第二話[祭り]
永遠の国。
空は半分ほど白く、気温は涼しかった。どこからか吹く風が木々を揺らしていた。
周囲は緑に囲まれ空気は美味しかった。
こんな日はここで訓練をするのが丁度良い。
私とヒカリは森の中で訓練をしていた。
この場所は絶対に人が通らない。
なぜなら、アラタという王様が私有地として所有している森だからだ。
許可を貰っては利用させてもらっている。
私、ヒカリ、アキ、の三人の拠点の一つでもある。
私はヒカリと木刀で打ち合い、また負けた。
「僕の勝ち〜」
ヒカリは嬉しそうにしていた。
「あ〜もう!」
私は悔しかった。
ヒカリは笑顔を私に向けた。
「ハルカもちゃんと強くなってるよ、僕にはまだ敵わないけど・・・」
私達を見ていたアキは羨ましかったのか「俺もまぜてくれ」と私達に駆け寄ってきた。
この日は三人で訓練をした。
祭の日。
私とヒカリは祭りに必要な魔物の肉を入手しに、魔物狩りの準備をしてから国を出た。
離れの森まで木車を引いて歩いてる途中。
「治療道具は持ってきたけど、傷が治るわけじゃないから、・・・気をつけてね」
ヒカリは私を見て、「お互い様」と苦笑いをした。
私とヒカリは魔物を見つけると、勢いよく走り出した。
魔物は私達を見つけると、巨大な尻尾を私達に当たるように素早く振った。
私は真上に飛び跳ねて避けた。
ヒカリは近づいてきた尻尾に走りながら乗り、一人突っ走った。
私は隙を探しながら攻撃を避けていた。
ヒカリは魔物の弱点の一つに目を向けると、銃を取り出した。魔物の弱点に向かって撃った。
弾が内側の首に命中し、当たった箇所が爆発した。
魔物は今まで以上に暴れ出した。
魔物が水魔法を使おうとすると、ヒカリは「やっとか・・・」と言い、魔物にしがみついたまま銃をしまい、短刀を取り出し、何かのタイミングに合わせて魔物を斬った。
魔法で放出された水は私とヒカリのところへ勢いよく飛んできた。
「うわっ!危なっ‼」
放出された水に当たってはいけない。
水そのものが猛毒だからだ。
当たった箇所は溶けて肉をえぐられたような状態になる。
暴れている身体と水を避けないといけないから大変だ。
魔物は表面の皮で守られていた。
ヒカリは暴れている魔物の身体から振りほどかれ、なめらかな身のこなしで地面に足をついた。
「さすがのヒカリも手に負えない?」
ヒカリは笑顔で「まさか〜」と言った。
魔物の方を見ると、肉が溶けて、えぐられたみたいになっていた。
ヒカリの傷つけた箇所に、ヒカリに当たるはずだった毒水が当たり、魔物は今の状態になっていた。
倒れた魔物に近づくと、ヒカリは私に「早く肉を採取しないと暗くなっちゃうよ」と言った。
ヒカリは魔物に手で触れると「君の命もらうね」と呟いた。
私とヒカリは魔物の肉と皮を別けると、木車に乗せて、紐で縛り付け、暗くなる前に国に帰った。
貧民街で祭りが行われるため、貧民街へ向かった。
貧民街。
夜。
祭りが始まった。
貧しい人たちにごちそうを振る舞う。
この祭りは一ヶ月に一回行われる。
今日はその日だ。
貧しい人達以外も参加していいため、参加者は貧民以外にも一般民もいた。
人々は火を囲みながら楽しそうに話していた。
「何年か前は犯罪が多かったのに、いつの間にか平和な国になっちゃって・・・」
「ああ、今の王のおかげだな・・・」
向こうでは兵達や王様が楽しそうに話していた。
「・・・美味いな」
「兄さん、これとかも美味いぞ」
男兵と女兵の姿もあった。
王様とカガミさんも楽しそうに話していた。
私は場の空気に馴染んでいた。
「こんな日が続くといいな」
ヒカリはハルカの表情を見ると、笑顔で「そうだね」と言った。