表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/100

EP 5

刺客襲来? いえ、邪魔者排除です

 ドガァァァァンッ!!

 静寂に包まれていた地下の隠れ家に、爆音が響いた。

 蹴破られたのは、イタリア製の高級な樫の木の扉。

 土足で踏み込んできたのは、全身を黒い装備で固めた十数人の男たちだった。

「見つけたぞ、裏切り者『DEATH4』……いや、鬼神龍魔呂!」

 リーダー格の男が、歪んだ短剣を突きつけた。

 彼らは、裏社会で最も恐れられる暗殺ギルド『黒き牙』の精鋭部隊。

 組織を抜けた龍魔呂を粛清するため、長い時間をかけて追跡してきたのだ。

「貴様が農夫ごときにうつつを抜かし、牙を抜かれたと聞いてな。……ここで死んでもらう!」

 殺気が店内に充満する。

 本来なら、客は悲鳴を上げて逃げ出し、血の雨が降る場面だ。

 しかし。

 カウンターの中にいる龍魔呂は、眉一つ動かさず、壊された扉を冷ややかな目で見つめた。

「……特注の扉だ。修理費は高くつくぞ」

「ハッ! 死人に金は必要ねぇよ! やれ!」

 リーダーの号令で、部下たちが一斉に飛びかかろうとした。

 ――その時。

 ピキキキキキッ……。

 店内の気温が、物理的に下がった。

 いや、空気の「重さ」が変わった。

 暗殺者たちの動きが、見えない圧力によって空中で縫い止められる。

「……ねえ」

 低い、地獄の底から響くような女の声。

 暗殺者たちがギギギと首を巡らせると、カウンターに並んでいた美女たちが、グラスを置いたまま、ゆっくりと振り返ったところだった。

「……いい所だったのよ。私たち」

 魔王ラスティアが、扇子をバキッとへし折った。

 その背後から、どす黒い闇の魔力が噴出している。

「せっかく龍魔呂のシェイカーの音に酔いしれていたのに……。無粋な金属音ノイズを混ぜないでくださる?」

「ひっ……!?」

 暗殺者の一人が、ラスティアの圧力だけで白目を剥いて失禁した。

「全くだわ。……いい男を眺める時間は、神聖なものなのよ?」

 不死鳥フレアが、優雅に髪をかき上げた。

 その髪の先から、紅蓮の炎がチロチロと燃え上がり、店内の酸素を一瞬で焼き尽くす。

「あんたたち……。灰になりたいの?」

「な、なんだこの女たちは……! 魔力が桁違いだぞ!?」

 リーダーが狼狽する。情報にはなかった。こんな化け物たちが常連だなんて。

「……私の『頭ポンポン』の余韻が台無しですわ」

 ルナが世界樹の杖(鈍器)を構える。

「……神の安らぎを乱す罪、万死に値します」

 ヴァルキュリアが背中から四枚の翼を展開する。

「……ちょうどムシャクシャしていたのよ。リュウへのストレス発散に付き合ってもらうわ」

 聖女セーラが拳をポキポキと鳴らし、聖なるナックルダスター(魔力製)を装着する。

「……私のカクテルがぬるくなるじゃないの」

 創造神ルチアナが、面倒くさそうに指を弾いた。

 「「「消えなさい、ゴミムシども」」」

 美女たちの声が重なった瞬間。

 ドゴォォォォォォォォンッ!!!!

 店内で、神話級の複合魔法(極大消滅呪文)が炸裂した。

 ラスティアの重力魔法が彼らをひとまとめにし、フレアの業火が焼き、セーラの拳が物理的に殴り飛ばし、ルチアナの空間魔法が彼らを次元の彼方へと転送する。

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁッ!! なんでぇぇぇぇッ!!」

 暗殺者たちは何もできないまま、星になって消えていった。

 所要時間、3秒。

 †

 静寂が戻った店内。

 壊れた扉は、ルナの魔法で瞬時に修復され、焼けた空気はヴァルキュリアの浄化魔法でフローラルな香りに戻った。

「ふぅ。……スッキリしたわ」

 ラスティアが何事もなかったかのようにグラスを持ち上げた。

 他の女性陣も、ニコニコと龍魔呂に向き直る。

「ねえ龍魔呂! 私、強かったでしょ? 惚れ直した?」

「龍魔呂さんを守ってあげましたわよ! 褒めてください!」

「運動したら喉が渇いたわ。おかわり!」

 さっきまでの殺戮劇が嘘のように、彼女たちは再び「恋する乙女」に戻っていた。

 カウンターの中の龍魔呂は、一度だけ短く瞬きをして、手にしたペティナイフ(戦闘用)をそっと収めた。

「……騒がしい客だったな」

 彼は淡々と、新しいコースターを差し出した。

「掃除の手間が省けた。……礼を言う」

 その渋い感謝の言葉に、美女たちは「キャーッ♡」と黄色い声を上げる。

 暗殺組織『黒き牙』のエリート部隊は、龍魔呂に指一本触れることすらできず、ただの「ハーレムイベントの盛り上げ役」として散っていったのである。

 †

 「……さて」

 騒ぎが落ち着いた頃、再びドアベルが鳴った。

 今度は、扉を蹴破るような無粋な客ではない。

「お疲れ様ですぅ~……。お腹空きましたぁ……」

 フラフラと入ってきたのは、農場でのライブ練習を終えたアイドル、リーザだった。

 フリルの衣装の一部がほつれ、少し疲れた顔をしている。

 その姿を見た龍魔呂の目が、スッと細められた。

 女たちの戦場に、無垢な天使(爆弾)が投下される。

 次回、龍魔呂の家事スキルが爆発!

 「リーザと制服のほころび」へ続く!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ