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光を灯す。それが、何色であっても。 -短編集-

濡れた手の先に

作者: あるふぁ.txt
掲載日:2026/07/03

彼女を追いかけ続ける俺の身体に、容赦なく雨が打ち付ける。



彼女は走り続ける。俺から逃げているのだ。



段々と彼女方が先にスピードが遅くなり、息を荒げてその場に止まる。



「はぁ…!?わざわざ、ここまで追ってきたわけ!?」



「あぁ、そうだ。」



当たり前だ。君に”あんなこと”を言われては追いかけない理由がない。



「あんた…私のこと、嫌いじゃないわけ?」



「…何故、嫌いになるんだ?」



「あの噂よ、まさか聞いたことが無いわけ?」



そんなわけがない。何時もクラスの中心人物に仕立て上げられる俺は、



何度もその話を聞かされた。



その内容は酷いもので、彼女が加害者に仕立て上げられているような物語だった。



だが、彼女はまったくの無関係。物語をばらまいている人こそが加害者だ。



だが、周りの奴らは違う。



最初の情報だけで相手を知った気になり、相手への態度を変える。



俺は、そんな奴らの噂を信じるわけがない。



「聞いたことはある。だが、信じるわけないだろう?」



「なんで…私のことなんか…」



「信じてくれるの…?」



掠れた弱々しい声が、雨の音に掻き消されてしまいそうだ。



「なんで、か…それは…」



何度も君に伝えたかった言葉。



でも、言えなかった言葉。



今、ここで伝えよう。



周りの雨の音に連れて行かれないように、君を救えるように。



「君のことが、好きだからだ。」



傘も持っていない手に打ち付けていた大粒の雨が、少しだけ弱まった気がした。

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