん」
まだ、登場人物が三人なわけですが。
主人公の名前は京極蓮斗です。
ユアのフルネームは覚えなくていいです。
私もうろ覚えな感じで。
トランスミシオン・セクレトでしったっけ?
そんな感じです。
間違っていたら修正します。
逆に、時間が経っても変わらなかったら、合っていたという事です。




