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第4話 空気キャラ令嬢、信用革命と推し男子の微妙な波紋

「推しが推しと仲良しすぎて空気。でも、空気は見えないけど世界を動かしている。きっと、私の声も届き始めるはず――。」


市原あやめは朝の書斎で手元の資料と向き合いながらつぶやく。信用制度構築のための通貨安定策と取引記録管理──前世の銀行経営ノウハウが異世界の小さな財閥を変える。


「この異世界では貨幣の価値変動が激しくて、信用がとにかく脆弱。となれば、信用そのものを“見える化”させることが急務よ。」


あやめは手書きの台帳を前に、既に頭の中はシステム設計でいっぱいだ。


「ブロックチェーン?いや、そんな言葉は誰も知らない。でも、そのコンセプトは使えるわ。」


その日、あやめは財閥の若手エンジニア、ミズキを秘密会議に呼びつけた。


「ミズキ、この市場の信用制度設計は君の出番よ。前世の知識を図解して、誰でもわかる信用台帳を作りたいの。」


「なるほど……令嬢の知識、すごいです。まるで魔法の理論みたいですけど、技術的には手が届きそう!」


ミズキの瞳が輝く。


「やっぱり、技術と魔法の融合は最強ってことですね!」


一方、推し男子たちは相変わらず己の「推し活」に夢中だった。


アーサーはレイムに言った。


「最近、あやめの動きが気になるな。単なる空気じゃ済まされなくなってきている。」


レイムは微笑んで、


「推し男子同士の連携よりも、一人で黙々と改革するあやめの方が、どこか格好良く見えてきたよ。」


セフィロスは無言のまま、遠くを見つめていた。


夕刻、あやめの書斎を唐突にノックする音が。


「失礼します、令嬢。」


ドアを開けると、アーサーが立っていた。


「あなたの改革案、拝見した。率直に言うと驚いた。周囲はただの空気扱いしていたが、実は孤高の勝負師だったんだな。」


あやめはわずかに微笑む。


「推し男子の隣では空気でも、異世界の経済を動かすのは私。ここは私の戦場よ。」


アーサーは黙って頷き、机の上の設計図をじっと見つめる。


夜、あやめは美咲にこっそり言う。


「推しは推し同士で盛り上がっているけど、私は今日、新しい信用制度の試験運用にGOサインを出したわ。」


「令嬢のやることは壮大ですけど、その根底にあるのは“人の信用”への信頼ですよね。」


あやめは空を見上げ、


「そう、最強の推し活は、“人の信頼”を育てること。それが経営無双の鍵。」


「今度こそ、“空気キャラ”卒業。私はみんなの心の中の“推し”に負けない存在になる。」

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