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97.同行者と理解者


「ひとまず、虎のボウズにハル嬢ちゃんをくれてやるのはこの上ない悪手とわかった。いらんこと言う奴が出る前にいっそこのまま4階層を進んじまえ」

「いいんですか?嬉しいです。もうあれの相手したくないので」

「俺の権限で許可してやる。ホラこれ持ってけ」

「何ですか?…通行許可。グランツの名においてこの七名の通行を許可する…?」

「普通に字ィ読めんのな…まあ一応今はまだこの階層を見て回って様子見てるとこだからな。魔物の減り具合とか。他の冒険者の通行は制限してるんだ」

「ああ、減りすぎてたら危険ですもんね」

「だから出来りゃあお前らも魔物は極力倒さず進んでくれ。追っ払うくらいならいい」

「お、ナズが輝きそうだ。牽制役」

「あとは『咆哮』で相手を止めて、駆け抜ける感じでしょうか?」

「隠密持ちが二人いるんだから、強い認識阻害でイケるんじゃないか?」

「いっそカーくんで爆走…」

「俺が思ってた以上に方法あるみてえで困惑してるわ」



まあ、うん…

レベリングの意味だと、もう三人組は基礎レベルも初期スキルも5に達してるしな。

ドロップも、グランツさんがこの階層で落とす素材を大量にくれた。ナズ大歓喜。

なら、この階層に拘る必要はない。最短距離で駆け抜けていいくらいだ。



「他の獣族の四人は、一旦オーレンに連れてってそれぞれ連絡を試みる予定だ。お前ら、今後オーレンに寄るか?」

「私とタークとルートくんはしばらくオーレンを拠点にするつもりです。アキさんたち四人は、ダンジョン攻略後すぐガレメナへの道を行くと…」

「…すぐ?準備は大丈夫なのか?」



ん?あ、もしかしてグランツさん、突然予定変更になったと思ってる?

本当はオーレンに行く予定だったのに、虎のせいで行けなくなったからすぐ旅立つことにした…みたいな。

全員それに思い当たったらしい。すぐルートくんがフォローしていた。



「あ、俺たち、最初からこのダンジョン攻略後は別行動する予定だったので、アキくん達と別れるのは予定通りなんです」

「はい、私たちはすぐガレメナに行く予定でしたね。食料なんかはスキルがあるので補給いりませんし」

「…そうか、ならまあいいか。で、お前ら三人はアイツの宿に世話になるんだったな。うん、なら多分大丈夫だろ」

「ああー、虎の子がオーレンでハルを探そうとする可能性がありそうですもんね」

「あの様子だとな。もう別の町に行ったって言う予定だが。行先は知らねえって言えばいいだろ。バレてもガレメナまで行くのは無理だろうしな」

「オーレンからガレメナは結構距離ありますしねー」

「つか、お前らは大丈夫なのか?シェリル嬢ちゃんも連れてくんだろ?」

「カーくんに乗せる予定だから大丈夫ですよ。道中で危険はほぼないでしょうし」

「私たちの世界にある高性能な車…馬車みたいなので移動するんです」

「…そうか、もうこれ以上いらん情報聞きたくないから深く突っ込まん。問題ないってことでいいんだな?」

「はい、任せてください!」



うん、短時間に色々暴露した覚えはある。

オリジンにピンときてなくて、ラムたちが形状変化を解除しようとし、約三匹ほどが「テント壊れそう」と自己申告したことで、小型化の姿を晒すことになった。

ちなみにそれはサンとスーとドラゴンである。三匹とも数メートル単位の体積なので。どうやらスーも10人くらいなら背中に乗せて飛べるくらいの大きさだそうですよ。

ついでにラテとステラも解除し、グランツさんは「もういい…これ以上知りたくない…」と絶望していた。

ごめんな、召喚者とオリジン以外にも爆弾抱えてたの忘れてたよ。

僕たちもカツラ帽子脱いで黒髪晒したしな。黒髪、初めて見たそうだ。

あと、今まで召喚者やオリジンの情報が表に出なかった理由も察したようだ。

こんな情報誰かに話せるか、とのこと。うん…ごめん…

てか普通にラージフール(人間族の王国)の不祥事もいいとこだからな。一介の冒険者が切り込んでいい問題じゃないんだろうな。



「ふ…召喚魔法陣なんて御伽噺が実在したって驚かされた直後にそれを壊したなんて言われたら、もう俺にどうしようも出来ん別世界の話って思うだろ…」

「まあまあ、これ以上異世界人は来ないからそこは安心してください。創造神も二度と授けないって言ってたそうなので」

「あっさり創造神様が話題に出るあたりがもうおかしいんだよなあ…」



確かに?いや僕たちも会ったことはないけどもな?

でも結果的にグランツさんに話をしたことは良かったんじゃなかろうか。地図の件も含めて。

シェリルも連れてく許可あっさり下りたし。

そのシェリルはアキ兄さんやラムに思い切り懐いてる。

どうやらラムについては、感触と、自分たち狼種が大事に思ってるフェンリルと知り合いだったという二点で好感度が爆上がりしたようだ。



「隷属については、任せていいんだな?」

『問題ないのだ!わたしが浄化魔術を持っているのだ!』

「お、おお…くっ、他の四人も解除してもらいてえが、そうすると色々面倒だ…!四人はこっちで何とかする。シェリル嬢ちゃんだけ頼む」

『任せるのだ!』



一旦、この4階層では事情が知れ渡りすぎてるので、5階層に行ってから解除することになった。

何ならナズがデザインの似た首輪を作ろうかとも言ってたけど。

作るなら今夜でいいんじゃないか?もう夕方だ。夜になるまでにボス部屋前のセーフティエリアには着いておきたい。

他の冒険者はほぼこのセーフティエリアで休むだろうし、今バトルフィールドに出たら怪しまれるか…?



「構わん、行っちまえ。俺が許可する」

「わあ頼もしいお言葉。…うん、行っちゃおうか」

「そうだな。ここに残ってる方が面倒ごとに絡まれそうだ」

「賛成です。とっとと去りましょう」

「まあ、ハルさんはそうよね。うん、行きましょうか。私も隠密で手助けするわ」

「あ、そうだ。グランツさん、これ一つしか作れなかったんだけど良ければ使ってください」

「あん?………勘弁してくれ…ありがとう…」

「な、なに渡したんだターク?」

「え、浄化ポーション。スキルレベルが低いせいかこれ一個しか成功しなくてさあ」



状態異常を解除する、所謂浄化魔法の効果があるポーションだな。

え、すごいな。こんなん作れるの?錬金調合って。

タークくん曰く、ステラが浄化魔法持ってるから、あんまり活躍の場が無さそうと思ってるらしい。確かに。



「虎の子は長の息子って言うし、さっさと隷属解除しちゃってどうにか両親の元に送り返しちまった方がいいだろ?」

「確かになあ」

「問題はどこで手に入れたものか誤魔化すことか…」

「あ、僕が持ってたことにすればいいのでは?前に行ったダンジョンの初回報酬ってことで。エリクサー出たんだから浄化ポーションくらい出るだろうし」

「なるほど、確かにそうよね」

「僕、初回報酬でポーションセット出たから、その中のひとつってことにしてさ」

「いいな、そうさせてくれ。グランツさん、俺じゃなくてリオが持ってたってことでひとつお願いします!」

「ま、まあ、かなりの低確率だが、それならありえるか…?」

「ルーキー05とルーキー08クリアしてるので、そこで入手したと言ってもらえれば」

「なるほどな…悪いが、その理由使わせてもらうわ。ありがとな」

「いえいえ、お世話になったので」

「色々すみません。少しでも助けになればいいんですが」

「もうこれ以上ねえってくらい助けてもらってんだが…」



そうかな?絶対グランツさんの方が大変になると思うけど。今から。

僕たちの自由のために色々便宜を図ってくれてるし。

何であれ、早くこのセーフティエリアから出た方がいいということで全員が賛成した。

グランツさんは、バトルフィールドに入る手前まで見送ってくれた。



「んじゃあ、シェリル嬢ちゃんは頼んだ」

「わかった!任せてくれ」

「ありがとう、冒険者、さん」

「助けるのが遅くなっちまって悪かった。どうか無事でな」

「う、ん…」



どうやらグランツさんのことも好きになったらしく、小さくきゅーんという声が聞こえた。

犬かな?

最終的に、手を振って別れた。

どうにか頑張って欲しい。



「さて、最短距離でボス部屋前まで行くか。そこのセーフティエリアで今日は休もう」

「そうだな」



この4階層と、次の5階層の地図も見せてもらったので、最短ルートはわかる。

さすがにこれは倍化で増やさず、ハルがササっと描いて終了した。超早いし超上手い。何だこの子、才能の塊か?美術部こわぁ…

フィールドが森なので、障害物は木くらいしかない。方向さえ間違わなければ突っ切れるのだ。

あとは目印になってる木を見逃さなければ良い。七人もいたら見逃すことはないだろう。

が、結局アイさんが『千里眼』で目印をしっかり把握していたためガチで最短距離を進めたのである。

わあ、アイさん一人で攻略しちゃったよ…魔物は減っていることもあり、運よくかち合わなかった。

巡回中の冒険者には二回ほどエンカウントしたが、グランツさんのメモの効果で納得してくれた。

グランツさん、すごい。



「ボス部屋には行けるけど…休むか」

「そうだな、賛成」

「ここには誰もいませんね。入り口の方のセーフティエリアに集まってるんでしょうね」



ささっとテントとカーくんを出す。

シェリルにカーくんを見れるよう許可を出したところ、正体不明のデカブツにビビり、尻尾が爆発したみたいになっていた。

あ、猫じゃなくてもなるんだこれ…?

アキ兄さんが、これは乗り物だと説明して、何とか宥めすかして乗車させていた。

あまりにビビったのでアキ兄さんに抱き上げられて、だけど。

ただ、子供の順応力はさすがと言うべきか。安全とわかったら好奇心の方が勝ったらしい。


アキ兄さんは夕飯作りに入ったので、ハルが色々説明に回っていた。

水浴びは苦手とのことだったので、洗浄組だ。今日のところはタークくんがやっていた。経験値溜めたいらしいので。



「あら、結構色んな情報集めてきたのね…」

「あ、桜庭たち?」

「ええ、何でも、幽霊タイプの見えない系の魔物に偵察を頼んだみたいね。幽霊と話すの嫌がる桜庭くんを菫さんが宥めまくったみたい」

「そこまでホラー系苦手か…?よくそんなスキルになったな、こいつ」

「へえー、ほんとだ、色々わかっ…え、僕たちって送還されたか死んだと思われてんの?まあ、追手の問題がなくなったならいいけど」

「あ、あの砂だらけの部屋って魔法陣があった部屋なのね。まったく印象が違ったから結びつかなかったわ」

「砂だらけ?何でそんなことに…?」

「あー、魔法陣が描かれてた壁とか床の石をね、ちょっとね…砕けたっていうか、崩れて霧散しちゃったんだよなあ…」

「なるほど、破壊者クラッシャーになるわけだ。これはリオの仕業だから心配ないってぶちまけとくぞ?」

「うん、頼んだ」

「同時に、オリジンと魔の森に向かう方法がほぼ唯一の元の世界に戻る手段ってのも改めて伝えとこう」

「そうだな、召喚魔法陣から戻れるかもって希望持ってた奴いるだろうし。それで留まってたのもあるだろうな。俺がそうだったよ。ドラゴンに聞くまで」

「てか、砂だらけなら片付けろよって思うんだけど」

「残っている残骸から魔法陣の再構築とか出来るかもって希望を持ってるのかもしれませんよ。現状維持って感じで」

「あー、なるほどな。まあ無理だろうけど」



現在、この掲示板に参加してるのは冷遇組全員だ。もっとも、逃亡に失敗した三人は参加していないが。

というより、許可は出したものの、一度も書き込んでいないのだ。意識がないのかもしれない。

ラージフール側に通じていたらまずいと思い、その三人はすぐさま隔離された。

新たなスレを作って三人を招き、返事が欲しいとアイさんが語りかけて終了。

なので現時点では、この情報交換スレにその三人は書き込みも閲覧も出来ない状態になっている。

一度でも書き込みがあれば、真偽スキルで見抜けるものもあるかもしれないが、それが出来ていない。

ちなみに、現在参加している冷遇組は全員ラージフールにブチギレ状態の正常な状態だった。正常とは?

真偽スキルにも反応しないし、全員正気だと思われる。隷属が表に表れない限りは。

情報収集も積極的にこなしてくれ、結構な情報が集まっている。

偵察が苦手で何も成果がないという人もいるにはいるが、むしろそっちの方が当たり前だと思う。



「ご飯できたよー。チャーハンだぞー。中華だ中華」

「素敵」

「スープいれますー器ください」

「ありがと、お願い」



座席は八人掛けなので、シェリルが加わって今ちょうどか。

シェリルは初めて見る料理に興味津々だった。尻尾めちゃくちゃ振ってた。

スプーンで食べられる料理にしたのはアキ兄さんの優しさだろう。うちの兄が素晴らしい。

うん、今日も美味しい。

シェリルは急いで食べようとしてるのか、ぽろぽろ零したりしていた。



「横取りする人はいませんよ。ゆっくり食べましょうね」

「…ほんと?こんな、おいしい、のに?」

「ええ、だって皆同じものを同じだけ食べられるんですから」

「わかった、ゆっくり、食べる」



ハルのお姉ちゃん対応が出た。

そして言う通りにしたのか、そこからはゆっくり食べ、零すこともなくなった。

狼、結構早い者勝ちな感じなのかな?弱肉強食みたいな。



「…おいしい」



小声で嬉しそうに呟かれたそれを聞いて、アキ兄さんが若干見せられない顔をしてたけど、幸いシェリルの目には入らなかった。

嬉しさと尊さと歓喜と撫でたい衝動と喜びの舞を我慢してるような顔だった。どんな顔だと言われても説明はできないがクソデカ感情が詰まった顔としか言えない。

ご飯はいつも通り美味しくいただき、腹休めの時間。全員でまったりする。

予定はだいぶ狂ったけど、ペース的には悪くない。



「シェリル、眠い?」

「ぅ…まだ…」

「お腹いっぱいで眠くなっちゃいましたかね?ところで、シェリルちゃんもちょっと偽名とか考えた方がいいのでは?名前、フェンリルと音が似てますし」

「…少し思ったわ。というか、この毛色も隠さないとまずくない?白銀って。汚れてて灰色に見えてたのね…」

「洗浄かけた直後びっくりしたよな」

「フェンリルの眷属、だもんなあ…ガレメナまでとはいえ、隠した方がいいだろ」

「…耳と尻尾を誤魔化せばいい感じ?よし、あたしカバーみたいなの作るわ。灰色でいいよね?」



カツラ帽子の派生か。あと尻尾カバーになるのだろうか。

耳が聞こえにくいとまずいので、耳だけ薄いカバーにして、帽子と毛(灰色)を作るそうだ。

そんなもんまで作れるの…?ナズすごすぎでは…?



「だから偽名はあたし不参加な」

「ナズ、お前…まあいいけど…」

「と言っても、シェリーとかシェルとかセリとかリルとか、その程度でいいと思うんですよね」

「ああ、確かにそれなら近い名前よね」

「お任せしまーす」

「アキ、お前…」

「言っとくけど僕も参加せんぞ。まあ選択制なら参加するけど」

「シェリルちゃんは、どれがいいとかあるか?やっぱ本名のままの方がいいか?」

「…んと、ごまかした、方がいい、なら、シェリーが、いい…」

「シェリーちゃんですね。じゃあそう名乗りましょう。ガレメナに着くまではその名前で」

「うん、わたし、シェリー」



平和に終わった…クソ候補も出なかったし、いつもこうならいいのに。

ひとまず、シェリル改めシェリーが眠そうなので、寝かせることにした。寝室でいいか…

で、今夜はアキ兄さんとハルあたりが一緒に寝ればいいだろう。

そういえば、シェリーは鼻が利くせいか、アキ兄さんや僕が女だというのは最初からわかっていたらしい。あー、ニオイでバレるのか…

ただ、狼や犬の獣人が特に嗅覚に優れているからという可能性もある。そういや虎は気づいてたんだろうか…?

今となっては確かめる術もないし確かめたいとも思わないけど。



『待つのだ。シェリーちゃん、寝る前に浄化魔術かけるのだ』

「じょう、か…?」

『寝るのにその首輪、邪魔なのだ。隷属も、命令を下せる主人が近くにいないから無意味とはいえ、気分のいいものじゃないのだ』

「それもそうだな。お願いしていいか?スー」

『任されたのだ!』

「ま、待った!」

「どうしたの、ターク?」

「いや、あの、解除は賛成なんだけど、首輪なくなったら、誰かに見られた時どうするんだ?ナズが代わりのを作るまでこのままと思ってたよ俺」

「ああ、それな。考えたんだけど、スカーフみたいなのを首に巻いちゃえばいいんじゃないかと思って」

「あ、なるほど?それならすぐ作れるよ!」

「確かにそれだと、首輪を隠してるようにも見えますね。いいと思います」

「ナイス提案リオくん!シェリー、首元に布巻くのって嫌か?邪魔とかじゃないか?」

「くび…ううん、嫌じゃない」

「あら、じゃあスカーフ採用しましょっか。好きな色はある?」

「銀色。フェンリル様の、色」

「銀のスカーフかあ…銀糸とかでもいいかな?メインは別の色でもいいかな?」

「…なら、赤がいい。アキみたいな色」

「え、俺?」

「ああ、赤と銀ならいいね!よっしゃ、あたしそれで作るね!」



これで隷属の首輪は用無しだ。元から微塵も用なんてないけど。

スーが即浄化魔術をかけていた。首輪は外れるんじゃなくて、塵のようになって消えてしまった。

ラム曰く、無害なマナに変換されて空気中のマナとなって溶けて消えたらしい。

首元がすっきりしたのか、シェリーはちょっと嬉しそうだった。ゴツかったし、邪魔だったんだろう。



『うん、これでいいのだ!おやすみ、シェリーちゃん』

「おやすみ、ありがとう、オリジン様」

『わたしはスーなのだ。主がくれた名前で呼んでほしいのだ』

「スー様」

『うーん、まあ、いいのだ』



様はいらないって言いたかったんだろうな。でもシェリーが嬉しそうだったから言えなかったのか。

どうもフェンリルと同格=敬うべき存在という方程式があるらしい。

そういう集落で育ったのだから、無理もないだろう。

シェリーはハルが寝室まで案内していた。布団を被せたらすぐ寝たそうなので大丈夫だろう。

そして、ハルが戻って来てからが本番。



「さあ、冷遇組が集めてきた情報の精査をするわよ!」

「地図もありますしね!城からどれくらいで着くかを逆算すれば…!」

「どのダンジョンに行くかがわかる、か。オリジンが待ち構える場所の選定も出来るかな…?」

「ダンジョンの近くに町や村は無さそうだし、オリジンも潜めるな!」

「っしゃあ!見つけたらー!」



テーブルに、グランツさんが提供してくれた地図(アキ兄さんの倍化)を広げ、話し合いの姿勢に入った。

出来れば今日中に場所を突き止めてしまいたい。

無理なら、どうにかして冷遇組に集めてもらう情報を伝えたい。

漠然とした情報収集より、こういう情報を集めて欲しいと方向性を伝えられれば、向こうも動きやすいはずだ。


掲示板に書かれた情報をまとめ、ラムたちにも伝えながら、地図との睨めっこが始まった。


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