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今田香織の供述

 ある昼下がり、私は車を走らせていた。先ほどの捜査会議での疑問を解決するために。

 現場となった研究所の入り口は二カ所。1つは正面玄関、カードキーを持った関係者のみ出入りできる。事件当日その入り口を使ったのは、被害者の他には2名。副所長の滝本氏と研究員の井上氏だけだ。

 もう1つの入り口は警備員が常に配置されている。ここを通って中に入ったのは被害者の妻、香織氏。明らかに容疑者はこの3人だ。

 しかし、ある者はホテルの一室。ある者は特殊実験室。またある者は事故を起こした電車。それぞれ隔離された状態で犯行時間を過ごしている。

 「いわば、逆密室殺人といったところか。」

 捜査会議は完全に行き詰まってしまった。警備員による犯行も考えられたが、この研究所の警備員は馴れ合いを防ぐために毎月1日に交代していた。面識もない人間を殺すとは考えにくい。

 しかし、捜査会議の内容に私は何か引っかかるものを感じた。アリバイを崩せるかもしれない。私は聞き込みをするために、急いで車を走らせた。


 今田邸に着き、妻の香織氏がいることを確認した私は、中に入り聞き込みを開始した。

 「埼玉県警の三木と申します。お話を伺ってもよろしいでしょうか?」

 「ええ、何でもいいですよ。私は主人を殺してなんかいませんから。」

 彼女は真っ直ぐとこちらを見つめてくる。

 「それでは、ご主人はどのような方でしたか?」

 「とても賢く立派な人でした。天才とはああいう人のことをいうなど思います。私のような女には、とても釣り合わなかったんです。」

 「それで、浮気を。そうですか。それでは、事件当日の午後1時頃はどうしていらっしゃいましたか?」

 「他の方にもお話ししたように、そのころホテルにチェックインしました。主人が亡くなったと知ったのも、お恥ずかしい話ですがベットの中です。」

 「そうですか。分かりました。どうもご協力ありがとうございます。」


 フロントの記録によれば、チェックインの時刻は午後1時8分。証言とも矛盾しない。私は次の目的地へと向かった。

 


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