表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
190/209

EP 10

【真理】やっぱり「良い男」が一番の美容液♡

カランコロン……♪

BAR『龍魔呂』に、新たな客がやってきた。

扉を開けて入ってきたのは、農場の主であるカイトだった。

「こんばんはー。……うわっ、すごい匂い」

夜の畑の見回りを終えたばかりのカイトは、首にタオルを巻き、額に薄っすらと汗をかいていた。

泥のついた長靴は外で脱いできたようだが、その姿は「働く健康的な青年」そのものである。

「お疲れ、カイト。……ホットミルクでいいか?」

カウンターの中でグラスを拭いていた龍魔呂が、静かに声をかける。

「うん、お願い。Sランク牛の搾りたてで」

カイトはカウンターの端に座り、タオルでゴシゴシと汗を拭った。

無造作にかき上げられた前髪から、健康的な汗の雫が滴り落ちる。爽やかな色気フレッシュ・セクシーだ。

一方で、カウンターの中でシェイカーを振る龍魔呂。

薄暗い照明の中、法被をアレンジしたバーテンダー姿で、氷を砕くその横顔。こちらは大人の色気ダンディ・セクシーの極みである。

「お待たせした」

コトリ、と純白のホットミルクがカイトの前に置かれる。

「ありがとう、龍魔呂さん。はぁ~、沁みるねぇ」

その、何気ない男二人の光景。

それを見ていた女性陣(ルチアナ、ラスティア、フレア、リベラ、ルナ、リーザ、キャルル)の間に、奇妙な沈黙が落ちた。

「…………」

「…………」

全員の視線が、カイトの喉仏が動く様(ミルクを飲む姿)と、龍魔呂の逞しい前腕(グラスを拭く筋肉)に、完全に釘付けになっていたのだ。

「……ねえ、みんな」

沈黙を破ったのは、創造神ルチアナだった。

彼女は手元の『SK-∞(金貨5枚)』のボトルをそっとテーブルに置き、うっとりとしたため息をついた。

「結局さぁ……。地球の高い化粧水も、確かに効くけどさ」

「ええ……」

魔王ラスティアが、頬杖をつきながら深く頷く。

「こうやって、極上の『イイ男』の無防備な姿を眺めながら、美味しいお酒を飲むのが……」

「一番、お肌にハリとツヤが出ますわよねぇ……♡」

不死鳥フレアが、頬を極限まで赤らめて(少し発火しながら)身悶えした。

「分かりますわ……! 心臓がトクトク鳴って、血流が良くなるのが分かります!」

リベラが犬耳をピンと立てて鼻息を荒くする。

「な、なるほど……! これが『女性ホルモンの活性化』……! しかもタダ(無料)!!」

リーザがサンプルの袋を放り出し、目を血走らせて男たちをガン見し始めた。

「りゅ、龍魔呂さんの腕の筋……! カイトさんの汗……! あわわわ、私、化粧品のゴーレム浴びた時より、今の方がお肌が熱いですぅ……♡」

キャルルに至っては、ウサ耳をパタパタさせながら、鼻血を出しそうな勢いで興奮している。

そう。

何万円もするデパコスも、必死で集めた試供品も、世界樹の朝露も。

**『眼福(イイ男)』**がもたらす、内側からの劇的なホルモン分泌には敵わなかったのである。

「「「それな~~~~!!!」」」

夜のBARに、美女たちの完璧にハモった同意の声が響き渡った。

「ブフォッ!?」

カイトが思わずミルクを吹き出しそうになる。

「な、なに!? 急にみんなしてこっち見て……!」

カイトは身震いした。

先程まで美容談義に花を咲かせていた女性陣の目が、完全に**「肉食獣プレデター」**のそれに変わっている。

舐め回すような、ねっとりとした『視姦』の集中砲火。

「……チッ」

歴戦の処刑人パニッシャーである龍魔呂でさえ、その異常な殺気(欲望)を感じ取り、思わず背筋に冷たいものを感じて一歩後ずさった。

「カイト、俺は奥でグラスを洗ってくる。……後は任せたぞ」

「えっ!? ちょっ、龍魔呂さん逃げないでよ! 僕一人置いてかないで! 食べられちゃうから!」

カイトの悲痛な叫びを背に、龍魔呂はそそくさと厨房へ避難していった。

「カイト様ぁ~♡ 汗、私が舐め……いえ、拭いて差し上げますわぁ~♡」

「カイト、その首筋の汗、魔王に吸わせなさい!」

「カイトさん! 私のツヤツヤのお肌、触ってみますか!?」

「ひぃぃぃっ! やめて! 寄らないで! フローラルな匂いがキツい!!」

逃げ惑うカイトと、目を血走らせて群がる美肌の乙女たち(+奥からこっそり見ている龍魔呂)。

カイト農場の夜は、今日も今日とて、騒がしくも色気に満ちた平和な時間を刻んでいくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ