第2話 初任務
「君たち2人を歓迎するよ。」
魔法の帽子を持った短い髪の女性は元気にそう言う。
「あの…ここって…」
白亜が混乱していると、
落ち着いた感じの青年は何かを察したように
「なるほど…そういう事か。あの隊長なんも説明しなかったな」
察した2人は改まって横に並び、
「君たちが配属されたのは、地方都市の治安維持部隊。主に敵組織の暴走した魔道士や、色のバランスが崩れた地域の調査を行う部署だよ。」
短い髪の女性は1歩前に出て、
「あたしは、赤魔道士。雷夜叶芽」
続いて落ち着いた感じの青年も前に出て、
「俺は、青魔道士。日向樹季だ。よろしくな」
「俺は、月白白亜です。よろしくお願いします。」
白亜は丁寧に挨拶をする。
そして隣の背の小さい女性は
「私は、白樺紬です…。」
一通り自己紹介が終わってから、
「早速だが、君たちは初任務に行ってもらう。」
その任務は、森の外れで発生した“色喰い”の討伐だった。
色喰い――魔力の色を奪い、暴走する魔獣。
「あたし達は、もしものために隠れて見てるから安心して闘ってね。」
「はい!!」
(やっと初任務か…)
俺と白樺さんは、森の外れを歩いていた。
「月白さん…あの……」
「どうしました?」
「月白さんはなんの魔法を使うんですか?」
白亜はふっふっふっ…と思いながら
「黒です!」
と自信満々に言う。
「え!?本当ですか!?」
(なんかちゃんと感心されると嬉しい…)
「私は緑魔道士なんです。怪我したらすぐに治しますね。」
「ありがとうございます。」
笑顔でお礼を言う白亜と目があった白樺はすぐに目線を逸らす。その逸らした先に…
立派な牙と角を持つ潔白の肌が象徴的の魔獣がいた。
「いました!色喰いです!」
白亜はすぐに、黒魔法を出す。
(威力は抑え目に…)
「待ってください!この色喰い何か変です!」
その白樺の忠告は間に合わず、白亜は威力を抑えた一般の黒魔法を撃つ。
この時、黒を作る際白亜は”いつもより早く”色を混ぜた。それ故に、忠告は間に合わなかったのかもしれない。
色喰いに向かった白亜の黒魔法。
「何か変って何がですか?」
「私の知識が正しければ紫色の色喰いは…」
色喰いは口を大きく開けて、白亜の黒魔法を喰う。
「やっぱり…」
「魔法を食べた!?」
「本当に樹季くんは意地悪ですね…聞いてませんよ。」
叶芽は被っている帽子を強く握りしめる。
「ああ、言ってないからな。助けには行くなよ?」
「あの色喰いは変異種。白以外の魔法は効かない。それ以外の魔法喰べられてしまう。なのに、黒魔道士と緑魔道士の2人だけに闘わせるなんて!意地悪すぎます!!」
叶芽は怒るが、樹季は頭を掻きながら
「対処法が無いわけじゃないだろ…それに……隊長の命令なんだからしょうがないだろ…」
と小声で呟く。
「手短に説明します。」
白樺は混乱している白亜に説明をする。
「あの色喰いには、白以外の色は喰べられてしまいます。ですが、対処法はあります!」
「その対処法は?」
色喰いの突進を避けながら、対処法を聞いた白亜は「わかった隙を作る。」そう一言言って再び一般の黒魔法を何発か撃つ。
色喰いはその黒魔法を喰べてから、すぐに突進をする。
白亜は突進を避け続けて、でかい岩に誘導する。白亜にぶつかる1mほどで、白亜はサイドステップで避け、止まれない色喰いは岩にぶつかる。
ドーーン!!
「今です!」
白亜はあの時の作戦を思い出す
2つの魔法を同時に喰らうことはできません。なので、私の緑魔法と月白さんの黒魔法を同時に撃てば…
おとなしい子とは思えないほど、嬉しそうににやりと顔を笑顔にして
「私たちは勝てます!」
2人はそれぞれ魔法を撃ち、その放った緑と黒の魔法は色喰いに向かう。
「ぐぉぉぉぉ!!」
と雄叫びをあげながら、口を大きくあける色喰いに勝利を確信した2人だった。
だがーーー
色喰いの口からは、白魔法が光線のように出てきて、白樺の緑魔法を消し去る。そして、光線と相殺されなかった黒魔法はそのまま喰べられる。
「すいません!私の緑魔法が弱くて…」
すぐに謝る白樺に白亜は落ち着かせる。
「いえ、緑魔法は攻撃系ではないのでしょうがないです。」
(それにしてもどうするか…俺が白の魔法を撃てば済むが…先輩達が監視してるから使えない。)
白亜は色を混ぜるのに、赤、青、緑を操ることはできるが、赤魔法、青魔法と緑魔法を魔法として使うことはできない。
白亜が使えるのは、白魔法と黒魔法のみ。
色喰いは再び白魔法撃つ。その魔法は光線のように飛んできて、白魔法が白亜を襲う。白亜は黒魔法で相殺するが、迷い、考え事をしていたため、見逃していた。
色喰いは白樺の方に突進している。
「あっ…」
恐怖で腰が抜けた白樺はその場から動けない。
(私、死ぬ……)
「ちょっと!まだだめなの!!?」
叶芽は叫ぶ。
隠れていた樹季は目を見張って走り出す。
「くそっ!!」
(隊長の命令違反。後で何言われるかな?)
ギリギリ間に合う!!
「ごめんな…俺」
樹季と叶芽より早く白樺の前に立ったのはーーーー
(くだらない事で友達の命を捨てるところだった。)
”白亜”の手の平には白色の魔法が込められていた。それに気づいた樹季は心中で叫ぶ。
(あれは!?白魔法!?)
「白隠……」
白亜が小さく呟いた瞬間。色喰いは白い光に覆われ、跡形もなく消滅する。
威力は今まで使っていた物とは比べ物にはならない。
なにせ…適性の色なのだから。




