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ある貴族の御令嬢に転生した少女は変態に目をつけられた

年の差カップルとか、無理やり結婚とか書きたくて書きました。でもギャグ。シリアスは続かないので・・・主要キャラの視点で書くので2,3話程度で終わる予定です。

 







イリス・クローズン。

黒川菖蒲。


この二つの名前はわたしにつけられた名前。

別名とか、そんなんじゃない。

どっちも、本名。

間違いなく、わたしの名前。


・・・意味が分からない?

そりゃそうよね。

じゃぁ、もっと分かりやすく説明してあげる。


地球生まれの日本人、黒川菖蒲。

中学3年生の受験生。

生まれつき色素の薄い茶髪に天然のパーマ。

ついでにコンタクトでもないのに青っぽく見える黒い目はハーフである母親の血筋のせい。

そう。これだけの『美少女になる要素』が揃っているにも関わらずあたしの顔立ちは至って普通。

つまり、地味ってわけ。

趣味は乙女系ゲームをプレイする事やべたべたな展開の少女漫画や小説を読む事。

まぁ、いまどきの中学生よね。受験生にはあるまじき行為だけど。


アステラ国生まれのアステラ人、イリス・クローズン

幼女としか言いようのない5歳児。

母親にそっくりな波打つ黄金の髪に翡翠のような碧の目を持った・・・平凡顔。

趣味は歌と探検。

けれど貴族に生まれたせいで自由というものを半分奪われて今のところ暮らしている。


さて、わたしの正体を言おう。

わたしは地球の日本人、黒川菖蒲で『あった』


そう。『黒川菖蒲であった』

今は違うけど。


今は6つの大陸がある、その最も北に位置する大国、光を司るアステラ国の貴族、イリス・クローズンに『なっている』


・・・ん?分かりにくい?

ならハッキリ言ってあげる。


わたしは地球の日本人、黒川菖蒲だったんだけど、強盗に襲われて殺されたの。

そして気がつくとこのファンタジーな世界に『転生』していたの。

都合のいい展開だとこの時、神様に会って異世界トリップ・・・なんてお約束の展開になるはずなんだけど生憎神様なんて存在には会えなかった。

会えなかったけど転生は出来た。

貴族の、クローズン伯爵の第3子、イリス・クローズンとして。

それが5年前の事。

運がいいのか悪いのか、とりあえず良いんだろう。

前世と呼ばれる記憶を、私は持ったまま生まれてきた。

会った事ないけど、この事に関しては神様に感謝した。

記憶があるせいで知識が豊富のまま人生やり直せたしね。しかも大好きなファンタジーの世界に。

でもね、1つだけ不満があるの。

それは、


「イリス、元気かい?」


「今日はなにをしようか?本を読む?歌を歌うかい?」


ギュッと後ろから抱きついてくるのは10歳年上の双子の兄達。

長男、サファイヤと次男、シトリン。

見た目は鏡を合わせたかのようにそっくりだが目の色だけが違う。

サファイヤはその名の通り蒼く、シトリンは黄金色。

髪の色は2人とも金髪。

母親に似た美貌もありまるで神話に出てくる光の女神『アグライア』のようだ。


そんな時、フッと窓に兄達とわたしの顔が映った。

絶世の美形が2人に・・・平凡な顔立ちが1人。


「・・・・・・・・・・・・ありえない」


「「は?」」


母も父も兄達も美形。

というか一族みんなが美形なのにわたしの顔立ちは至って普通。平凡に生まれてきた。

鏡を見るたびに泣きたくなる。そして、申し訳ない気持ちになってくる。

生まれた当初はこれでもかなり慌てたんだ。だってさ、普通疑うよね、浮気を。

ここまで母にも父にも似ていない顔立ちであるのだ。疑わない方がどうかしている。

なのにだ。父は母の浮気を疑った事がないらしい。

それは母を信じているため。

偉いぞ、父よ。まともな頭の持ち主ならぜってぇー浮気を疑うって。

つーか、この平凡顔立ちは日本人だった黒川菖蒲の顔だ。


・・・遺伝子レベルで平凡顔立ちらしい。


これが唯一の不満だった。

いつか夢見た貴族の家柄。

厳しくても、一度は願う世界。

異世界トリップして、貴族の家に生まれ、王族の絶世の美形と燃えるような素敵な恋に落ちる。


なのにこの顔で夢は崩れ落ちた。

こんな顔立ちの娘が、例え貴族だとしても王族と恋に落ちるなんて無理に決まっている。


神様!!異世界トリップという(てか転生)夢を叶えてくれたのですからおまけに顔もどうにかしてくれたって良いじゃありませんか!!

この顔!!この顔さえどうにかなれば薔薇色の人生が広がっていたのに!!!


え~んえ~んと崩れ落ちれば兄達が慌てたように甘いお菓子をどこからか取り出した。

そしていつものように言う。


「どうしたんだいそんなに泣いて。さぁ、笑って僕らの天使」


「イリスが泣いているというだけで僕らの心が痛むんだよ。さぁ。笑っておくれ」


「・・・クスン・・・甘い」


食べたのは一口サイズのパイだった。

サクッと噛めば中から黄色いジャムがとろりと流れ出るお抱えシェフ特製木苺パイもどき。

発案者はもちろんわたしだ。

地球と似たような材料があるから代用して作ってもらっている。

ちなみにジャムにしてあるのはクスクスという木苺に似た果物だ。

熱に通せば甘さが増し、砂糖無しでも十分にイケる。

パイはクロワッサンが存在したためそれを代用。

つまりパイっつーより木苺風味の一口クロワッサンだ。でも地球のクロワッサンより固めだけどね。


「あ、ところでお兄様方」


パイを食べる手を止めて2人の顔を見る。

そっくりな顔で2人は微笑む。


「なんだい、僕らの姫君」


「なにか気になる事でもあるのかい、姫君」


・・・ちなみに姫君というあだ名はどんなに嫌がってもやめてくれなかった。

こんな地味顔に姫君・・・当初は嫌がらせかと思ったが本人達が至って本気だという事を知り諦めたのは記憶に新しい。


ため息をついて、本題に入る。


「メイラ様の事なのですが・・・」


ピキンと、空気が凍った。

2人の目が氷よりも冷たく鋭く光り、背後には猛吹雪が吹き荒れる。


「「・・・・・イリス、その名を呼ぶのはやめろ」」


・・・すっごく怖い顔。


気持ちを落ち着かせるようにコクコクと紅茶を飲む。

浮かぶのは他国の王族である少年の姿。

この地とは正反対にある闇を司るアレクト国の第3王子。

メイラ・アレクト。

絶世の美少年と噂される彼の色素は殆どが黒に覆われている。

男性にしては珍しく伸ばした艶やかな黒髪に光の加減によっては青にも見えるダークブルーの瞳。

まだ16歳だというのにただ漏れる色気。彼の行動は1つ1つが注目される。

それなのにそんな彼が恋してやまない少女がいる事を世間の皆さま方は知らないでいる。

ん?なぜそんな人物の噂・・・てか、恋人の情報が隠されているのにわたしが知っているかって?

その答えは・・・


「愛しいイリス」


その恋してやまない少女がわたしだからなんです。


背中に暖かな感覚を感じてフッと首だけを後ろに向けた。

1年前から見慣れた顔がそこにはあった。

父上の親友だというアレクト国王の息子。

とある目的があってこの国に留学してきたという彼は事あるごとに我が家へ来ている。


「・・・はぁい、メイラ」


「あぁ・・・僕の愛しいイリス。その可憐な唇にキスをすることをどうか、許してほしい」


「ヤダ」


「そんな冷たい君も愛しているよ」


チュッと首元に贈られるキス。

微かに鈍い痛みを感じるとそこには小さな花が咲いていた。

その行動を見て悲鳴を上げるのは2人の少年。


「「ギャァ!!やめろ変態!!」」


次の瞬間には奪うように荒々しく兄達の腕の中にいた。

息が荒い。


「・・・お兄様方落ち着いて」


どうせ本気じゃないんだから・・・いくらロリコンでもわたしみたいな人に手を出すわけないじゃない。お世辞よ、お世辞。


そう言うにも兄達の表情は変わらない。

握りこぶしを作り今にもメイラに襲いかかりそうだ。


「「落ち着かずにいられるか!!メイラ、てめぇいい加減にしやがれこのロリコン!!」」


素が完璧に出てしまっている。

それを見てきゃぁきゃぁ言っている人達の存在に彼らは気付いていないのだろうか?

部屋の扉に張り付くメイド達に。


「あぁ。素敵ですわサファイヤ様。怒っている姿も」

「まぁ、シトリン様。あのように声を上げて・・・でも、雄々しくて・・・ぽっ///」

「2人ともカッコいいですわ~♪」

「メイラ様がいらっしゃらないとこんな2人の姿、見られませんもんね~」


・・・・・・・・仕事しろよ。


その意味を込めて睨みつければ慌ててメイド達は仕事に戻る。

バタバタ煩い。そして兄様方、


「・・・・・・痛い」


潰れてる、潰されている。

5歳児の体は小さいんだぞ。もっと労わってよね。


「「あぁ、御免ねイリス!痛かったよね」」


「うん。痛い」


時には正直に言うのって大切だよね。


2人の手が離れていく。

そしてそれを待っていたかのようにメイラの腕がわたしを包み込んだ。

優しすぎるほど優しく抱きしめられているため痛みは一切ない。

かわりにふわりと、フローラル系の良い匂いが香った。

・・・男のくせに香水つけてる・・・似合うけど。


「「あぁ!!イリスを返せ!!」」


「嫌です。そしていい加減僕らの仲を認めてくれません?」


どんな仲だよ・・・


その突っ込みを言う前にサファイヤとシトリンの顔が青ざめる。

おぉ。リアル版ムンクの叫び。


「「大切な可愛い妹を変態ロリコンの生贄に出来るか!!返せ返せ俺達の妹!!」」


「嫌です。僕のイリスです」


「「お前のじゃねぇし!!俺達のイリスだ!!!」」


「でも兄弟では結婚は出来ませんよ?安心してください。国に連れて行っても月に一度の手紙のやり取りぐらい許してあげますから」


「「手紙だけかよ!!てか、連れて行かせるか!!」」


「・・・手紙だけってさすがに嫌だなぁ」


しかも『ぐらい』って言ったよ、『ぐらい』って。


「僕、あなたを他の男の目に晒したくないんです。ですから結婚したら部屋に閉じ込めます。外には出しません。欲しいものはなんでも買ってあげますから我慢しましょうね」


子供をあやすかのように額へのキス。


・・・あれ?なんか大変な事言っていません?

え?もしかして今までのプロポーズって本気だった、とか・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はっ!?


「へるぷみー!!!」


監禁なんて嫌だ―――!!!助けて兄様―――!!!!!


抵抗する。マジで抵抗する。

腕から抜け出そうとするが5歳児の腕力などあってもないものと一緒だった。

バタバタ必死に動くがビクともしない。


「「イリス!!」」


「兄様方助けて―――!!!」


「大丈夫ですよ。幸せにします。それに、成人するまでは手は出しません。待ちます。さすがに今の体では僕のを受け入れることは出来ないでしょうし・・・」


「いやぁぁぁあぁぁぁあ!!!!犯される―――!!!!」


こいつ、12歳の子供を食べる気だ!!

どんだけロリコン!?いや、今すぐ食べられるよりマシだけど12歳っていったらまだ小学生だよ!?

無理!!絶対無理!!!


「入らない入らない入らないぃぃぃいい!!!」


「毎日指で広げてあげます。大丈夫、10歳の娼婦だっているんですから入りますよ♪」


「「ぎゃぁぁぁあああぁぁあ!!!イリスが汚される」」


「泣くよりこの変態の魔の手から救ってよ!!」


頑張れ兄様!!負けるな兄様!!


必死にわたしを取り戻そうとする兄様達だったがメイラはスイスイ逃げた。

服が少しずつ乱されていく。あれ?胸、揉まれてない?


「やっぱりまだ小さいですね・・・これは毎晩揉む必要がありそうです♡」


にょぉぉぉおおおぉぉぉおおお!!!!!

触るな揉むな変態ぃぃぃいい!!!!


「子供なんだから小さくて当たり前でしょう!?てか、触んな!!」


「嫌です」


「真面目な顔して言うな―――!!や、あぅ・・・」


触り方がどんどんいやらしくなっていく。

やっ!!と揉んでいる手を叩くが効果はない。


「「・・・殺す!!」」


いつの間にかレイピアを持った兄達は殺気をまき散らし襲いかかろうとする。


王族殺害。


そのフレームが頭を過りとっさに『ダメッ』と叫ぼうとしたが声が吐息となって意味のない言葉となる。


も、やだぁ・・・


目から溢れる涙がポタッと床に落ちた瞬間、その音は聞こえた。

ガン、ゴンと。


「?」


「グッジョブですアイリーン」


メイラはわたしの胸を揉んだままツインテールの髪の少女に親指を立てて華やかに微笑んだ。

少女はどこから入ったのか、いつの間にか兄様方の背後に回りトンファーっぽい物で彼らを殴ったらしい。

そのトンファーには僅かに血のようなものが付着しており今しがた人を殴りましたと主張している。


・・・ガンは殴る音。

ゴンは床に沈んだ音か。


「・・・って、なにするの!?」


「メイラ様が攻撃を受けていると判断しました」


「えぇその通りです」


「ち、がーう!!全然違うでしょうが!!てか、放して~~~」


「邪魔者はいなくなりました。さぁ、帰りましょうか」


ウキウキとメイラはわたしを抱えて部屋を出る。

途中、母上に会ったのだが彼は慌てることなく平然と言い放った。


「娘さんを僕に下さい」


「あらあらあら。まるで水輝姫すいきひめ様の物語みたいね♪」


あらあらあら、じゃないし!!

喜ぶなよ、母よ!!


(ちなみに水輝姫とは水の精霊が幼い少女に恋をして無理やり生贄として奪い去ったという物語の事。10歳の少女に恋をした水の精霊は自らの愛を拒否した少女の村を水の魔法で水没させ、助けてほしければ生贄となり嫁げと脅した。無理やり奪われた体と心。だがいつしか精霊の心に触れた少女は彼の悲しい過去をしり・・・シリアスなラブロマンス。全三部作、現在絶賛発売中)


「はい。僕ら、愛し合っているんです」


「ん~ん、ん、んんんん~~~」


愛し合ってない!!


だがその言葉はガッチリと口を押さえられているため声にならない。

母はちらりとわたしを見ると花よと言われる笑顔を浮かべて、


「嫁に行け」


・・・親指を立ててそんな大切な事をさらりと言わないでほしい。


「嬉しいです。大切にします。結婚式にはもちろん出席して下さいね」


「まぁまぁ。さぁ、早くお行きなさい。そろそろ夫が帰ってきますわ」


「えぇ。では」


「んんんんん~~~~~!!!!!」


「幸せになるのよ~~~!!!」


ハンカチ振って笑顔で見送るな~~~!!!


門にたどり着くといつの間に用意したのか馬車が三台あった。

乗り込んだのは二番目の馬車。

ふわふわするほどに敷き詰められた絨毯とソファー。

座ればプスンと、音がして沈む。

それでも多少の痛みに顔をしかめるとすぐさま向きを変えられる。

そして持ち上げられメイラの膝の上に座らされる。

考える間も無く動き出す馬車はどんだけ出すの!?というほどのスピード。

・・・飛び降りるのは無理そうだ。


「怪我しますから飛び降りちゃダメですよ」


「・・・さすがにこのスピードじゃ降りませんよ」


ニコニコと爽やかな笑顔を保つメイラは口に当てていた手を太ももへと移動させてそう言った。

ザワザワ鳥肌が出るほどの気色悪さに思わず手を抓るが平然としている。


「・・・触んな!!」


「嫌です。気持ちいいですから」


わたしは気持ち悪い。


だがそれを言っても無駄だろうと思い今はあまり考えずにいる事にした。

それよりなにより聞く事がある。

馬車は南に向けて走っている。

多分アレクト国に向かっているのだろうがここから最低でも3週間はかかる距離をまさかこのまま馬車で走行する気なのだろうか?

そう聞けばメイラは否と答えた。


「港町からは竜馬に乗り換えますよ。一日でも早く祖国に帰りたいですから」


竜馬。

その名の通り竜がひく車の事だ。

通常の馬のスピードより3倍は早いのだがなにせ高い。今では貴族や王族専用として使用されている。


「・・・ねぇ、マジでわたしを連れていく気なの?」


「言いましたよね?僕、イリスと結婚したいんです」


「いやいやいや。わたしまだ5歳だし」


「だから今のうちに手を打っておくんです」


「早過ぎじゃねぇ?」


「でももう発表しちゃいましたもん」


「・・・・・・・・・・・・・・・は?」


こいつ今なんつった?

発表?なにそれ?美味しいの?


「手紙で報告したんです。結婚相手を誘拐するって。国では今頃盛大な婚約パーティの準備をしているそうですよ」


「ノォォオオォォオオオォォォオオ!!!!!!!!!」


思わず髪をクシャクシャと掻いた。

婚約?婚約って言った?

王族の婚約なんて・・・逃げられなくなるじゃん!


「本気なの!?嘘だよね?ね!!」


「まだ信じられませんか?ここまでの事して冗談で済ますわけないじゃないですか」


「デスヨネ~~」


アハハハと乾いた笑い声が馬車を満たす。

冗談が良かった。冗談が良かったのに!!


「なんでわたしなのよぉ・・・」


父親に彼を紹介されてから1年。

メイラは事あるごとにわたしにプロポーズしてきた。

春も、夏も、秋も、冬も。

ずっと、ずっと・・・

そして考えた。

なんで、わたしなの?って。

本当は知っていた。

彼が本気でプロポーズしていたって。

だからこそ、理解が出来ない。

平凡で、地味な顔。

特別な才能だってないわたし。

兄のような美しい顔がなければ兄のような才能もない、貴族というだけの価値しかないわたしをなんで欲しいのか。

本当にロリコンな人だとしても可愛らしい子がもっと他にいるはずなのに・・・って。

そればかりを、ずっと考えてきた。


「愛しているんです。あなたを、心から」


「・・・ロリコン」


「ですから」


スッと、彼は膝の上からわたしを下ろしソファーに乗せた。

向かい合う形になった。

彫刻のような繊細な顔が目の前にある。


「僕は、ロリコンではありません。子供にも興味ありません。他ならぬあなただから、愛しているんです」


「・・・・・・だからなんでわたしなのって」


「・・・・・・・やっぱり、覚えていませんか」


「え?」


覚えてって・・・前に会った事あったっけ?


まったく覚えていない。

思い出そうとするが思い出せない。


「・・・そんなに可愛らしい顔をしないで下さい」


メイラはニッコリ笑い舌をわたしの首に這わせだした。

ヌメヌメした感覚が次第に思考を奪っていく。


「ちょ!!思い出そうとしてるのに・・・!!」


「思い出さなくて良いですよ。どうせ、情けない所を見られただけですから・・・むしろ、思い出すな」


真っ赤な舌は無理やりわたしの唇を割って入ってくる。

ぴちゃぴちゃといやらしい音を立てるとどちらの唾液か分からないモノがツーッと垂れて服を汚す。

大きな手がわたしの体を這い、徐々に服が脱がされる。

悲鳴は上げようとするたびメイラの手によって奪われついには声すらも上げられないようになっていく。

ここから港町まではどんなに急いだって2時間はかかる。

さすがに処女は奪われないと思うがそれでも危険な事には変わりない。


そこでわたしは気がついた。

常にメイラの傍にいて離れないアイリーンの存在がない事に。


「無駄、ですよ」


しっとりと汗をかいたメイラが服を乱した状態でわたしの目を覗き込む。

あまりの色気に酔っていると彼は一気に目が覚める言葉を吐きだした。


「この馬車には誰も近づけるなと言っています・・・なにがあっても」


「っ!!」


「もう悲鳴上げても良いですよ。どうせ、誰も助けには来ませんから」


にやぁと笑う彼の背後に悪魔の姿を見た。

そして頭の中で流れるドナドナの歌。


「い、」


確かに美形の王子様と燃えるような恋をしたいと願いましたが、


「いやぁぁぁあぁぁぁああぁぁあぁぁ!!!!!!!」


さすがにこれはないでしょう!?








前から書きたくて堪らなかった無理矢理結婚ですがシリアスが無理だったためにコメディーになりました(汗)すみません。後、年の差カップルも好きなのでこれも入れて・・・うん。メイラはただのロリコンですね。イリスは一年も前から愛してますと言われてましたが冗談、もしくは社交辞令だと思って本気にとっていなかったのでいい加減どうにかしようとしたメイラによって誘拐されました(笑)もちろん兄達以外は味方です。唯一渋っている父親は母親がなんとかします。ですから国家問題には発展しません。誘拐なんですが誘拐にはならず政略結婚で嫁に行ったと解釈されちゃいました。

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