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知らない世界にとばされた。  作者: 茶碗蒸し
2/21

魔法を使える奴がいる!?

「どこだよ、ここ」

 俺は、ゲートに吸い込まれて、知らない地に立っていた。

 森、木がまばらにあって、整備されていないのが分かる。

 せめてもの救いは歩けないほどの傾斜が無いって所か。

 そんな森は女に映えていた。いや、女は周りがなんでも引き立たせるんじゃないだろうか? と思うほどの美貌だった。

 赤い髪は情熱的に。持ってる杖は幻想的に。

 いや、待て。

「お前、誰だ」

 俺は女に言い放った。

 俺が今、家にいない原因はこいつだ。

「私? 私はユア・トランスミシオン・セクレトよ」

「は? あ、えーと。ユアな。オッケー」

 よく聞き取れなかったが、最初の方だけで呼んでおく。

 何人だよ? でも日本語。

「で、あなたの名前は?」

「俺は京極蓮斗きょうごくれんとだ」

「は? 変な名前ね。もう一回言ってくれるかしら?」

 お前の方が変な名前だろうが。

「とりあえず、蓮斗と呼べばいいから」

「れんと、蓮斗ねえ。よし、蓮斗!」

「なんだよ?」

「呼んでみただけよ」

「はぁ?」

 変な奴。

「それより、なんだここは?」

「私も分からないのよ」

「おいおい、摩訶不思議な事して、俺を巻き込んだのはそっちだろう?」

「してないわよ。巻き込んだのは悪かったけど!」

 なんで巻き込んだのにこんな強気なんだよ。

「わかった。こういう時はまず、落ち着いて、まずお前は今日何をしたんだ?」

「私は、まず一族に伝わる魔法を完成させて」

「待て、魔法? 何を言っているんだ」

 会話が繋がらない。

「魔法は魔法よ。まさか知らないとでも言うんじゃないでしょうね?」

「何、知らないのがおかしいみたいに言ってんだよ、電波ちゃん! 持ってる杖もそういう事か!」

「で……電波? よく分からないけど、杖をバカにしないでくれる? 私の家に代々伝わる、大切な杖よ?」

「代々? お前、そこまで言うなら魔法見せてみろよ!」

「はぁ、じゃあ特別に見せてあげるわ」

 ユアは杖を前に突き出し、

「フエゴ」

 変な言葉を言うと、木で出来た杖の上部にある水晶から火が出た。

「えぇ? どういう原理だ?」

「へへーン。どうよ?」

「すげえ、お前」

「でしょう?」

 杖上部の水晶は透き通っている。これから火を出してしまったら、これはもう魔法としか言いようが無い。

「あら? 私達ってなんの話してたっけ?」

「ああ、忘れてた。お前が今日、何をしていたか、だ」

 やっと理由が分かる。

「ああ、そうね。私の一族には空間を繋げるという魔法が伝えられているの」

「空間を繋げる?」

「そう、世界を別世界に繋げる。って感じ」

「マジかよ」

 だけど、あの魔法を見たらもう、信じられる。

「その魔法は中々完成させることができなくて、祖先から開発し続けて、私の代でようやく完成したの」

「ほ、ほう」

「それで、使ったら、あなたが見えて。それでここに」

 よし、理解。

「あー、そう。じゃあ出る方法を探さなきゃな」

「責めないの?」

「ん? お前を責めても時間の無駄だろう? それより、その魔法で帰れないのか?」

 重要なのは切り替えだ。

「え、ああ。コネクテ・エル・エスパシオ」

 ユアは唱えるが、何も起こらない。

「う……ごめん」

「いや、いい。俺もさっきは巻き込んだとか言って悪かった」

「え? 言ったっけ?」

「覚えてねえのかよ。言って損したわ!」

「うそうそ、冗談よ」

「そう、じゃあ。とりあえず人のいる所まで行こうぜ」

「うん」

 俺は足元のミューテイトを拾い、画面の項目からリストバンドを選択。

「早く行こうよ」

 ユアは見ていなかったようなので、リストバンド型ミューテイトを装着した。

「おう。ていうか、お前、ここがどこか知んねえの?」

「それがわからないのよ」

「そっか、じゃあ適当に目指すしかないな」


 これはおかしいだろ。

 目の前にはリンゴ型の化け物がいる。

「か、かわいいわね」

 ユアが言う。

 リンゴ型の化け物はリンゴに目と口、割り箸みたいな手と足を付けた感じだ。

「でも、今は食糧が無いからな」

「え、殺すの?」

「しょうがないだろう」

「う、まあ、そうね」

「そっち向いてろ」

「なんで?」

「殺すとこ、見たくないだろう?」

「別に大丈夫」

「あ、そう」

 俺はミューテイトであるリストバンドの黒い部分を押し、直方体になった所で、手を上げて浮かし、掌でキャッチする。

 更に剣のボタンを押し、剣にする。

「なにそれ?」

「後で教える」

 俺は剣でリンゴくん(蓮斗命名)を切り裂く。

「おい、どういうことだ?」

 リンゴ君はリンゴになっていた。


「へえ、ミューテイト。原理はよく分からなかったけど、形を変えられるのね? 不思議」

 俺のミューテイトの説明を聞いたユアはそう答えた。

「ああ」

「ちょっと貸してよ」

「む、ダメだ」

「えぇ、なんで?」

「これは亡き父が作ったんだ。もうこの世にはいない。だから、そう簡単に人には貸せない」

 俺は即興で嘘を作り、言った。

「あ、ごめん。嫌な事、思い出させちゃったね」

「いいんだ。良い思い出もいっぱいあったから」

「うん」

 こいつに貸したら、どうなるかわからないからな。

「それもそうだが、このリンゴ」

 俺は右手に持っているリンゴを見る。

「そうよね。化け物がリンゴになるなんて、おかしい」

「原理は分かるか?」

「いえ、まったく」

 俺はミューテイトを剣にして、リンゴを空中に放り投げ、切る。

 リンゴはスパっと切れ、断面は思いっきり、リンゴ。

「うん、ただのリンゴね」

 ユアも断面を見て言う。

 俺はミューテイトをリストバンドに戻して、リンゴを拾い上げ、食べた。因みにリンゴの断面が地面に触れてる方を食べた。

 ユアが食べる事になった時、地面に落ちたのだと衛生上よくないからな。

「ちょっと、大丈夫なの?」

「ああ、おいしい。ただのリンゴだ」

「え……どういう事?」

 ユアも食べる。

「ただのリンゴね」

 するとユアは杖にリンゴを触れさせる。

「食べなさい」

 すると、リンゴは杖に吸い込まれた。

「えぇ?」

「ああ、言い忘れたわね。この杖は物を吸い込んで、その分、魔法を使えるのよ」

「魔法って、そういうものなのか?」

「いえ、魔法は自分の元気を使って発動するのだけれど、この杖には吸収魔法っていうのがかけられていて、自分の元気を使わなくても、物で代用できるって訳」

「エコだな」

「エコ?」

「いや、なんでもない」

 どうやらユアの世界はCO2が多くないらしい。

「ただ、闇雲に歩いても街は見つからないだろうしなぁ。人の位置がわかる魔法とか無いのか?」

「あるわよ?」

「……なんで早く使わないんだよ」

「あ、ごめん」

「いい。早くやってくれ」

「ブスカル」

 ユアが言うと、ある方角に指差した。

「あっちに人がいっぱいいるわ」

「じゃあ、行くか」

「ええ」

 ガサッという音がした。振り返ると狼。

「ユア、下がれ」

「え? ああ」

 ユアは俺の後ろに隠れる。

「でも、大丈夫なわけ?」

「わからない」

 会話しながらもミューテイトを操作、項目から盾を選択した。

 中々の大きさだが、軽い。

 狼が襲いかかる気配は無い。

 すると、盾の後ろに画面があるのに気付く。

 剣(出現可能)

 盾(使用中)

 鞭(出現可能)

 自転車(出現不可能)

 とずら―っと並んでいた。

 とりあえず、剣を押すと、盾から柄がでてくる。

 引き抜くと剣になった。

「なるほど、同時に使える武器があるのか」

 いや、しかし質量が決まっている以上、二つが限界か、あるいは強度が落ちる可能性が高いな。

 狼は襲いかかってくる。

 盾で受け止め、剣を腹に突き刺す。

「ふう」

 剣を盾に入れる。

「終わった?」

「ああ」

 すると、狼は俺の脚に噛みついてくる。

「なっ」

 鋭い痛みを感じる。

 食いちぎられるッ。

「フエルテ」

 ユアが短く唱えると、杖の上部にある水晶は鋭くなり、それで狼を突き刺す。

「フエゴ」

 その状態で水晶から火がでて狼の体内を燃やす。

 狼はその痛みで俺の脚から歯を離した。

 狼は絶命したらしい。

「大丈夫?」

「ああ、ありがとう」

「いいわよ」

 すると、狼は血痕ごと消え、そこには金色の金属があった。

「は?」

 俺が驚くが、ユアは意にも介さない。

「そんなのより、手当てしなきゃ」

「あ、ああ」

 俺の脚からは血が結構でていた。

「レクペラシオン」

 ユアは言うと、鋭くなくなった水晶を傷に触れさせる。

 すると、傷は塞がった。

「すげえよ。ありがとう!」

 正直、一瞬で傷が治るのは感動だ。

「う、うん」

 俺は立ちあがって金色の金属を拾い上げる。

「これはおかね?」

「え?」

「なんか、人の顔とか書いてあるし」

「へえ」

「ま、とりあえず、人に会おう」

「う、うん」

「どうした?」

「いや、大丈夫かなって」

 意外と、心配性だな。

「おう、お前のおかげでな。行こうぜ」

「うん」


まだ、登場人物が三人なわけですが。

主人公の名前は京極蓮斗です。

ユアのフルネームは覚えなくていいです。

私もうろ覚えな感じで。

トランスミシオン・セクレトでしったっけ?

そんな感じです。

間違っていたら修正します。

逆に、時間が経っても変わらなかったら、合っていたという事です。

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