外伝・ある貴族の御令嬢に転生した少女の物語~ハロウィンの場合~
皆様、飴は貰いましたか?それとも・・・悪戯されたのでしょうか。
私は一応飴を用意していました!!
「今日はやけに屍が多いですね」
自室へ帰る途中のメイラは思わずそう呟いた。
自室に近づけば近づくほど多くなる部下の屍と大量の血。
しかし心配などはしていない。
どうせ、またアイリーンの艶姿でも見たのだろうと勝手に解釈してドアへと手に掛けて・・・開けた。
開けた瞬間、メイラは立ち止まった。
「Trick or Treat♪」
可愛らしく、それでいてどこか少し冒険したような赤と黒のミニワンピースを着た子猫。
もとい、イリスがお願いのポーズをして両手を差し出しメイラにそう言った。
もちろん頭の部分には猫耳装着。お尻のあたりにはふわふわの長い尻尾があり、どういう作りになっているのか耳も尻尾もイリスの動きに合わせて左右にゆらゆら揺れる。
「・・・・・・・・・・・・・・・イリス」
「メイラ様、Trick or Treatですわ」
襲って良いのか?
そう今にも理性が切れそうな時に邪魔者は入る。
イリスの背後にはアイリーンがいた。
アイリーンは大きな胸を惜しみなく晒している。
Vカット仕様はへそ辺りまであった。そのまま丸い金具に繋がって、一見ただの卑猥水着・・・もしくは【女王様の着る服】である。
網タイツ使用に、髪はツインテール。
背中には蝙蝠の羽と、お尻には逆ハートの尻尾。
メイラは思わず自室へと繋がる廊下を見た。
血と屍が転がっている。
「原因がはっきりと分かりました」
「皆さま、悪戯する間もなく倒れて下さいました。少し物足りないですわ」
ですのでメイラ様、お菓子はいりませんと。
「差し上げましょう」
マッハで取りだした物はかぼちゃ味のキャンディー。
それを素早くアイリーンの口に放り込めば酷くガッカリされた。
「メイラ様、とっても美味しいのですが・・・・・・・・・・・つまらないですわ」
心底ガッカリしないで欲しい。
アイリーンの『悪戯』は可愛いでは済まされない。
仕事の忙しさで今日の事をすっかり忘れていたのだが別れ際にエイリックがそっと差し出したキャンディー。
あれを貰っておいて良かった。
貰った当初は意味が分からずただ純粋にイリスにでもあげようと思い持ち帰ったが・・・さっそく役に立ってくれた。
少しばかり感謝しよう。
「イリス。イリスにもあげるね」
「うん!!ありがとう、メイラ」
がざがざと包みを開けてオレンジ色の小さな球体をイリスの口に入れる。
余程嬉しかったのか、口に入れた瞬間イリスの顔がふにゃっとなった。
「んんん~~~~!!甘い!!」
「良かったですね」
舐め終わるのを待って、メイラはイリスをギュッと抱きしめ、
「イリス・・・Trick or Treat」
耳元で甘く囁いた。
「はい」
そっけなく渡された物はチョコレートだった。
包み紙にかぼちゃのイラストがプリントされた。
「なんですか、これ?」
「チョコ」
「見れば分かります」
「チョコ飽きちゃった」
「そうですか」
無言でチョコをアイリーンの口に入れる。
無くなったのを確認して、もう一度イリスを抱きしめた。
「イリス・・・Trick or Treat」
「あげたじゃん!!!」
「アイリーンが食べちゃいました」
「メイラ様が無理やり食べさせたのですわ」
「だよね!?」
「どうでも良いです。イリス、お菓子と悪戯どちらが良いですか?」
「ズルイ!!滅茶苦茶ズルイじゃん!!!」
「悪戯ですね」
「人の話を聞けぇぇぇえええ!!!!!」
「エイリック、Trick or Treatですわ」
「・・・・・・・・・は?」
「Trick or Treatですの」
「・・・アイリーンさん、俺の所にくるなんて珍しいね。子供に悪戯しなくて良いの?」
「もうしました。Trick で良いですよね」
「良いけど・・・あぁ、もう悪戯済みなんですか」
「勿論ですわ・・・さぁ、この薬を飲んで下さいませ」
「なにこの薬?」
「若返りの試作品ですわ」
「・・・・・・・・・・・・・え゛」
「成功したら、近い将来この国はパラダイスになりますわ・・・ジュル」
「・・・・・・・・・・・・・・・・みなさん逃げてーーーーー!!!」
弟に飴あげたらチョコが返ってきました。
それにしても弟よ・・・トリックオアトーリって・・・違う言葉になってるし(汗)